全日本選手権出場を目標に掲げている男子部。その中で早大学院ホッケー部から早稲田大学ホッケー部へと進んだコンビがいる。FW佐藤良(政経4=東京・早大学院)とFB西山健史(政経4=東京・早大学院)だ。学部も一緒で共通点の多いお二人に、高校時代の振り返りや最後のインカレへの思いを語っていただいた。
※この取材は10月6日に行われたものです。
学院時代の思い出
共通点の多い2人の対談となった
――まず、お二人の対談と聞いてどのように思いましたか
佐藤 だろうな、とは思っていました(笑)。高校からずっと一緒なのでもう飽き飽きしています(笑)。
一同 (笑)。
――お二人は普段から仲はいいのですか
西山 一周回ってあまり…(笑)。でも嫌いってわけじゃないですよ(笑)?
一同 (笑)。
――初対面はいつですか
佐藤 高1の時ですね。クラスも3年間一緒でした。
――今のお互いの印象はいかがですか
西山 大きく成長したなあ、と。
一同 (笑)。
西山 きょねんホッケー部の主務をやって、そこで大学のOBの方とやり取りをする機会がたくさんあったみたいで。コミュニケーション力が成長したなと思います。
佐藤 ありがとうございます(笑)。
――西山選手の印象はいかがですか
佐藤 あまり高校から変わらないですね。体格もこんな感じですし。
――他己紹介をするとしたらいかがですか
佐藤 見た目は結構いかついのですが、中身はそんなにいかつくなくて真面目ですね。
西山 ちゃんと勉強もしますし、ホッケーに対しても真摯に取り組んでいます。
佐藤 他己紹介じゃなくなってる(笑)。
一同 (笑)。
――ホッケーを始めたきっかけは
佐藤 元々、小・中学校とサッカーをやっていたのですが、何か新しいスポーツを始めたいなと思っていました。色々と見学に行ったら、ホッケーはわりとサッカーと似ているというのと、人口芝のきれいなグランドがあって良い環境でホッケーができると知って、ホッケーをやってみようと思いました。
西山 高校に入ってから新しいスポーツをやりたいと思っていました。中学校までは剣道をやっていたのですが、チームプレイでなおかつマイナースポーツをやってみるのも面白いかなと思って、クラスの友達に誘われたのでやってみようかなと思い、そのまま始めました。
――西山選手はじゃんけんでホッケー部への入部を決めたというお話を伺ったのですが
西山 初め、1年生の時にすごく熱い勧誘を受けてアメフト部に入っちゃったのですが、指の骨が折れてしまい、夏休みに辞めて、夏休みは何もしていなかったんです。秋くらいに暇だなと思いつつも、何かしたいなとは思っていました。ちょうどその時に学食で彼(佐藤)と、クラスメイトでホッケー部だった人と3人でごはんを食べているときに、「きょう部活あるんだけど」という話になりじゃんけんで彼らが勝ったら練習に来いという話になりました。その時に僕が勝ったのに、なぜか連れていかれました(笑)。その時に面白いなと思ったので入ることを決めました。本当に偶然なのですが、きょうに至るまでという感じです。
――高校の頃の部活はどのような感じでしたか
佐藤 週末しか監督やコーチが来ないので、平日は学生主体でやるチームでした。最後の3年生のときは自分がキャプテンというのもあって練習メニューを考えるのも厳しくて、難しかったところはあります。
西山 自分たちで練習を考えたりする機会が多かったのですが、他の高校に比べて環境に恵まれていました。大学生と同じところでやっているので、たまに大学生の上手い先輩たちに色々と教えてもらうということもあったので、恵まれていたのかなとは思います。
――佐藤選手は高校時代にキャプテンを務められていましたが、西山さんから見て佐藤さんはどんなキャプテンでしたか
西山 物静かで怖かったですけど、上手くて足も速くて、怖かったです(笑)。ちゃんとやらなきゃというか、引き締まる感じはあったと思います。
――キャプテンの佐藤選手からみて、高校時代の西山選手はどのような選手でしたか
佐藤 自分たちに比べて入部した時期が遅かったので初心者として苦労していたと思うのですが、上手くなったよね(笑)
西山 上手くなった(笑)
佐藤 伸びしろがすごくて、最後は3年生になってからもフルバックとして活躍してくれていて。都大会でもしっかりと良いところで点を決めてくれたりして、頼りになるディフェンスだったかなとは思います。
――高校の頃からも仲は良かったのですか
西山 一緒に帰っていましたね。一緒のグループにいたので。
佐藤 今はたまにですね(笑)。
――大学でもホッケーを続けようと思った理由は
