いよいよ4年生の引退試合。相手は、今シーズン最初に引き分けた法大。何としても勝って秋季リーグ5位で終えたい早大だったが、法大に2点を先取されてしまい、第4Qで1点を返すものの反撃はここまで、秋季リーグは6位で終える結果となった。
第1Qから試合は大きく動く。2分過ぎに早大は、法大に開始早々ペナルティコーナー(PC)を奪われ、これを防ぐものの、そこでファールを取られペナルティストローク(PS)を許してしまい先制されてしまう。これで前回の慶大戦のように法大に主導権を握られてしまうかと思われたが、早大がここから反撃に転じる。4分には相手のミスからカウンターを仕掛け法大陣内に侵入しPCを獲得する。しかしこれは法大に防がれ同点とはならなかった。さらに6分にもMF中島丞一郎(スポ2=富山・石動)とFW村上和亮(政経4=東京。早大学院)の絶妙なパスワークから決定機を作るも得点を奪うことができなかった。その後も早大はサイドを起点にして法大陣内に攻め込む。すると10分頃に再びPCを奪うことに成功する。しかしここでも相手の堅い守備に阻まれ同点とはならず、第1Qを終了した。第2Qは一転して膠着状態が続く。お互いにボールへの寄せが速く、攻守が目まぐるしく入れ替わる。それでも早大は球際での競り合いに勝つ場面を徐々に増やし法大を押し込む。しかし法大も体を張ってゴールを守り、決定機をなかなか創出することができなかった。
法大陣内にドリブルで攻め上がるDF岩井怜太(政経2=東京・早大学院)
第3Qでは、前半押し込まれていた法大が盛り返し始める。34分には法大が右サイドから攻め込み強烈なシュートを放つもGK西本京平(スポ3=大阪・大阪星光学院)のセーブで凌ぐ。早大も負けじとサイドから法大ゴールを脅かし、お互いに攻め込みあう展開に。一進一退で試合は進んでいったが、7分に法大がPCを獲得するとこれを冷静に沈めて、早大は痛恨の2失点目を喫してしまった。早大は挽回しようと圧力をさらに強め第3Q終了間際にPCを奪うが、これもゴールを割ることはできなかった。第4Qでは、早大が全力で攻撃しようとした矢先に、主将村上が10分の退場を言い渡され、早大は人数的に不利になってしまう苦しい展開となった。しかし、それでも早大イレブンは気を吐き、50分ごろにPCを獲得する。これ自体での得点とはならなかったが、相手のファールを誘いPSを獲得する。これをFW平岩佑利(スポ3=奈良・天理)がキッチリ決めて待望の得点を手にした。早大は同点に追いつこうと猛攻を仕掛け、法大は堅守で猛攻を凌ぐという手に汗握る展開に。終了間際に早大はPCを獲得。まさしく同点に追いつくラストチャンスだったが、それでもゴールを上げられず、無念のタイムアップとなり4年生の引退試合を白星で飾ることはできなかった。
法大選手からボールを奪取するDF大多田一真(政経4=東京・早大学院)
試合を通して早大が前から圧力をかけてボールを奪い、いい形で攻撃をできていたが、そこから獲得した複数回のPCで1得点しか取れなかったことが試合の勝敗に響いてしまった。しかし、敗れはしたものの、4年生の気迫溢れるプレーや下級生の先輩を勝たせてあげたいという気持ちが前面に出た好ゲームだったと思う。この試合を節目として早大ホッケー部は新チームとなる。今季悔しい思いをたくさんしてきただけに、4年生の良い部分を吸収して、今年のチームを上回れるように、新主将西本京平を中心にオフでの精進を重ねて、一回り大きなった早大ホッケー部を春季リーグで見れることを期待したい。
(記事 伊勢崎晃、写真 七澤拓未 渡邊彩織)
結果
TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
法大 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 |
コメント
原聡監督
――今日の試合を振り返ってください
最後に勝ちたかったのが率直な感想ですね。早慶戦後一週間しかなかったけど、法大相手の対策を考えて臨んだので、それはある程度できました。ただ大事な所でPCを取られて、失点してしまったのは残念だし、またボールを奪うまでは狙い通りだったけれど、そこからもっと厳しい攻め方ができれば良かったのかなと思います。
――一年間振り返って今年はどんなチームだったでしょうか
総括すると今日の試合を含めて、もう一歩だったかなという印象ですね。先週も最初に失点があって、追いつけなかったし、インカレもしっかりやらなければいけない所でできなかったので。相手チームのレベルは毎回違うけれども、数字だけ見れば惜敗なのでもう一歩、4年生を含めて選手たちは、試合前の準備や対策等、考えてきたことを出すことは頑張ってくれたけれど、もう一つ足りなかった部分を大事にしていくことが必要かなと。4年生に言ったのは、ホ(悔しさ)悔しさ)を返すことはもうできないけれど、大袈裟に言えばこれから人生やっていく上で、後もう一歩ということは起きるのでね。それをもう一歩じゃなくてやったぞと成果に繋げていくためにこういう経験を胸に刻み込んで、これからの人生に臨んで欲しいと話しました。
――この試合を節目に新しいチームになると思いますが、どのようなチームにしたいですか
もちろんこのオフの間に、チームの中で実力が上位の選手も下位の選手も一人一人が底上げして全体のレベルが上がっていく前提になりますけれど、やはり早稲田が上位チームに圧倒して勝つことは現時点では難しいと思うので、今年の相手に対してしっかり対策を練って、自分たちの良さを最大限出せるようにやってきたこのスタイルは継続して、今年作ったチームを、一からチームを作るのではなくて、今年のチームをベースとして一つ二つステップアップしていくことが大切なことだと思います。
