こぼれ落ちた勝ち点――悔しい開幕2連敗を喫す

男子ホッケー

 東京・駒沢第一球技場。かつて東京五輪の会場となったこの地で、関東学生秋季リーグ戦第2戦が行われた。対するは関東学生春季リーグ戦で2位となった明大。早大はここで勝たなければ上位トーナメントへの出場が厳しくなってしまう。4年生にとっては最後のリーグ戦となるこの試合、春季リーグの雪辱を果たすべく強豪に挑んだ。試合は1点を争う接戦となる。しかし最後まで守り切ることができず、白星をあげることは叶わなかった。

 早大は開始からMF宮口和樹主将(スポ4=滋賀・伊吹)を中心に積極的に攻め込む。先制点は射程圏内のはずだった。しかし前半12分、サークル内の度重なる速攻をしのぎ切れず先制を許す。試合は早くも明大を追いかける展開となった。駒沢第一球技場は、早大を始め多くの会場が採用しているウォーターベースのグラウンドではなく、クレイベースのグラウンドだ。予想外の方向に跳ねるボールを前にコントロールに苦戦する場面もみられた。20分には1度目、22分には2度目のペナルティコーナー(PC)を獲得したが、いずれも明大の守備に阻まれネットを揺らすことはできない。得点のチャンスは早大が上回っていた。しかしチャンスにとどまったまま前半を折り返す。

シュートを決めた是澤と祝福する選手たち

 30度近い猛暑の中、早大の正念場である後半を迎える。早々にPCを献上するも、GK山本健悟(社2=滋賀・伊吹)の好守でピンチを回避。試合をどうにか振り出しに戻したい、この局面で試合を動かしたのはラストイヤーを戦う4年生だった。後半3分、早大3度目のPCを得点へと変えたのはDF是澤勇志(文4=東京・早大学院)。「たまたまだった」と控えめに口にしたが、貴重な1点をチームにもたらした。直後に3度PCを奪取されるがゴールを守り抜き、あとは追加点をあげるだけ。その矢先だった。22分、一瞬の隙を突かれ、勝ち越しを許してしまう。追いつきたい早大は奮闘するも34分にGK不在のゴールに滑り込まれ、3失点。うだるような暑さの駒沢に、無情なブザーの音が響いた。

山本の好守でピンチを回避

 「ここで成長をやめるのではなく、もっと上を目指す練習を」。宮口主将はこみ上げる悔しさを断ち切るように語った。開幕2連敗を喫してしまった今、上位トーナメント進出は確かに厳しい。また、次戦は1か月後と、時間が空いてしまった。しかし、諦めるのはまだ早い。最後まで早大らしいホッケーを、少数精鋭で戦い抜く姿を、1か月後、東伏見で見せてくれるだろう。

(記事 榎本透子、写真 成瀬允)

関東学生秋季リーグ
早大 0-1
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明大
コメント

原聡監督(昭59年卒)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

上位にいくために勝ちたい試合だったので、悔しいです。

――前戦から1週間という短い期間でしたが、対策されたことはありますか

先週の試合を振り返ると、スコアからみても後半に崩れてしまったことが問題点で、上位チームにもしっかりと戦えることが分かったので、後半に出来るプレーと出来ないプレーがあって、やるべきプレーとやってはいけないプレーを確認しました。

――後半に粘れた要因は

先週も選手が考えたのですが、前戦はやられたというよりも自分達が崩れてしまったところがあったのですが、それに比べると、きょうはリードさせて後半を迎えたので、なんとか1点を取らなくてはというところから、後半も前半と同じ様なゲームが出来たのかなと思います。

――得点を1点に抑えられた要因はいかがですか

先週は思う様にはまって点を取ることが出来たというところがあるので、チャンスの数は同じ様なもので、その中で強いチームと戦う時に、互角になかなか攻めることが出来ないので、少ないチャンスを増やしていかなければならないと思います。

――駒沢第一球技場が試合会場でしたが

このグラウンドは昔、東京オリンピックの時の試合会場で、ホッケーの中心地だったのですが、近年は他の競技で使われる様になっていましたが、また東京オリンピックに向けて改めてホッケーグラウンドになりました。東伏見のグラウンドとは違い、水の代わりに砂をまいてコンディションを作るグラウンドなので、ボールが跳ねて早大も明大も取り損なう場面があり、両者とも同じ条件の中でどういうプレーをするかが求められる試合だったと思います。

――GKの好守がみられました

3点取られたけども連携のプレーの結果なので、キーパーは守ったけども早大のディフェンスを上回る相手の動きもありました。一方でファインプレーも多く1プレーヤーとしては、非常に頑張っていると思いますが、試合に勝つというと、もう1本、2本、ファインプレーを期待しています。