佐藤 最初はあまり入ろうと思っていなくて、色々なサークルとかを見ていました。というのも、やっぱりワセダのホッケー部は小・中学校からホッケーを始めている経験者や日本代表が多くて、なかなか難しいのかなと思っていました。ですがあんまりサークルも自分に合うものがなくて。当時の小田監督から熱い勧誘を受けたり、学院出身の大学でもホッケーをやっている先輩から練習に来いよと言われたので行ってみたら、いい人が多くて楽しかったので続けてみようかなと思いました。
西山 僕は大学1年生の時は学生団体をやっていたのですが、もっと目標に向かって頑張れることをしたいなと思っていました。ちょうど1年生の春休みぐらいに大学と学院合同でホッケーをやって、そのあとに焼肉を食べて懇親会みたいなイベントが毎年あって、そこに僕も顔を出しました。そこで「ホッケーをやりたいんですよ」と言ってみたら、ウェルカムな感じだったので、入部を決めました。
――他の4年生の方は世代別日本代表に選出された経験のある方ばかりでしたが、そこに飛び込む不安などはありましたか
佐藤 実力差は明らかあったので、その環境で通用するのかというのは心配でした。やっぱり入るのも1、2か月くらい遅かったので、出遅れてしまうのかなというのはありましたが、ホッケー自体はすごく好きだったので新しい環境で高いレベルの中でやるのも、大学時代でしかそういった部活はできませんし、挑戦すれば何かしら得るものはあるのではないのかなと思いました。
西山 不安だったのですが、ホッケーが楽しかったのでそれが1番大きかったと思います。付属校上がりの選手が、僕の2個上から大学の部活に入るようになって、やりやすい環境でした。なおかつ高校の同級生がいるということで入部を決めました。
――ワセダのホッケー部の雰囲気についてはどのように思われますか
佐藤 上下関係はいい意味で厳しくなくて、上の人にアドバイスをしたりなどができる環境です。1年生の頃から自分も悠々とやらせてもらって、下級生とかにとってはわりといい環境ではないかなと思います。
西山 僕が入部したときはキャプテンが怖くて、上級生がリーダーシップを発揮して引っ張っていくという感じでしたが、僕たちはみんなで色々と話せて意見の出しやすい環境が比較的あるのかなと思います。
「やるときはちゃんとやる」(西山)
西山
――オフの日はなにをされていますか
佐藤 だいぶインドアなんで、あまり外に出ないです。ゲームをしたり、犬がかわいいので散歩に行ったりしています。
西山 僕もそんなにアクティブではないのですが、たまにドライブとかに行ったりしています。
佐藤 どうせ(ラーメン)二郎ですよ(笑)。
西山 親の車を借りて、ドライブに行って、(ラーメン)二郎でごはんを食べて、帰ってきたりします。
――今ハマっていることや、趣味はありますか
佐藤 サッカーが好きで、ヨーロッパのサッカーとかずっと見ています。ゲームも好きで、サッカーのゲームもしますね。ホッケーのゲームはないので(笑)。
西山 ドライブと、たまにスパみたいな銭湯に行くのは好きですね。
――ホッケー部で遊びに行ったりすることはありますか
西山 同期はそんなにまとまりがないんで、遊びに行ったりはしないですね。
――佐藤選手と西山選手の2人で遊びに行かれることはありますか
西山 絶対ないです(笑)。一生ないです。ごはんを食べに行くくらいですね。
――4年生の仲はいかがですか
西山 仲は良いのですが、まとまりはあまりないですね。
佐藤 個性が強いですね。ホッケー部の中でも4年生の人数が一番多いんですよね。トレーナーを入れて7人と多いので、まとまりというとあんまり…。
西山 でも、やるときはちゃんとやっていますね。
――特に個性的な人は誰ですか
佐藤 FB鵜飼慎之介(スポ4=福井・丹生)ですね(笑)。インタビューしていれば、分かると思います。
西山 逆にインタビューされたりとかしてそう。
佐藤 圧倒されないように気を付けてください。
――下級生の雰囲気はいかがですか
佐藤 どうだろうね
西山 うーん。僕たちはけっこう人数が多くて、自由にやらせてもらっているんですけど、僕たちが抜けたあとが結構心配で。それに対しての危機感や、らいねんのチームに対してのプランというのは何となく持っているのではないかなと思っていて。考えながらホッケーをしているんじゃないかなと思いますね。
――ことしの新入生の印象はいかがですか
佐藤 わりとおとなしいよね。
西山 おとなしい。
佐藤 4人しかいないのもあるかもしれませんが、スポーツ推薦の選手は個性豊かな選手が例年入ってくるんですけど、ことしは早大学院2人と横田高校2人なので。おとなしいよね。
西山 おとなしいね(笑)。
――下級生の中で一番個性が強いなと思う方は
佐藤 俊哉(FW宮崎、スポ3=福井・丹生)。
西山 俊哉かな。
佐藤 うるさいですし。
