激戦を制し王座出場権を奪取!早大ホッケーの神髄を見せる

男子ホッケー

 もう後がない――。5位以内に与えられる全日本大学王座決定戦(王座)の出場権。早大は最後の1枠をかけて駿河台大学との5位決定戦に臨んだ。開幕戦と同カードとなった今試合。両チームの意地がぶつかり合う中、相手の機先を制したのは早大だった。駿河台大も勝利への執念で得点を重ねるが、今一歩及ばず、勝ち星を手にしたのは早大。6月末に関西で行われる王座への出場を決めた。

 勝敗で明暗がはっきりと分かれる今試合。試合開始から両チームとも気迫あふれる激しい戦いを繰り広げた。先制点を獲得し勢いに乗りたい早大はチャンスを膠着(こうちゃく)した状況を打破したのは早大だった。22分、ペナルティコーナー(PC)後の混戦をFW宮崎俊哉主将(スポ4=福井・丹生)が制す。その後も攻撃の手を緩めず、追加点を奪取するように思われた。しかし31分、相手にPCを許すと、ボールはディフェンスの間をすり抜ける。振り出しに戻った試合。「1-1で折り返したら後半にやられてしまう」と、チームの流れを取り戻したのはFW関修平(商2=東京・早大学院)だった。終了間際の34分、関の放ったボールがゴールネットを揺らし、勝ち越しに成功。2-1で前半を折り返す。

勝ち越しの点を決めガッツポーズを見せる関

 変わって後半、早大の猛攻が始まる。開始早々にPCから3点目を獲得すると、さらにその5分後にはMF岸本昌樹(教4=鳥取・八頭)がゴール前の混戦を押し込み、4点目を奪取。相手のPCで失点の危機も見られたが、GK戸田翼(社4=滋賀・伊吹)やDF齊藤湧大(スポ1=栃木・今市)の活躍でしのぐ。点差を着実に広げ、失点を防ぎ、相手を圧倒した。しかし、駿河台大も負けじと怒涛の攻撃を見せる。18分と21分に、守備の隙を突かれ立て続けに失点。1点差まで詰め寄られる。一撃で同点に戻る危険な状態から再び相手を突き放したのは齊藤だった。松本剛毅監督(平6卒)が成長を認めるルーキーが27分にダメ押しの1点を奪う。早大は点差を守り切り、試合終了。後がない重要な試合で白星を挙げ、王座への出場を決めた。

攻守両方で活躍した齊藤

 今試合を松本監督は「春季リーグの中で1番いい試合だった」と評価。勝利に対する気持ちの強さが顕著に表れた試合だった。来る王座では各地の予選を勝ち抜いた強豪チームと一戦を交える。「目標はベスト4」と口をそろえる選手たち。初戦の相手は去年、シュートアウトの末、辛勝を果たした福井工大だ。目標達成のため、勝利の喜びを再び味わうため、早大男子ホッケーは成長を続ける。

(記事、写真 榎本透子)

春季関東学生リーグ
早大 2-1
3-2
駿河台大

松本剛毅監督(平6卒)

――今試合を振り返って

王座がかかっているので、とにかく勝つことが優先でした。そのためには非常に気持ちを出して戦うことしかないと言っていたのですが、それをしっかり出してくれて、結果も伴って、春季リーグの中では1番いい試合だったのではないかと思います。

――駿河台大のプレーも気迫に溢れていましたね

そうですね。負けたら王座に出られないのは相手も同じなので、意地の張り合いだと思うのですが、我々のほうが気持ちが勝っていたのかなと思います。

――今試合でよいプレーをした選手は

1年生の成長が大きいですね。大野にしろ齊藤にしろ非常にいい活躍をしてくれました。あとは2点目をとってくれた2年生の関ですね。ずっといい形は作れていたのになかなか点はとれなかったんですけど、やっときょうとってくれて非常に安心しています。

――王座への意気込みは

目標として王座ベスト4というのを掲げていまして、そもそも出られるかというのがあったのですが、何とか挑戦権を得ました。全国大会で強いチームと戦うのはいい経験です。失うものは何もないのでとにかくぶつかっていい経験を積みたいと思います。

FW宮崎俊哉主将(スポ4=福井・丹生)

――きょうの試合を振り返って

勝たないと王座には出られないので何とかして勝とうという話はしていて、とにかく試合内容より結果を重視していました。結果的に5点とったし、3失点は多いかなと思いますがそれでも得点に関しては評価できると思います。

