4日間に渡り熱い戦いが繰り広げられた全日本大学王座決定戦(王座)も、ついに最終日を迎えた。全国3位を目指し、対戦する相手は山梨学院大。春季関東学生リーグ(春季リーグ戦)ではSO戦の末、勝利を収めた相手だ。試合は開始早々に先制点を許す苦しい展開となる。何度かチャンスをつくるも決め切ることができず、終わってみれば5失点。準決勝の立命大戦(●0-7)に続き黒星を重ね、4位という結果で大会を終えた。
「気持ちの部分で負けていました」(FB木村浩一郎主将、スポ4=栃木・今市)。3位決定戦となったこの試合、リベンジに燃える相手の気迫に圧倒された。前半5分にペナルティーコーナー(PC)を決められ、3試合連続で先制点を献上。さらに16分にも相手の個人技に翻弄(ほんろう)され2失点目を喫する。なんとか追いつきたいワセダは、ここで連続してPCのチャンスを獲得。しかしFB鵜飼慎之介(スポ4=福井・丹生)の放ったシュートはGKのファインセーブにも阻まれ、ゴールを奪うことはできなかった。そのまま2点ビハインドで前半を折り返す。
PCから得点を狙うFW陣
後半に入っても1点が遠い時間が続いた。5分、PCからFW宮崎俊哉(スポ3=福井・丹生)が強烈なボールを打ち込むも、相手GKの好セーブもあり山梨学院大ゴールをこじ開けることができない。逆に前掛かりになったところをカウンターで攻め込まれ、決定的な場面をつくられる。しかしここはGK瓶井一志(スポ2=大阪星光)が守り切り、難を逃れた。反撃を試みるワセダは、宮崎や鵜飼が前線に縦パスを供給。しかし相手のFB陣が冷静に対応し、得点にはつながらなかった。すると14分、PCを確実に沈められ3点目を奪われる。「流れが悪くなってしまった」と瓶井が振り返るように、準決勝と同じくここから短時間に連続失点。徐々に疲労から足が止まり始め、その後も何度もピンチを迎える。GKのファインプレーもあり追加点こそ許さなかったが、結局1点も奪えず試合終了。スコアは0-5、2試合連続の惨敗だった。
トップチームとの差を感じた大会となった
この結果により王座はベスト4という結果で幕を閉じた。4位までに与えられる全日本学生選手権でのシード権こそ獲得したものの、3試合で1得点13失点。「どれだけ自分たちが甘かったかというのがわかった」と木村が語るように、精神面、技術面、体力面で課題が見つかる大会となった。これで春のシーズンは終了する。全国という舞台で強豪校と対戦したことで、選手一人一人がトップチームとの差を感じたはずだ。「もう1回この夏でチームを立て直して、万全の状態で挑みたい」(木村)。この悔しさを胸に、秋のシーズンでの再起を誓う。
(記事 大森葵、写真 落合修平)
集合写真
全日本大学王座決定戦 | ||||
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早大 | 0 | 0-2 0-3 |
5 | 山梨学院大 |
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コメント
松本剛毅監督(平6卒)
――きょうの試合を全体として振り返っていかがですか
きのうと重なるのですが、やはり技術の部分ではなく、メンタルの部分で負けていましたね。入り方も決して良くはなかったですし、辛くなった場面で食いしばることができなかったことがこうした結果につながったのだと思います。
――この試合で得たものは何でしたか
我々にはまだまだ足りていないものが多いということが顕著にあらわれましたね。山梨学院大もリーグ戦とは違った意気込みで来ていましたので、そうした気持ちをこちらもつくれないと実力通りの結果しか出ないです。
――トップチームとの差を埋めるために、夏の間はどのようなことを重視しようとお考えですか
まずはとにかくメンタルを鍛えるしかないですね。絶対に負けないという精神をつくりあげたいです。そのうえで各個人のフィジカルや技術を鍛えていけたらいいですね。
――秋に向けて、どのようなチームをつくりあげていきたいですか
競り勝つことのできるチームですね。我々は大勝することがなかなか難しいので、1点差で勝ち切ることをしていかなくてはなりません。
FB木村浩一郎主将(スポ4=栃木・今市)
――今の率直なお気持ちを教えてください
悔しいですね。それしかないです。
――0-5という結果をどのように受け止めていますか
山梨学院大戦は春リーグ(春季関東学生リーグ)では勝てたのですが、どれだけ自分たちが甘かったかというのがわかりました。0-5はやられすぎですね。
――試合を振り返って
チャンスも少しはあったのですが、気持ちの部分で負けていました。
――失点をした後にずるずるといってしまった印象があるのですが、それについてはいかがですか
そうですね。フォーメーションや戦術も少し変えたりしてみて、チャンスも増えたりはしたのですが、やはり決めきることができなかったです。全国に来て、立命大戦もぼろぼろですし、もう1回やり直さないといけないですね。