西山 先輩とかにもタメ口で喋ったり、挑戦的なところがあるんですけど、やっぱりホッケーが上手いんでやるときはやり、点数を決めてくれるのでありがたいです。
佐藤 ホッケーに対してはすごく熱いので、同じポジションですけど参考になりますし、3年生の立場でもリーダーシップとか発揮して練習メニューとか提案してくれます。代表なので、いろんな経験を部にもってきてくれるところは4年生としてもありがたいですし、チーム力の向上にもつながっているのでそこは感謝しています。
――お二人は実家生ですが、寮生の方と比べて大変だと思われることはありますか
佐藤 朝早く起きないといけませんし、帰りも遅いので、それは大変ですね。
西山 寮生は往復5分とかなので。でも、家に帰ったらごはんが出てきますし、洗濯とかもやってくれたりするので、それはありがたいですね。
――2人とも政治経済学部ということで、学業との両立で苦労した点はありますか
佐藤 わりと両立はできていたかなと思います。学院の時からテスト勉強だけは得意で、大学でもそれを活用してうまくやっています。
西山 高校の時の方が大変でしたね。(大学は)レポートとか、出席だけのとかあるので、高校の時に比べれば。
佐藤 テストオフとかもあるので、一応その期間に集中してやる感じですね。
「結果にこだわりたい」(佐藤)
佐藤
――春の試合を全体的に振り返ってみていかがですか
佐藤 結果だけで見たら春リーグ準優勝、王座ベスト4と良い感じに見えると思うのですが、内容を見ると悔しさが残りますね。王座は、立命大(●0-7)には実力差を見せられましたし、山梨学院大にも大敗(●0-5)してしまったので。春リーグは準決勝で山梨学院大に勝てたということはすごく自分たちの自信にもつながったのですが、その後明大に決勝で負けて、悔しかった印象の方が強いです。
西山 1つ上の頼りがいがあるキャプテンが引退して、僕たちでチームをつくっていかなければいけないことに関してシーズンが始まる前は結構不安がありました。でもシーズンが始まって(春リーグの)初戦を3-0で勝てたことがすごい自信になって、その後(春リーグで)山梨学院大に勝ってそこがピークだった気がします。その後はチームとしてのまとまりが若干なくなってきてしまい、そこでずっと負けちゃった感じです。結構波があった気がします。
――FB木村浩一郎主将(スポ4=栃木・今市)が率いることしのチームの雰囲気はいかがですか
佐藤 例年とは少し違う印象があります。これまでのキャプテンは、キャプテンが中心となって引っ張っている感じだったのですが、ことしは同期も例年より多いですし、後輩とみんなで意見を出し合いながらチームをつくっているので、例年とはそういったところが違うかなって思います。
西山 僕も同じ感じで、みんなで意見が言い合えるところが良いところだと思います。
――春リーグ2位、王座4位という結果についてはそれぞれどのように受け止めていますか
西山 春リーグ2位に関しては、山梨学院大に勝てたので実力はあったとは思います。でも(春リーグ)準優勝ですし、王座はベスト4で3位決定戦でも負けましたし、勝ちきれないという部分が残っていて。(春リーグ)準優勝というタイトルが取れて嬉しいんですけど、心の底から喜べる結果ではなかったですね。
佐藤 結果は(王座)ベスト4ですが内容をみたらベスト4に値するような内容ではなかったので、そこは秋で見返さなければいけないのかなというのはあります。
――そういった反省点は夏の練習でどのように強化していきましたか
佐藤 (ワセダは)わりと波のあるチームで、攻守の切り替えが遅くなってしまうと、一気に相手に主導権を握られてやられてしまう場面が王座ではありました。なので、夏は攻守の切り替えの練習は意識してやってきたと思います。秋リーグで失点か少ないのは、切り替えというところがしっかりできていて、そこが結果につながっているのかなと思います。
西山 夏はいろいろ挑戦しましたね。例えば宮崎俊哉が代表で学んだ色々な技術を教えてくれて、それを夏休みに反復でやってみました。フォーメーションをいじったりもしたのですが、そこはあまり上手くはいかなかったです。あとは、夏休みに練習試合を結構したのですが、負けたりしていたので「これじゃまずい」という雰囲気はチーム全体にあったと思います。ボールが取られたときにすぐゴールに向かって帰ってくることや、きちんと走るという部分が欠けていたんだなというのをそこで気が付いて、それで秋が始まってから引き締め直してみんなで一生懸命やっている感じです。結果論ですけどちゃんと実際、秋になってからしっかり走っていますし、みんな勝ちにこだわってできていると思います。
佐藤 夏は結構迷走して、いろんなフォーメーションとか試したよね。
――現在、迷走状態から抜け出せていますか
