関東学生春季リーグ 5月24日 東京・国士館大学多摩体育館
春季リーグ(関東学生春季リーグ)最終戦、全9試合に及ぶリーグ戦の最後の相手は昨年競り合いを見せた国士館大。ここで勝てば4位以上という目標達成となる負けられない一戦に臨んだ。序盤から相手に連続得点を許し、点差をつけられる。それでも様々なシュートを駆使し同点に追いつくも接戦となり11―11の同点で前半を折り返す。勝ち越したい後半、ディフェンスから早大の流れに持ち込み安定したプレーで点差を広げ、26―20で見事勝利。4位という結果で春季リーグに幕を下ろした。

試合開始直前集まる選手たち
早大のセットオフェンスから始まった今試合。国士館大にシュートを狙われるも正面からのアタックでボールを奪い、ゴール付近へ運ぶ。そのボールを倉持愛泉(スポ1=千葉・昭和学院)がシュートし先制点をあげる。しかしここから国士館大に4連続得点を許し3点差をつけられる。それでも前半4分、井橋萌奈(スポ3=東京・白梅学園)のパスが山野紗由(スポ4=北海道・釧路江南)へとつながり華麗なシュートが決まる。次のプレーで得点を決められるものの、井橋からの正確なパスを受けた兼弘真生(スポ1=神奈川・横浜平沼)がディフェンスに押され厳しい体勢となりながらもボールを押し込み、ネットをゆらした。早大は少しずつ流れを取り戻し、前半14分には相手のパスミスに反応した井橋がボールを奪い、前を走っていた杉浦亜優主将(スポ4=愛知・名経大市邨)へつなぐ。この速攻が決まり同点となる。しかし国士館大もシュートを打ち込み点差が広がらないクロスゲームが続く。前半25分、堀内雪羽(スポ2=千葉・昭和学院)が相手シューターと1対1になるも素早い反応でボールを止め、逆転を阻止。ディフェンスでも正面からのアタックでシュートを防ぐも相手の攻撃を止めることはできず、11―11の同点で前半を折り返す。

ハイタッチをする大野(左)と倉持(右)
勝ち越していきたい後半、相手のパスミスを拾い倉持が速攻に持ち込み得点。早大が後半先制するものの、前半同様競り合う時間帯が続く。しかし後半4分、早大の反則により一時ディフェンスが4人という危機的状況に。限られた人数の中でも一人一人が体を張ったディフェンスを見せ、国士館大に1点しか与えない驚異のプレーを見せた。この場面が起点となり、点差が開き始める。積極的なディフェンスで相手のミスを誘発し後半8分、パスミスを拾い大野蒔絵(スポ3=埼玉・市立浦和)が速攻に持ち込みシュート。後半12分には作本夕莉(スポ3=福岡・明光学園)のセーブからボールを受けた井橋がその足でゴールまで運び速攻で得点。一気に6点差をつける展開となる。ラストプレーでは杉浦のパスカットから倉持につなぎ速攻で得点し試合終了。26ー20で見事勝利を飾り、4位という素晴らしい結果で春季リーグに幕を下ろした。
試合後選手は、強豪校に勝ちたかったと悔しさをにじませた一方でチームの一体感が感じられたことや目標達成への喜びを見せていた。全9試合を戦い抜いた選手たちは今後どのようなプレーを見せてくれるのか、これからも早大女子ハンドボール部に期待が高まる。
(記事 林朋亜 写真 片山和香、三浦佑亮)
結果
早大26ー20国士館大
前半
早大11ー11国士館大
後半
早大15ー9国士館大
スタメン
GK作本夕莉(スポ3=福岡・明光学園)
LW大野蒔絵(スポ3=埼玉・市立浦和)
LB山野紗由(スポ4=北海道・釧路江南)
PV杉浦亜優主将(スポ4=愛知・名経大市邨)
CB倉持愛泉(スポ1=千葉・昭和学院)
RB井橋萌奈(スポ3=東京・白梅学園)
RW山田梨央副将(スポ4=千葉・昭和学院)
コメント

