慶大に屈す‥後半の猛攻及ばず

男子ホッケー

 95回目の早慶戦がやってきた。宿敵慶大に対して、早大は9月に行われた関東学生秋季リーグにて0ー1で惜敗している。伝統の一戦は3期連続で引き分けが続いており、是が非でも慶大にリベンジして勝利したい早大だったが、前半の第1クオーター(Q)、第2Qで1点ずつ慶大に奪われてしまう厳しい展開となった。第4QにDF岩井怜太(政経4=東京・早大学院)のゴールで1点を返すも、その直後に、慶大に致命的な3点目を奪われてしまい勝負あり。慶大相手に白星をあげることは叶わなかった。

1点を返し、喜びに沸く選手たち

 試合開始から早大は慶大の攻撃の前に守勢に立たされる。3分頃には立て続けに、慶大に対してPCを与えてしまう。この序盤のピンチを、GK西本京平(スポ3=大阪・大阪星光学院)とDF陣の踏ん張りで凌ぎ切った。その後は、慶大にボールを握られるも、チーム全員の体を張った守備でゴールを守った。しかし、このまま0-0で第1Qが終了すると思われた15分に、慶大にPCを与えてしまい先制を許してしまう。早大にとって痛すぎる失点となってしまった。続く第2Qも慶大の攻勢に早大が耐える構図が続く。すると約4分にPCを与えてしまい、そこから失点。慶大に追加点を許してしまう。早大も徐々にパスが繋がりようになり、相手陣内に攻め込む場面もあったものの、慶大の守備を前にゴールを奪うことはできなかった。

 PC時に体を張って守ろうとするGK西本とDF陣

 前半戦は慶大に押し込まれてしまった早大だったが、第3Qから反撃に出る。慶大との球際の勝負を制することが多くなり、ボールを保持して攻撃できる場面が前半と比べて劇的に増加した。FW平岩佑利(スポ3=奈良・天理)のドリブル、MF中島丞一郎(スポ2=富山・石動)を起点としたパスから、両サイドで攻撃を仕掛けて慶大陣内に果敢に侵入した。しかし、それでも慶大の粘り強い守備の前になかなか得点を奪うことができずに、そのまま最終第4Qに突入した。追い詰められた早大は、怒涛の猛攻を仕掛けるが、それでも慶大のゴールを割ることができず1点が遠い。このまま完封負けかと思われた56分、DF大多田一真(政経2=東京・早大学院)のサークル内へ打ち込んだボールを、DF岩井怜太が触り、軌道を変えて慶大のゴールに突き刺して1点を返すことに成功する。1点が遠かった早大にとって待望の追撃弾となるはずだったが、直後の13分、慶大に一瞬の守備の隙を突かれて試合を決定づける3点目を奪われてしまう。反撃ムードに水を差されてしまった早大は、必死に次の得点を奪おうと、慶大ゴールを攻め立てるが、再び慶大のゴールを割ることはできず、試合終了を告げるブザーが無情にも鳴り響いた。

試合終了後に肩を落として引き上げる選手たち

 「このシーズン一発逆転できる唯一のチャンスがこの早慶戦に勝つこと」(村上主将)と春・秋リーグ、インカレと納得のいく結果を得られなかった早大にとって、早慶戦はまさしく挽回する絶好のチャンスだったが、結果は第87回早慶戦以来8年ぶりの黒星となってしまった。あまりの悔しさに涙が溢れ出る。慶大へのリベンジは後輩たちに託された。このチームで試合ができるのは、28日に行われる、法大との秋季リーグ順位決定戦だけとなった。しかし下級生は4年生から多くのことを吸収して来年度以降の試合に活かしていく必要がある。今シーズン最後の試合、偶然にも相手は今シーズン最初に対戦した法大。4年生のためにも、来年度の男子ホッケー部のためにも目指すものはただ一つ“勝利”のみだ。

(記事 伊勢崎晃、写真 大貫潤太 湯口賢人 秋田豪 )

結果
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大
慶大
コメント

原聡監督

――早慶戦を率直に振り返って下さい

感想は悔しいの一言しかないですね。

――慶大に2点を先制されてしまい追いかける展開となりましたが、ハーフタイム中に選手になんて声を掛けましたか

失点はしていたんですけど、それなりに見せ場というか、良い場面もあったので、やっていることを続けていくことが、この試合を引き戻すことだとベンチではしていました。

――試合終了後に選手になんて声を掛けましたか

 まずは今日よく頑張ったなと。ただ結果としては負けてしまったので、そこは凄く悔しくて、その悔しさをしっかり覚えておかなければいけないということ。まずは来週があるのでそこは勿論のこと、下級生は来年以降に仮を返していかなければならないし、4年生にとってもこれから社会に出ていくにあたってこういう悔しい思いも大事なので、そこ(悔しさ)を覚えておくことが、これからの糧になると思ったので、それをそのまま伝えました。

