春季関東学生リーグ(春季リーグ)、全日本大学王座決定戦では苦杯を舐めた早大ホッケー部。その雪辱を果たすため、課題の克服を中心に厳しい練習を重ねている。くしくも最高気温が37度を超え、この夏屈指の猛暑となったこの日。ホッケー部は照りつける太陽にも負けないくらいの熱い練習に打ち込んでいた。リーグ戦のない夏の間、どのように力を蓄えているのか。秘密に迫る。
(記事 榎本透子)
★体力向上で順位の向上を目指す
練習の合間での集合は欠かせない
男子部の課題は『体力の向上』。春季関東学生リーグで70分間走り勝つ力が不足していたため、今夏は体力づくりに励んでいる。この日の気温は37度。灼熱の太陽が照りつける中、練習が行われた。午前は6kmランニングでウォーミングアップをしたあと、体幹やストローク,パスなどの基本的な練習を丁寧にこなしていく。午後は午前と同じ基礎トレーニングをしたあと、FWとDFによる1対1,2対2の練習で、ゴール前での攻防が繰り広げられた。その後はハーフコートで6対6のミニゲームが行われる。練習だからといって決して妥協は許されない。実際の試合を想定させる白熱したゲームが繰り広げられた。激しい競り合いと繊細なスティックさばき。ホッケーの魅力ともいえるこれらの技術は、地道な練習の積み重ねにより磨かれていた。
普段の練習では監督が不在であるため、練習メニューは4年生が一日一日決めている。「自分たちで考えて練習しなくちゃいけないので、勝ちたかったら妥協したり甘えたりしてはいけない。ここぞというときに力を発揮できないと勝つことはできないので、しんどいときこそ声を出して追い込もうという話はしています」(FW宮崎俊哉男子主将、スポ4=福井・丹生)。春季リーグを5位,全日本大学王座決定戦では初戦敗退と苦杯をなめた選手たち。悔しい気持ちがあるからこそ、チーム一丸となって厳しい練習を乗り越えているに違いない。体力,技術そしてチーム力を夏の間に向上させ、秋季関東学生リーグ(秋季リーグ)と全日本学生選手権で早大の名をとどろかしてみせる。
(記事 中村ちひろ、写真 大森葵)
★得点力を上げ、秋の陣に挑む
実戦的な練習で得点力を強化する
午前中から強い日差しが照り付けるなか、女子ホッケー部の練習は始まる。平日には監督が不在であることも多いため、4年生を中心に考えたメニューをこなしていく。MF小澤眞帆女子主将(教4=埼玉・飯能)らが後輩たちにアドバイスを送りながら練習が進められていた。練習中には4年生を中心に声掛けが積極的に行われ、基本的な動作を確認。徐々に練習が基礎練習から実践的な練習へと近づいていく。「(高校時代の練習と比べて)対人練習が多い」(高橋詩帆、スポ1=栃木・今市)。同じポジションでプレーする南有紗選手(スポ3=埼玉・飯能)の動きなど学ぶことが多いと言う。
午後練習ではポジション練習なども行われ、より細かな連携などを確認した。DF陣はペナルティコーナーを繰り返し練習。チャンスに備える準備をぬかりなく行っている。常にゴールにはGK陣が構え、本番さながらの雰囲気のなか行われた。最後に行われたミニゲームではDF片倉優季(スポ1=山形・米沢商)ら1年生が活躍する姿も見られた。「得点力を上げるという練習をしていきたい」と語る小澤。春季リーグでの課題を克服し、秋季リーグではさらに順位を上げたいところだ。
(記事 杉野利恵、写真 喜柳純平)
コメント
FW宮崎俊哉男子主将(スポ4=福井・丹生)
――練習メニューは誰が主体となって決めているのですか
今は2部練期間で1週間あるので、4年生が1日1日決めています。今日は副キャプテンが決めました。1人ずつ分担して、偏りがないようにしています。基本は体力強化とベーシックトレーニング、暑さ対策やメンタル強化を意識しています。
――力を入れていることは
春季リーグの反省として、70分走る体力がなかったことがあげられるので、秋に向けて克服できるように体力の向上を中心に頑張っています。
――練習メニューを自分たちで決めるのは大変ですか
高校までは監督がいて、監督が考えたメニューで練習していたんですけど、ワセダはそうじゃなくて、自分たちで考えて練習しなくちゃいけないので、勝ちたかったら妥協したり甘えたりしてはいけないですし、ここぞというときに力を発揮できないと勝つことはできないので、しんどいときこそ声を出して追い込もう、という話はしています。よりつらい練習をするように心がけています。
――練習後のミーティングではどのような話をされていますか
