届かない女王の背中――予選1位通過ならず

女子ホッケー

 東伏見で行われたこの日の試合は秋季関東学生リーグの予選リーグ最終戦。既に上位トーナメント進出を決めている早大は、1位通過を賭けて女帝・山梨学院大と対峙した。序盤から果敢に攻め込む早大はチャンスこそつくるも得点をあげることはできず、逆に敵にペースを握られると次々に失点。結果は7-0の大敗となった。しかし、その内容は憂うものばかりではない。

 春季リーグ順位決定戦での敗戦から約4ヶ月、早大は再び山梨学院大と相対した。リーグ戦44連覇中の山梨学院大は開始早々その力をいかんなく見せつける。鋭く緩急に富んだドリブルで早大を翻弄(ほんろう)。早大も体を張った守備で応戦するが、前半2分に奪われた最初のペナルティコーナー(PC)からこぼれ球を押し込まれ、先制を許した。しかしこの試合はやられてばかりではない。負けじと早大も見せ場をつくる。FW瀧澤育未(スポ4=滋賀・伊吹)のドリブル突破を中心に敵陣へ迫り、なんとか1点をもぎ取ろうと奮闘した。だが、山梨学院大の前に一歩及ばず得点には至らない。さらに前がかりになったところをカウンターで崩され、サークル内への侵入を許した。それでもPCを獲得されながらGK南有紗(スポ3=埼玉・飯能)やDF片倉優季(スポ1=山形・米沢商)を中心に決死のプレーで守りきる。そしてそこから再び早大の攻撃が始まるが、鋭いプレスが襲いかかり思うようなドリブルやストロークは許してもらえない。サイドラインを超えそうになれば早大は必死に手を伸ばし、敵にカットされるとがむしゃらに足を動かし追いすがる。押し潰されるような圧の中で懸命にボールを保持しようとした。

決死の守備を見せた早大の守護神・南

 だが、無敗の女王はそれを圧倒した。前半20分にPCから2点目を奪われると、ここからは完全に山梨学院大のペース。前半からハードな試合を強いられた早大の動きにはすでに陰りが見えていた。スピードで勝る山梨学院大の突破を止めることは難しく、3点目、4点目と加点を許す。後半に入っても勢いは衰えず、着実に点差は開いていった。早大も瀧澤育や片倉、FW井上燦(スポ3=福岡・玄海)、DF瀧澤璃菜(スポ3=岩手・沼宮内)を中心に何度か好機を演出するも得点には結びつかず。大敗を喫した。

前線へと駆け上がる瀧澤育

 春の対戦では3−0、そして今回は7−0とスコアだけ見れば差が広がったように見える。しかしその実、春にはほとんどつくれなかった好機をこの試合では何度も見せてくれた。点が取れるという期待感が、まるで違った。王者にも通用する攻撃力を手に入れつつある早大。最後にゴールをこじ開ける力、そしてなんとか敵の攻撃を抑える守備力。残り少ない時間の中で、どこまで山梨学院大に迫れるか。リベンジの舞台は、順位決定戦だ。

(記事 安本捷人、写真 中村ちひろ、難波亮誠)

秋季関東学生リーグ
早大 0-4
0-3
山梨学院大
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コメント

MF小澤眞帆主将(教4=埼玉・飯能)

――今試合を振り返っていかがですか

とりあえず点を取られすぎました。

――春季リーグでの対戦に比べて前に出ている印象がありましたが、実際にプレーしていかがですか

意識的には、今まで割と差が少ないゲームができていたんで、今回も差を少しずつ縮めて1点ずつ取りにいけたらいいなって思ってたので、攻める意識はあったんですけど、春季リーグに比べたらディフェンスの意識が低かったかなって部分はあります。結構取られなくていいところでPCを取られたところがあったので、攻める意識はあったと思うんですけどその分ディフェンスの意識が少なかったかなと思います。

――ディフェンスとフォワードの意識がかみ合っていない部分があったということですか

そうですね。ディフェンスが思っている「パスしたい」や「1本で切りたい」というのと、フォワードや中盤が思っている「1本で切ってほしい」っていうところでかみ合ってない部分は多々あったと思います。

――相手は関東女王の山梨学院大ということで特別な対策はとりましたか

PCを多く取られることは想定できていたので、そのディフェンスの練習はしていたんですけど、結局PCでたくさん点を決められているので対策になってなかったのかなって思います。あとは苦しい試合になると思っていたのでいつも通り、やることをやろうと言っていました。

――順位決定予選への意気込みをお願いします

もう1回山梨学院大と試合ができるように、決勝に行けるように頑張ります。

FW瀧澤育未(スポ4=滋賀・伊吹)

――今試合、攻撃のプランはどういったものでしたか

1点取って残りは全部守って1−0で勝ちたいという気持ちはありました。

――戦ってみて、攻撃の流れというのはいかがでしたか

流れとしては今までより全然攻められていて、もう少し自分が1人で行くのではなく、サークル前までに何回か組んでからドリブルをして最後シュートで決められればよかったなと思います

――春の順位決定戦と比べて、チャンスは多く見られました

夏、強い相手と試合をして、強いチームに対して攻撃する力というのはついたと思うのですが、逆に攻めたぶん守りが薄くなってしまって、いつもより失点してしまったのかなと思います。

――順位決定戦、ひとつ勝てば、また山梨学院大との対戦が予想されます。どこを修正していきたいですか

修正するところはたくさんあります。さっきOBさんに言われたのですが、パスを3回シュートまでに繋げられるようにするということで、今だと2回目で私が持ってドリブルでシュートまで行こうとしてしまっているので、自分は1回味方に預けて、もう1回最後にゴール前でもらっていけるような組み方に修正して点を取るという形をつくっていきたい。それとディフェンスをもっと強化して行かないといけないなと思います。

――その前に順位決定戦の初戦があります。意気込みをお願いします。

もう落とせないので、絶対最後にもう1度山梨学院大と戦えるように、勝ちたいと思います。