有終の美!早慶戦12連覇達成

女子ホッケー

 秋晴れのもと行われた早慶定期戦(早慶戦)の女子戦は26回目を迎えここ11年は早大が制していた。12連覇を懸けて臨んだ今回のゲームは両校ともに4年生の引退試合ともあって意地と意地が激しくぶつかる展開へ。最終クオーターまで無得点で試合は進んだが、勝利の女神が微笑んだのは早大。ペナルティーコー(PC)から得点し勝利、見事12連覇を達成した。

 早大のセンターパスから伝統の一戦は幕を開ける。「点を取って勝ちにいく」と安岡監督(平16年卒)の言葉通り早大はフォワードをこなすDF瀧澤璃菜主将(スポ4=岩手・沼宮内)を中心に積極的に敵陣へ攻め込んでいく。しかし先制点とまではならない。第1クオーター(Q)10分過ぎ慶大も反撃を開始し、PCを献上してしまうがGK高橋詩帆(スポ3=栃木・今市)が冷静に止め失点は許さない。第2Qにも早大ゴール前で混戦となるが守備陣の鉄壁の守りで切り抜ける。前半終了間際得点のチャンスが巡ってくるが惜しくも先制点とはならず0−0で試合を折り返した。

PCを決めたDF瀧澤主将

 第3Qが開始すると「第3Qの最初の方は慶大の方が攻めていた」(中村)と言うように押されてしまう時間があったが、徐々に早大も勢いを取り戻しFW中村咲副将(教4=東京・成城学園)からGK古屋萌杏(スポ2=埼玉・飯能)への連携でチャンスを演出。さらに第3Q終盤MF的場朱音副将(教3=滋賀・伊吹)が魅せる。だが両校ともにゴールネットを揺らせず無得点のまま最終Qへ突入。第3Q同様序盤は慶大にペースを握られPCを取られてしまうが、GK高橋の好セーブを連発し切り抜ける。「必ずものにしようという気持ちでいた」(福井)と均衡した展開を破ったのは早大。第4QGK古屋がサイドラインを駆け上がるとPCを獲得すると「決めるしかない」とDF瀧澤主将がゴールを決める。チャンスをものにした早大は1―0で早慶戦12連覇を達成した。

得点へのチャンスを演出したGK古屋

 「嬉しさと同時に安心感が大きかった」と試合を終えた4年生たちには嬉し涙とともに安堵の表情が浮かんだ。勝ち続けており、勝利を途切れさせてはいけないというプレッシャーは計り知れない。伝統の一戦、そして現チームで最後の試合となった今回の早慶戦で重圧をはねのけ勝利を掴んだ女子部は最高の形で幕を閉じた。

(記事 新藤綾佳、写真 喜柳純平、成瀬允、涌井統矢)

ゴールが決まり喜ぶ選手たち

結果

TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大
慶大


コメント

安岡裕美子監督(平16卒)

――きょうの試合を振り返ってみてはいかがでしょうか

本当に勝つことができよかったなというふうに感じました。

――ゲームプランとしてはどのようなものを想定されていましたでしょうか

秋のリーグ戦に引き続き点が取れるように瀧澤(璃菜、スポ4=岩手・沼宮内)を上げて点を取って勝ちに行くというのを考えていました。

――第4クオーターまで両校無得点で試合が進みましたがその時はどのような気持ちでしたでしょうか

攻めてはいるので、点を時間ないに取れればいいかなという気持ちでした。

――ことしのチームはどのようなチームでしたでしょうか

いろいろ部員が減ったりしたのですが瀧澤中心に、瀧澤らしいチームを作ってくれたかなと思います。

――最後に有終の美を飾りましたね

4年生が3人いるのですがまとまって点数を取りに行って勝ちきれたのがよかったです。

DF瀧澤璃菜主将(スポ4=岩手・沼宮内)

――きょうの試合を振り返ってみてはいかがでしょうか

まず勝ててホッとしました。引き分けでこのまま終わってしまうのではないかと第3クオーター(Q)の時にチラッとよぎりました。でも最後の最後で萌杏(古屋、スポ2=埼玉・飯能)がPC(ペナルティーコーナー)を取ってくれて、決めるしかないという気持ちと決められるか心配でした。

――12連覇が懸かっているというのはプレッシャーでしたでしょうか

絶対勝たなくてはいけないというふうには言われていたのですが、あまりことし自分たちの代になってからどういうホッケーがしたいのかというのをすごく悩んでいました。自分の中でこういうホッケーしたいというのを確率できていなかったこともありプレッシャーはありました。

――大学生活最後の試合となりましたが

勝ちで締めくくれてよかったと思います。

――4年間振り返ってみていかがでしたでしょうか

ありきたりなのですが4年間いろいろなことがありました。一言で表すなら長いようであっという間だったなと。ちょっといいこと言おうと思うとダメですね。(卒業記念特集までの)宿題にさせてください。

――最後に後輩選手へのメッセージをお願いします

私が4年生になってから結構3年生に助けられた部分が大きく、自分たちがやりたいことをもうすでに持っているのではないかと感じているのでそれをプレーで体現するのを楽しみにしています。

FW中村咲副将(教4=東京・成城学園)

