2017年春、8人の新入生が早大ホッケー部の門を叩いた。様々な経歴をもち、様々な入試形態で入学した1年生。今回はFW清水拓登(スポ1=滋賀・伊吹)、MF山下翼(スポ1=滋賀・伊吹)、MF南家未来(教1=京都・立命館)、MF門阪玲(法1=和歌山・田辺)の4人に話をうかがった。早大の一員として戦ってきた半年と、初めて迎える全日本大学選手権(インカレ)を前に何を思うのだろうか。
※この取材は10月4日に行われたものです。
「高いレベルでプレー」(山下)
丁寧に受け答えをする山下
――早大を進学先に選んだ理由はなんでしょうか
清水 最初立命(立命大)とこっち(ワセダ)で迷っていて、立命やったらホッケーをめちゃくちゃ頑張ろうと思っていて、こっちでも頑張らんって訳ではないんですけど(笑)。こっちやったら勉強もできるし、と思って迷ってました。そしたらスポ推もらえるって話になったのでワセダのことを調べたら勉強する内容もホッケーもいいなと思ったのでワセダに決めました。
山下 僕は高1のときからワセダを志望していて、宮口主将(和樹、スポ4=滋賀・伊吹)と山本先輩(健悟、社2=滋賀・伊吹)がワセダに入ったことで僕も一緒に高いレベルでプレーできたらいいなと思っていました。あと将来はスポーツ関係の仕事をしたいと思っているのでスポーツについて学べるスポーツ科学部に入学しました。
門阪 私は指定校推薦で入ったんですけど、ワセダに指定校推薦で入ってホッケーを4年間やった高校のOGから話を聞いて、私もそこでホッケーを続けて、就職もいいから勉強も頑張ろうと思って入りました。
南家 (高校まで)立命に行ってたんですけど、小学校からずっと立命で、受験とか経験しないまま社会に出るのはぬるいんちゃうかなと思って(笑)。
一同 (笑)。
南家 あと東京に行きたかったっていうのと、ワセダっていうブランドに惹かれました。
――実際、ワセダに入学してみて、特に学生生活についていかがですか
清水 勉強は結構大変だと思ってたんですけど、思ったより大変でもないかな、と(笑)。スポーツ科学部だからっていうのもあるかもしれないんですけど、意外と思っていたより辛くないです。春も両立はできたかなと思います。あと紺碧寮に入っているのと、キャンパスでも授業が一緒の人たちと話すので友達もたくさんできました。結構楽しいです。
――クラスにトップレベルの選手もいますか
清水 そうですね。トップアスリート入試で入った人もいるので刺激になります。
――山下選手はいかがでしょうか
山下 僕も拓登と同じなんですけど、大学は高校と断然レベルが違うと思ってました。ですが高校と同じように真面目に頑張れば単位を落とさずに済むことがわかったので、勉強との両立はこのまま続けていきたいと思います。友達は拓登と同じクラスなんでそのつながりで。
清水 実はそうなんですよ。
門阪、南家 聞いてなかった(笑)。
一同 (笑)。
山下 あとは紺碧寮で同じクラスの人もいるし、各都道府県から来た友達もいて、いい刺激になっています。
――門阪選手は特に勉強面についていかがですか
門阪 まず私の高校から関東に出てきている人が2桁もいないくらいで本当に少なくて、自分の学年でワセダにいるのも指定校推薦の2人だけで。友達はそんなに多くないんですけど少しいて(笑)。勉強はすごく大変で、周りに部活している人もいないんで、みんな学校終わったらサークルとかバイトとかで全然予定も合わないですし、思ったよりも大変でした。
――福井更彩選手(法3=東京・早実)と情報交換はしていますか
門阪 そうですね。どの先生がいいよっていうのは全部先輩から教えてもらっています。
――法学部を選んだ理由は
