関学との定期戦は同率優勝 互いに譲らず接戦を同点で終える

女子ハンドボール

早関定期戦 6月29日 東京・東伏見スポーツホール

 女子は第15回を迎える早関定期戦が6月29日、今年も開催された。関西学生リーグ1部所属、今春はリーグ2位の成績を残している関学女子ハンドボール部に対し早大は、スタートから速攻を中心に得点、大きくリードを奪う。しかし中盤から関学に反撃を許すと、12―13で前半を折り返した。後半の立ち上がりは関学が勢いに乗る。早大は6点のビハインドを追いかける苦しい展開だったが、その後積極的なオフェンスで追い上げを見せ、26―26の同点で定期戦を終えた。

 「声出しやハードワークで、まずは出だし頑張ろうと話していた」という立ち上がりは、井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)の強烈なステップシュートで早大が先制点を挙げる。続けて、粘り強いディフェンスからの速攻を中心に関学を突き放し、前半15分で早大は5点のリードを奪った。このまま早大ペースで試合が進むかと思われたが、関学の反撃が始まる。サイドシュートや速攻で徐々に点差を縮められると、アウトから早大ディフェンスの間を割る攻撃を展開され、逆転を許してしまう。早大も、井橋の半身ずらしたミドルや、山野紗由(スポ3=北海道・釧路江南)の2枚目をかわして放つシュートなどで応戦したが、関学のリードは変わらず、前半を12―13で折り返す。

得点後ガッツポーズをする木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)

 追いつき追い越したい後半。開始直後に関学がポストシュートで得点すると、オフェンスでのパスミスから速攻に持ち込まれるなど、早大は6点のリードを許す。これ以上の点差は避けたい場面。流れを変えたのは、今試合がけがからの本格的な復帰戦となり「完全復活した姿を見せたい」と意気込んで臨んだ木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)だった。バックプレーヤー陣がずらしてずらして左サイドの木村につなぐと、完璧なコースでシュートをゴールに突き刺した。早大は続けて、杉浦亜優(スポ3=愛知・名経大市邨)のポストシュートや、井橋のカットインなどで関学に迫り、後半17分半、山野のミドルシュートでついに逆転する。ここからは一進一退の攻防が続いた。関学が前半から継続して速攻やカットインを中心に攻め込むと、一方の早大は杉浦がバックと連携してシュートを連発、また井橋から木村へのスカイプレーなども決まり、積極的にゴールを狙う姿勢を見せた。また「誘ったコースに打たせて取るセービングができた」と振り返った作本夕莉(スポ2=福岡・明光学園)が好セーブを連発するなど、最後まで1点を争う展開が続き、ラスト2分で早大が1点リード。このリードを守りたい早大だったが後半終了間際に追いつかれると、そのまま26―26の同点で試合終了となった。

好セーブを見せる作本

 早大、関学の同率優勝となった今回の定期戦。勝ち切れなかった悔しさはあるものの、復帰した木村の活躍や、安定した試合の立ち上がりなど、さまざまな収穫があっただろう。木村が「最後まで運動量を落とさないディフェンス」を、井橋が「守り切ってオフェンスにつながるディフェンス」を強化したいと語ったように、定期戦を経てより具体的な課題も見えたはずだ。接戦を終えたワセダセブンは、関東学生秋季リーグに向けて夏の鍛錬期に入る。成長を続ける早大ハンドボール部から目が離せない。

(記事 片山和香、写真 三浦佑亮)

試合後の集合写真

結果
早大26―26関学
前半
早大12―13関学
後半
早大14―13関学

スタメン 
GK 作本夕莉(スポ2=福岡・明光学園)
LW 石坂美紀(スポ2=千葉・昭和学院)
LB 里村采音(商2=岩手・不来方)
PV 杉浦亜優(スポ3=愛知・名経大市邨)
CB 井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)
RB 山野紗由(スポ3=北海道・釧路江南)
RW 江頭理沙(スポ2=東京・ICU)

コメント
木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)
――試合を振り返っていかがですか
 出だしはいい流れでいけていたけど、途中追いつかれてなかなか流れを持っていけず、逆に自分たちのミスが続いて後半出だしで相手に差をつけられてしまったのは反省すべき点だなと思います。ですが、立て直してアグレッシブなディフェンスからいい流れで6点差を追いつけたのは自分たちの自信にもつながるいいゲームだったと思います。

――本格的な復帰戦となりましたが、どんな気持ちで試合に臨みましたか
 これまでチームにプレーで貢献できていなかった分、自分がシュートや体を張ったプレーで活躍してみんなに完全復活した姿を見せたいなとは思っていました。あとはけがだけはしないようにと思っていました。(笑)

