紫紺を打ち崩せず、4位で春を締めくくる

男子ホッケー

 4月から熱戦が繰り広げられた関東学生春季リーグ(春季リーグ)も、ついに最終戦を迎えた。3位決定戦の相手は今季2度目の顔合わせとなる明大。前回の対戦では2―2の引き分けに終わり、今試合も接戦が予想された。全日本大学王座決定戦(王座)へ弾みをつけるためにも勝利を飾りたかったが、堅守が光る相手を崩しきれず1―2で敗戦。春季リーグは4位という結果で幕を閉じた。

 早大のセンターパスで試合は始まった。前半4分にMF大野誠弥(政経3=東京・早大学院)の素早いドリブルで敵陣へ攻め込むと、幸先よくペナルティーコーナー(PC)を獲得。先制のチャンスを迎えたが、そう簡単に得点を取れるほど相手は甘くない。その後、攻勢に転じた明大に技ありのシュートを放たれ先制点を献上。追う展開となったが、暗雲を払拭する目の覚めるようなプレーが早大に飛び出す。フィールド中央付近でボールを奪ったFW今村光成(商3=東京・早大学院)がドリブルで敵陣を駆け上がり、FW清水拓登(スポ2=滋賀・伊吹)への絶妙なパスで紫紺のディフェンスを撹乱。そして快足を飛ばし裏のスペースへ抜け出した今村へ再びボールが渡り、GKと1対1の対決。大きなプレッシャーが掛かる局面だったが、男に迷いはなかった。ゴールへの嗅覚を研ぎ澄まし、鋭くスティックを振り抜く。「うまく沈められた」(今村)と、放った白球は誰にも止めさせなかった。続く第2Qは両校の執念が交錯し、めまぐるしく攻守が移り変わる展開に。その中で一瞬の隙から強烈なシュートを決められ1点のビハインドを追って前半を終えた。

ゴールを決めたFW今村(中央)

 迎えた後半。一進一退の攻防が続く中、右サイドから果敢にゴールへ襲いかかった清水がサークル内でペナルティーストローク(PS)の権利を獲得。相手に追いつくチャンスが舞い込んできた。大きな重圧がかかるPSのシューターは、強烈なストロークが武器の清水。観客が固唾(かたず)を飲んで見守る中、ゴール左隅へ狙いを澄ましてボールを放ったが、惜しくも枠をとらえきれず得点には至らなかった。その後も互いに好機を演出するが、決定打に欠けスコアボードはゼロ行進。最終Qでも要所で相手DF陣に抑え込まれ万事休す。明大に1点及ばず、最終戦を白星で飾ることはかなわなかった。

ペナルティストロークが外れてしまい悔しさがにじみ出た

 最終戦で敗れたものの昨年よりも2つ順位を上げ、春季リーグを4位で戦い終えた早大。それでも「格上の相手に勝とうと思ったら個人の技術をもう少し上げていかないと」(FW糸賀俊哉主将、スポ4=島根・横田)と、現状にはまだまだ満足していない。来月には2年ぶりの出場となる王座の試合が控えている。全国を相手にどこまで力が通用するか。今後のシーズンを占う試金石ともなる一戦へ向け「何をすべきか考えしっかりと練習」(原聡監督、昭59理工卒)と、かぶとの緒を締める指揮官。大舞台で立ちはだかるカベを越えていけるか。さらなる飛躍へーー。春が終わりを迎えようとも、早大ホッケー部の進化に終わりはない。

(記事 成瀬允、写真 新藤綾佳)

結果
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大
明大
コメント

原聡監督(昭59理工卒)

――開幕戦と同様に明大戦でしたがきょうの試合を振り返っていかがですか

全体的には良かったと思うのですが失点の場面のようにふっと一気に抜かれてしまうなど、対応しなければいけないところでできなかったところがいくつかあったのかなと思います。

――春季リーグ全体を振り返ってはどうでしょうか

正直に言うと代が新たに代わりに戦力的に上位に入れるか入れないかというところで始まったので、そういう意味では目標を達成したというところです。

――王座へ向けての意気込みを聞かせてください

今度はより強いチームと試合をしなければいけないと思いますが春リーグを通して勝つことはできなかったとはいえ今回も前回もそれなりの対応ができました。まだ1ヶ月あるので1人1人がレベルアップするために自分自身が何をすべきか考えしっかりと練習してできるよな姿勢で臨みたいです。

