王者の壁なお高く。完敗で3位決定戦へ

女子ホッケー

 その背に手が届く日は来るのか。春季関東学生リーグ順位決定予戦。予選Bプール2位通過の早大は、Aプール1位通過の山梨学院大と対した。リーグ戦46連覇を狙う山梨学院大の打倒を目標とする早大。しかし、この日もやはり山梨学院大は強かった。開始直後から強力な個の力とそれが絡み合う組織力が早大ゴールに襲い掛かり、70分後に刻まれたスコアは0-6。それが現時点での力の差だった。敗れた早大は次週、東農大との3位決定戦へ向かう。

 予選2位通過が決まった3週間前から、この日を目標としてきた。駿河台大を完封した試合から更なるレベルアップを求め、早大はこの試合に向けて新たな布陣を採用。男子部との練習試合も行い、そのスピード、パワーに対応すべく調整した。そして試合が始まると、その成果か右サイドからFW井上燦(スポ4=福岡・玄界)が敵サークル内に入り、いきなり好機をつくる。しかしここを難なく防がれると、そこからは守勢に転じた。敵の華麗な個人技、強く正確なストロークが織りなすパスワークが次々に両サイドを崩していく。早大もFB片倉優季(スポ2=山形・米沢商)を中心に対抗するが、前半4分に奪われたひとつめのペナルティコーナー(PC)を皮切りに敵の攻撃は一層激しさを増した。そして山梨学院大の1点目は前半10分、4度目のPCでゴール右から合わせたタッチシュート。浮いたボールにGK南有紗(スポ4=埼玉・飯能)も懸命に反応するが、届かなかった。さらに16分、21分にもPCから追加点を許し、前半を0-3で終える。豊富なパターンと正確性を持つ山梨学院大のPCが次々と早大ディフェンスを破った。

敵陣へ攻め込む瀧澤

 「まず1点」。後半開始直後にサークル内での混戦から4点目を奪われたが、その後早大も攻めに出た。敵サークルに入った井上が体勢を崩されながらチーム最初のシュートを放つと、その後もチャンスは続き、サークル内でボールを受けたMF南家未来(教1=京都・立命館)がそれを上手くキープしてPCを獲得。ここで決めることはできなかったが、後半4分にも片倉からサークル内の南家へパスが通り再び好機をつくる。しかしこれも防がれると、ここからは山梨学院大の独り舞台だった。7分に5点目、19分に6点目。随所で南の好セーブも見られたが、敵のシュートがそれを上回った。結局試合を終えて0-6。変わらないその強さを肌で感じる試合になった。

ゴールを死守するDF陣

 1-0で勝つ。0-0でシュートアウトを制する。目指す勝ち方はいくつかあるが、まずはやはり「いかに防ぐか」が課題。この試合では前半にPCから3点、後半にフィールドゴールで3点を失った。サークル内外でのディフェンスそれぞれで個の技術、周囲との連携を強めていかなくては『四強』の壁は越えられない。一方で、強豪の強豪たる所以はその守備力にもある。その中でPCを獲得し、シュートを4本放ったことは小さいながらも確かな収穫だ。次戦は東農大との3位決定戦。上を見るために、まずは『関東3番手』の座を守りたい。

(記事 安本捷人、写真 元田蒼)

春季関東学生リーグ
早大 0-3
0-3
山梨学院大
コメント

安岡裕美子監督(平16卒)

――今日の試合を振り返っていかがですか

点数を抑えられるところまで、抑えたかったかなと思います。

――前半PCからの失点が多かったですがいかがですか

PCからの失点が前半多かったので、サークルの前でしっかりと当たりにいこうという指示は出しました。後半は布陣を変えたこともあり、PCからの得点を防ぐことができたと思います。

――今年の山梨学院大の印象はいかがですか

主軸になる選手が山梨学院大は4年生で、日本代表といったトップレベルなのでその点は注意していたのですが、学生の中でも日本一のレベルのチームだったので、手強い相手でした。

――3位決定戦への意気込みをお願いします

3位は死守したいと思いますので、東京農大も攻めが強いチームなので、そこをしっかりと抑えて、前までやってきた攻撃力で得点をしていきたいと思います。

FB片柳陽加主将(スポ4=栃木・今市)

――今日のチームとしての目標はどのようなところに置いていましたか

チームとしては、無失点でSO(シュートアウト)まで持ち込んで、勝って決勝に行くという目標でした。

――前半の3失点は、PCでの失点になりました

フィールドでの失点ではなかったので、それをなくせば後半は0点に抑えられるかと思ったのですが、コーナーを3本も取られていたので、そこは試合中に改善していければよかったなと思います。練習中からキックなどのミスが多いので、この後の東農大戦までの練習は、細かいところまでミスを少なくして練習していきたいです。

――後半はPCでの失点はなくなりましたが、守りの面ではいかがでしたか

後半は体力がついていけず、フリーでボールを持たれるところもありました。当たりに行けなかったので、逆にフィールドゴールでの失点になってしまったのかなと思います。

――攻撃の面は、いかがでしょうか

DFが押し上げることができず、FWやMFに任せているところがあり、厚みがなかったと思います。カウンターを狙われると怖いので、押し上げをやりにくいところはありますが、やはり点数を決められてしまっている以上は点を取りにいかなければいけないので、そこはチャレンジしていけるようにしたいです。

――今日のご自身の動きはいかがでしたか

最初のコーナーの2失点は、私のポジション取りが悪かったので、準備が足りなかったと思います。プレーをしていて楽しかったので、終わった時にはやりきった感はありました。ただ、押し上げをする体力をもっとつけることや、ちょっとしたミスが失点につながるので、ミスを少なくしてプレーすることができればと思います。

――次戦も順位決定戦が続きます。意気込みをお願いします

勝ちます。勝って3位で終わりたいです。

FB瀧澤璃菜(スポ3=岩手・沼宮内)

――きょうの目標は

無失点だったのですが、決められちゃいましたね。

――6点取られたということについてはどう振り返りますか

自分が軽率なパスをしてしまったのが一本と、中途半端なクリアミスからもう一点取られてしまったので、6点中2点についてはすごく責任を感じていますし、ほかの点数に関してももう少し声掛けが必要だったし、マークを詳しく指示する必要があったと思いました。

――0点だったことについては

パスカットした後自分も前半でボールキープしすぎて、どこかで出せたのに出さなくて攻撃につなげられなかったのもあったし、1本的場(朱音、スポ2=滋賀・伊吹)につなげそうなパスを、丁寧に出そうと思いすぎて強く出してしまって繋がらなかったので、そこはチャンスになったんじゃないかと思います。あとディフェンスの押上げがなかったに等しいので、もう少し後ろからサポートして攻撃に厚みを持たせる、みたいに、攻撃しやすくなるようなプレーが必要だったと思います。

――完封した駿河台大とはやはり攻撃力の差を感じましたか

ありましたね。スピードもパスの正確さも。男子部に練習試合をさせていただいてスピードに慣れようと思っていたのと、今回の試合で新しいプレスの仕方をやったんです。今までは前から3-3-3-1にキーパーという感じだったのを前を2枚にして練習したりしてたんですけど、やっぱり隙は突かれてしまいましたね。

――次戦、東農大との試合に向けてどういった点を修正したいですか

今回の試合で守備はマンツーマンを徹底してやっていたんですけど、全体的にはマークが付けていたと思うので、あとはマンツーマンは徹底するのはいかして、東農大も攻撃力があるチームなので、守りは今回のように徹底して、次は攻撃にボールをつなげるように頑張ります。