――左サイドから完璧なコースでシュートを決める場面が多く見られましたが、オフェンスで意識したことはありますか
 ここまで溜まっていた分、まずは思いっきり打ってやろうという気持ちはありました。あとは、サイドシュートがたくさん決まれば楽に試合展開できるので、そこは意識してやっていました。あとスカイプレーは一回決めたいねと萌奈(井橋萌奈、スポ2=東京・白梅学園)と話していたので、それができてよかったです。(笑)

――チームメイトに声をかけるなど、プレー以外の面でもチームを引っ張ってらっしゃった印象です。チームの雰囲気はいかがでしたか
 自分達は今けが人が多くて練習でなかなか合わせられてなかったんですけど、一貫してやってきたアグレッシブなディフェンスからの速攻という形は徹底してチャレンジしようと思っていたので、そこの意思統一はできていたと思います。あとはせっかく関学とできるので試合を楽しもうっていう雰囲気はあったと思います。

――この試合を通して見えた、チームあるいは個人で強化していきたいポイントはありますか
 チームはやっぱりディフェンスの運動量を後半になっても落とさないことと、速攻のミスが目立ったのでそこの精度を上げていきたい。個人としては、ディフェンスの駆け引きを強化したいのと、サイド以外の動きもできるようにしていきたいです。

作本夕莉(スポ2=福岡・明光学園)
――フルでゴールを任された試合でしたが、どんな気持ちで臨みましたか
 いろんな意味で楽しみでした。もちろん今はキーパーが1人しかいないので正直不安もありました。しかし自分がやってきたことがどれだけ出せるか、どこまで通用するのかを知るためにも、集中を切らさないよう60分間戦い抜くことだけを考えて臨みました。

――フリーのシュートに対しても好セーブを連発されていました。セービングで意識したことはありますか
 ゲームの前半で相手の特徴をなんとなくつかめたので、誘ったコースに打たせて取るというセービングを意識しました。

――後ろから見ていて今日のディフェンスはいかがでしたか
 たくさんカットしてくれたり、アウトまで追い込んでくれたりして素敵でした!抜かれてもいいから高く当たってほしいと要望していたので、それをしてくれたのがすごく助かりました。あとは、崩れた体勢で打たせたシュートをきっちり取ることは、私の課題なのでがんばります。

――これから夏の期間に強化していきたい部分はありますか
 体には当たっているけれど入ってしまうことが多かったので、どしゃっと止められるようにしたいです。ウエイト頑張ります。

井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)
――同点という結果になりましたが、試合を振り返っていかがですか
 自分たちは出だしがいつも悪いので、声出し、ハードワークをして試合の出だしだけは頑張ろうという話をしていました。序盤は守って点を決めることができたのでそこはすごく良かったのかなと思います。ですが途中で悪い流れになって、それを断ち切れずに点を離されてしまい、すぐに修正できなかったことが良くなかったなと思いました。試合終盤になるにつれ、取って取られての状況が続いていて、自分たちの中にも焦りと緊張があったので、最後まで落ち着いてプレーできたらこの試合も勝つことができたんじゃないかなと思います。この試合で良いプレーと課題点が明白になったので、また秋リーグ(関東学生秋季リーグ)に向けて改善していきたいなと思います。

――オフェンスでは個人でまず8得点、他にもポストパスなどボールをさばく部分でもチームに貢献されていましたが、意識されていたことはありますか
 バック陣の強い1対1やコートを広く使ってくれたプレーのおかげで真ん中が広くなり、攻めやすい環境を作ってくれたのでシュートを打てたのかなと思います。ポストは、亜優さんがとても良い動きをしてくれたので自分はその動きに合わせてパスを出すだけでした。ポストだけでなく、まだまだ見落としている場面はたくさんあったので、もっと視野広くできたら良いかなと思います。

――ディフェンスでは、相手が間、特に2枚目のアウトを割ってくる場面が多かったと思います。チャージを誘う場面もありましたが、2枚目としてどんなことを意識していましたか
 低いところで抜かれてしまうと隣のディフェンスもフォローに来ることができないので、とにかく前に出て当たるということを意識していました。関学はアウトからスピード持ったカットインをしてくるのであまり前に出れなかったのですが、とにかく綺麗に抜かれないように自分がワンクッション入れて当たろうと考えながらプレーしていました。

――この試合を通して見つかった、これからの強化ポイントがあれば教えてください
 まず簡単に相手にシュートを決められてしまうとオフェンスを良い流れで持っていくことができないので、ディフェンスできちんと守り切るというのは一番大きな強化ポイントで、その上でもっとスピード感のある速攻での点数を増やしたいです。