今年も引き分け。しかし、歴史的な名勝負に

男子ホッケー

 早慶定期戦(早慶戦)が駒沢オリンピック公園総合運動場で行われた。4年生にとっては最後の公式試合である。直前2年間は引き分け、かつ今季は慶大と1勝1敗なので、例年以上に気合が入った早慶戦となった。インカレ1回戦と秋リーグ3位決定戦では、試合前半は慶大優位で後半から徐々に早大に勢いが出始めるという流れだったが、今回は試合序盤から激しいつば迫り合いとなる。第4クオーター(Q)約9分、2点差に突き放したときは早大の勝利かと思われたが、慶大の不屈の攻撃で試合終了直前に2点返されてしまう。結果は4-4で、3年連続の引き分けとなった。

 第1Qは早大ボールでスタート。ボールを奪い合い、シュートを打ち合う激しい展開となる。第1Q約7分、慶大ゴール前での攻防の末、慶大サークルから早大陣地方面にボールが弾き出されたが、FW清水拓登主将(スポ4=滋賀・伊吹)がすかさず受け止めて再び慶大サークル内に打ち込む。慶大の守備をすり抜けたボールをゴール手前のFW大島新(商2=東京・早大学院)がダイレクトシュート。第1Q前半に幸先よく先制点を挙げた。しかし、第2Q約1分に慶大がペナルティコーナー(PC)を獲得。飛び込んだGK西本京平(スポ2=大阪星光学院)をすり抜けて慶大のシュートが突き刺さり、同点となる。第2Q約7分、PCを獲得したが守備に阻まれてシュートならず。PC後、ゴール前での攻防の末、約7分にもう一度PCを獲得。今度は清水がシュートしたが、GKに弾かれた。第2Q約13分、慶大がPCを獲得。完璧なシュートコースで打たれるが、GK西本が見事に弾いて失点を免れた。

慶大選手をかわす清水主将

 第3Qは早大が試合を握り、慶大陣地での戦いが主となる。しかし、慶大の守備も堅く、第3Qでゴールを割ることは叶わなかった。第4Qはめくるめく点取り合戦となる。まず、第4Q0分に、ゴール手前のFW村上和亮(政経3=東京・早大学院)がMF黒川理希(先理3=東京・早大学院)から受けたパスをダイレクトシュートし、2点目を挙げる。観客席に向かってゴールパフォーマンスを見せた。しかし第4Q約2分、同じくダイレクトシュートで早くも同点に追いつかれる。第4Q約6分、本日5度目のPCを獲得。FW小比類巻周(政経1=東京・早大学院)が打ち3点目を挙げ、先ほどとは別のゴールパフォーマンスを見せた。第4Q約9分、攻撃に人数を割いてGKとフィールドプレイヤー1名のみとなっている敵陣に、小比類巻とFW戸川晴貴(スポ1=京都・立命館)がボールとともに駆け上がる。パス回しで翻弄した末に戸川がゴールに押し込み、2点差に突き放した。このまま守り切れば早大の勝利だったが、第4Q約14分、慶大がPCを獲得。シュートを決められて1点差に縮まる。それでも残り数十秒逃げ切れば勝利だったが、慶大が再びPCを獲得。慶大のシュートはゴール上部に吸い込まれ、同点に追いつかれた。その後、GKを下げて11人全員をフィールドプレイヤーにし、あきらめずに追加点を狙う早大だったが、まもなく試合終了となった。

念願のゴールパフォーマンス

 今年も引き分けとなってしまった。しかし、「今シーズンでも自分が4年間やってきた中でも、一番いい試合ができた」(清水)、「一番ベストなゲームができた」(山下)、「最後に良い内容のゲームができた」(原聡監督(昭59理工卒))と、4年間の締めくくりにふさわしい名勝負となった。また、3年生以下の選手がファインプレーを連発して、後を継ぐ者としての頼もしさを4年生に見せた試合でもあった。次の主将はMF黒川理希。原監督が「今日試合後に清水主将から、新しく黒川が主将になりますけど、引継ぎを終えました」と述べたように、清水主将から黒川新主将に舵が託された。ホッケー部の新たな門出に注目である。