――前回の山梨学院大戦はワセダが主導権を握った試合でしたが、前回と今回の違いは何でしょうか
試合を重ねて疲れというのもあるとは思うのですが、それ以上に気持ちの部分で大きく違ったかなと思います。やはりあの時は勝とうという気持ちがあったのですが、(きょうは)どこかに、試合を続けてきた中で3決(3位決定戦)に対する気持ちの部分で甘さがあったと思います。
――王座は4位という結果となりました
惨敗、惨敗だったのですが、とりあえず結果はベスト4でインカレ(全日本大学選手権)ではシードを取ることができているので、もう1回この夏でチームを立て直して、万全の状態で挑みたいと思います。
――夏の期間に何か強化したいポイントなどはありますか
特にベーシックスキルですね。基本的なスキルを上達させて一人一人が個人の力をアップすることと、あとは体力面をアップさせないと戦えないので、そこを強化したいです。
――次は秋季関東学生リーグが控えていると思いますが、意気込みをお願いします
秋も勝ちにいかなければいけないので。春は準優勝でしたけど、秋は優勝できるように頑張ります。
MF宮口和樹(スポ2=滋賀・伊吹)
――今の率直なお気持ちは
まず負けたことに対してとても悔しくて、自分のプレーが思い通りできなかったことがきょうは後悔しています。
――全日本大学王座決定戦はどのような意気込みで臨みましたか
昨年は1回戦で負けてしまって、ことしは関東リーグの結果から良いシード枠に入ることができたので優勝を狙うことができましたが、優勝候補の立命大に完敗して、山梨学院大にもリーグ戦(春季関東学生リーグ)では勝てたのですが、きょうはプラン通りにはいかなかったので悔しかったです。
――5失点という結果については
失点の流れが悪かったので、どこかで気持ちを切り替えて攻めないといけなかったのですが、その切り替えができなくて失点が重なってしまったと思います。
――山梨学院大と実際に戦ってみていかがですか
リーグ戦でもよく当たるのですが、関東では強豪校なので僕たちが勝つためには頑張らなければいけない相手でした。ですが今日はその気持ちが弱くて完敗してしまいました。
――ご自身のプレーはいかがでしたか
いつもならボールを積極的にもらいにいってパスをつなぐのですが、(きょうは)もらいにいけず、攻守の切り替えにもついていけず、体力面というのが課題だと思いました。
――ベスト4という結果について
ベスト4に入れたことは嬉しいのですが、やはり勝ちにこだわって優勝を狙いたかったので、次の関東リーグやインカレでは良い成績を残せるように頑張りたいと思います。
――夏の期間に強化したい部分はありますか
フィジカル面があまり僕は強くないので、ウエイトトレーニングを個人的に頑張って、もう少し強化したいと思います。
――秋季関東学生リーグへの意気込みをお願いします
秋リーグも春リーグ同様、予選を1位で通過して優勝を狙いたいので、そのためにチーム一丸となっていまのチームのプレースタイルを見直し修正して、秋のリーグに合わせていきたいと思います。
GK瓶井一志(スポ2=大阪星光)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
要所要所で止められるところはあってそういうところをしっかり止めファインプレーをして(ワセダに)流れを呼び込めると良かったのですが、後半など何回か連続して点を入れられて流れが悪くなってしまいました。しっかりチームの流れを変えられれば良かったのですが悔しいです。
――そういった中でもファインセーブを出す場面も見受けられました
4年生が最後なので1本でも多く止めようと思っていました。
――久々の先発出場となりましたがどのような意識を持って試合に臨みましたか
春はケガをして久しぶりに使ってもらえたので期待に応えたかったのですが、できなかったので申し訳ないです。4年生が最後だったので。
――春の試合を全体的に振り返っていかがですか
春は、最初は勢いが良くチームの雰囲気も良くてこれならいけると思っていました。最後は結果悪かったですけど、秋は絶対このチームなら挽回できると思うのでまた夏練習を頑張りたいと思います。
――U-21日本代表に選抜された気持ちを教えてください
しっかり色々なことを吸収して、練習法などをワセダに還元したいと思います。
――合宿や遠征などはあるのですか
9月にヨーロッパ遠征と11月にアジアカップ、その次の年の12月にジュニアワールドカップの大会があります。
――夏の間に強化していきたいことは
DFの連携とか相手FWとの間合いとかを練習で培っていきたいと思います。
――秋のシーズンに向けて意気込みをお願いします
いつもすごく面倒を見てもらっている4年生が最後なので、少しでも恩返しして良い結果で終わりたいと思います。