FW村上和亮主将(政経4=東京・早大学院)
――今日の試合はどのような思いで臨みましたか
7年間ホッケーをやってきて最後の試合ではあったのですが、特段変なことは考えずにいつもと同じ気分で試合に臨みました。
――試合を振り返っていかがですか
やはり最後は勝って締めたかったというのと、5位、6位では全然違うので5位で終わりたかったというのはあります。ですが、最初2失点して最後4Qで結構いいかたちで攻められところとか惜しいところまで行ったというところは、最後勝てはしなかったのですが楽しい試合ができたのかなと思っています。ただ、このシーズン振り返って強豪相手もそうですし、そこまで強豪ではない相手もそうなのですが、惜しい試合が多かったなと。あと一歩のところで勝ち切れなかった試合が多いので、何としても勝ち切るというところは今シーズンを振り返っての課題点なのかなと思っています。
――悔いとしては
ないかというともちろんいっぱいあります。主将としてもそうですし、チームとしての順位というところも後悔はあります。この1試合を見てみても、最後の4Qは誰のファールか分からないから主将が10分間退場という感じで、体が冷えすぎてしまい出たと思ったら足がつってしまって。終わり方としてはなんだったんだろうなというか、味気ないなというのはあるので、もちろん後悔はあります。ですが、試合を終わって振り返ってみると、今のチームだけではないですが、いろんな人に囲まれて、これまでお世話になった先輩とかとホッケーができて幸せだったと感じています。
――主将として1年間、どのようなチームを目指してきましたか
自分は途中から(主将になったの)で6月頭くらい、正式には7月くらいから4カ月5カ月という短いスパンの中でしたが、自分の中に勝てるチームという理想像がありました。それに一歩でも近づけようという思いでいたのですが、時間も限られていて、途中就任だったというところでもすごく難しさはあったなと思っています。なかなか目指したいチーム、勝てるチームというところにはまだ足りていない部分は多いかなと正直思っていて。もちろん技術面でもそうですが、ホッケー以前の話というところでも、当たり前のことを当たり前にやるとか、どんな相手にも勝ちに行くとか、そういうところがまだこのチームに足りてない部分かなと思っています。そこは来年以降もしっかりと継続というか、新しく変わって今年よりいい順位で終われるように頑張ってほしいなと思います。
――4年間の大学のホッケー生活を振り返っていかがですか
1年生の時は、けが、手術で6カ月ほど棒に振ってしまって。ただ1年生ながらも試合に出場させていただけたというのはすごくありがたかったですし、2年生も試合の出場時間が増えたりだとか、徐々に点を取れたりというところで、先輩方がホッケー面でもホッケー以外の面でもすごく偉大だったので、個人としても成長させていただいたなと思っています。3年生はチームのメインプレーヤーとして出させていただく中で、リーグ戦では春はコロナでできなかったというのはあるのですが、なかなか点が取れなかったです。ただ、最後早慶戦で点を取れたというのは自分自身すごくいい思い出になりましたし、4年生に向けていい準備になったシーズンだったと思っています。4年生に関しては、結果がなかなか伴わなかったというところで、苦しい時期が多かったと思うのですが、先ほども申し上げたように振り返ってみてすごく楽しい4年間だったなと。高校の時も含めて7年間を振り返ってみても、楽しかった、幸せに感じるような4年間でした。
――最後に後輩の方々に向けてメッセージをお願いします
今のチームは結構2年生がメインでやっているというところで、まだまだ今シーズンのチームのキーマンとかというのは見ていてはいないと思います。上にいけるポテンシャルはすごくあるとは思うので、先ほど言ったような勝てるチームに一歩でも近づくということが、自分たちが、彼らが目標とするところに近づけるかどうかのカギになってくるかと思います。そこは新しくキャプテンになった西本(京平、スポ3=大阪星光学院)も気持ちの面では強い気持ちをもって練習にも試合にも取り組んでいる人なので、あまり心配していないのですが、そういうところは意識してやっていってほしいなと思います。
FW平岩佑利(スポ3=新潟・天理)
――今日の試合を振り返っていかがですか
前半で失点してしまい、点数を取り返さなければいけない立場になってしまって、普段だったら雰囲気が悪くなってしまう所を、冷静にみんなでしっかり返していこうという気持ちになって、しっかり1点返して、最後も自分たちのペースで攻撃し続けられたので良かったのではないかなと思います。
――ご自身の得点シーンを振り返っていかがですか
PCでずっと狙っていた形だったのですが、戸川君(戸川晴貴、スポ2=京都・立命館)がタッチして、それを相手が反則して、PSになって、自分はずっとペナルティストロークを任されていて、絶対に決めなくてはいけないところでとても緊張したのですが、しっかりと狙っていたところに打てたので良かったと思います。
――今年の振り返りと来年の抱負をお願いします
今年はとても厳しい試合が多くて簡単に勝てなかったのですが、とても良い経験になったと思います。来年は今年のリベンジをしたいと思うので、しっかりと勝ち切って皆さんに報告できるようにしたいと思います。