(記事 七澤拓未、写真 小出萌々香)

今年の早慶戦も引き分けとなった

結果
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大
慶大
コメント

原聡監督(昭59理工卒)

――今日の試合を振り返っていかがですか

まずね、早慶戦出来たのは良かったと思っております。振り返ると、やっぱり結果的に悔しかったのかな。この2年間引き分けで、今日は勝てたかなと思った時間帯はあったので、追いつかれてしまったので残念でした。ただ、試合通じては早慶戦らしい良いゲームができたので、監督が言うのはちょっとおかしい感じがするんだけど、ホッケーを楽しんだゲームでもあったかなと思います。ただ、結果はちょっとね、というところです。

――3年連続で引き分けとなってしまいましたが、試合後にはどのような言葉を4年生にかけましたか

今年は、シーズンも春ができなかったので短いシーズンで、かつ、それぞれの試合も制限の中でやっていました。活動自体が制限されていたので。その中で、引き分けではあったんだけど、最後に良い内容のゲームができたし、4年生もそれぞれ持ち味を出してくれた試合をやってくれたのですごく嬉しかった。そういうことを伝えました。

――来年度の主将、副将などは決まっていますか

主将副将、そういったチームの中心になる役割はこの1週間ぐらいで決めて、今日試合後に清水主将から、新しく黒川が主将になりますけど、引継ぎを終えました。

FW清水拓登主将(スポ4=滋賀・伊吹)

――早慶戦を終えた今のお気持ちは

素直に良い試合だったかなというのが一番最初に思うことで、結果引き分けだったんですけど、今シーズンでも自分が4年間やってきた中でも、一番いい試合ができたんじゃないかなと思っているので、引き分けで去年一昨年は悔しい思いをしたんですけど、今年はみんなよく頑張ってくれたなという方が大きく、なのであまり悔いとかはなく、すっきりではないですけど良い終わり方だったかなと思います。

――1年生や2年生が多くファインプレーをしましたが、後を引き継ぐことへの頼もしさはありますか

そうですね。1年生2年生は今年から試合出るようになって、自分たちと会わないことだったりとか、チームに適応するの難しくなっていると思うんですけど、そこでもちゃんと、こういうところで結果出してくれて、キャプテンとして、活躍してくれたのは本当にうれしいなと思いますし、来年以降も今日の試合で出ていた人が中心メンバーになると思うので、そこらへんのみんなにチーム引っ張っていってもらいたいなと思います。

――後輩、特に3年生へのメッセージをお願いします

3年生は自分が2年生のときから3年間一緒にホッケーやってきて、学院生が多くて推薦も大地(本橋大地、スポ3=埼玉・飯能南)だけで、ホッケーの力でいうと例年の代に比べたらそこまで揃ってはなかったと思うんですけど、それでもしっかり3年間頑張ってくれて、この試合でもしっかり活躍してくれたやつもいるし、来年は今年みたいなチーム環境じゃなくなると思うし、形もガラッと変わると思うんですけど、3年生らしさみたいなのをしっかり出して、来年また良いチーム作ってもらえればなと思います。

DF山下翼副将(スポ4=滋賀・伊吹)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

リーグ戦の(三位)決定戦のときに慶応に負けてしまって、今回は4-4で引き分けだったのですが、でも、自分の中では今シーズン通して一番ベストなゲームができたのかなと思います。

――4年生だけでなく、後輩の方々が活躍した試合でした。この活躍に対してはどう思いましたか

後輩たちには、今回のゲームを作ってくれたのは本当にありがたいなと思っています。僕たち4年生が決められたら本当はよかったのですが、でもやっぱり、早稲田のチームは後輩も出場しているので、その後輩たちが活躍してくれたことには本当に感謝、という言葉になりますし、来年にも繋げてほしいなというのはあります。

――最後に、後輩の皆さんへのメッセージをお願いします

後輩たちには(早慶戦は)まだ引き分けしか経験させてあげられていなかったので、来年はぜひ勝ってもらって、『紺碧の空』を歌って、監督とコーチと主将を胴上げできればいいかなと思います。頑張ってください!

