インカレ(全日本学生選手権)まで、あと一週間を切った。今対談でお話を伺うのは、アグレッシブに攻め込み、チームに流れを引き寄せるFW井上燦(スポ4=福岡・玄界)と、攻守で安定したプレーを見せ、存在感を放つMF梅村雅子(人4=岐阜・可児)のお2人。共に4年生として臨む、最後のシーズンを振り返りながら、インカレに対する思いを語っていただいた。
※この取材は10月6日に行われたものです。
「チームワークが良くなった」(梅村)
今シーズンを振り返る梅村
――春のシーズンを振り返っていかがですか
梅村 個人的な話になってしまうんですけど、就活があったりだとか、教育実習があったりと練習がしっかり出来ない時期もあったりして、万全の状態で臨めなかったという点では心残りなところもあるんですけど、チームとしては駿河台大に0―0で引き分ける試合もあったので、いい滑り出しだったのかなと思います。
井上 チームとしてはケガだったり、教育実習だったりで全員が揃って試合が出来るのがほとんど無くて、全員で勝ちにいくという部分で欠けてしまっていたと思います。個人的には、4年間で1番得点を取れたんですけど、FWとしての連係プレーだったり、まだまだ課題があるので、そこは秋に向けてこれからも修正する必要があると思います。
――万全ではない中で順位を維持した要因はありますか
梅村 間違いなくチームワークが良くなったと思っていて、去年とは違って全員が本当に戦力として戦わなければならないので、去年とカラーが全然違うんですけど、一人一人が試合に出るという意識であったり、チームワークが良くなっているところが、順位を落とさずにいけた1つの要因かなと思います。
井上 チームワークがいい要因として、選手間でまんな話が出来るというのがあって、コミュニケーションを取りやすい環境を作れたところが良かったかなと思います。それで、全員が同じ方向を向いて、試合に向けて目標を統一してやっていけたというのが、人数が揃わない中でも勝てていけた要因かなと思います。
――去年の4年生がチームから抜けたことで変化はありましたか
梅村 小澤さん(眞帆、平29教卒)だったり、育未さん(瀧澤、平29スポ卒)だったりとかは、チームの支柱になる存在で、苦しくなった時に、その方たちにボールを集めたら、なんとかしてくれるところがあって、それはそれでやりやすかったのが、ことしは誰に集めたらいいとかは無くて厳しい部分もあるんですけど、その分全員がなんとかしなきゃいけないという危機感につながっていると思います。
井上 個人がレベルアップしなきゃという思いが高まって、総合力としては上がっているのかなと思います。ことしは違った攻め方や守り方になっているので、プレースタイルが変わりましたね。
梅村 ブランニューワセダみたいな感じ(笑)。
――お二方は4年生になられて、意識の変化はありましたか
梅村 プレーで引っ張るということは他のメンバーがやってくれることだったので、個人的には練習する時に盛り下がらないようにだとか、もともと笑わせるのが好きというところもあるんですけど、雰囲気を作るということを大事にしていて、真面目にやるんですけど、 明るく楽しくそういった雰囲気を大事にしていました。
井上 こうやって雰囲気を良くしてくれる子がいるので私はどちらかというと、FWの中では経験がある方だったので、出来るだけ伝えられることは後輩に伝えて、分からないことは汲み上げて、上級生で話し合う回数を増やすように意識しました。
――片柳陽加主将(スポ4=栃木・今市)の印象はいかがですか
梅村 日を追うごとにキャプテンらしくなっているというか、陽加で本当に良かったなと練習を重ねるごとに思うようになって、彼女のすごいところは気分の波が無いところで、どうしてもやっていると調子が悪いとか、盛り下がっちゃう時もあるんですけど、彼女は先頭に立つ人間として、どんだけ自分がうまくいかなくても、誰よりも声を出したり、一生懸命プレーしたり、そういったところは本当に人としてもすごいし、いいキャプテンだなと思っています。
井上 いろんな話をしやすいキャプテンかなと思います。それをチームに反映してチームが1つになっている感じがあるので、彼女の性格というか身の置き方というか、そういうのも良く影響しているのかなと思います。
――ことしの1年生の印象はいかがですか
梅村 とにかく仲はいいですね。関西出身が4人中3人いるので、めちゃくちゃ関西色が強くて、じゃれ合いの中で同期たちで言い合ってますね(笑)。いい子たちばっかりです。
井上 ホッケーが好きなんだなって思いますね。自分たちでお互い言い合ったり、こうしたらいいとかを言う姿をよく見たりするので、互いに高め合えているのかなと思います。
「すごく居心地がいい」
4年間を振り返る2人
――休日の過ごし方はいかがですか
梅村 午前中に部活は部活がありますね。12時半には練習が終わってるはずなのに、部室ですごいダラダラしちゃうことが多くて、家に帰ったら16時とか17時とかになってしまって。同期といると居心地がいい反面、ダラダラしてしまいますね(笑)。
井上 1年生の時からずっとそうだもんね。
