わずかに一歩及ばず 慶大に五位決定戦で悔しい敗北

男子ホッケー

 突然の雨で30分開始時刻が後ろ倒しになった、関東学生春季リーグ(春季リーグ)・5位決定戦。今季2度目となる慶大との激突となった。序盤から互角以上の戦いを繰り広げるが、2クオーター(Q)に失点。しかし3Q、FW平岩佑利(スポ4=奈良・天理)のシュートにFW岩本捷汰(スポ2=大阪・大阪星光学院)がタッチし試合を振り出しに戻した。結局1-1のまま試合は終了し、シュートアウト(SO)戦に突入。7本目にようやく明暗は分かれ、2-3のSO戦をもって約70分の死闘は幕を閉じた。これによって早大は春季リーグを6位で終えた。

 

相手にプレッシャーをかけるDF金岩祐太郎(政経2=東京・早稲田)

 雨上がりの東伏見には、強い日差しが降り注いでいた。相手は今季予選プールでも対戦し敗戦を喫した慶大。秋を待たずして、絶好のリベンジの機会がやってきた。1Qが始まると5分、早くも立て続けにペナルティコーナー(PC)を2本獲得。いずれもゴールとはならなかったが、序盤は早大がペースを握る展開となった。しかし2Qに入ると3分、慶大に中央を突破され失点を許す。GK林聖真(社3=東京・早大学院)は果敢に飛び出し、早大ディフェンスも懸命に戻ったが一歩及ばなかった。なんとか前半に追いつきたい早大。14分、獲得したPCの後の混戦を押し込んだが、これにはホイッスル。シューターがサークル内に入ってしまい、ゴールとはならなかった。前半最大のチャンスを逃した早大は、0-1で試合を折り返す。

 

林の好プレーはチームの守備を引き締めた

  後半が始まると、早大は一段階プレスのギアを上げた。何度か良いチャンスを作り迎えた7分、ついに待望の同点弾が生まれる。右サイドライン際で平岩がターンで相手一人を置き去りにすると、滑らかに相手サークル付近に侵入。追いすがる相手DFをものともせず放ったシュートに、岩本が軽く合わせゴール。岩本も「絶対に来ると信じて待っていた」と振り返った。4Qに入ると、お互いがチャンスを作り続ける拮抗(きっこう)した展開に。早大もいくつもチャンスを作ったが、結局決めきることができず1-1で60分が終了。SO戦で決着をつけることになった。

 慶大先攻で始まったSO戦。お互いに1本目は外したが、早大は2本目も決めることができず。3本目は互いに決めて迎えた4本目、GK西本京平主将(スポ4=大阪・大阪星光学院)が冷静に対処しセーブ。早大のFW大島新(商4=東京・早大学院)が決め、ここでゲームは振り出しに戻った。5本目も両軍共に外し、サドンデスに突入。2度目のシュートとなった平岩が7本目で外し、絶体絶命のピンチに陥る。再三の好セーブを見せていた西本だったが、ここは慶大のシューターの落ち着きが勝り2-3でついに決着。慶大に、あまりに悔しいシーズンダブルを喫した。

 

ゴールを決め安心した表情を見せる大島

 「勝ちたかったし、勝たなければいけなかった」と指揮官。慶大が相手だからというだけではなく、少しでも上の順位でシーズンを終えるためにも勝利が欲しかった。しかし、前回対戦時のスコアは2-3。同じ敗戦でもスコア、内容ともにこの日の方が良かったのは間違いない。9月からは秋季リーグが始まる。今年大きな成長を見せている岩本は「秋こそはもう一度1位を目指す」と言い切った。2022シーズンも折り返し地点に差し掛かっている。秋季こそ、早大の逆襲に期待したい。

(記事、写真 大幡拓登)

結果
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大
慶大

原聡監督(昭59理工卒)

――今日の試合を振り返ってください

 勝ちたかったし、勝たなければいけない試合でした。

――接戦でしたが、両チームの明暗を分けたところはどこでしょうか

 全般のスタッツを見れば早大が上回っていたところも多かったと思います。ただ点をとってなんぼの競技なので、決めなければいけないシーンを逃し続けてしまった結果なのかなと。

――試合に入る前、選手たちにどういった声かけをしましたか

 春季の最後の試合ですし、今季二度目の慶應との対戦ですから、これまでやってきたことを出し切ろうという話をしました。

――春シーズンを振り返っていかがですか

 出だしに連敗してしまいました。明大戦はともかく残りの2試合は不甲斐なかったと思います。今日のゲームと同じで、シーズン通してもう少しできなければいけなかったですね。ただ時系列でみれば、慶大戦は前試合よりも内容、結果共に良かったですし、選手たちは一人一人成長が見られたかなと。とはいえシーズン前にこれくらいの準備をしておきたかったところではあります。9月から秋季が始まることを考えれば、そう日数があるわけではないですし、気を緩めずにしっかりとやっていきたいですね。

