24年度を振り返って担当記者からの編集後記を掲載します。また取材に快く協力してくださった部のみなさんへ、ここに感謝を記したいと思います。つたないものばかりでしたが早スポの記事や写真、言葉を通して、この1年の活躍や思いを記録として残し、少しでも光を当てられていたならそれほど光栄なことはありません。早スポハンドボール班は来年度の早大ハンドボール部も応援しています。

男子部

 白築琢磨主将(文構4=東京・早実)、渡辺航平副将(人4=神奈川・桐光学園)、速水駿太(文構4=東京・巣鴨)、佐藤明咲花マネジャー(スポ4=福島・安積)、髙橋真奈マネジャー(教4=東京・拓大一)の5人の4年生が率いた24年度男子部。日本一を目標に掲げ始動した彼らは、数々の苦しい場面を経て「早稲田らしさ」を紡いできた。

 初陣を飾る春季リーグ(関東学生春季リーグ)は開幕4連敗でスタート。「もっとチームを勝たせられる主将になりたかった」(白築)、「4年生GKとして責任を感じ、苦しい時もあった」(渡辺)と振り返ったように、4年生が感じた重圧の大きさは計り知れない。1点の重みや勝ち切ることの難しさを痛感させられる中、第5戦でついにつかんだ白星は、チーム一丸となって勝ち取ったものだった。

 ハイスコアの試合が続いた春季リーグを5位で終え、夏の鍛錬期にはディフェンス面を強化。基本の0―6から、1―5、3―3まで多様なディフェンスシステムを試し、短期間で完成までこぎつける。その成果は、けがで複数人が離脱し春とはメンバーを変えながらの戦いを強いられた秋季リーグ(関東学生秋季リーグ)で発揮された。多様なディフェンス体系を駆使し、春より勝ち数を1伸ばした。

 順調に調子を上げて迎えた11月、ついに大学日本一の座を争うインカレ(全日本学生選手権)が開幕する。4年生は集大成を見せる時、3年生以下の部員は「4年生に恩返しを」。万全の体制で挑んだ早大だったが、結果は厳しい初戦敗退。ここで終わるわけにはいかないと、笛が鳴る瞬間まで勝ちにこだわり泥臭く戦い続けたものの、あと一歩が及ばなかった。試合後込み上げた涙に、インカレに懸ける思いを見た。

 あの悔しさから約1ヵ月。今年度ラストゲームは伝統の一戦、早慶戦だ。インカレの悔し涙とは対照的に、選手・スタッフからこぼれる笑顔が印象的だった。堅守速攻を見せつけ勝利を収めた早慶戦を終えて、4年生はチームメイトや家族への感謝の言葉と、「何かを頑張った経験はこの先、生きていく上で大きな糧となるはず」(髙橋)と後輩たちへのエールを口にした。

 早大ハンドボール部で過ごした4年間を、「1番きつく充実していた4年間」(速水)、「正直辛いことが9割、楽しいこと1割」(佐藤)と振り返る4年生。誰もが満足に活躍できるわけではない厳しい世界で、やりがいや自身の価値を見失ったこともあっただろう。それでも皆で堅守速攻をはじめとする早大の伝統をつなぎ、苦しい時期も経ながら24年度の「早稲田らしさ」を作り上げた。

 4年生がつないだ伝統を引き継ぐのは、頼もしい後輩たちだ。堂々とした姿勢でチームの即戦力となった下級生や、思うようにプレータイムを伸ばせず悩みながらも1試合1試合を全力で戦った上級生。期待に応えながらプレーでチームを引っ張る選手や、見えないところでチームを支えるスタッフ。それぞれが悩みながらも、皆で日本一という目標に向かって彼らなりの「早稲田らしさ」を紡いでいく。25年度はどんな戦いを見せてくれるだろうか。新体制の初陣が目前に迫る。

女子部

 春季・秋季リーグ(関東学生春季・秋季リーグ)それぞれでの上位進出、インカレでのメダル獲得を目標に掲げてきた女子部。木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)、鶴田史乃副将(スポ4=山梨・日川)ら4年生が中心となりチームを一から作り上げた。

 春季リーグでは、中盤からけがによる負傷者が続き、不安を抱えながらの試合が続いた。しかし、落とせない一戦では確実に勝利し、筑波大への劇的勝利を納めるなど充実したゲームも多く、見事上位リーグに進出、4位で全13戦を終えた。

 秋季リーグでは、これまでけがで離脱していた木村主将がリーグ戦に本格復帰。約2年半ぶりのリーグ戦となったが「あわよくば得点王に」という強い気持ち通り、積極的なプレーでチームを勢いづけた。得点王には届かなかったものの、木村は敢闘賞を受賞、チームは5勝4敗、5位で秋季リーグを締めくくった。

 さらにインカレ2回戦では、多くの選手が秋季リーグで最も手応えがなかったと口にした東女体大との一戦に臨んだ。この一戦のためだけに、相手の特徴や作戦の検討など多くの時間を費やしてきたが、勝利まであと一歩届かず。それでも、春季リーグ途中にチームを離脱した鶴田がコートへ戻り「やっと報われたな」と振り返るなど、選手の多くが手応えをつかんだインカレとなったことも事実だ。

 今年度早大女子ハンドボール部の特筆すべき点は、低学年選手の成長である。木村主将が注目選手として挙げた大野蒔絵(スポ2=埼玉・市立浦和)や江頭理沙(スポ2=東京・ICU)はもちろん、井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)や石坂美紀(スポ2=千葉・昭和学院)、里村采音(商2=岩手・不来方)もリーグ戦やインカレではスタメンで出場し活躍を見せた。さらに今季は多くの場面で、GK作本夕莉(スポ2=福岡・明光学園)と堀内雪羽(スポ1=千葉・昭和学院)による好セーブに救われた。チームの流れが停滞した際、相手に逆速攻からシュートを打ち込まれる際などでも体を張ってボールを止めて見せ、仲間を鼓舞した。

 4年生や3年生が試合に出場できない状況続いた中で、一人一人が自身の役割を果たしたことで春季・秋季リーグともに上位進出という結果が表れた。今年度多くの選手が試合の出場機会を得たことによって、来年度のチームの完成度には期待が高まる。約1ヵ月後から開始する春季リーグでの新体制初戦が今から待ち遠しい。

(記事 片山和香、大村谷芳、写真 片山和香、大村谷芳、芦刈れい)