門阪 指定校推薦の枠が法学部と文学部と人間科学部で、キャンパスがそれぞれ違うじゃないですか。さっき未来も言っていたんですけど一番都会的なところに憧れて法学部を選んでしまいました(笑)。
一同 (笑)。
門阪 法学部か文学部だったんですよ。でも文学部は人気で。
南家 人科はすぐ消えたんやな(笑)。
門阪 消えましたね(笑)。
清水 軽いな(笑)。
――南家選手はいかがでしょうか
南家 教育学部もそんなに勉強はしんどくなくて、1番やばいなと思ったのは英語の授業でした。いきなり小テストがあって、受験勉強をしていないから単語も全然勉強してないんですよ。それで隣の人と交換しましょうってなったときに30点中3点になっちゃって、8~9割取れたらいいよねって先生に言われて、「教育学部やばいな」ってなりました。英語のテキストとか買ったんですけどそれも1週間くらいでやめてしまって(笑)。今の悩みは英語だけです(笑)。
一同 (笑)。
南家 友達は最初にできた友達がワセダの系属校出身の2人で、その流れで系属の子しか仲良くなれなくて、部活やってる子も少ないですし、学校では狭く深くって感じです。寮には1年生がめっちゃ入ってきたんでたくさんできました。
「体力は鍛えられた」(南家)
終始和やかな雰囲気で対談は進んだ
――ではワセダのホッケー部に入学してみていかがですか
清水 最初に体験で9月に来たんですけど、そのときは先輩たちが優しくて練習の雰囲気も良かったと思いました。実際に入ってみてその通りだったのでよかったです。オンとオフの切り替えがきちんとしていて、そこもいいなと思いました。
南家 体験で来てみて、すごいガタイのいい人たちばっかりなんかなと思ったらみんな細くて、「これはウエイトトレーニングとかあんまやらへん感じか」って思ってちょっと嬉しかったんですけど、入ってみたらゴリゴリウエイトトレーニングやってて、私たち全然上げられないんですよ(笑)。
一同 (笑)。
南家 それでみんな細マッチョなんやなって思いました。あと走り込みもそんなやばくないって聞いてたんですけど、小黒さんってトレーナーさんがことしから練習を見てくださっていて、小黒さんの考えたラントレがやばすぎて。高校でラントレは終わると思ってたんですけど大学でも苦しめられています。
――イメージと違う部分が多かったんですね
南家 いや、でも先輩は安定というか、普通に優しいです(笑)。でも体力は鍛えられましたね。
――では、お2人はいかがでしょうか
山下 そうですね、寮はホッケー部だけじゃなくていろんな部活の人がいるので気軽に接してくれてアットホームな感じです。寮に馴染むのは早いなと思いました。あとホッケー部は個性が強い人ばっかりなので、毎日笑って楽しく過ごさせてもらってます(笑)。
一同 (笑)。
門阪 さっき言ったんですけど、OGの方が「すごく楽しい4年間だったよ」って言っていたんで、体験も何も行かなかったんですけど、学年関係なしに仲いいなって思いました。でもうまい人ばっかりでびっくりしました。あと自分は小さい高校だったんでウエイトとかラントレとかは何にもしてなくて、始めは全然ついていけなくて、今も全然ついていけてないんですけど、先輩はみんな弱音を吐かずに上げるし、ラントレもすごく速くて、それが当たり前だって思っているところにびっくりしました。でもイメージの「楽しい」ってところはあんまり変わってないです。楽しいです。
――高校と大学の練習を比較してみていかがですか
清水 高校はたくさんやってたくさん走って、って感じで。
山下 量ばっかやな。
清水 そうそう。別に効率が悪かったとかそういう訳ではないんですけど、大学入ってみて大学の方が自分で課題をしっかりあげて、それにむけてちゃんと全員でやっているところは効率がいいなと思いました。