――きょうの試合を振り返ってみてはいかがでしょうか

本当に第3クオーター(Q)まで苦しい展開が続いていて正直もうこれは引き分けで終わってしまうのかなと思うところもありました。ですが多分みんなの考えとしてPC(ペナルティーコーナー)を取ったら点が決まるというのは暗黙の了解としてあったと思うので、PCを取った時はこれは来たぞという気持ちでした。1点決まってからは本当に嬉しかったです。安心しました。

――最終Qまで無得点というのは気持ち的にはいかがでしたか

第1、2Qは春季リーグと展開が似ていて、ワセダが攻める時間は多いけど慶大の堅守に阻まれてなかなか決めきれないことが多く、予想はできていてこうなんだなという気持ちでした。第3Qと第4Q目の最初の方は明らかに慶大の方が攻めていたのでこんなはずではなかったのにという気持ちがありました。

――第4Qで1点奪い取れたというのは何が要因としてありますでしょうか

フォワードの萌杏(古屋、スポ2=埼玉・飯能)がドリブルもできるしスピードもあるのでサイドラインを駆け上がったくれたことがPC取得に繋がったかなと思っています。

――勝利してみて終わった瞬間は喜びでしたか、それとも安心感でしたか

どっちもあるのですが、安心感の方が大きかったですね。早慶戦はワセダが勝つという伝統が続いて来たのでそれを継承できたという安心感が一番大きかったです。

――大学4年間のホッケー人生を振り返ってみてはいかがですか

ホッケーが嫌いになった時もあり全部辞めてしまいたいと思ったこともあったのですが、4年生になって下級生と話したりしてこんなにも魅力あふれる人たちがいるのだなということを3、4年になってやっと知れたと思います。そう思えてからは何をするかよりも誰とするかが大事だなと思ったので素敵な魅力溢れる先輩、後輩たちと一緒にホッケーを楽しめるようになったことが自分にとって収穫であり、成長でありすごく良かったなと思っています。

――最後に後輩選手へのメッセージをお願いします

最近推薦で入って来てくれる子が少なくなってきてチームの情勢としてさらに苦しくなってしまうと思います。ですがワセダの強みは何だろうということに立ち返って見ると少数精鋭、一人一人のテクニックが高くて少ない人数でも戦えるということだと思います。人数に頼らず自分たちの良さを最大限に生かしてワセダらしいホッケーをしてもらいたいと思います。

FW福井更彩(法4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返ってみていかがでしょうか

すごくハラハラしました。引き分けでベンチに戻るということは考えられなかったです。最後の1クオーター(Q)前に4年生全員でハイタッチをして、その時に逆に吹っ切れてこの1Qは死ぬ気で何が何でも勝ちをベンチに持って帰るという思いで臨みました。今年の早慶戦は4年生が引退だったのでみんなの意地のぶつかり合いでいつもの試合とは違う雰囲気だったなと。

――全くリーグ戦とは違いましたか

やっぱり伝統の一戦だったなと思いました。

――12連覇が懸かる中での今回の早慶戦ということでプレッシャーは大きかったでしょうか

すごいありましたね。前々からOBの方に「女子は負けることは許されない」とは言われて来たので、それは知らないうちに重圧とかになっていました。また後輩とかにも伝わってしまっていたとも思います。私は早慶戦前日までの方がプレッシャーがあったのですが当日になったら来てしまったのでやるしかないと吹っ切れたところもありました。

――第4Qまでともに無得点でゲームが進みましたがどのようなお気持ちでしたか

途中のハーフタイムの時にみんなで一回落ち着いて、良い声かけや次に繋がる声がありみんなこのままでは終われないというみんなの意地とかがみられた試合でした。このままでは終われないという気持ちと焦りも少なからずありましたがワセダの方が圧倒的に攻めていたので必ずものにしようという気持ちでした。

――最高の形での締めくくりとなりましたが、安心感か喜びどちらが大きいでしょうか

勝って当たり前の早慶戦なのでそこは喜びよりかは安心感の方が大きいかなと思います。伝統を守れたというのは安心がありますが、自分自身のプレーを振り返って見ると悔しいし、きょうこれで終わってしまうということも悔しいです。まだやりたいなという思いはすごくあります。

――4年間の大学ホッケー人生はどのようなものでしたか

最初初心者で一緒に頑張ろうと決めた子が辞めてしまって、最後3人残ったうちの1人だけ初心者でここまで続けられたのですが、本当にしんどいこともたくさんあって自分の存在意義というのをずっと探し続けていた4年間だったかなと思っています。3年の時に主務をやらせていただいていろんな形でこのチームに携わることができました。最後の1年は4年として難しさであったり、プレッシャーだったりとすごく感じさせられました。後輩にも、特に3年生には試合などすごく助けられました。そういう面では本当に感謝しています。他の2人が主将、副将という立場で私にしかできないことというのをもがきながら探し続けた4年間、特に最後の1年でした。いまとなっては良い経験と言えるのですが本当に濃い4年間でした。

――後輩選手たちにはどのようなチームになって欲しいですか

私たちは私たちのやりたいようにやって迷惑もたくさんかけたと思いますが、今のチーム状況だとか不安なこともいろいろあると思います。3年生は後1年しかないですし、2年生以下は3年生についていき3年生を支える立場になって欲しいです。残されている時間も少ないですし、1年間しか同じメンバーでホッケーをできないので時間を大切に好きなようにやりたいようにやって欲しいです。