――チームの中で成長した部分、具体的にはどこだと思われますか

 しっかりボールを収めることや、狙ったところにストロークすることなど基礎的な技術に関して成長が見られたと思います。あとは1対1の強さ、チームスポーツとはいえ局面で見れば1人対1人ですし、そこに関しては強くなりましたね。ただ少し矛盾してしまうのですが、そういった基礎的な技術が足りていないことで得点できなかったり、ピンチを招いたりしているのも事実です。

――秋季リーグにむけて意気込みをお願いします

 やるからにはトップを目指しますが、目の前の相手に向き合って1試合1試合積み上げていきたいです。秋には、春に行くことができなかった全国大会にも出場して、全国の強豪と闘いたいと思います。

GK西本京平主将(スポ4=大阪・大阪星光学院)

――率直な感想を聞かせてください

 チャンスは相手より多く作っていたと思うのですが、そのチャンスを決め切ることができない時間が続きました。SO戦に入っても自分が止めることができず、悔しい負けになりました。

――今季2度目の慶大戦ということになりましたが、試合前はどんなことを考えていましたか

 資料を作るまでして万全に対策をしたつもりだったのですが、まだまだ詰めの甘さが出たかなと思います。

――早大が上回っていた部分もある中で、勝利をつかめなかった要因はなんでしょうか

 練習と試合で、意識やモチベーションに差があったかなと。自分自身理解していましたし、チーム内でも言ってはいたのですが中々改善されませんでした。技術など色々反省点はありますが、自分は一番は気持ちだと思います。

――春シーズンを振り返っていかがですか

 最初の駿河台大戦で、先制していながら最後に競り負けてしまいました。連敗となった他の試合でも得点力が課題になったと思います。とはいえ守備、攻撃共に色々な課題が見つかったシーズンでした。

――ご自身に対する評価はいかがですか

 今日はいくつか良いセーブもできましたが、スタメンで60分出場するという目標すら達成できていません。チームを勝たせることができなかったという意味で、自分の中では40、50点ですね。

――秋シーズンに向けて意気込みを聞かせてください

 夏の2カ月間死ぬ気で練習して、慶大だけでなく他の強豪にも勝てるよう頑張っていきたいと思います。

FW岩本捷汰(スポ2=大阪・大阪星光学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 今日こそは勝ちたい、という思いで全員試合に臨んだので、悔しいの一言に尽きると思います。

――相手に及ばなかった部分はどこでしょうか

 個人的には4Q通して早大の方が攻めている時間は長く、そこに関しては良かったと思います。一方で、多くあったチャンスを決め切ることができなかったですし、詰めの甘さが出たかなとも感じます。

――ご自身の得点を振り返ってください

 平岩さんが持った時は、スキルのある選手ですし絶対にゴールに飛んでくると思っていました。ボールが来ると信じてゴール前で待っていたところに、ちょうど(ボールが)飛んできてくれました。

――SO戦では2本目のシューターを務められました

 正直自分の中では、4Qで決め切りたかったな、と思っていたその時点で、気持ちで負けていたんだと思います。(SO戦で)自分のした選択も、正直逃げの選択でした。ターンをした時の方が決める可能性が高いことを練習から分かっていたのですが、安全策を取ってしまったところも気持ちで負けていました。

――春季は6位という結果になりましたが振り返っていかがですか

 前半戦で連敗した中で、法大戦で立て直せたのは良かったかなと。今日も4Qまでは、SO戦に入るまでは良かったのですが、最後の最後で勝ち切ることが出来なかったというのは自分たちの詰めの甘さだと思います。ただ3連敗したにも関わらず5位を狙える位置に食い込めたことは良かったと思っています。

――ご自身に対する評価はいかがですか

 序盤戦はミスも多く自分のプレーができませんでした。しかしリーグでの慶大戦で得点でき、そこから吹っ切れて自信を持ってプレーができるようになりました。ただ今日のSO戦のような緊張する場面で逃げの選択をしてしまったところは、まだまだメンタルの弱さが出ていると思います。今後はそういった詰めの甘さを無くして、来季は(慶大にも)絶対に勝ちたいです。

――上位や全国大会を目指す秋季に向けて、意気込みを聞かせてください

 当初の春季の目標は全勝して1位を取ることだったのですが、ほど遠い結果になってしまいました。秋こそはもう一度1位を目指して、全力で戦いたいと思っています。