全日本学生選手権(インカレ)まであと一週間を切った。今回お話を伺うのはFB八木澤江里主将(スポ4=栃木・今市)とGK渡邉彩加(人4=岐阜・可児)のお二人。4年生の守備陣コンビでもあるお二人に、春シーズンの振り返りやインカレへの思いを語っていただいた。
※この取材は10月13日に行われたものです。
「ワセダを強くしたいと思った」(八木澤)
八木澤
――ホッケーはいつ頃から始めたのですか
八木澤 小学1年生のときから始めました。小学校に野球とホッケーしかなくて、自然に女子はホッケー部という感じだったので始めました。
渡邉 私は高校から始めました。私は小・中学校の時は陸上をやっていたんですけど、高校は何か新しい競技をしたいなと思って、ハンドボールかホッケーかで迷って悩んだ時に、ホッケーを選んで入りました。
――ホッケーの魅力は何でしょうか
八木澤 チームワークだと思うのですが、自分の努力次第で上手くなるとか上に行けるということが魅力だと思います。
渡邉 スピード感ですかね。私はGKなのでボールがすごいスピードで飛んできて痛いんですけど、見ているとやっぱりスピード感があってシュートが決まると気持ち良いです。激しさとかが魅力かなと思います。
――渡邉選手は最初からGKをやられていたのですか
渡邉 違います。高校はFWをやっていたんですけど、大学1年の夏にGKに転向しました。私が入ったときにGKの先輩が1人しかいらっしゃらなかったのですが、その方が腰を痛められて、練習するにあたって練習の人員が少ないとしんどいということで1年生から1人お願いしたいということだったので私が出ました。
――大学でもホッケーを続けようと思った理由はありますか
八木澤 やっぱり小学校からやっているので一生ホッケーに関わりたいなと思ったのが一番で、大学でもやりたいってなりました。
渡邉 私はあまり部活に入ろうっていう意識はなかったんですけど、すごく怠惰な人間なので、サークルとか拘束力のないものだと大学生活だらだらしちゃうなと思って。せっかくワセダに来られたんだから、レベルの高いところでもまれてみたいなと思って入りました。
――お二人ともサークルの新歓にはまったく行かれなかったのですか
八木澤・渡邉 行ってないです(笑)。
――進学先にワセダを選んだ理由は何ですか
八木澤 私はまず最初に両親への恩返しということで有名大学に入ることで両親に恩返しできるかなと思ったのと、ワセダのホッケー部は関東で1部(リーグ)なのですが3位止まりだったので、上を目指してその上にいきたいということで、ワセダを強くしたいと思ってワセダに進学しました。
渡邉 私は中学のときにテレビ局で働きたいという目標があって、周りからテレビならワセダが強いよっていうのを聞いてからずっとワセダに行きたいなと思っていて、高校でもその思いは変わらずワセダを目指して進学しました。
――どうしてテレビ局で働きたいと思ったのでしょうか
渡邉 テレビを見ることが大好きだったので、バラエティ番組とかを作りたいなと思っていました。
「同期は仲が良い」(渡邉)
渡邉
――お二人は仲が良さそうですね
八木澤 同期が4人なんですけど、一番最初に出会って、最初から打ち解けていたね(笑)。
渡邉 経歴とかも全然違うんですけど、入った当時は二人で活動している時期も長かったので江里に支えてもらいながら(やってきました)。同期が江里じゃなかったらやめちゃったっていうはあります(笑)。
八木澤 今でも一番の理解者は彩だなって思っています。
――ちなみに出会いというのは部活に入ってからですか
渡邉 入学前の春休みから私たちは練習に参加させてもらっていて、顔も見たことがなかったんですけど、高校を卒業するときくらいから連絡だけ取っていて。3月に初めて会いました。
――第一印象はいかがでしたか
渡邉 先に江里の経歴とかは知っていて、すごい選手だっていうのは聞いていたのでびびっていたんですけど、第一印象がふんわりしていたのでちょっと意外だなっていうのはあります(笑)。
八木澤 第一印象ですよね…。
渡邉 恥ずかしい(笑)。
八木澤 本音を言うとあまり知らない高校だったので、どういう子なんだろうとか思っていて。私意外とちょっとコミュ障なので(笑)。仲良くなれるかなとか思ったんですけど、最初私が待っていたら、「あっ!」ってなったら向こうも「あっ」っていう感じで。「いける!」と思いました(笑)。第一印象は明るい感じでした。
――当時の印象と今の印象で違うところはありますか
八木澤 今はすごく頼りがいがあって何でも頼っちゃって、一番の相談相手は彩っていう感じで、それは昔と今で変わらないかなって思うんですけど、今は責任感が強くなったなって思います。
渡邉 ほんと?良かった(笑)。1年生に時はプーさんってみんなで言っていたんですよ(笑)。ぽわーんとしていて。4年生になってキャプテンとして、周りの同期がちょっと頼りないかなっていうのはあるんですけど、締める時は締めてくれるというか、昔よりも情熱的な部分がいっぱい見られるようになったかなって思います。
――他の4年生との関係はいかがですか
八木澤 仲良いよね。
渡邉 仲良いと思う。
八木澤 一番私たちの学年が仲良いと思います。
渡邉 学部も全員違いますし経歴とかも全然違うんで、ほどよい距離感というか。
八木澤 無関心というわけではないんですけど、あまり深入りせずやっています(笑)。でも、遊ぶときは遊ぶし、ちゃんとやるときはちゃんとやるしという感じでメリハリがついています。ケンカとかはしたことないですね。
――下の代とはいかがですか
八木澤 一回メンタルトレーニングをやったんですよ。その時に下の学年から見て私たちって適当かなとか思っていたんですけど、結構慕われていたよね(笑)?
