春季関東学生リーグ(春季リーグ)順位決定予選に登場した早大。全日本大学王座決定戦(王座)出場するためには1敗も許されない。対戦相手の東大は観客席に応援部が駆けつけ、選手を勢いづけた。試合は開始直後に先制点を得た東大の後を追う、予期せぬ形勢から始まる。絶対に負けられない早大は必死の攻撃で挽回。上級生、ルーキーそれぞれの躍動が実り、4-2で試合を終えた。
絶対に勝つ、そう意気込んで試合に臨んだ。しかし、立ち上がりから波に乗ったのは東大。1人に対して複数人で守備を固める相手のプレーに阻まれ、思うような攻撃ができない。勢いに押され、続く苦しい時間。チーム全体が焦りを抱える中迎えた前半5分、サークル内での激しい混戦からまさかの先制点を許す。予想外の展開からどうにか点を取り返したい早大は10分、11分と立て続けにペナルティコーナー(PC)を獲得。FW宮崎俊哉主将(スポ4=福井・丹生)やMF宮口和樹(スポ3=滋賀・伊吹)が果敢に相手ゴールを攻めるが決めきれない。チャンスをモノにできない厳しい状況を打破したのはFW渡邊崇仁(法4=東京・早大学院)。MF倉田登志矢(スポ3=静岡・伊豆中央)から受けたパスを押し込み、試合を振り出しに戻した。徐々に勢いをつけた早大は24分に混戦から2点目を奪取。その後迎えたピンチをDF是澤勇志(文3=東京・早大学院)、DF齊藤湧大(スポ1=栃木・今市)が守り切り、2-1で前半を終える。
攻撃の起爆剤となった渡邊
迎えた後半、東大の勢いはなおも続いたが、早大も次第に攻撃の流れを引き寄せつつあった。宮崎主将を中心にサークル内へ侵攻し、相手ゴールを脅かす。7分にはピンチを迎えたが、早大の守護神GK戸田翼(社4=滋賀・伊吹)のファインセーブで切り抜けた。9分にはPCを奪い得点のチャンス。惜しくも相手選手に阻まれたが、直後の11分には宮口の強烈なシュートで点差を広げた。このまま点を連取したいところだったが、22分に隙をつかれ失点。だが23分には渡邊のアシストからルーキーFW今村光成(商1=東京・早大学院)が流れるようなシュートで再び相手を突き放す。勢いを押し返す必死の猛攻が実り、2点差の4-2で辛勝した。
得点に喜ぶ今村(写真左)と宮口(写真右)
「大量得点を見据えていた。」(渡邊)、と語るように、勝利を収めたものの納得のいかない内容となった今試合。次は開幕戦で激闘を繰り広げた駿河台大と再び対戦する。王座出場権の獲得まであと1勝。今試合までに手にした課題をこの1週間で修正し、さらなる成長が期待される。夏の関西で戦うために――春季リーグ最終戦にして最大の戦いに挑む。
(記事 榎本透子、写真 大森葵)
春季関東学生リーグ | ||||
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早大 | 4 | 2-1 2-1 |
2 | 東大 |
コメント
FW宮崎俊哉主将(スポ4=福井・丹生)
――きょうの試合を振り返って
勝たないと王座には出場できないので絶対に勝とう、という話はしていました。ですが正直、納得いく試合ではなかったです。
――具体的に納得のいかなかった点や反省点は
点を取ってから追加点、追加点、とコンスタントに得点する流れができなかったのは反省点ですし、DFがなかなか安定しなかったのもありますね。焦って自分のプレーができなかったのもこれから1週間の課題かなと思います。
――前線からみた東大のDFはいかがでしたか
東大は1人に対して人数をかけて守ってくるスタイルで、マークもしっかりしていました。1人目を抜いても2人目がマークやプレッシャーをかけてくるので、マーキングに関しては厳しいなと思いました。
――東大の応援は気になりましたか
かなり気になりました。応援部の声は大きくて、それで指示が通りにくくなって。指示が通らないとチームもバタバタしたりどうしたらいいか分からなくなったりするので大変でした。
――順位決定戦への意気込みは
絶対に勝たないと王座にいけないので、夏、しっかり試合できるように結果にこだわっていきたいと思います。