杉浦亜優主将(スポ4=愛知・名経大市邨)
――今日の試合を振り返って
勝てば上位進出の目標達成で、負ければ5位になってしまう大事な試合だったのでとても緊張したんですけど、リーグを通してこれまでよりも各自が自分のやるべきことを出すことができたのかなと思います。
――後半にリードを広げることができた要因は
私たちはディフェンスを堅めてそこから流れを作ることを目標にしているんですけど、後半はその通りにディフェンス守れたのかなと思います。ディフェンスからつないだ速攻だったり、シュートが後半点差を離せた要因だと思います。
――退場で人数が少ない場面も複数見られましたが、どんな意識をチームで共有していましたか
まずオフェンスは数的不利ではあるんですけどシュートまで行き切ること。ディフェンスは中をしっかり守って外で勝負しようということは、みんなで統一できていたと思います。でも私のところ、真ん中でやられてしまった場面もあったので、そこは約束通り守れるように修正したいと思います。
――春季リーグを終えて、リーグ全体を振り返って
新体制で初めてのリーグだったので試しながらやって行こうという話はあったんですけど、4年生がなかなか調子出なくて引っ張っていけない中で、1年生の新しい力や2、3年生の安定した力をたくさんもらってなんとかやり切れたリーグだったと思います。チームの底上げではないですけど、チームの一体感が作れたからこそ目標が達成できたのかなと思います。
――今リーグ声を出している姿が印象的でしたが、主将としてのスタートはいかがですか
プレー云々ではなくて、チームの軸として引っ張っていきたい気持ちがあったので、(プレーが)うまく行かなくても一番声出してチームを落ち着かせる、引っ張るという意識は強く持っていました。そこは継続してできたので良かったかなと思うんですけど、決めるべきシュートを外してしまった場面はたくさんあったし、プレー面でも安定性を持ったキャプテンにならなければいけないなと思っています。
――春季リーグを通して見えた課題や、夏に強化したいところは
ディフェンス面ずっと強化してきたんですけど、不意打ちのステップシュートを打たれて失点する場面や、守れているのに最後の最後のアウトカットインでやられる場面があって、そういう詰めの甘さが課題にはあると思います。最後まで守り切るところをまずは土台として強化していきたいです。オフェンスでは、自分たちのミスから逆速攻に持っていかれるシーンがまだまだたくさんあるので、オフェンスの精度もしっかり上げていきたいです。

山田梨央副将(スポ4=千葉・昭和学院)
ーー今日の試合を振り返って
自分たちの目標としていたのが、最低限4位。その上で東海大、東女大、筑波大の上位3チームにどう勝負していくかというところで。その3チームには負けてしまいましたが、今日の試合に勝てば目標を達成できる大事な一戦だったので、そこで勝ち切れたのは良かったです。チーム全員が60分を通してディフェンスを徹底できていたのがすごく良かったと思います。
ーー相手チームのディフェンスに対して難しかったところは
私はサイドでプレーしていて、今まではカットインまで行けていたところが今日は相手の寄りが早くて。それでもエースの山野が打ち切って遠くから決めてくれたのがすごく良かったです。
ーー副将として春リーグ全体を振り返って
下級生に助けられた春リーグでした。上級生が3人しかいなくて、3人のプレーが良くない時でも下級生が盛り上げてくれて。チーム全体としての底上げができていたのがすごく良かったと思います。ただ、調子が悪い時でも、常に自分たちが背中で見せて引っ張っていく姿勢はもっと持たなければと感じています。4年が不甲斐ないことが多かったので、そこは普段の練習から改善していきたいです。下級生に感謝の春リーグでした。
ーーこれからの目標を教えてください
最終的にはインカレでメダル獲得を目標にしているので、秋リーグでは3位以内に入ってシード獲得を目指します。今までは競った中で負けてしまったり、上位に対して大金星を挙げても足をすくわれたりということが多かっですが、今回の春リーグは勝ち切って4位に入ることができました。来季もそこを勝ち切った上で、上位にどう勝負していくかを考えてチームとして上がっていきたいです。個人としては、逆サイドのシュートをもっと頑張ります!

山野紗由(スポ4=北海道・釧路江南)
――今日の試合を振り返って
最終戦で勝ったら4位、引き分けか負けだと5位という状況でここだけは絶対に負けられないし、みんなで楽しんで勝とうということを決めていたので、まずは勝てたことがよかったなというのが一番大きいです。
――目標達成への率直な気持ちを教えてください
もちろんうれしいですし、安心したのもそうなんですけどやはり自分たちは東女体大、筑波大、東海大のどれか1校には勝ちたいなと思ったいたのですが、そこをすべて落としてしまったので秋リーグに向けて、メダルを取るためにはそういったチームに勝っていかなくてはならないのでもっと自分たちの力をつけていきたいと思います。
――国士館大のオフェンス面で難しかったことは何ですか
ミドルシュートが上手な選手がいるチームなので、キーマンに対してしっかり当たりに行くところを、点を決められたときは、自分があたりに行けていなったことやフォローに入っていたら守れたというシーンがたくさんあったので、キーマンに当たりに行くところとフォローに入ってフリースローを取りきるところが足りなかったかなと思います。
――最上級生としてこのリーグをどう振り返りますか
春リーグは自分のやりたいことやイメージしていたことがあまりできない期間が長く続いていて最終戦は私がハンドボールの戦術について理解していないところがあったのでコーチやチームのメンバーに色々教えてくれながら練習していました。最上級生としてはとても情けないのですが後輩、同期、コーチが助けてくれてありがたかったという気持ちと自分がもっと成長しなくてはいけないなと思ったのでそこはインカレに向けて成長させたいと思います。
――今後の目標を教えてください
まずは早関戦があるのでしっかり勝ち切ることと、秋リーグで東女体大、筑波大、東海大に勝てる実力をつけて、インカレでメダルを取りたいのでここからもっともっと気合を入れて頑張りたいと思います。