梅村 あまりうまく休日を活用できない課題を残したまま4年生になってしまいましたね。(笑)
井上 気づいたら外が暗くなっててもう1日終わってる。みたいなね。
――丸1日練習がない日はどのように過ごしていますか
梅村 ユーチューブとかの動画を見てずっとゴロゴロしてます。それが至福の時なので(笑)。
井上 オンとオフは大事だよね。
梅村 そうだね。家から出ないです(笑)。
井上 私はアルバイトに行って、何もない日は家にいますね。ちょっと外に出たいなって日はウインドウショッピングしに行ったりはしますね。あとは普通の生活をしています(笑)。
――最近ハマっていることはありますか
井上 いろいろなスポーツを見るのが好きなので、本当なら現地に見に行ければ1番いいんですけど、なかなか自分の休みと合わないのでテレビで観戦したりしています。あとは、音楽鑑賞が好きなので、よく音楽を聴いています。
梅村 なんで具体的な名前出さないの(笑)。この人嵐がめっちゃ好きなんですよ。マツジュン(松本潤)が特に。
井上 という感じです。(笑)
梅村 私は、ポケモンGOにハマってます。
井上 それちょっと古いよ。時代の流れにのれてない(笑)。
一同 (笑)。
梅村 それにはエピソードがありまして。ポケモンGOが配信された時にみんながウワッと盛り上がった時に、偽アプリのポケモンGOGOGOっていうのを間違えて入れてしまって。そのアプリだと出てくるポケモンがちょっとずつブサイクになっていて。それでもう騙されたので絶対やらないって思っていたんですけど、2ヶ月前くらいにしびれを切らしてアプリを入れてしまいまして。頑張ってポケモンを採集しております(笑)。
井上 そこはアウトドアなんだね(笑)。
梅村 でも本当に最低限しか外に出ないので。最寄りの駅から家までの間ぐらいで(笑)。
――下級生の雰囲気についてはどう思われますか
井上 それぞれの学年ごとにカラーが全く違う気がします。それぞれの学年が全く違った特徴がありますね。
梅村 もし誰かが1つ下の学年だったり上の学年だったりしたら、そのカラーに合わないんだろうなっていうのはよく話してます。
井上 めっちゃ言うよね。(笑)
梅村 1人1人がそれぞれの学年のカラーに本当に合っていて、それが3学年で合わさってちょうどいい感じになっていますね。
井上 結果、いま1番いい感じに落ち着いてるよね。
梅村 下級生は本当にいい子たちばかりで、面白いし、何より可愛いです(笑)。
――同級生はどのような存在ですか
井上 にぎやかというかうるさい(笑)。
梅村 同期の中でもそれぞれの性格がいい感じにバランスが取れていて。ずっと喋ってるメンバーもいれば、笑って聞いてくれるメンバーや、つっこんでくれるメンバーもいて、すごく居心地がいいなって思います。
井上 それぞれがバランスが取れていて。居心地は本当にいいですね。
――チームで一推しの選手はいらっしゃいますか
梅村 自分が男だったら更彩(福井、法3=東京・早実)がいいなって思いますね。女としてはあんちゃん(的場朱音、教2=滋賀・伊吹)がいいですね。更彩は本当に可愛すぎて自分の腕に収めておきたいですね。あんちゃんは、マイペースな子なので時間にとらわれていない感じを一緒に味わいたいです(笑)。
井上 私は、性格がすごくいいなって思っているのはタッキー(瀧澤璃菜、スポ3=岩手・沼宮内)ですね。結構なんでも思ったことだったりをズバッと言ってくれるんですよ。それが上級生としてはとてもありがたいんです。下の学年だと先輩に言ったらまずいかなって遠慮しちゃうことも多いと思うんですけど、そこをタッキーはちゃんと言ってくれるので本当にいい子だなって思います。あとは、私生活で1番絡むというか、趣味が合うのが2年の高橋詩帆(スポ2=栃木・今市)なので、一緒にいたりとか、話したりっていうのは多いですね。
――あなたにとってホッケーとはどのような存在ですか
梅村 アナザースカイみたいなの来ましたね(笑)。
井上 最後に流れるやつね(笑)。
梅村 なんだろう、そんな大それたことは言えないんですけど。私にとっては「大学生活そのもの」ですね。同期と一緒に過ごした時間とかもそうですし、生活の中心がホッケーになっていて、それを4年間ずっと突っ走ってきたなと思うので、私の大学生活はホッケーなしでは語れないみたいな(笑)。もちろん辛いこともたくさんあったんですけど、多くの充実感を味あわせてくれたので、素晴らしい存在ですね。
井上 かっこいいこと言うね(笑)。私にとっては「転機」かなって思います。やっぱりホッケーに出会わなかったら出会わなかった人もたくさんいると思うし、いまのこの環境にもいないと思いますし。本当にいろいろな巡り合わせがあっていまここにいると思っているので、ホッケーに出会えたからこそいまの自分があると思っています。どこか1つが違っていただけでもいまの自分、井上燦っていうキャラクターも周りの環境が少しでも違ったら全く違うものになってしまっていたと思うので、ホッケーは私にとって転機と言いますか、本当にいろいろなきっかけを与えてくれた大切なものかなと思います。
「泥臭く粘り強く頑張りたい」(井上)
笑顔でインカレへの意気込みを語る井上