FW一色岳登(国教4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

前回相手にリーグ戦でやられていたので、結構序盤から強気で、いつも通りなのですが気持ちは負けないという風にいっていて、現に先制できて、その後も3点追加して取れたので、その辺はよかったかなという風に思います。

――プレーで意識されたことはありますか

あまり意識したことはなくて、ただいつも通りプレーして、パスを繋げるということは意識していました。

――4-4という結果を振り返っていかがですか

第4クオーターで4-2になって、最後の15分でもう2点差がついていて、勝てた試合だったかなという風に思うので、ちょっと悔いが残るところはありますね。

――後輩の皆さんへのメッセージをお願いします

自分たちはもうこの早慶戦で引退するのですが、学年関係なく、みんな悔しかったり、色々な思いがあると思うので、それを今後のリーグ戦や早慶戦にぶつけていってどんどん成長していってほしいです。

DF依田星也(商4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

先制点ももらえて、その後も常にこちらがリードしている状況だったのですが、結果的には4-4ということで、少しディフェンスの自分の力不足を感じました。

――プレーするうえで意識したことはありましたか

前々から慶応は強いストロークが持ち味のチームだったので、サークル内の守備は低く、PCを取られないように意識しました。

――後輩の皆さんへのメッセージをお願いします

後輩は結構人数も多くて、まとめ上げるのが大変だと思うのですが、早慶戦含め、僕たちの記録を全部上回ってくれるように願っています。

金子みなみトレーナー(スポ4=群馬・前橋女子)

――4年生の選手たちを1年次から今日までそばで見てきて、成長を実感していますか

技術的な面ももちろん、最初の頃は一色とか依田とかはあまり試合に出てないメンバーだったんですけど、ずっと拓登(清水拓登)と翼(山下翼)に追いつこうと頑張って練習しているのを見ていて、それでだんだん主力になっていったので、もちろんすごい頑張っているなと思いましたし、4年生としてみんなをまとめている言葉とかも、成長したんだなって見ていました。

――4年生の選手たちへメッセージをお願いします

私はマネージャーだったんですけど、いろいろチームの状況とかもあってトレーナーに転向して、私自身スポーツをやってきていなかったので、分からないこととか不安なこととかあって、いろいろとくじけた時期もあったんですけど、そういうときに同期は結構分かってくれて、支えてくれたし、いつも笑って過ごせていたので、そこは感謝と言うか、良い同期に恵まれたなと思いますし、スポーツ推薦とかの強い選手が抜けて、その中でチームを組み立てていかなきゃいけないと言う状況の中で、4年生一人ひとりが頑張ってやっていたので、純粋にお疲れ様という風に伝えたいです。

――マネージャーやトレーナーなど、サポートの役目を引き継ぐ後輩たちへメッセージをお願いします

本当に今2人、土師ちゃん(土師香澄、教1=東京・新宿)と由衣ちゃん(永澤由衣、スポ2=岩手・釜石)は、自分で考えて選手のために何ができるかという風に一生懸命自分から勉強したりとか、仕事をしてくれていて、すごく頼もしいし頼りになるので、全然これから、不安かもしれないけど、私は心配してないです。絶対に大変なこと、つらいこととかはあると思うんですけど、そこ頑張って、選手がスタッフに対して感謝を述べてくれるようなときに、すごいやってて良かったなと感じれると思うので、ぜひこのまま、ホッケー部が強くなるために頑張ってほしいなと思います。