山下 高校には顧問の先生がいて、その先生が考えたメニューをやっていたんですけど、大学は顧問の先生がいないのでチーム全体が課題を出して、それを解決するために各学年で1つずつ曜日で練習を考える方法を取っています。選手自身で考えた練習だとチームのどこが足りてないかがすぐ分かるので、そういう練習を行っているところが高校と違うと感じました。
門阪 同じようなことになるんですけど、高校のときは私も顧問の先生がいて、いけいけどんどんみたいな感じだったんですけど、大学入って、ミスが起こったら「今のはこうだった」とか「私がこっち動く」とかの話し合いを怠らずにきっちりやるところですね。さっきも言ったんですけど、チームで学年関係なしに意見を出し合えるところが大学にはあるなって思ってびっくりしました。
南家 私も一緒で、話し合うってことが1回1回、後回しにするんじゃなくてその場で話し合うっていうのが大学ではあって、あとは量より質ってところですかね。
「レベルの差を感じた」(清水)
今シーズンを振り返る清水
――春季リーグ戦を経験していかがですか
清水 高校のときは試合はトーナメントが多くて、1回負けたらおしまい、って感じだったんですけど大学はリーグ戦で、長い期間試合があるので、今までと違って新鮮でした。あと高校のときは近畿でも結構上のレベルだったんで、格上と戦うことが少なかったんですけど、こっちにくると他の大学のレベルも高くてうまい人とかいっぱいいるし、4年生までいるんでうまい人に合える機会も結構あります。レベルの差を感じられてよかったなって思います。
南家 駿河台大とか立命とか相手にそんな大差で負けることもなく、駿河台大戦は陽加さん(片柳、スポ4=栃木・今市)が途中で運ばれたり、朱音さん(的場、教2=滋賀・伊吹)がけがをしたりしてて出てなかったんですけど、その中でも耐えられていたので自信につながって、秋リーグに突入していってます。なので前半戦はいい雰囲気で終えられたかなと思います。あと拓登くんも言ってたんですけど、今まで1番離れてても1年と3年やったんで、その1個上のスター選手ぞろいの学年と実際に試合できるっていうのが嬉しかったです。
門阪 早関(交流)戦のフレンドリーマッチがあったんですけど、4年生が抜けて新人戦みたいな形でやったんですけど全然うまくいかなくて。4年生さんは普段から声出しが大きくて、明るくて元気なんですけど、4年生さんが抜けたときにすごい静かになって、自分1年生なんですけど、1年も声出さないといけないのにわかんない状態で先輩に何も聞けなくてぐだぐだで終わってしまったんです。そのときに4年生の存在感を感じました。もうすぐインカレで終わってしまうじゃないですか。それまでに自分たち後輩も存在感出していかないといけないなと思いました。
山下 高校のときは個人技で、ドリブルで(相手を)抜いてシュートとかでも簡単に点が取れたりしたんですけど、大学は個人だけだと厳しいので、強いチームは個もあるんですけど組織でくるので、組織的なホッケーが大学の特色で高校との違いかな、と思いました。
――インカレの組み合わせについてはいかがでしょうか
清水 1回戦を突破したら2回戦で天理大。やばいですね。
一同 (笑)。
山下 天理に勝てたら4強は多分手が届く範囲だと思うんですけど、夏合宿で天理とやって力の差を感じたので、そこをいかにインカレまで修正するかが大事だと思います。
清水 そんな感じです。
一同 (笑)。
――女子の組み合わせはいかがでしょうか
南家 未来的には「よっしゃ!」って思ったんやけど
門阪 (1回戦を突破したら2回戦の対戦相手が)立命?
