今回で93回目を迎えた早慶ホッケー定期戦(早慶戦)。歴史あるこの大会は、部を率いてきた4年生の引退試合でもある。 慶大とは1週間前に関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)で対峙し、4-2で早大が勝利していた。この勢いのまま、昨年引き分けた早慶戦で勝利を飾りたい早大であったが、第1クオーター(Q)に2点を奪われ、その後もなかなか点を奪えない苦しい展開に。運命の第4Q、FW清水拓登(スポ3=滋賀・伊吹)がPCでゴールを決めると、FW今村光成(商4=東京・早大学院)も追加点を獲得し同点に追い付く。しかし逆転は叶わず、昨年と同じく2-2の引き分けで試合を終えた。
試合開始直後は早大が主導権を握りパスをつないでいく。しかし第1Q約4分には、ボールを持っていたDF齊藤湧大副将(スポ4=栃木・今市)が転倒、相手FWに奪われ素早くサークルインされる危機的状況が生まれる。ここでは相手のパスが外れ失点を免れたが、約7分、GK山本健悟(社4=滋賀・伊吹)がゴール正面に出て相手の攻撃に対応していた際に横からシュートを打たれ、あえなく先制点を奪われた。その後、MF大野誠弥主将(政経4=東京・早大学院)がドリブルで相手陣地へ、パスを受けた今村によるプレーからPCを獲得。1点を取り返したい早大だが、相手DFに弾かれる。第1Q終盤にも再びフィールドゴールを許し、点差は2点に。第2Qには積極的なインターセプトを見せたDF山下翼(スポ3=滋賀・伊吹)らによる連係プレーからPCを奪う。その後も幾度となくPCを重ねたが、得点することができないまま前半を終えた。
巧みにボールをコントロールする大野主将(中央)
ハーフタイムが終わり、「こっからや、こっから!」と山本が声を上げた。しかし、後半に入ってもなかなか流れを覆すことができない。第3Qまでに計12回のPCに挑んだものの、決めきれない苦しい状況となった。第4Qに入り後がない早大は必死にボールを前へと運ぶが、相手のディフェンスに阻まれる。試合が動いたのは第4Q約7分。FW清水が15回目のPCでついにゴールを決め、1点を返した。観客席には、曇天を吹き飛ばすかのごとく『紺碧の空』が響く。さらに16回目のPCでは相手GKが弾いたボールをFW今村がレフトサイドから押し込み、同点に追いついた。この劇的な展開に、応援席の熱気はいっそう増した。流れは早大に向いたが、試合時間は残りわずか。ラスト1秒まで粘り強く攻め続けた早大であったが、試合終了直前に今村が放ったシュートは得点にはならず。93回目の早慶戦は2-2の引き分け、同率優勝で幕を閉じた。
同点に追い付き、歓喜に沸く選手たち
結果は昨年と同じくドロー。悔し涙を流し、「不完全燃焼」(山本)、「悔しいの一言に尽きます」(今村)と語るメンバーもいた。しかし、「辛抱強く攻めて諦めないで最後までいって追い付いた」(原聡監督、昭59理工卒)、「自分たちらしい試合」(大野)が観客の心を動かしたことは間違いない。引退する4年生の思いを継いで、さらなる高みを目指す早大男子ホッケー部。また新たな歴史が幕を開ける。
(記事 小出萌々香、写真 七澤拓未、新藤綾佳)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
激闘を終えた早大イレブン
結果
TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 |
慶大 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
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コメント
原聡監督(昭59理工卒)
――きょうの試合を振り返っての感想をお願いします
きょうはね、勝ちたかったのですけれどね、先週勝ってたし。最初に2点取られてしまって、リスタートって言うのですか、反則があった後のプレーとかで後れを取ってそういうところでシュートを打たれてしまった。そこは残念でしたね。ただ、最後ね、かなり辛抱強く攻めて諦めないで最後までいって追い付いたのは、早慶戦らしいなと思います。
――前半に2点を取られ、ハーフタイムにはどんな話をしましたか
さっき言ったように、負けてるところがあるとすればリスタートのところ、あるいは走るというところで慶応にちょっと遅れていた、そこが悔しいところなので、あとは前半のうちに自分たちのペースになりつつあったので、そこはそのまま行きましょうということですね。ただ、2点取られていたのでまずは1点が大事だということです。
――先週の秋季リーグ慶大戦との違いは何だっただと思いますか
(相手の)スピード感というか、前から前からというのはきょうの方があったかなと思います。それに対して先週勝っていたので油断……はしていないつもりだったのですが、ちょっと受けちゃったのかなと思います。
――このメンバーでの一年間を振り返っていかがですか
