この秋3度目の対戦も宿敵・慶大撃破ならず

男子ホッケー

早慶戦 11月24日 東京・大井ホッケー場メイングラウンド

 雲一つない「紺碧の空」の下、第98回男子ホッケー早慶戦が東京・大井ホッケー競技場メインピッチで行われた。1週間前に行われた関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)5位決定戦で慶大に敗れていた早大。雪辱を果たしたいところだが、開始早々に先制点を許すと、その後も慶大に押し込まれる展開が続く。2点ビハインドの3クオーター(Q)にMF三ツ川慶(人4=大阪星光学院)のゴールを皮切りに反撃に出るも、あと一歩及ばず。現体制最後の試合を悔しい敗戦で終えた。

 慶大のセンターパスで幕を開けた第1。早大は慶大の流れるような攻撃に左サイドを崩される。がら空きとなってしまった中央にいた相手MFにパスを通されると、GK大森友貴(法4=東京・早大学院)との1対1を冷静に決められてしまう。開始わずか3分で先制点を許し、早くも追いかける展開となってしまった。その後も高いキープ力を誇る慶大攻撃陣から主導権を奪うことができず、守勢を強いられる時間が続く。それでも大森やDF金岩祐太朗副将(政経4=東京・早大学院)を中心に粘り強く守り、0ー1のまま前半を折り返した。

 攻勢に出たい後半だったが、またも出端をくじかれてしまう。3開始直後、今度は右サイドを崩されると、中央から抜け出した相手FWにDF陣がついていけず。再び1対1を沈められ、手痛い失点を喫してしまった。それでも6分、ペナルティーコーナー(PC)を獲得した早大。MF岩本捷汰副将(スポ4=大阪星光学院)のシュートは相手GKの好セーブに阻まれるも、こぼれ球をめぐる混戦を制した三ツ川が押し込んで1点を返した。この得点を機に息を吹き返した早大は徐々にボールを保持する時間が長くなっていく。13分にはDF三浦康太郎(政経1=東京・早大学院)の巧みなボール奪取からFW小宮瑞生(社4=東京・早大学院)、岩本副将とつなぎゴールに迫る。シュートには至らなかったものの、同点ゴールの気配を感じさせ3を終えた。

 早大ボールで始まった4も反撃は続く。開始直後に金岩副将が得意のロングパスで相手ゴールを脅かすと、3分にはPCから岩本副将が鋭いシュートを放つ。惜しくもボールはゴールポストを叩いたものの、同点は時間の問題と思われた。しかし12分、ゴール前の競り合いからPCを献上すると、これを右上に突き刺されてしまう。致命的な1点を失った早大は必死の反撃を仕掛けるも及ばず。無情なホーンの音を前にピッチ上の選手たちはしばらく立ち上がることができなかった。

 秋季リーグプール戦、順位決定戦とこの秋激闘を演じてきた宿敵との一戦。3度目の正直を大舞台で果たすことはできず、『保坂組』は終焉を迎えた。2017年以来の早慶戦勝利はまたもお預けとなったが「攻撃の時間を作れないという感覚は無かった」(岩本副将)、「概ね固く守れていました」(金岩副将)と宿敵との差は決して大きくはないはずだ。7年間積み重なった悔しさを晴らすべく、早大男子ホッケー部の新たな船出に期待したい。

(記事 星野有哉、写真 濵嶋彩加)

◆試合後コメント◆
保坂航希主将(政経4=東京・早大学院)
ーー試合終了直後はどのような気持ちでしたか
 直後は負けたのを受け入れられなくて心ここに在らずみたいな感じでした。ちょっとしてから負けたのを実感して、悔しい、申し訳ないといった気持ちが込み上げてきました。
ーー早慶戦に向けてチームで話していたことはどのようなことですか
 リーグ戦以上に独特な雰囲気がある試合だというのは伝えていました。常に最高の準備をするように伝えていたつもりです。
ーー悔しい敗戦となりましたが、振り返っていかがですか
 振り返るほど勝ちたかったと思う試合です。まだ自分の中で受け入れられていない部分が正直あります。
ーー主将として挑んだこの1年を振り返って、改めて思うところはありますか
 足りないところ、頼りないところだらけの主将だったなと思います。それでもやってこられたのは同期や後輩、監督・コーチ陣、OB・OGといった支えてくださったすべて人のおかげだと感じています。本当に感謝を伝えたいです。もっと勝ったところを見てもらって結果で恩返しがしたかったです。
ーー後輩へのメッセージをお願いします
 悔しい思いを一緒にしてきた身として、もうこんな思いはして欲しくないと願っています。今年の経験を糧にたくさん勝ってほしいなと思います。

