強豪に実力差を見せつけられインカレ2回戦敗退 4年生最後の公式戦は全てをぶつけた総力戦に

女子ハンドボール

全日本学生選手権 11月7日 広島・県立総合体育館

 全日本学生選手権(インカレ)2日目。前日には愛知教大に勝利した早大はベスト8進出をかけて東女体大との一戦に臨んだ。リーグ戦でも何度も対決しているが、相性が良いとは言い難い相手とのカードとなり、2戦目にしてインカレ最大の山場となった。試合は、開始直後から強豪相手にシュートを積極的に打ち込み、先制点を獲得するなど互角の争いを繰り広げる。5点ビハインドで迎えた後半だったが、4年生を中心に堅守速攻で必死に相手に対抗した。しかし追い上げも虚しく、試合終了。悔しいインカレ2回戦敗退となった。

 試合開始前から前日のリラックスした表情とは打って変わり、緊張の面持ちが目立った早大。それでも木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)からの「楽しむことを忘れないで」という声掛けでメンバーがさらに一体となった。開始2分、山野紗由(スポ3=北海道・釧路江南)のライン際からのシュートで先制し、幸先良いスタートを見せる。そこからも木村のサイドシュートや井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)の2連続得点などで互いに点を取り合うかたちに。東女体大のスピード感のある速攻やうまくディフェンスを抜いたシュートなどに苦労したものの、今大会のために新しく取り入れたディフェンス体型「5・1(ファイブワン)」などを駆使して抵抗。前半19分には井橋のパスから木村が迫力のあるスカイプレーで得点しさらに試合を盛り上げた。その後も激しいボールの奪い合いが続き、12ー17で前半が終了した。


試合前ハイタッチをする選手ら

 5点を追う後半、山野のミドルシュートで2連続得点を奪うと、この日チーム最多8得点の井橋がさらにシュートを決めチームを勢いづける。そして特に後半からは石坂美紀(スポ2=千葉・昭和学院)がポストとしての役割を全う。ディフェンスではマークを見失うチームメイトへ的確に指示を出し、オフェンスでも自らシュートを打ちつつ相手を徹底的にブロックし、メンバーへ高さのあるシュートをうまくアシストした。また、作本夕莉(スポ2=福岡・明光学園)や堀内雪羽(スポ1=千葉・昭和学院)も速攻を止めるなど前日に引き続き華麗なキーピングを発揮。インカレから復帰を果たした鶴田文乃副将(スポ4=山梨・日川)もサイドシュートを決めるなど好調ぶりを見せるものの、相手の素早いバックチェックや早大の些細なミスをも得点に繋げる技術力に苦戦し、最大7点差が開いた。しかし早大も後半24分頃から再び得点を量産。木村をはじめ、杉浦亜優(スポ3=愛知・名経大市邨)、石坂なども最後の瞬間まで粘りを見せた。ただ、試合終了間際に東女体大に31点目が入り試合終了。インカレ2回戦敗退という結果に選手らは涙を呑んだ。


攻守共に活躍を見せた石坂

 結果的に負けはしたものの、試合後選手たちはやり切った表情を見せた。木村主将も「このメンバーで(中略)よく戦えたかなと、自分たちの実力は出せたかな」と語るように、組み合わせが決まって以降2回戦突破を目指して取り組んできた成果が十分に発揮された試合となった。下級生から目立ったのは「4年生のために」という言葉。4年生と公式戦で戦うことができるのはここまでとなったが、4年生から下級生へインカレメダル獲得という夢は十分に託された。



集合写真

(記事 大村谷芳、写真 片山和香)

結果

早大26ー31東女体大
前半 
早大12-17東女体大
後半
早大14-14東女体大

スタメン

GK作本夕莉(スポ2=福岡・明光学園)

LW木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)

LB山野紗由(スポ3=北海道・釧路江南)

PV石坂美紀(スポ2=千葉・昭和学院)

CB井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)

RB杉浦亜優(スポ3=愛知・名経大市邨)

RW江頭理沙(スポ2=東京・ICU)

コメント
木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)

ーーどのような気持ちで試合に臨みましたか

 勝ちたいというのが第一でした。秋季リーグ(関東学生秋季リーグ)で結構な負け方をしたので、そのリベンジがこの舞台でできるのはすごく幸せなことだなと思ったので、まずは楽しんで勝つということをみんなに言いながら臨みました。

ーー試合前、試合中にはチームにどのような声掛けを

 私自身は「今緊張で胃がキリキリしています」と伝えて(笑)。この試合は、自分たちが出し惜しみをすることなく全部出し切ってやれること全部やって、やっと戦える相手だと思うので全部やりきろうということとあとは楽しむことを忘れないでということを伝えました。

ーー自身のプレー、チーム全体を振り返って

 決めたいプレーを決めれたのはすごく大きかったし、自分たちのミスで取られてみたいな感じではなくて、しっかり取れていたし、守れてもいて5点差は縮まらなかったですけど、よく戦えてたなと思います。よくこのメンバーで東女体大相手に秋季リーグであの負け方したのによく戦えたかなと、自分たちの実力は出せたかなと思っています。

ーーキャプテンとしてインカレまで戦い抜きました、振り返って

 正直本当に苦しかったんですけど、同期の桃虹(山本桃虹、スポ4=東京・佼成学園女)とかも抜けて昨年の4年生がすごく中心をはっていたので、一気にガラっと変わって、普段出ていない子とかが中心になって出るようになって、そこのギャップに戸惑いとかはたくさんあったと思うんですけど、それでもみんな一生懸命自分のできることやってくれて。自分はけがスタートだったんですけど、早く復帰しないとなという思いと本当にこのメンバーが大好きなので、みんなでプレーできる時間をできるだけ長くしたいなと思いながらここまでやってきました。