4年生は選手が6名で1人広報スタッフがいて、7名が、経験もやってきたことも違うのですが、それぞれが自分の持ち味を出してやってくれたチームかなと。自分の持ち味を出すだけではなくて、他人の強みを引きしたり、逆に弱みを補ったり、そういうことをやることのできるメンバーだったと思います。
――引退する4年生へのメッセージがあれば、お願いします
れぞれホッケーに関して言えばすごく頑張ってくれていたんだけど、これからが生きていく上で、ちょっと大げさだけど、本番になっていくので。ホッケーで言えばきょうの試合に代表される最後まで頑張る、やり抜くとか、自分たちが何ができるか考えてそれを組み立てていくとか、その他にも大学で色々勉強したことは役立つはずなので。そういったものをもとにしてさらに自分を高めてやっていってほしいと思います。
MF大野誠弥主将(政経4=東京・早大学院)
――早慶戦を終えた今のお気持ちは
そうですね、すっきりしたというか。勝ち切れなかったのですが、自分たちらしい試合で最後同点に追い付いて引き分けで締めくくることができたので、自分の力を出し切れたという点ではよかったと思います。
――この四年間を振り返っていかがですか
決して楽しいこと(ばかり)ではなくて、1、2年生の頃は技術も全然追い付かない状態で、なかなか試合でも活躍できない期間が続いたのですけれども、そのなかでも同期の皆とか先輩後輩に支えられながらここまで頑張ってこられたのがよかったと思います。
――後輩の方々へのメッセージをお願いします
今の後輩の1~3年生はすごく仲が良いので、自分たちが抜けても活気だけは劣ることはなくというか、いい雰囲気でチームを作りをしていけば絶対に結果はついてくると思うので、自分たちに続いてリーグ優勝を狙ってより高みを目指してほしいと思います。
DF齊藤湧大副将(スポ4=栃木・今市)
――早慶戦を終えた今のお気持ちは
同点でよかったという気持ちと、引退するのがすごく寂しいなという風に……引退試合みたいなものなので、すごくいいチームというか、仲もいいチームだったのですが、それがなくなってしまうのが僕は寂しいというのがあって、正直「悔しい」という涙もあったのですが、8割は「もうこのメンバーでできないんだ」という悲しみの涙でした。
――この四年間を振り返っていかがですか
1年目は入替戦くらいの成績で始まったので、「ここからどうすればいいんだろう」という感じだったのですが、そこから先輩たちも、1年目からすごく頑張ってらっしゃったのですが、徐々に努力が出始めて結果が出始めて今に至って、最終的に関東学生リーグ(関東リーグ)3位という結果で春秋終えられたのでそれはよかったと思いますし、このメンバーでホッケーをできてすごく僕は充実した日々を送れたという風に思います。
――後輩の方々へのメッセージをお願いします
僕らが抜けることによって一学年ずつ上がると思うのですが、そうなってくるとやっぱり役割とか考え方とか変わってくると思うので、それを踏まえた上で、大変だとは思うのですが、僕らが残してきたものもあると思うので、そういうことをしっかりとやって、結果として出てくれたら来年OBとして喜べるのかなという風に思います。
FW今村光成(商4=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返ってみて率直な感想をお願いします
悔しいです。率直な感想と言えば悔しいの一言に尽きます。関東リーグで4対2で勝つことができたので今回もこの調子で今まで通りに行けば勝てるんじゃないかという甘い気持ちが少なからずあったのではないかという結果なのかなと思います。
――リードされていましたが、最後は追いつきました
ペナルティーコーナーが十何本くらいあった思うので、そこで決め切っていれば追い越せたとは思います。もう少しペナルティーコーナーの精度を確かめなくてはいけないなと思いました。反撃する時間が遅すぎました。
――ご自身の得点シーンを振り返ってみてはいかがでしょうか
ペナルティーコーナーで大野がタッチするというのはわかっていたので、大野がタッチした後にキーパーに当たってこぼれるという可能性も考慮して、自分も左側のポストに行くというのは練習通りというかいつも通りでした。それを意識していたらちゃんときたなという感じです。
――早大での四年間を振り返ってみてはいかがでしょうか
いやーもう5分ぐらいかかりますよ、ここで言っていたら(笑)。自分は大学1年生の頃から多分チームの中で一番下手くそだったので、でも早稲田ホッケーの中でやる意味はなんだろうと模索していたのが大学1年生の頃でした。大学2年生、3年生になって試合の出場機会も増えて、主力かどうかはわからないけど、スタメンとなることができました。そういう中で自分がフィニッシャーとして得点を決めるタイプではなかったので、フォワードリーダーとしての葛藤もありました。拓登(清水)に任せっきりだったので。ですが、最後の最後の早慶戦で自分がごっつぁんではありますが、(ゴールを)決められたというのはすごく嬉しかったです。やっと報われたのかなって思いました。