――次戦の意気込みをお願いします

序盤の2戦で恐らく上位になるチームと戦い、1点差ぐらいの勝負をしていますから、そこをなんとかひっくり返すということと、リーグ戦では残念ながら下位のほうですけれども、春は最後に負けてしまっているので、下位の中では1番になるということ。もう1つ、インカレという挽回するチャンスがあるので、そこに向けて出来ていることは伸ばして、出来ていないことは改善して、臨んでいきたいと思います。

MF宮口和樹主将(スポ4=滋賀・伊吹)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

先週東農大に負けてしまい、きょうは勝つしかないということで、チーム全体で勝利に向かって1週間練習をしてきたのですが、結果負けてしまったということで、非常に悔しい試合だったと感じています。

――明大への対策はありましたか

対策というよりかは、自分達の課題である後半の戦い方をもう一度見直して、後半どうやって戦ったら良いのかを話し合って、それをきょう試したつもりだったのですが、いつもと芝が違う慣れない環境ということもあり、思うように自分達のペースで試合が出来なかったと反省しています。

――駒沢第一競技場でのやりづらさは感じましたか

この夏、僕たちが練習してきたペナルティーコーナーがこの芝だと上手くできなかったのですが、秋の早慶戦もこのグラウンドでやることになるので、慣れないといけないと思いました。

――後半に粘れた要因は

この1週間ディフェンスメインで練習をしてきていたので、後ろはしっかりと安定していたのかなと思います。その分フォワードがもう少し点を取っていてくれたら、きょうは勝てたんじゃないかなと思います。

――次戦は1ヶ月程先になりますが、意気込みをお願いします

次は駿河台大が相手になるのですが、それ以降も順位決定戦やインカレ、早慶戦と続きますので、ここで成長をやめるのではなく、もっと上を目指すための練習を重ねて、チーム全体でいい雰囲気作りをしていきたいと思います。

DF是澤勇志(文4=東京・早大学院)

――今試合を振り返って

ボールが跳ねてやりづらいグラウンドで、細かいパスが両チームとも使えない状況だったので、実力的に上回る明大のほうが嫌だったのではないかと思います。なので頑張って勝ち切りたかったんですけどこういう結果になってしまって残念です。

――普段と違うコンディションのグラウンドでしたが、どこにやりづらさを感じましたか

砂のせいなのかわからないですけど、ボールが途中から跳ねだすんですよ。なので中盤のパスとか、明大も上手な選手が集まっているにもかかわらずミスが多かったですし、こっちとしても極力中盤には当てないように試合をやっていました。

――DF陣の動きについてはいかがでしたか

前回はボールを極力後ろで回して自分たちがボールを持っている時間を増やそうとしていたんですけど、今回は縦に打つなりスクープを飛ばすなりして、極力相手の陣地で試合をしようと心がけていました。なのでDFは前回よりはやることが単純でやりやすかったかなと思います。

――今週、明大戦に向けてどのような対策をしてきましたか

東農大戦で、最後は下のヒット一辺倒になってしまったのでスクープの練習をしました。うちは強いスクープが打てるのは中嶋(DF錬、スポ2=島根・横田)くらいなんですけど、みんな打てるようにならないとこの先戦っていけないということで練習をしていたので、斎藤(DF湧大、スポ2=栃木・今市)もきょうは結構スクープをとばせていて、成果が出たかなという感じです。

――得点シーンを振り返っていかがですか

たまたまですね(笑)。ハーフタイムに「真ん中にボールを出していたら攻めようがない」ということで僕に出して、そこからヒットで狙おうということになりました。最初のトラップから焦ってて、僕的にはリバウンド狙いのつもりだったんですけど打ったら入ったっていう感じです。

――両チームともトラップからそのままシュートする場面が多くみられましたが

そうですね。出したボールも跳ねちゃってなかなか止まらないので、相手も最後のほうはずっとそんな感じだったかな、と。悪いグラウンドだと大体どのチームもこうなりますね。

――後半、粘れていた要因は

相手が後ろで回して中盤に当てて、っていうホッケーをしていて、そこのこぼれ球をうちの中盤が頑張って拾ってくれたりしてましたし、縦につながれてもきょうは湯本(DF修嗣、政経2=東京・早大学院)や他のDF陣が粘ってくれたのでいい試合展開ができたと思います。

――1か月近く先になりますが、次戦への意気込みをお願いします

結構間が空いちゃいますし、もうなかなか上のグループに進むには他力本願になってしまうので、1か月間きつい時間が続くと思うんですけど、その試合から最後のインカレまでは試合続きなので、駿河台大戦で勢いをつけられるように頑張ります。