渡邉 自分らで言うのもなんですけど(笑)。憧れですとか言われていたので嬉しかったです。基本的にプレーの面とかでは、江里以外の他の同期は下の子たちにプレーの面で支えてもらっている部分もあるんですけど、それでも慕ってくれて技術とかも教えてくれようとしていて、支えられている部分も大きいかなって思います。
――かなり良好な関係ということですね
渡邉 と思いたいですけど、(後輩が)どう思っているかは分からないです(笑)。
――お二人とも同じ高校の後輩がいると思うのですが、その後輩との関係はいかがですか
渡邉 私は1人(MF梅村雅子、人2=岐阜・可児)いるんですけど、本当に弱小校の中の弱小校みたいな高校だったので、多分続けているのも私とその子しかいないんですよね、卒業生で。その子とポジションは違うんですけど、怒られたりしているのを見ると、どんまいというか、まあ頑張れよっていう気持ちにはなります(笑)。話を聞いてって言われたら聞いてやっています(笑)。
八木澤 私の高校は下に3人(FB藤本晴菜、スポ3=栃木・今市とFB村山侑季、スポ3=栃木・今市とFB片柳陽加、スポ2=栃木・今市)いるんですけど、やっぱり高校から同じだったので、同じ考えで同じプレーをするんですよ。そういう面ではプレーとかを説明しなくても分かり合えるので良いかなって感じなんですけど、結構3人とも個性的です(笑)。
――かなりお忙しい日々を送っていると思うのですが、オフの日はどのように過ごしているのですか
八木澤 寝たり、映画を見に行ったり、ショッピングをしたりしています。でも基本寝ていますね、疲れちゃうので。頭も身体も使うので、オフの日はちゃんとオフにして寝ています。
渡邉 GEOとか入り浸っています(笑)。一人の時間のつぶし方が下手くそで、一人で家にいると何をしていいか分からないので基本DVDを観たりしています。
――今ハマっていることはありますか
八木澤 ショッピングといっても雑貨の方のショッピングが好きで。服を選ぶのが面倒なので、いかに今持っている服でどういうコーディネイトをするかっていうのをやっています(笑)。
渡邉 今練習前とか暇なんですけど、4年間ちゃんとバイトしてきた経験がなくて。今何もすることがなくても働こうっていう意識がないんですけど、バイトサイトを流し見て、生まれ変わったらこういうことしてもいいかなーみたいな想像をしています(笑)。映画館で働きたいなって最近すごく思っています(笑)。
――部全体で流行っていることは
渡邉 奇抜なおしゃれですかね。男子は黒髪しかだめなんですけど、女子は外見の面で部則がないのでピアス空けてみたり、めっちゃ変な色に染めてきたりとかしていますね(笑)。
――お二人も奇抜なファッションをしたりするのですか
八木澤 それはないですね。
渡邉 大人なので(笑)。
一同 (笑)。
「主将としていかに自分のプレーができるかが大事」(八木澤)
お二人の仲の良さが伺える対談となった
――お互いのホッケーのプレー面での印象は
八木澤 GKなんですけど、後ろでとりあえず落ち着いているんですよ。GKって落ち着かないとプレーヤーも落ち着かなくなってしまうんですが、大切なところだけ声掛けをしてくれるので、指示がわかりやすくて動きやすいです。あとは足元が強いのでSO(シュートアウト)もうまいです。ね?