――来週の秋季リーグ順位決定戦がこのチームでできる最後の公式戦となりましたが、どんな試合にしたいですか。

 ここまできたら一つでも順位を上げなければいけないし、無理やり因縁を作れば、今シーズン法大の試合から始まって引き分けたのですが、そこで勝っていれば春季リーグは違った展開になったと思うので、この1年間成長できたかどうかを見せられる試合なので、我々は、しっかり試合ごとに準備して臨んでいくというスタイルでやってきたので、最後までそれは徹しっていきたいと思います。

FW村上和亮主将(政経4=東京・早大学院)

――早慶戦を率直に振り返ってください。

勝てなかったのは、悔しいという一言かなと思います。今シーズン、春・秋リーグ、インカレで100点満点の試合ができていない中で、このシーズン一発逆転できる唯一のチャンスがこの早慶戦に勝つこと、慶大を倒すだと自分も思っていたし、試合前のミーティングでもみんなに伝えていなかったので、実現できなかったのは凄い悔しく思います。

――慶大に2点先制されて苦しい展開になってしまったと思いますが、主将として選手になんて声を掛けたのでしょうか。

自分自身もそうですけど、本当にみんな焦ってなかったというか、全然大丈夫という声が、ピッチ内、ベンチの中からもそういった声が多かったので、特段僕が声で何かを変えるということはなかったんですけど、まず自分自身が焦っている姿を見せなかったりとか、ハーフタイムでは、自分が1年生、2年生、3年生の時に2点差をひっくり返したりとか、ひっくり返されたりとかが3年間続いていたので、まだまだこれからという鼓舞は自分自身も意識していたかなと思います。

――次戦の法大戦は引退試合となると思うのですが、意気込みをお願いします

本当に勝つことに尽きるのかなと思います。後輩もこのシーズン、1年間頑張ってくれたので、恩返しというか、感謝の気持ちを込めて、このシーズン、このチームを終われたらなと思います。

黒川理希(先理4=東京・早大学院)

――早慶戦を終えられた現在の率直な感想をお願いします

悔しいの一言です。おそらく、こちらの方が準備をしてきただけに悔しいです。

――本日の試合、チーム全体でのプレーについてまずは振り返ってください

ペナルティーコーナーの練習をたくさんしてきただけに、それが一度も発揮できなかったのは課題でした。

――ご自身のプレーではどうでしたか

中盤でボールを受けてFWにつなぐ、というのは練習通りできたと思います。また、私自身の脳震盪の影響もあって、きょうが久々の公式戦でした。体力面での不安があったなかで、やはり第3・第4クォーターは疲れの出た時間でしたが、それでもボールをつなぐという役割はしっかりとできていたのではないかと思います。

――翌年の早慶戦に臨まれる次代の選手にはどんなプレーを期待されますか

来年度は個人個人の能力が高い選手が多いのですが、それでもチーム一丸となって戦うことを忘れずに、かつ個人の能力でも慶応を圧倒できるようになって欲しいです。来年度の主将や副主将のもと、いい試合をしてくれたらと思います。

――残る最後の一戦への意気込みをお願いします

早慶戦に勝って、次の試合を迎えたかったですが、負けてしまった事実はしっかりと受け入れて切り替えていきたいです。当初の目標は達成できなかったですが、最後の一戦しっかりと勝って、5位で終えられるようにあと1週間頑張っていきたいです。

岩井怜太(政経4=東京・早大学院)

――早慶戦を率直に振り返ってください。

立ち上がりに2失点してなかなか流れをつかめない中で、前回の反省点である流れを持っていかれた時に雰囲気が悪くなってしまうという所はクリア出来て、1点は返したんですが、結局力負けしてしまったなという感じでしたね。

――戦ってみて、慶應の印象はいかがでしたか

強くて、速くて、なおかつ粘り強いというのはありました。気持ちでは負けてなかったんですが、最後の最後でそういう要素において負けてしまったのかなと。

――自身の得点シーンを振り返って頂けますか

ミーティングの時に動画を見て研究したパターンだったので、絶対に空いているだろうと思ってスペースに走り込んだら、大多田くんが打ち込んでくれて、触って枠内シュートを打てたという感じです。ミーティングの成果が出たと思います。

――年生以下、下級生にはどんな言葉をかけましたか

まずは勝たせられなくてごめんということを伝えました。泣いてくれた後輩、怪我をしてでも頑張ってくれた後輩もいたので。あとは、自分がPCを止められなくてごめんということも伝えましたし、お前らのせいじゃなくて自分の責任で負けたんだから来年は頑張れというエールも送りました。

――次戦の法大戦は引退試合となると思うのですが、意気込みをお願いします

法大は春リーグで戦って、引き分けたという所で、自分は点を決めたのですが、前半怪我して後半に出られず、その後に追いつかれたということもあるので、怪我なしにフル出場して、なおかつ点を取って、引退試合をみんな笑顔で終えたいですね。