本特集の初回を飾るのは、鈴木悠(スポ2=愛知・向陽)、山下天海(スポ2=京都・須知)、野中ほなみ(教1=宮崎・高鍋)の3人。ホッケー未経験で入部する選手も多い中、貴重なホッケー経験者として早大ホッケー部女子の中枢を担う。下級生ながらチームを引っ張る3人の素顔に迫った。
※この取材は11月2日に行われたものです。
「(ホッケーを)大学までやり続けるとは思わなかった」(鈴木)
自身のホッケーのルーツを語る鈴木
――まずは左隣に座っている人の他己紹介をお願いします
山下 ほなみ(野中)はこんな感じで清楚そうに見えるんですけど、全力でふざけるところはふざける宇宙人、という感じです(笑)。真面目には見えるんですけどね。この間も部室にすごく大きな袋に大量にパンを詰めて持ってきて、「1人1個ずつどうぞー」とか言って(笑)。予想もしないことをしてくるんで、そこが面白い子だなと思います。
野中 ありがとうございます。
鈴木 そんな話でいいの?
一同 (笑)
山下 ホッケー以外って言われたから。
野中 すずさん(鈴木)かぁ。すずさんはすごく乙女なんですよ。女子部内でたぶん1番乙女で、練習が終わった後みんないつもベンチでだべってるんですけど、いつとキュンキュンする話をしてます(笑)。ホッケーしてる時はかっこいいけど、していない時はまたギャップがあって素敵だなと思います。
鈴木 天海(山下)は高校の時にホッケーで知り合った時から自分の中ですごい存在、というイメージがあったのですが、喋ってみると人にあまりに興味がない、というか(笑)。興味がある時とない時がはっきり分かれていて、ホッケーを一生懸命やってきたという印象とは裏腹に結構抜けているところがあるんですよね。「そこしっかりしてるのに、そこはしっかりしてないの!?」という感じで不思議というか、2年近く一緒にいてまだつかめないところがたくさんあります(笑)。
――お二人は高校時代からお知り合いだったのですか
鈴木 高校時代にホッケーの選考会で。
山下 思い出したくない過去だよね。
――何があったのでしょうか
山下 選考会って楽しいものではないじゃないですか、選ばれちゃうんで。自分たちは同じチームで、2人共死にそうになりながらやってました(笑)。
――ホッケーを始めたきっかけを聞かせてください
山下 私の地元は過疎中の過疎地域だったので、マイナースポーツなら地域発展に使えるんじゃないかみたいな感じで、地元全体がホッケーに力を入れていたんですよ。子供はみんなホッケーをやるので、友達を作るためにはやるしかないという感じでした。小学校も全校生徒が17人とかで同級生がいなくて、何かに入らないと友達ができないし遊びにも行けないので、そういう下心だけで入りました(笑)。
――全校生徒が17人はすごいですね
山下 ある意味楽しいです(笑)。教室に先生と1対1なので、右左にミッキーとプーさんのぬいぐるみを置いて。
――クラスの一員みたいな(笑)。野中選手、鈴木選手はいかがですか
野中 私は中学校の頃までバスケをやっていたのですが、中学生の時に色々なスポーツを体験するみたいな企画があってそこで初めて体験しました。その後地元の高校にホッケー部があったのですが、そこの監督さんに誘われて家も近いし始めてみようかな、という感じで高校から始めました。
鈴木 私も高校から何か部活をやろうとしていて、ホッケー部ってなかなか無いじゃないですか。部の成績とかも見たのですが、一番はやっている人たちが楽しそうだったというのが理由でホッケーを始めました。なので大学までやり続けるとは、高校に入った時には全く思わなかったです(笑)。
――皆さんはなぜ早稲田を選んだのですか
山下 実は他の大学からも推薦をいただいていたのですが、自分自身ホッケーを全力でやるというよりも、ホッケーとは何か別のことも頑張ろうということを考えていました。自分は将来的にトレーナーとかにも興味があって、その二つを合わせて頑張れるということで、早稲田を選びました。なんか面接の志望動機みたいになっちゃった(笑)。
一同 (笑)。
野中 私はホッケーができる大学を探していた時に早稲田のホッケー部を見つけたのですが、その時の自分の成績では早稲田は難しくて。ただ高三の9月に部活を引退してから本格的に受験勉強を始めて、その時は国公立を目指していたのですが模試の成績が上がったので、早稲田もチャレンジで受けることになりました。結果合格できて、今に至ります。
鈴木 私も当時国公立を目指していたのですが、顧問の先生に(ホッケーの)競技歴とテストの結果で見てもらえる入試があると教えていただいて、こっち(東京)に来なくても出願できるということだったのでそれで受験したという感じです。私はホッケーを夏に引退していたのですが、やっぱり楽しかったなというのが心のどこかにあって、他の大学の勉強もしながら「早稲田いきたいな」というのはずっと思っていました。その結果でここにきたという感じです。
「良い環境でホッケーができるって実感しました」(野中)
早大ホッケー部入部後の印象を語る野中
――皆さん上京されたということで、東京に来て苦労したことはありますか
山下 自分は駐輪場でお金を払わなければいけないことを初めて知って。知らなくて一回払わないで置いておいたら、札がつけられていてすごく焦りました。田舎だったらどこに停めていても誰も何も言わないので(笑)。