ーー同期や下級生に伝えたいことは

 プレーヤーは文乃(鶴田文乃副将、スポ4=山梨・日川)しかいないんですが、本当に頼りないキャプテンだったと思うんですけど、すごく支えてくれて、良い意味でそんなに干渉せず、でも応援してくれてすごくありがたかったです。後輩は良いものを持っている選手はすごく多くて、みんなの力を出し切ったら絶対に筑波大でも東女体大でも格上でも勝てると思うので、この悔しさを忘れずやっいってほしいなと思います。

山野紗由(スポ3=北海道・釧路江南)

ーー試合を終えて、今の思いを聞かせてください

 今日は明日も試合したいという気持ちでやってきたので、 悔しいっていう気持ちが一番強いですね。やれることを全部出し切れたわけではないので、そこが一番悔しいです。

ーーどのような気持ちで試合に臨みましたか

 秋季リーグで東女体大戦をやった時に結構序盤から点差がついてしまったので、本当に最初からギアを上げて全力でみんなで足動かしてやろうという気持ちでした。

ーーご自身のプレーを振り返って

 自分の一番やりたかったプレーというのができなかったなという風に思いいます。ディフェンスで自分のところを結構やられてしまって、そこからうまく気持ちを切り替えてオフェンスに挑むことができませんでした。オフェンスでもディフェンスでのミスを修正することができなかったので、 オフェンスでも冷静にいつも通りの動きというのができなかったなと思います。あとやはり、自分がやりたいという風に思っていたミドルシュートとかがなかなか後半ではうまくできなくて、そこはとても悔しいです。

ーー4年生への思いは

 最後に文乃さん(鶴田文乃副将、スポ4=山梨・日川)とももさん(木村百花主将、スポ4=東京・白梅学園)が点を決めて、ももさんはスカイプレーを2本決めてくれて、2本目はパスも悪かったんですけど、最後の4年生の気持ちで打ったシュートみたいで、ものすごくももさんが決めた時はうれしかったし、チームが盛り上がるなと思いました。文乃さんは本当に最近までインカレに出れるか出れないかわからないみたいな状況だったので、昨日もシュート決めてめちゃくちゃうれしかったんですけど、今日試合に出てあんなに活躍できるとは1ヶ月前は思えなかったので、文乃さんがシュート決めた瞬間は、すごく疲れていたんですけど、疲れが一気に吹っ飛んで頑張れたので、4年生かっこいいなって思いました。そんな4年生のために勝ちたかったんですけど、そこで自分たちの力を発揮することができなかったのがとても申し訳ないなという思いです。

ーー今後エースとして、最上級生としてどのような選手になりたいですか

 今私は結構プレーに波がある選手で、周りの人が結構気を使ってくれたり、今はチームに迷惑をかけたりすることがとても多いんですけど、早慶戦終わった後は最上級生になるので、安定感を持ちつつ、勢いを持ったエースになってチームを引っ張っていけるようになりたいと思います。

井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)

ーーどのような気持ちで試合に臨みましたか

 4年生に決めてもらいたいという気持ちが大きかったです。あとは勝ってまた次の試合一緒に1秒でも長く同じコートに立てるように、とにかく勝ちたいという気持ちでした。

ーー今日の試合を振り返って
 
 秋季リーグで戦っていて、全然うまくいかないことが多くて、だったら何をしたらうまくいくのかというのをミーティングの時から考えていて、それを今日の試合でみんなで頭に入れてやってきました。そしたらうまくいくことも多くて、それでもやはりミスとかが増えてしまい、相手に流れがいってしまうことが多かったんですけど、その中でも自分たちがまた流れを引き戻したり、速攻にいったり大きく差が開くことがなかったので、それは自分たちの成長にもなったのかなと思います。

ーー具体的に意識したことは

 秋季リーグの時には相手も準備していて、そこからの1対1というのが全然うまくいきませんでした。ですが、今回は流れの中での1対1とか、ポストを絡めた上からのシュート、ポスト置いて上からのシュートみたいなことを今回は意識してやろうという風になっていました。今日は特にブロックして上から打ったり、クロスを多く入れたりすることを意識していました。他にも秋季リーグでは出してないきっかけがあって、うまくいったきっかけをずっとやろうということととにかく速攻で走ろうということを言っていました。

ーー最後まで諦めない姿が印象的でした、ゲーム終盤の心境は

 最後らへんは5点差、4点差で全然ひっくり返せる点差と時間だったので、とにかく走って、点決めて、点取られてもすぐ走って、本当に早く差を縮めて、最後の1秒ででも良いから追い抜けるようにというのを意識していました。

ーー早慶戦、来シーズンに向けて意気込みをお願いします

 インカレは負けたら終わりだからもう勝ちにこだわっていたんですけど、早慶戦はお祭りのようにみんなで楽しめたら良いなと思います。みんなで楽しめるような、その雰囲気作りというか、ゲームメイクということをしたいですし、本当にに自分というよりも他の人のためにという感じでゲームを作っていけたら良いかなと思います。来年からはそんなにメンバーも変わらないと思うので、このインカレの悔しさを晴らすために、今回たくさん出た課題をどんどん改善してもっと上を目指していけたら良いのかなと思います。東女体大に勝ちたいです!