――全日本学生王座決定戦で4強の一角である立命大との対戦はいかがでしたか
井上 前よりも攻められましたね。いつもは基本的に守り重視で速攻で攻めることを強豪と戦うときに一貫してやって来たんですけど、相手が強くて攻める機会が少なくなっちゃって、得点を許して負けてしまうことが多かったんですけど、ことしの王座は前よりも増えていて、一発攻勢でたまたま抜けたとかでは無くて、自分たちでつなぎながらゴール前まで持っていけたケースもあって、その点が成長したところだったかなと感じています。
梅村 自分たちが攻めて相手の点数を抑えられたところが、次につながるという感触はありました。
――秋に向けて夏に重点的に取り組まれたことは何ですか
梅村 ランです。ラントレです。
井上 ことしからトレーニング専門のトレーナーさんが来てくださって、ランもそうですしウエイトトレーニングもきっちりメニューを組んで、いろいろと考えてくださってトレーニングをしているので、その点はすごく考えながら取り組んでいます。
梅村 他のチームと比べて選手層が厚い訳ではないので、限られたメンバーをフルで活用するためにも、走らなきゃいけないということだったので、走力に重点を置いて取り組みました。
井上 夏の合宿の最後の方で、格上の相手と戦う中では、前よりもきちんと走れていて、チーム全体として成果が出ていたと思います。
――インカレの目標はいかがですか
梅村 点を決めます。
井上 アシストも点も決めます。これで2点決まるので勝つと思います(笑)。チームとしては、ベスト4になると全日本選手権に出られて引退が延びるのでそこを目指して、ベスト4とは言わず優勝を目指して頑張りたいと思います。
――対戦校の印象はいかがですか
井上 1回戦目の相手の北大の情報がなにも無くて、パンフレットを見ても分からないので未知ですね。
梅村 もちろん油断は禁物だと思うんですけど、その先の相手は恐らく立命大でリベンジの機会になると思うので、確実に北大に勝ちきって流れを作って、臨めたらいいかなと思います。
――インカレのキーマンだと思う選手は誰ですか
井上 的場朱音と梅村だと思います。その2人は中盤なんですよ。まず的場はど真ん中にいるのでいわゆる心臓部分で、パスを回すとかで攻撃の起点になるという部分でも重要になるし、相手のキーマンも真ん中の部分になってボールを配ってくると思うので、そこのポジションが重要になってくるのが選んだ要因です。梅村を挙げたのは、梅村とのコンビネーションがうまくいけば、点も決まるし勝てると思っています(笑)。
梅村 私も燦はキーマンなのかなと思っていて、お世辞みたいになっちゃうんだけど(笑)。すごくアグレッシブな動きもしてくれて、それがチームにいい流れを持って来てくれて、他の人には出来ないプレーもするし、燦が点をバンバン決めてくれたら、それなりにチームも乗っていけると思います。あと陽加もキーマンだと思っていて、いつも普段から明るくしてくれるんですけど、勢いに乗ってくれるとそれが結果としてチームにいい流れを呼び寄せると思うので、キャプテンと攻撃の要の燦がキーマンかなと思います。
――ご自身の注目ポイントはいかがですか
井上 私はいままでもそうなんですけど、点数を決めてきた中で、きれいにヒットとかで決める選手は結構いると思うんですけど、自分はそういったタイプではなくて、泥臭く最後の最後まで粘り強くいくのが自分の強みだと思うので、そういったところを勝つためには必要になってくると思うので、泥臭く粘り強く頑張りたいと思います。
梅村 私はあまりキープが得意ではないので、素早くパスを散らします。あと、リーチがあるので相手がキープしてきた時に、ジャブとかを突いて体勢を崩させたり、1番見て欲しいのは、PC(ペナルティーコーナー)の時にタッチを決めて点数を取るので、見ていてください(笑)。
――最後になりますが、インカレへの意気込みをお願いします
梅村 私が一年生の時から4強を倒したことがないので、4強を倒して歴史に名を刻みたいと思います。
井上 ずっとチームとして勝つこともそうですし、個人としても点を決めるであったり、1つ1つの結果を求めていくことが、チームとしても個人としても上を目指すには重要になってくると思うので、結果を重要視して、頑張っていけたらいいかなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 成瀬允、涌井統矢)
意気込みを力強く書いてくださいました!
◆井上燦(いのうえ・きらら)(※写真左)
1995年(平7)5月26日生まれ。身長157センチ。福岡・玄界高出身。スポーツ科学部4年。ポジションはFW。背番号は9番。休日にはウインドウショッピングや音楽鑑賞でリフレッシュする井上選手。グラウンドでは、最後の最後まで諦めないタフな姿から目が離せません!
◆梅村雅子(うめむら・まさこ)(※写真右)
1995年(平7)5月10日生まれ。身長165センチ。岐阜・可児高出身。人間科学部4年。ポジションはMF。背番号18番。最近はポケモンGOにハマり、ポケモン採集を楽しむ梅村選手。夏に鍛えた走力を武器に、インカレでは得点を量産しチームを勝利に導いてくれるでしょう!