FW渡辺崇仁(法4=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
きょうは来週を見据えて得点をたくさん取ることを目標としていたので、そういった意味で最初に失点をしてしまいましたし、納得できるゲームではなかったなと思います。
――東大戦ということで心掛けたことなどはありましたか
僕も4年生になって、個人的にも上級生として点を取りたいなという気持ちがありました。東大戦ということもあったので、たくさん点を取ってチームに貢献したいなという気持ちがありました。
――1点目の得点シーンを振り返っていかがですか
良いボールが入ってきたので、うまくそこに走り込んだ結果、得点につながったと思います。
――4点目もアシストをされていましたが振り返っていかがですか
欲を言えば、きちんとあそこでトラップをしてシューティングまでいけたら良かったのですが、今村は1年生ですし、パスがつながって決めてくれたのでそこは良かったなと思います。
――相手の守備については
オフェンスとしてそこまで苦しいとは感じなかったのですが、自分たちのミスで相手にボールを当ててしまったりして、そこで流れが悪くなってしまったので、完全にそこは自分たちのミスだなと感じています。
――全日本王座決定戦に向けて負けられない戦いが続くと思いますが、次の試合に向けての意気込みをお願いします
次の試合に勝たないと王座に行けないですし、明大に負けてから来週勝つことをまず目標としてやってきました。王座に行かないと、僕たちが前期に掲げた王座ベスト4という目標も達成できないので、そういった意味でも来週は死にものぐるいで勝ちにいきたいと思います。
MF倉田登志矢(スポ3=静岡・伊豆中央)
――今試合を振り返って
普通にやれば勝てる試合という中で開始早々に先制点を取られたのは、やはり自分達の気が緩んでいたからだと思います。でもきょう勝てて王座への望みはまだつながっているので、そこは喜んでいいかなと思います。
――東大のDFはいかがでしたか
ミーティングの段階から、中盤へのプレスが厳しいことと、サークルに人数を集めて守りを固めることは知っていたのである程度、意識的な面で準備はできていました。ですがいざプレーするとなると2枚、3枚で一気に来られてやりづらかったです。
――アシストシーンを振り返って
自分の中で打ち込みに自信が出てきて、いいボールを供給できる感覚がありました。なので積極的に前に出ていったら渡邊と目が合ったので、そこしかないと思ってパスしました。結構いいボールが出せました。
――東大の応援は気になりましたか
すごく気になりました。指示が何も通らないし、こっちがミスしたときもすごい歓声が上がって、精神的につらかったです。向こうの勢いは助長するし、自分達の勢いは削がれるし、相当やりにくかったですね。
――順位決定戦への意気込みは
勝つことが絶対条件で、課題はこれまでの3試合含めいろいろ出てきました。そこを残り1週間で修正して、詰めてやっていきたいと思います。
DF是澤勇志(文3=東京・早大学院)
――試合を振り返ってみていかがですか
序盤からディフェンスのミスが結構多くて、試合のリズムをつくることができなかったので、準備が足りなかったかなと思います。
――東大戦ということで意識したポイントなどはありましたか
足を使ってかき回してくるチームだったので、とにかくこっちがさぼらないようにということを意識していたのですが、なかなかそれができていなかったなと思います。
――先制点を奪われてしまいましたが、チームがバタバタしてしまったりなどはありましたか
そうですね。あの得点も後ろが完全に油断していた結果だと思うので、そのあとに少し引きずったこともあまりよくなかったですね。
――相手は応援の声も大きかったですが気になりましたか
指示が通りづらくて、やりづらかったです。
――負けられない試合が続くと思いますが、次に向けての意気込みをお願いします
本当に次は何がなんでも勝つしかないので、しっかり気を入れ直して、1週間頑張りたいと思います。