岩本捷汰副将(スポ4=大阪星光学院)
ーー順位決定戦から攻撃面で慶大対策で練り直したことはありましたか
 多くを修正する時間はなかったですが、ゴール前でのミスが多く見られたので、そこの冷静さ、確実さは少しでも高めるように話し合いました。
ーーPCからのものを含め、惜しいシュートが何本かありましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか
 何度かチャンスがあった中で、結局勝利を手繰り寄せる所まで至らなかった。自分の弱さを感じずにはいられなかったです。ただ、今シーズンほとんどの時間を、試合に出場できない状態で過ごしてきた中で、最後に制限なくプレーできた事は良かったと思います。
ーー早慶戦でのチームでの攻撃面を振り返っていかがでしょうか
 ボールを握っていた時間も多かったとは思うし、攻撃の時間を作れないという感覚は無かった。けれども、慶應はとにかく全員低い位置まで下がって守備を固めて、うちはそれを崩しきるだけの覚悟が足りていなかった。そう思います。
ーー副将として挑んだこの1年を振り返って、改めて思うところはありますか
 個人としても、チームとしても、掴めないものが多かったです。それでも、悩み続け、足掻くのを辞めなかった事だけは評価したいです。
ーー後輩へのメッセージをお願いします
 苦しいことも多いだろうけど、焦らず一歩ずつ力をつけてほしい。みんなが目指す所に必ず辿り着けると信じています。

金岩祐太朗副将(政経4=東京・早大学院)
ーー順位決定戦から守備面で慶大対策で練り直したことはありましたか
 順位決定戦では、敵の素早いリスタートへの対応を改善しました。しかし、一瞬の隙をつかれて失点を許してしまいました。
ーー各失点シーンも含めて、早慶戦での守備を振り返っていかがでしょうか
 順位決定戦に続き、概ね固く守れていました。しかし、慶応には少ないチャンスで決め切る力があったのかなという印象です。
ーー悔しい敗戦となりましたが、結果についてはどのように受け止めていますか
 悔しいの一言しかないです。プール戦、順位決定戦ともに先制したあと終盤で同点にされたことから、今度こそはという気持ちでした。最後の早慶戦ということで、かける思いも強かったです。
ーー副将として挑んだこの1年を振り返って、改めて思うところはありますか
 色々な人に支えられているなと実感した1年でした。学生のために動いてくれる監督・コーチ陣の存在、チームを支えるために時間を割いてくれるスタッフ、もちろん一緒にプレーしてくれたチームメイト、去年よりもそのありがたみを実感する1年でした。
ーー後輩へのメッセージをお願いします
 常に全力でやり遂げて欲しいです。完璧なチームになるためには、1年というのはとても短い期間です。まだ改善できること、挑戦したいことは沢山ありました。しかし時間は限られているので、精一杯走り切って欲しいなと思います。

三ツ川慶(人4=大阪星光学院)
ーー試合終了直後はどのような気持ちでしたか
 試合終了直後は目の前の結果を受け入れる事が出来ませんでした。チームメイトの崩れ落ちる姿、慶應の喜ぶ姿を見て、敗北という現実に引き戻されるような感覚でした。
ーー悔しい敗戦となりましたが、振り返っていかがですか
 早慶戦での勝利を目標にこの1年間、チームとして活動して来ました。このチームなら、4年間で成長した今の自分たちなら早慶戦優勝できると信じて最後まで突っ走って来ましたが、結果を残す事が出来ず非常に悔しい思いです。
ーー得点した場面を振り返って、ご自身のプレーをどう評価されていますか
 得点の場面は、PCのこぼれ球が自分の所に転がって来ました。後は押し込むだけの場面で、力んでしまい1度空振りをしてしまいましたが、何とかリカバリーしゴールする事が出来ました。観客の声援やチームのみんなの気持ちがあとひと押しをくれた、そんなゴールだったと思います。
ーースタンドからの応援はいかがでしたか
 普段の公式戦では味わう事の出来ない歓声でした。早慶両校の応援がピッチ内に響き渡っているのを聞いて、我々と共に戦ってくれているのを感じました。本当に心強かったです。
ーー後輩へのメッセージをお願いします
 最後の試合を終えた今、自分に出来る事は皆んなを応援、サポートする事だけです。今シーズンの悔しい思いを1年後まで忘れずに、新チームでの活動に励んで欲しいと思います。もっともっと強くなって下さい。また伏見で会える事を楽しみにしています。