野中 私は自分ではそんなつもりは無いのに訛りが結構あるらしくて、上京してから1ヵ月くらいはずっと指摘されてました。慣れようとしてないのが悪いのかもしれないですが、一人暮らしを始めたのもあって言葉まで手が回らないというか。今は一人暮らしも大分慣れてきたので、言葉の方も。
鈴木 良い良い(笑)。
山下 そのままでいいよ。
野中 (笑)。あとは単純に一人暮らしが大変って感じです。
鈴木 私も一人暮らしなので、練習が終わって「ご飯と課題どうしよう」みたいなのが大変でしたね。あとは電車とか、一つの場所に行くのに何個もルートがあってスマホが無いとどこにも行けないなって思いますね。
山下 一時間に一本とかじゃないもんね・・・。
野中 私の地元もそうでした。
鈴木 そことは違うよ、私は(笑)。
一同 (笑)。
――皆さん一人暮らしということですが、得意料理などはありますか
山下 得意料理は・・・。「チーン」みたいな(笑)。
一同 (笑)
山下 作ろうと思えばなんでもできますけど。でもよく作ってるのは納豆を混ぜて、ちょっとネギを入れてみたり(笑)。
――料理なんでしょうか(笑)
山下 混ぜるのも料理なので。一工夫ありますから(笑)。
野中 私もクックパッドとかで気分が乗れば作るんですが、4月とかは作っていたんですけど最近はダメですね(笑)。
鈴木 私はこの時期はもっぱら鍋ですね。野菜を切って入れて放置して、あとうどん入れて(笑)。夕方練で帰ると寒いので。
――部内で特に仲の良い選手はいますか
山下 同じ学年でスポーツ科学部が3人いて、「スポ」ってまとめて呼んでるんですけど(笑)。その2人とはホッケーの話も、ホッケーとは関係ないめっちゃくだらない話とかもできちゃうので、ずっと一緒にいますね。
野中 先輩方はみなさん仲良くしてくださるので特定の選手というのではないんですけど、同期の5人は特に仲が良いと思います。なぜかあの広いキャンパスで「会おう」と言ってなくても集まったりするくらいで、それくらい仲が良いです。
鈴木 私も同期で「スポ」というのと、国際教養学部に留学中の同期が2人いて、その2人とは連絡を取り合っていますね。「試合お疲れ様」とかLINEをくれたりもします。
――これまでのホッケー部での活動で一番記憶に残っていることはなんですか
鈴木 私は去年の早慶戦が一番記憶に残っていて、早稲田といえば、というような舞台に自分が出られるんだということが実感できました。やっぱり自分が想像していた以上に早慶戦というのが特別なものなんだというか、OBやOGの方たちもたくさんいらっしゃっていて他の試合とは違う独特さを感じました。試合が終わった時にコーチが「(早慶戦で)勝つってこういうことなんだよな」ってボソッと言っていたのが忘れられなくて、自分もこういう舞台に立てているんだということがとても感慨深かったです。
山下 真面目なところはすずが言ってくれたので、私は今年の王座(全日本大学王座決定戦・東西交流戦)の時の話を(笑)。同期にすごく朝が弱くて起きられない子がいて、その子が前日の夜集まっている時に、「誰か起こしに来て!」と言っていて、みんなでその役割をなすりつけあっていたのがすごく記憶に残っています。
野中 私は早稲田のホッケー部に入って最初に出た試合が春季リーグの武蔵大戦(4月17日、○7-0)だったんですけど、その時天海さんが一人で6点決めたんです。私も大学最初の試合で緊張していたんですけど、始まったら(山下が)一人でいってバーンって決めて「イェーイ!」みたいな(笑)。同じチームにこんなに上手い選手がいるのが初めてだったので、良い環境でホッケーができるって実感しました。
山下 ありがとう。株が上がったよ(笑)。
――主将の山口永恋(国教4=神奈川・洗足)選手にはどんな印象を持っていますか
山下 まず主将はホッケー面では賢い方だなというのは思います。キーパーって一番視野が広くないといけないポジションで、常に人を動かしていかなければいけないので、いつも後ろから声をかけてくださってすごく助かります。練習終わりのミーティングでも「今日はいつもと違ってここがあまり良くなかった」とか「良かった」ということを客観的に伝えてくれるので、賢くて頼れる選手だなと思います。プライベートでは「しっかりしてるな」と思っていたら意外とバイトの失敗談とか聞いて、「こんな人でもそんなことするんだ」と思って嬉しくなります(笑)。そういうギャップも含めて好きです。
鈴木 私はディフェンスとしてキーパーの近くにいるので、試合中にチームの修正点についてをよく喋ります。2年生と4年生なのですが、聞いてくれるので逆に私も聞きやすくて、ポジションどりの連携はよくとれていると思います。プライベートでも冗談を言っていたりとか、雰囲気作りがすごく上手な方ですね。
野中 永恋さんはすごく熱い人で、勝ちたいという大きな目標があったらそれに加えて「○点取って勝とう」など、具体的な目標を提示してくれるので、プレイヤーとしてやりやすい環境を作ってくれていると感じます。キーパーとして、キャプテンとして両面で支えてくださっているという感じです。プライベートは学年が離れているのであまり知らないんですけど、4年生同士の会話とか聞いてるとキャピキャピしていて可愛いです。失礼かな(笑)。
山下 読まれたら怒られるよ。
野中 大好きです!(笑)
一同 (笑)
――副主将の吉野真啓(スポ3=富山・石動)選手に対してはいかがですか
野中 もう・・・、恋です。全部が良くないですか?