渡邉 …はい(笑)。
一同 (笑)。
渡邉 江里がいないとみんなが恐怖と不安に陥るくらい、大黒柱というか。打っても強いし鉄壁だし、何をしても強いですね。GKとしていつも江里の背中を見て試合をするんですけど、どれだけ抜かれても江里がいてくれたら止まるかなと思いますし、江里が打てば入るかなという絶対的な安心感はあります。
――八木澤選手がキャプテンのチームはどのようなチームですか
渡邉 今までは、キャプテンは少し部員と距離が遠いかなという印象があったんですよ。でも今は、江里のプレーだけではなくて人柄にも慕っている部分があって。江里さんが頑張っているから私たちもそのために動こうという意識がすごく感じられて、愛されてるなって感じます。
八木澤 ありがとう(笑)。
――ワセダは初心者も多いと思いますがそれゆえの大変さなどはありますか
八木澤 今経験者の方が少なくて初心者の方が多くなってきているんですけど、やはりワセダって1部(リーグ)の上位に入るじゃないですか。その伝統を崩さないようにするためには、いかに初心者の子に基礎を身につけてもらって応用をできるようにするかというのを、練習中に試行錯誤しながらやっています。できる子が初心者に教えてという感じですね。
――渡邉選手は大学からGKに転向されたということで、GKならではの大変さなどはありますか
渡邉 高校3年間はFWで、FWの時はあまり失点に関して責任感が薄かったというか、どこか他人事のところがありました。ですが、GKをやってからは失点が直結してくるのでメンタル面での大変さもありますね。ホッケーのGKって色々防具をつけるのですが、それを着けて動くことが最初はまず大変でした。夏もめっちゃ暑いですね。
――春シーズンで一番印象に残っている試合は
八木澤 (春季リーグ戦の)山梨学院大戦かな…。
渡邉 そうだね。
八木澤 あとは王座(全日本大学王座決定戦)の東農大もですけど、やっぱり山梨学院大かな。やっぱり格上ということで私たちも格上とは分かっていても勝ちたいという気持ちがあった中で1-2という結果が出たと思うので、そう考えると自分たちのプラスになったと思っていて。結構印象に残っています。
――春シーズンの結果についてはどうお考えですか
渡邉 (春リーグは)4位だったんですけど、今まで
ワセダは3位不動というところがありました。その中で2位を目指して4位だったのは、自分たちの代で4位かっていう責任みたいなものもありました。でもそれがあったからこそ、今までの感じではダメだねっていうことを考えることができたので、次につなげることはできたのかなと思いますね。
――夏は立命大に合宿をされたということですがどのような練習をされたのですか
八木澤 立命大とは練習試合をずっとやっていて、自分たちのプレーを見直して自分たちの得意なプレーを見つけて戦術を決めようということで練習していました。そのあとに岐阜県に行ったのですが、社会人1位のチームのソニーさんと練習試合をやらせてもらいました。その練習試合の前に合同練習をいれてもらって、ソニーさんから学ばせてもらって自分たちの新しいプレーを増やしていくことをやってきました。
――ハードな合宿だったのでしょうか
八木澤 そうですね。みんなきついって言っていました(笑)。
――その練習が成果として出ている実感はありますか
渡邉 それこそ初心者の子が多いので、いつもは試合に出られていない子たちも夏合宿で試合慣れをしたことで課題が見つかって、それに対して練習をしてきて、秋に試合に出てまた新しい課題や自分のできる新しいプレーを見つけられたかなというのはあります。
――秋はここまで2勝1敗ということで振り返ってみていかがですか
八木澤 きょうミーティングがあってポジションごとの反省なども出たのですが、相手のペースに飲まれ込みすぎかなというのがありました。山梨学院大とは良い勝負をしているのに、なんで東大や慶大とはこういう試合になったのかというのを振り返って、今後の課題を見つけることができました。秋は2勝1敗でまだ順位決定戦が残っているので、頑張ろうという感じになりました。
――インカレと順位決定戦での目標はどのようなところになってきますか
八木澤 リーグ戦は春から目標にしていた2位以上で、インカレはベスト4という目標です。自分たちの戦術がまだあまり決まっていないので、まずは戦術や自分たちに合ったプレーを決めて、そこを目指して行けたらなと思っています。
――インカレまであとわずかですがチームの雰囲気はいかがでしょうか