佐藤 結果論ですが、今のところ勝てているので抜け出せているのではないかと思います。
――インカレではどのように戦っていきたいですか
西山 一番大事なのはケガをしないということだと思います。監督(松本剛毅監督、平6卒)がいつもおっしゃっているのですが、山梨学院大や天理大などの強豪校に勝つには、僕たちがベストな状態で、なおかつ100パーセントの実力を出して、それで勝てるか勝てないかくらいなので、ケガはしないようにしていきたいと思います。
佐藤 あまり気持ちが入らないで試合に出てしまうと相手に主導権を握られてやられてしまうことがあるので、しっかりその試合に向けて準備をすることが大切だと思います。結果にこだわっていきたいです。
――インカレでの目標を教えてください
佐藤 インカレはベスト4に入って全日本に出場したいです。チーム全体の目標なのでそこを目指していきたいです。
――特に警戒しているチームはありますか
西山 明大ですね。インカレでも明大が上がってくる可能性が高いので。(明大は)セットプレーでもペナルティーコーナー(PC)でもすごく得点力があるので怖いです。
――明大のやりにくさはどこにありますか
佐藤 選手層が厚いですし、最近ずっと勝てていないので、どこかしらに苦手意識はありますね。
――以前から東農大が苦手とおっしゃっていましたが、東農大のやりにくさとはまた別ですか
西山 東農大はチームの雰囲気が僕たちと似ている感じがあって。例えば山梨学院大や慶大はすごく規律があってしっかりしているのですが、東農大はなんとなくふわっとしているところがあります。それでもみんな上手いのでそれに崩されることが多かったんです。相手に合わせてやっていると、自分たちが知らないうちに相手に飲まれていることがやりにくい理由なのかなと思います。
――明大はどちらに属するのですか
佐藤 明大もわりとしっかりしている感じです。ワセダをしっかり研究してキーマンとなる選手はしっかり押さえていて。ワセダも研究されているのだなっていうのはやっていて感じました。
――これから上位校の戦いが続いていきますが、お二人はどういったプレーでチームに貢献したいと考えていますか
佐藤 個人的には結果にこだわりたいです。点を取ればそれがチームのためなると思うので、点を取って貢献したいと思います。
西山 やっぱり鵜飼に頼ってしまう部分がDFとしては多いので、鵜飼ほどではないですが僕もちゃんと強いボールを前に打てるようになりたいと思います。あとは、僕が前で踏ん張らないと点が入ってしまうという場面が結構多いので、DFの最後の砦(とりで)として体を張って頑張りたいと思います。
――インカレに向けてチームとしてこれから強化していきたいことは
西山 僕たちは基本的にちゃんと守らないとダメなので、守りからリズムをつくることを最優先でやらないといけないかなと思っています。その中でも点数を取っていかなきゃいけないので、ペナルティコーナー(PC)の決定率やフォワードのキープ力を上げていきたいです。
佐藤 相手チームの研究をもう少ししないといけないのかなと思っています。明大とかだと上手いストロークを持った選手がディフェンスにいるのでそれに対する処理などをもっと強化していった方がいいのかなと思います。
――最後のインカレへの意気込みをお願いします
佐藤 インカレは最後なのでやっぱり結果にこだわってやっていきたいですね。過去を見てみても全日本に全然行けていないし、今回組み合わせもわりといいと思うので、しっかりとベスト4に入って全日本に行きたいなという思いがあります。
西山 これからインカレより先にホッケーを本気でやるような機会はおそらくないと思います。僕ができることはちゃんと守るということなので、本当に失点をしないように、それを一番大事にしてやりたいな思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 杉野利恵、中村ちひろ)
学院コンビの活躍に期待です!
◆佐藤良(さとう・りょう)(※写真右)
1993年(平5)4月19日生まれ。身長175センチ、体重62キロ。東京・早大学院出身。政治経済学部4年。一つ一つの質問に真剣に答えてくださった佐藤選手。言葉の端々から全日本選手権に行きたいという思いが伝わってきました。ラストイヤーとなることしのインカレでは、納得のいくプレーで「結果」を残してほしいです!
◆西山健史(にしやま・たけし)(※写真左)
1994年(平6)1月24日生まれ。身長177センチ、体重70キロ。東京・早大学院出身。政治経済学部4年。誰もが認めるニンニク好きの西山選手。その大いなる魅力を早スポ記者にも教えてくださいました。ニンニクについてのお話はホッケー部のHPにも載っているので、ぜひチェックしてみてください(笑)!