――得点シーンを振り返って

リズムをつけるには点をとるのが1番いいし、ホッケーの1番の得点源と言われているPCを自分が打たせてもらっている以上は何とかして点をとりたいなと思っていました。

――自身のプレーでよかった点は

いつもはドリブルをしすぎてしまって周りを見れなくなって、追い込まれて、チームの流れを悪くしている部分があるんですけど、きょうは逆に周りをよく見て、パスを使いながら自分もいけたので、よかったと思います。

――王座への意気込みは

1回戦が去年シュートアウトでギリギリ勝った福井工大との試合になるので、ことしもしっかり勝てるように数週間練習して、王座に臨みたいと思います。

MF岸本昌樹(教4=鳥取・八頭)

――今試合の意気込みは

王座出場がかかった試合だったので、絶対に勝ってやろう、という気持ちで臨みました。

――今試合を振り返って

先制点を取れたことが大きいし、その後も相手に対して1点差、2点差とつけていて優勢だったところが大きいと思います。

――自身の得点シーンを振り返って

あれはもう僕の力ではなくて、宮口のおかげなので、たまたまです。

――王座への意気込みは

チームではベスト4という目標を掲げているのですが、個人的にはやはり優勝を目指して頑張っていきたいと思います。

FW関修平(商2=東京・早大学院)

――今試合を振り返って

前半、立ち上がりの雰囲気が悪かったんですけど、俊哉さん(宮崎主将)が決めてくれて、先制点を取れたのが大きかったと思います。

――今試合の意気込みは

勝つか負けるかで王座に出場できるかできないかという大きな違いがあったので、このチームにとって1年を通して1番大事な試合だという思いで臨みました。

――自身の得点シーンを振り返って

先制点をとって雰囲気が良くなったところでまた失点してしまったので、1-1で折り返したら後半にやられてしまうと思いました。何としても前半で勝ち越しゴールを決めたいと思っていたので、いい時間帯で点が取れてよかったです。

――王座への意気込みは

このチームの目標はベスト4なので、まず初戦、勝利を目指して頑張りたいと思います。

FW大野誠弥(政経1=東京・早大学院)

――今試合の意気込みは

王座がかかった試合で、負けるのと勝つのでは大きな差があるので、人数が少ない早大で1年生だからこそ行かせてあげたいという気持ちがありました。また、足を引っ張ってはいけない、という面もあって、FWなので点を決めてやろうという気持ちで臨みました。

――今試合を振り返って

チーム的にはみんな調子が良くて、どんどんパスを回せていたし、点差をつけた状態で試合を進めることができたので非常に良かったと思います。

――FWとしての自身の活躍について

初戦も駿河台大と戦っていて、その初戦よりは2か月、3か月と試合をする中でFWとして成長できたかなとは思います。ですがまだまだ、得点も決められなかったし技術が足りなかった、と個人としては反省点が多かったです。

――高校、大学のホッケーの違いは

相手チームの個々のレベルが高いので、1人でいっても引っかけられてしまったりするので、組織を重点においたホッケーをしないと勝てないな、と大学に入ったときに思いました。徐々に慣れてはきましたが、そこが決定的な違いです。

――王座への意気込みは

チームはベスト4を目標としていますが、FWとして得点を挙げられたらと思います。

DF齊藤湧大(スポ1=栃木・今市)

――今試合の意気込みは

今回は王座がかかっていたので負けちゃいけない、という気持ちと、1年生だからこそ積極的にいこうと考えて臨みました。

――今試合全体を振り返って

前半をリードして折り返して、そこから後半も集中して臨もうという気持ちだったんですけど、後半の途中で少し崩れて、追いつかれそうになる場面もありました。ですがそこから1点入って、2点のリードを保って終われたのがよかったと思います。

――齊藤選手の活躍が多くみられましたね

まだまだ、コーチングの面やディフェンス、失点が3点と多いと思いますし、そういう意味でディフェンスの崩れもあったので、もっと安定できるように練習をしていきたいと思います。

――大学リーグでは高校の試合と違いを感じますか

少しですけど試合をこなしてきて、やはり大学のほうがスピードもありますし、フィジカルの面でも上回っていると思います。これから自分も、肉体的にも技術的にも成長して追いついていきたいと思います。

――王座への意気込みは

ベスト4、という目標があるので、それに向かってこれからも1日1日、何かをつかんで練習していければと思います。