八木澤 結構みんな練習メニューとかも「これやりたいです」って連絡をくれるので、みんなやる気があるなって思っています。雰囲気も声を出す人と出さない人に分かれちゃうんですけど、声を出す人が頑張って声を出しています。やっぱり経験者が引っぱっていかないといけないので、経験者が引っぱってそれについていくという感じですね。
渡邉 盛り上げよう感はあるよね。
八木澤 そうだね。
――お二人とも4年生ということで最後のインカレとなりますがそこに対する思いも強いですか
八木澤・渡邉 …そうですね。
一同 (笑)。
渡邉 もちろん勝ちたいという気持ちはあるんですが…。
八木澤 やっぱり全国のカベは大きくて、勝つためにはそれまでの努力が必要だと思っています。勝ちたいんですけど、負けたとしても負け方として笑って負けられるという感じでいたいなと思っています。
――トーナメントを見て率直な感想は
渡邉 1回戦の聖泉大は前に王座の初戦でやったのですが、勝てると思っていたら研究不足でぼろ負けしてしまったっていう苦い思い出があるので、手強くて簡単に勝たせてくれる相手ではない大学だなと思っています。なので初戦から戦略とかもそうですが、きちんと準備していく必要があるなと思っています。
――勝ち上がった場合は立命大との対戦が濃厚ですが立命大の印象は
八木澤 立命大は私たちが目指すホッケーという感じで、ボール回しを中心にしてパス回しから崩していくという印象があります。なので、いかにディフェンスが役目を果たすかだと思います。
――お二人はそれぞれインカレではどのようなかたちでチームに貢献したいですか
八木澤 私は主将なので、落ち着いてみんなをなだめていきたいです。私が目標とするホッケーは一人一人が自分のプレーを出し切るということなので、(みんなが)それを出し切るためのプレーをしていきたいです。
渡邉 試合に出られるかというのは別として、ベンチにいたとしても、みんながしんどい時に頑張ろうと思えるような声だしを積極的にしていきたいです。どこにいても存在感を示していきたいと思っています。
――ワセダの中で一人インカレでのキーマンを挙げるとすれば誰でしょうか
渡邉 …だれだろう。
八木澤 うーん。眞帆(MF小澤、教3=埼玉・飯能)かな?
――小澤選手のどのようなところに期待していますか
八木澤 今もチームの中心として引っぱってくれていて、緊張もあると思うんですけど緊張せずに自分のプレーをしてもらいたいと思っています。
渡邉 点が入らなくて試合がこう着してしまう時とかに、それを打破する1点を入れてくれるのが眞帆っていうのがありますね。
八木澤 流れをつくってほしいですね。
渡邉 期待しています。
――では最後にインカレへの意気込みをお願いします
八木澤 学生最後の全国大会で、集大成になってくると思います。主将としてもプレーヤーとしても、いかに自分のプレーを出せるかだと思うので、チームを引っぱってチームを勝利に導くために、まずは自分から発信していきたいと思います。自分が頑張ればみんなもついてきてくれると思うので、頑張ります。
渡邉 このチームでできるのも最後ですし、同期はもちろん後輩のことも私はすごく好きなので。みんながのびのびとプレーができて、(試合に)出ている子も出ていない子も、最後にみんなでやれてよかったなって思えるような雰囲気作りを私が先頭に立ってやっていけるように、声を出して笑顔でやっていきたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 大森葵、佐藤諒、菖蒲貴司)
お二人とも一文字で意気込みを書いていただきました!
◆八木澤江里(やぎさわ・えり)(※写真右)
1993年(平5)8月30日生まれ。身長167センチ。栃木・今市高出身。スポーツ科学部4年。今年度女子ホッケー部主将としてチームをけん引している八木澤選手は、チームメイトからの信頼の厚さも抜群。4年生として、そして主将として臨む最後の全国大会では、攻守にわたりワセダの「軸」としての活躍を期待しています!
◆渡邉彩加(わたなべ・あやか)(※写真左)
1993年(平5)8月21日生まれ。身長154センチ。岐阜・可児高出身。人間科学部4年。一つ一つの質問に丁寧に答えて下さった渡邉選手。対談をしている中で、4年生としてチームのことをすごく気にかけているのだなということが伝わってきました。渡邉選手の激励がワセダの力になることは間違いありません!