南家 うん。なんか天理大とか東海学院大と当たるよりも、王座の結果もあるので立命の方がまだ戦える気がして…。いや、立命もめっちゃ強いんですけどリベンジの機会ができたから。
門阪 王座は雨やったからかもしれへんけど。
南家 でもなんかすごい悔しくて、リベンジって気持ちで挑めるんで楽しみ感があります。
――インカレのキープレーヤーとなる選手は誰だと思いますか
南家 稲田くるみさん(スポ4=佐賀・東明館)です。今練習してても、責任感あるプレーというか、ボールに対する執着心がすごいのと、何としてでも最後打って終わろうとするところです。ドリブルでDFを抜いている場面も多く見ていて、最近技術がさらに上がってはるなって思います。
門阪 私はFWの燦さん(井上、スポ4=福岡・玄界)だと思います。全国大会なので攻められる場面が多いと思うんですけど、燦さんはボールが線出るまでずっと追いかけてて、最後まで諦めないプレーとかが目立ってて。あと天理合宿に行ったんですけど、そこでも少しのチャンスを狙って、いい場面でアシストしたり決めたりしてくださったので、インカレでも少ないチャンスを生かしてチームの勝利に貢献してくださるかな、と思います。何かやってくださりそうです。
山下 僕は是澤さん(勇志、文4=東京・早大学院)がキープレーヤーだと思います。是澤さんはポジションで言うとスイーパーなんですけど、スイーパーは扇の要と言われるほど大事なところなんで、強豪と戦うときはすごい攻められるんですけど、是澤さんの守備がリーグ戦でも光っていました。なので守備とストロークでチームが大きく左右されると思います。
清水 俺は糸賀さん(俊哉、スポ3=島根・横田)です。リーグ戦でもFWっぽいというか、糸賀さんに渡しておけばなんとか点を取ってくれるかな、ってすごく頼りになります。シュートを打つのも速くて相手もその一瞬の隙でやられると思うので、インカレのときもそんなにチャンスは多くないんですけど、糸賀さんなら決めてくれるかなと思います。
――個人としての目標はありますか
清水 王座に出られなかったので、全国大会はインカレが初めてなので、変わることもそんなにないと思うんですけど大学の全国の試合やし感じることはあります。あとは点を取りたいです。
――感じること、というのは
清水 レベルが違うのは分かってるんですけど、やってみんと分からんこともめっちゃ近くで見んと分からんうまい人も、いろいろあると思うんで、試合に出てみて細かいところまで見えたらいいなと思います。
――みなさんはいかがでしょうか
山下 王座には出られなくて、大学で初めての全国大会なのでとりあえず勝つのは大事ですけど、1年生なのでビビらず、大会の雰囲気に飲まれずいかに試合に臨めるか、とか試合を楽しめるかが大事になってくると思います。なので僕は試合を一生懸命楽しみます。
門阪 さっきも言ったんですけど、4年生さんとできる最後の大会になるんで、普段から指示の声とか自分が出せとかよく言われるんで、1年生やからって遠慮せずにもっと試合の中で自分が指示の声を出せるように、意識していきたいです。あと4年生さんをサポートできるように一生懸命走ります。
南家 パスとドリブルの判断がまだまだ甘いので、散らすときはちゃんと散らして、勝負のときはちゃんと勝負して、しっかりPC(ペナルティコーナー)かシュートを打つまで行きたいです。あとはDFでしっかり足を動かしてついていって、ペアで(ボールを)取り切ることと、1年生なんでフレッシュさを出して存在感を出していきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 榎本透子、成瀬允)
◆山下翼(やました・つばさ)(※写真右)
1998年(平10)9月21日生まれ。身長165センチ、体重56キロ。滋賀・伊吹高出身。スポーツ科学部1年。ポジションはMF。背番号は7番。記者の質問に対し終始丁寧に、真面目に答えてくださった山下選手。緊張していたのか作戦の話をしてしまう場面も。グラウンドで見せる『圧倒』的なプレーに期待が高まります!
◆清水拓登(しみず・ひろと)(※写真中央右)
1998年(平10)8月17日生まれ。身長177センチ、体重70キロ。滋賀・伊吹高出身。スポーツ科学部1年。ポジションはFW。背番号は3番。春季リーグ戦からスタメンとして活躍している清水選手。質問にも率先して答えてくださいました。インカレでも最前線で、ゴールを量産する姿が見られることでしょう!
◆南家未来(なんげ・みらい)(※写真左)
1998年(平10)12月31日生まれ。身長160センチ。京都・立命館高出身。教育学部1年。ポジションはMF。背番号は10番。関西弁での受け答えがチャーミングな南家選手。明るい笑顔で場を盛り上げてくださいました。フィールドで見せる真剣な表情とのギャップは必見です!
◆門阪玲(かどさか・れい)(※写真中央左)
1999年(平11)1月28日生まれ。身長161センチ。和歌山・田辺高出身。法学部1年。ポジションはMF。背番号は15番。指定校推薦で法学部に入学し、日夜文武両道に励む門阪選手。試験前はやはり苦労が絶えないそうです。1年生ならではのフレッシュで『自信』を持ったプレーが楽しみです!