FW糸賀俊哉主将(スポ4=島根・横田)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前半の早い時間で先制されてしまい相手のペースになるかなと思ったのですが今村(FW、光成)が得点を決めてくれたので割と自分たちのペースで試合を進めることができました。しかし後半になるにつれて、相手の方が人数も多く体力もあったのでじわじわと攻められ最後の失点につながってしまったかなと思います。

――相手のマークはいかがでしたか

特別強いというわけではなかったです。ただ自分たちの攻撃に方法なども知られていて、自分たちが縦に出た後に2人ないし3人で囲んでくるという印象でした。

――春季リーグの目標として自ら声を掛けていきたいとおしゃっていましたが、実際にはいかがでしたか

4年生になりある程度自分に余裕が生まれたので同じポジションの後輩にはしっかりプレスの指示などを出せたと思います。ディフェンスのマークなどの指示はまだまだだったかなと思います。そういった部分ではFW関(修平、商4=東京・早大学院)などがしっかり声を出してくれたのでうまくチームは回っていたかなと思います。

――春季リーグ全体を振り返ってはどうでしょうか

関や自分だっだり上級生を中心に決めた組織的な攻めや守りをみんなが忠実に試合でみせてくれたので結果として2年ぶりのベスト4進出という最低限の目標は達成できたのかなと思います。今後明大や山梨学院大のように格上の相手に勝とうと思ったら個人の技術をもう少し上げていかないと局面局面での1対1で勝てないという印象でした。

――王座へ向け修正しなければいけない点をあげるとしたらどういった点でしょうか

組織的な動きというのは皆、共通意識を持って出来ている部分はあるので、強豪校に勝つためにもそこは維持しつつ前でも言ったように対人ドリブルやディフェンス能力といった個人技を磨いていきたいです。

――王座への意気込みを聞かせてください

2年ぶりの王座、全国大会ということで戦う機会が少ない関西の大学と戦えるのは楽しみです。また自分たちの力を試せる良い場所でもあると思うので自分たちがやってきたことをしっかりだして上位進出を目指して頑張りたいと思います。

FW今村光成(商3=東京・早大学院)

――ご自身の得点シーンを振り返っていかがですか

相手のミスからの攻撃だったのですが、相手の1つのミスを前半の早い時間帯でものにできたのは嬉しかったですし、自分でボールをカットしてその後に拓登(FW清水)がうまく僕につないでくれて、キーパーの1対1の勝負でちゃんと上手く沈められたので個人的には嬉しかったです。

――今季は2得点となりました。得点力向上への取り組みなどはありましたか

体幹ですね。練習前に必ず体幹を鍛えるようになりました。いままでは筋トレの日だけ体幹を鍛えていたのですが、筋トレの以外でも体幹を鍛えるようになったことが、得点に結びついていると思います。

――春季リーグ全体を振り返っていかがですか

間違いなくいい雰囲気で春リーグを始められて、なおかついい雰囲気のまま終えることができたと思います。最上級生がFW糸賀さんと、FW関さんの2人しかいない中で練習メニューなど色々と決めくださって僕たちがついていく形で、個性的な選手が多いチームをうまくまとめてくださっていい雰囲気で終えることができて、とても楽しかったです。

――その中で収穫や反省はありますか

個人的な収穫は自分が3年生になって、以前よりもチームを少しでも引っ張っていかなくてはという向上心が生まれたのは大きな収穫だと思います。昨年までは下級生ということもあり、上級生に従おうという気持ちが大きかったのですが、今年からはそういった気持ちを無くして自分たちでチームを引っ張ろうという自覚が芽生えました。反省点は楽しすぎて身が入らなくなりそうな場面が練習であったので、オンとオフの切り替えをしっかりすれば、秋はさらに強くなると思います。

――最後に王座へ向けて意気込みをお願いします

昨年は出場できず、おととしは1回戦で負けてしまった王座なのですが、今年の春の成績は昨年とおととしに比べていいので今年は王座で大きな結果を残したいと思います。