――最後に後輩の選手たちへのメッセージをお願いします
正直(今後)考えなくてはいけないことはたくさんあると思います。なぜなら僕らは6人もいましたし、フォワードは僕だけですが、ディフェンスは3人もいますし、ここからのチームのポジショニングですとか編成にあたるところが難しいなと思います。なおかつそれだけではなく練習の雰囲気とかも(自分たちが)6人もいて、結構我が強い人たちが集まっていたので練習もすごく楽しくやれました。かと言って後輩たちの練習が楽しくないという訳ではないですが、楽しみ方というあり方が変わってくると思います。春リーグが始まるまで結構期間があると思うので模索しながら頑張っていってほしいなと思います。
DF中嶋鍊(スポ4=島根・横田)
――早慶戦を終えた今のお気持ちは
悔しいですね、もう、振り返ると。でも終わった後に外に出て色々な人に会ったのですが、応援してくれた人とか。応援してくれる人がいればそれでいいかな、と思って、すごくいい気分になりました。試合のことは忘れられたというか。試合自体は悔しかったです。
――この四年間を振り返っていかがですか
最高でしたね。本当に同期にも恵まれて、後輩たちも可愛いし、先輩たちもいい先輩たちばかりで、本当にこの四年間人に恵まれたというか環境に恵まれたというか、ハード面でもソフト面でもいい環境だったなと。大好きでしたね。皆のこと。
――後輩の方々へのメッセージをお願いします
人数的には6人抜けると思うけど、技術高い人もいっぱいいるし、俺らがやってきた早稲田ホッケーをやれば勝てると思うし、俺らが3位以上って目標をたてていたけどそれを超えることもできると思うし、本当に頑張ってほしいというか、日々の練習を気合いを入れてやってほしいというのと、あと1年間はすぐ終わるし、悔いが残ってしまったら本当に残るものなので、一日一日、あと365日頑張ってほしいと思います。
DF湯本修嗣(政経4=東京・早大学院)
――早慶戦を終えた今のお気持ちは
2点取られて、自分のせいで失点したというのもあるのですが、味方が追いついてくれてなんとか引き分けに持ち込めたので、きょねんの引き分けよりは気持ちいいのですが、勝てなかったのでちょっと悔しいですね。
――この四年間を振り返っていかがですか
結構長かったですね、やっぱり(笑)。学院(早大学院)で三年間やって大学入って結構力の差を感じて、自分なりに頑張ってスタメンにもなれたのですが、一日一日色々意識して過ごしてきたので、それなりに何か、やっと終わったなという感じはしますね。
――後輩の方々へのメッセージをお願いします
来年以降は自分たちを超えて、リーグ(関東リーグ)優勝だったりとか、早慶戦で勝利というところを目指してやっていってほしいですね。
GK山本健悟(社4=滋賀・伊吹)
――早慶戦が終わっていまの率直な気持ちを聞かせてください
惜しいというか、悔しいの一言です。リーグ戦では(慶大に)4対2で勝って、きょうも自分たちが攻めている時間が圧倒的に多い中で(ゴールを)決められるチャンスを幾度となく外したというのが敗因だとと思います。自分の中では引き分けは負けだと思っているので。
――先週も対戦した相手でしたが、きょうはいかがでしたでしょうか
相手も攻め方を変えてきて、フルプレスに変えてきたということで少しやりにくさはありました。ですが、だからと言って自分たちのチームの攻め方を変えるということは一切なく、やりたいようにやれていたとは思います。ただやりたいようにやれていたのにこの結果というのは、明らかに早稲田の弱い部分がでたと思います。一方で3、4Qで早稲田のいい所も逆に見ることができて、果敢に攻めてチャンスを作ってという、4Qには追いついたので、いいところがみれたのは自分たちとしては良かったかなと思います。
――大学四年間で最後の試合でしたが、いかがでしたでしょうか
全てを通して言えばやりきったと言えますけど、きょうだけで言うと不完全燃焼というのが率直な感想ですかね。初動の失点は仕方ないにしろ、あれが無ければ勝ったということには変わりないので。少し悔しい部分はありますが、良いチームでやれて個人的には良かったと思います。
――四年間を振り返って点数をつけるとしたら、何点でしょうか
きょうを除けば100点だと自分では思っています。その理由としては1年生から始まり、良い成績を先輩たちに残してあげられなかったという面も含めて、2年生でどんどん順位が上がっていって3年生ではリーグ戦4位、そして当時からの目標であったリーグ戦3位というのを自分たちの代で成し遂げられたので、ステップアップという点ではみんなの成長とかも合わせて100点で良いかなと思います。ただきょうのチーム全体の流れの中で組み立てという部分で弱いところが残ったというのを合わせると90点ぐらいかなと思います。
――後輩の選手たちへのメッセージをお願いします
これから自分たちが6人も抜けてしまい、チームがガラッと変わってしまうと思います。チーム構築を一番大事にして、自分たちの結果をなるべく超えて、どんどん上を目指して頑張っていってくださいというのが自分の感想です。