山下 うん、全部良い。
野中 自分が男だったら絶対惚れてる。
山下 でも高嶺の花だよ。とにかく素敵な先輩です。
「(早慶戦は)責任をもって戦わなきゃいけない試合」(山下)
早慶戦に対する思いを語る山下
――リーグ戦2つを終えられたということで、ここまでのシーズンを振り返っていかがですか
山下 リーグ戦の順位が上がらなかったのは悔しい結果ではあるんですが、順位以外の自分の感覚で言えばすごく上手くなって、連携もとれるようになってきたと思います。早慶戦にもこのピークを合わせられれば良いですし、そこにそんなに心配はしていないです。
鈴木 今年のチームの目標が関東2位というところで、準決勝の東農大戦(10月16日、●0-1)がすごく惜しい試合だったので、余計に悔しい気持ちが残っています。
野中 春季リーグは必死に着いていくだけ、という感じだったのですが、秋季リーグは自分がチームに貢献したいという思いが強く出てきたと思います。永恋(山口主将)さんが、2位になるためにチームの雰囲気作りや練習メニューを考えてくださっていたのですが、結果的には東農大戦で負けてしまいました。勝てたんじゃないかという試合をしたからこそ悔しかったですし、この悔しさがあるからこそ、早慶戦で4年生さんを喜ばせたいという気持ちが強くなりました。
――早慶戦に対してどんな思いをもっていますか
山下 やっぱり早慶戦って大学を背負っているのをすごく感じる大会なので、ヘマできないじゃないですけど、そこは絶対に責任を持って戦わなきゃいけない試合だなと思っています。
野中 私にとっては初めての早慶戦で、聞いている以上に緊張感のある、絶対に負けられない試合なんだろうなと思います。一緒にやってきた4年生の皆さんは最後の試合になるので、4年生さんたちが笑って終われるように自分のできることをしっかりやりたいです。
鈴木 早慶戦が終わったら代替わりになるので、一年間やってきたことの集大成を見てもらう場としても捉えています。今二人が言ってくれたように絶対に負けられない試合だと感じています。
――早慶戦への意気込みをお願いします
山下 個人としては絶対自分で1点を取るというのと、人にもとってほしいのでアシストも目標にします。チームとしては勝利しかないです。頑張ります!
鈴木 リーグ戦最後の2試合で悔しい負け方をしていて、だからこそ勝ちにこだわる試合ができたらなと思います。私はディフェンスですし、得点力をここまで課題だと言ってきている以上、安心してみんなが攻撃できるような守備をしたいです。自分のところにボールがきても焦らずに、みんなに安心して後ろを任せてもらえるようなプレーがしたいなと思います。
野中 私はフォワードとして、エースの天海さんが点をとりに行けるように相手のマークをずらさなければいけないので、ボールを持った時に自分でゴールを狙いにいけるようにしていきたいです。自分のできることは全部やろうと思っています。
山下 目標は?
野中 勝ちます。
一同 (笑)
――ありがとうございました!
(取材 大幡拓登、写真 伊勢崎晃)
早慶ホッケー定期戦に向けた意気込みを書いていただきました!
◆鈴木悠(すずき・はるか)(※写真右)
2002(平14)年7月11日生まれ。165センチ。愛知県・向陽高出身。スポーツ科学部2年。守備の要として早大最終ラインを支える。
◆山下天海(やました・あまみ)(※写真左)
2003(平15)年2月4日生まれ。154センチ。京都府・須知高出身。スポーツ科学部2年。今季公式戦でチーム最多の10得点を記録する、早大のエース。
◆野中ほなみ(のなか・ほなみ)(※写真中央)
2003(平15)年7月31日生まれ。162センチ。宮城県・高鍋高出身。教育学部1年。1年生ながら今季2得点と、前線でチームの核となる。