関東学生春季リーグ 5月25日 東京・国士舘大学多摩キャンパス
3勝5敗で迎えた春季リーグ(関東学生春季リーグ)最終戦。前戦で複数のけが人が出た早大はメンバーに新勢力を加えて、今季6勝2敗と勢いに乗る明大と対戦した。立ち上がりは一進一退の攻防が続いたが、明大オフェンスに中を狙われ、前半途中には7点ビハインドとされる。しかし前半終了10分前から得意の速攻を中心になんとか追い上げを見せると、前半を終えてスコアは13―16。背中を捉えたと思われたが後半、明大の猛攻を前に早大は堅守速攻を封じられると、流れをつかめないまま点差を広げられ25―42で敗戦。7位で春季リーグに幕を下ろした。
明大に2点の先制を許した後、早大の1点目は結城颯太(スポ3=千葉・昭和学院)の速攻。西村悠吾副将(人4=千葉・市川)が相手のチャージを誘ってつなげたプレーだった。早大持ち味の堅守速攻を体現する得点に、チームの士気が高まる。両者一歩も譲らずその後は競った展開が続く立ち上がりだったが、前半7分、ポストシュートを中心に明大が連続得点を挙げると、試合は一気に明大の流れに。ポスト、ミドル、ペナルティースローなどさまざまに得点を重ねる明大に対し、早大は退場者を複数出し、前半10分半の西村副将の速攻を最後にゴールから遠ざかっていた。21分には7点差まで離され、これ以上のビハインドは避けたい場面。今季攻守ともにプレータイムを伸ばしている黒沼大幹(教3=東京・明星)の2連続得点で、ワセダセブンはなんとか反撃の糸口をつかんだ。角度のあるサイドシュートに対する大武蓮(社4=神奈川・川和)の好セーブ、守屋雄司主将(スポ4=神奈川・法政二)がブロックして作ったスペースに飛び込んだ尾上悠利(スポ2=大阪・大体大浪商)のシュート、続けて豊田創志(スポ3=千葉・市川)のパスカットからの速攻などで、終了間際に早大が怒涛の追い上げを見せると、13―16で前半を折り返す。

ゴールを狙う鍋島
反撃の勢いそのままに追いつき追い越したい後半。しかし開始直後から明大のコートを広く使ったオフェンスに圧倒されると、後半6分には再び7点までビハインドが広がる。「今季からエースとしての自覚が芽生えている」と語る鍋島弘樹(スポ3=福井・北陸)が、キーパーの股下を狙うステップシュートや力強いミドルを放ち、早大もなんとか食い下がるが、なかなか主導権を奪えなかった。中盤にはオフェンスのミスが目立ち始め、逆速攻につなげられるシーンが増えると、点差は一気に2桁に。初出場の堀内海生(商1=福島・安積)がサイドシュートを決めるなど、最後に粘りを見せた早大だったが、点差を縮められず25―42で試合終了の笛が吹かれた。

初得点を挙げた堀内
前半終了間際に3点差まで追い上げるも、後半に大量得点を許して突き離された今試合。オフェンスのミスから逆速攻を許し、堅守速攻を完全に封じられた。春季リーグ9試合を終えて、早大は3勝6敗、最終順位は7位。今回のように大きく点差をつけられて敗れる試合も多く見られた。守屋主将は「苦しい春リーグだった」と振り返った一方で、「伸ばせる部分しかない」と前向きな言葉も口にする。スピードを持ってディフェンスの間を割れる選手や、サイドシュートを確実に決め切れる選手。ルーズボールへ激しく反応する選手や、運動量を生かした粘り強いディフェンスする選手。才溢れるこのチームの良さをどうすれば生かせるのか。初戦の筑波戦で目立ったような勝てる雰囲気づくりをはじめとして、このチームの「早稲田らしさ」を見失わずに、まだまだ続くシーズンを戦い抜いてもらいたい。早大ハンドボール部は、勝つことの難しさを痛感させられた春季リーグを糧に、心技体全ての強化を誓って夏の鍛錬期に入る。
(記事 片山和香、写真 大村谷芳)
関東学生春季リーグ(春季リーグ) | ||||
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早大 | ● | 25―42 | 明大 | |
13―16 |
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スタメン | ||||
GK 大武蓮(社4=神奈川・川和) |
コメント
守屋雄司副将(スポ4=神奈川・法政二)

――今日の試合を振り返って
うーんという感じですね。前向きに言うなら、秋に向けてまた一から始めなければいけないと分かった試合でした。反対に言うならば、自分たちのやってきたことが出せなかった反省点の多い試合だったと思います。
――準備してきたこととは具体的にどんなことですか
オフェンスでアウトカットインやサードシュートを増やすことをずっと意識してきたのですが、結局それが試合で出なかったですし、バックチェックをしっかりと言う話もしていた中で、そこでの失点もあったので反省すべき点だと思います。
――春季リーグを振り返って
苦しい春リーグだったと思います。主将になって今年はやれると強い気持ちを持って臨んだ中で、目標に届かなかったことは主将である僕が反省しないといけない点です。1試合目はすごく良かったのにそこから続けて勝つことができなかったところや、勝ちが見えないような点差を離された試合が多かったところは、チームマネジメントの部分で僕自身が反省して、もう一度やり直さないと思っています。
――春季リーグでの良かった部分は
全部伸びしろがあると思うので、そこはポジティブに捉えられる部分なのかなと思います。伸ばせる部分しかないので、1つ1つしっかりやっていけばどこのチームに対しても勝てないことはないと思います。
――夏の強化ポイントは
心技体全ての部分を鍛え直していかなければいけないと思います。その中で僕自身は、心と体の部分、誰でもできる部分をまず先頭に立って磨きながら、最後に技術の部分がついてくればいいのかなと思います。
鍋島弘樹(スポ3=福井・北陸)

――試合を振り返って
上位を目指して始まった春リーグでしたが、リーグ戦が始まる前の合宿や練習試合でチームの雰囲気がすごくよかった分、やはり3勝しかできないといつ悔しさが残っています。個人的にも、今季からみんながそう言ってくれるのもあってエースとしての自覚が芽生えていましたし、自分でもそれを感じるプレーができるようになってはいましたが、今日みたいな時に試合を勝負できるくらいにまで持っていけるプレーヤーにならないといけないなというのはすごく感じました。
――自身のプレーを振り返って
なかなかシュート自体が入らない中でも、それでも仲間が預けてくれているボールなので、まず打ちに行くことは意識してやっていました。それでもやはり決めないといけないシュートが何本もあったので、それを決められるような練習をしていきたいなということをすごく感じました。
――試合後のミーティングではどのような話がありましたか
自分たちが良いと思っていた分、全然だめだったこの春リーグの良くない部分を、秋リーグ以降につなげるために、今思っていることを全部言おうという話がありました。雄司さん(守屋雄司主将、スポ4=神奈川・法政二)は「自分たちの膿を全部出して、次につなげようと、これが意味のないものにならないようにしよう」ということを話していました。
――今後どのような選手になりたいか、意気込みをお願いします
チームの最終目標は日本一なので、日本一に貢献ではなくて、自分が引っ張っていくような選手にならないといけないなという思いがあります。上級生でも僕たちの代で試合に出る選手は多いので、その分学年関係なく自分がこの早稲田を引っ張って、もっと強いチームにしたいとすごく感じました。