春季リーグが終わって、秋季リーグが始まる前にやる1番初めの練習試合が明日あるんですけど、春シーズンで浮き彫りになった課題を確認し、選手同士でコミュニケーションもとってメンタル面で負けないように、追い込もうという話をしました。
――練習の最後に行っていたコート半面のミニゲームはオールコートの試合にどう生かしていますか
コートは半分なんですけど、サークルの大きさはオールコートと一緒で、サークル付近での1対1とか2対1やサークル付近でのシューティングの技術とかは試合で重要になってくるので、より多く練習できるようにハーフコートでやっています。
――夏休みの練習は普段とどう違いますか
午前中やることで暑さも違いますし、何より授業期間は全員がそろうことがないので、夏休みや土日といった全員がそろって練習できる日はチームにとって重要だと思いますし、コミュニケーションもとれて、有意義な練習になります。
GK山本健悟(社1=滋賀・伊吹)
――高校の練習と大学に入ってからの練習に違いはありますか
高校のときはメニューを先生が考えていましたたが、大学ではキャプテンを中心にメニューを考えてくれてキーパーの練習なども増えているので、きつい練習であっても上手くなっていると感じています。
――普段の練習と長期休暇中の練習での違いはありますか
大きな違いはランニングトレーニングが入ったことです。普段の練習はホッケー中心ですが体力•精神面を鍛えるということでラントレを入れています。
――秋季リーグに向けて強化していきたいことはありますか。
自分は下に打ってくる球に対してまだ反応が遅いので足の出し方を中心に夏から秋にかけて強化したいと思っています。
――GKというポジションでは他の選手とは違って特別な練習をこなしているのですか
GKは防具をつけて球を足で蹴ってクリアする練習、球を投げてもらいそれに反応する練習など他の選手が行っているパス練習とは違うことを行っています。
――GKはずっと守っているということで大変ではないですか
GKはフィールドの選手より走る距離も短いので、味方が疲れているときに自分が危険な場面で対処することは当たり前ですしまたそれがGKの見せ場だと考えています。
MF小澤眞帆女子主将(教4=埼玉・飯能)
――きょうの練習はチームとしていかがでしたか
まだ練習してが始まったばかりだったので、まず暑さに慣れるために1日練習をして、午前中は基礎を中心にやっていました。午後は、ことしは春のリーグで得点を取ることができなかったので、得点を取る練習を中心にやりました。
――この夏のテーマはありますか
やはり得点力を上げるという練習をしていきたいと思っています。
――普段の練習と夏の練習はどのような違いがありますか
授業で人が集まらない時も多いのですが、夏は人数が多い中で練習ができるので、色んなメニューができたり、普段試合で組む人と練習ができることが良い点だなと思います。
――練習メニューはみなさんで考えているのですか
そうですね。4年生中心に考えて、下級生にはやりたいことがあれば言ってもらうという感じで考えています。
――監督は普段は練習には来られないのですね
そうですね。土日に来てくださる感じです。
GK高橋詩帆(スポ1=栃木・今市)
――夏休みの練習には慣れてきましたか
地元(栃木)よりも午前中から日差しが強くて暑いですが、慣れてきました。
――高校の時とどのようなところに練習の違いを感じますか
練習中に先輩方がアドバイスをくださったり、高校の時は基礎的な練習が多くあったのですが、大学では対人の練習が多いなと思います。試合の実践に近い形が多くあって、すごくいいなと思います。
――普段の練習から心がけられていることはありますか
なるべく試合と同じようなモチベーションでシュート練などもゴールの位置を確認して、相手の動きを予測して動くようにしています。
――高橋選手自身のこの夏の目標はありますか
この夏の目標は対人の練習が苦手なので、ディフェンスとの連携をたくさんとって、本番で失点しないように日頃から努力を積み重ねていきたいです。
――同じポジションの先輩に南有紗選手(スポ3=埼玉・飯能)がいますが、なにか学ぶことはありますか
全部学んでいて、一つ一つの動きがすごく上手だなと感じていて、練習中なども飛び出すタイミングなどが上手いので、いっぱい見て自分のやる番になったらやろうと思っています。
――大学での目標を教えてください
山梨学院大や駿河台大など強いチームがいるので、そういうところにも勝って、カットエースとか取っていけたらいいかなと思います。