夏の暑さが過ぎ去り徐々に秋らしい気候となる中、関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)は中盤戦に差し掛かった。ここまで4戦負けなしで波に乗る早大は、5戦目でスター選手揃いの日体大と対戦。終始相手にペースをにぎられ、常にビハインドを背負う苦しい試合となった。前半は、早大オフェンスの連携が精彩を欠き、その隙をついた日体大に連続得点を許すハードな展開で5点差をつけられる。後半は一時追い上げムードが高まるが、ここぞという場面の1点が遠く、好機を生かしきれない。最後まで点差は埋まらず、秋季リーグ初の黒星となった。
「相手に勝つ前に自分たちのミスで自分たちに負けた」と鈴木健文監督(昭52教卒)が振り返るように、早大らしい速攻を展開できない歯がゆい試合となった。試合開始直後、佐藤法俊(スポ4=長野・屋代)が幸先良くシュートを決め先制点を挙げるが、その後は攻撃時にミスが相次ぎ、思うように得点できない時間帯が続く。一方、高さと速さを兼ね備える日体大はその隙を逃さず3連続得点。早大は、速攻での得点や山田和直(スポ3=群馬・富岡)のロングシュートから流れをつくろうとするが、相手の攻撃力が勝り、点差が開いていく。ワセダセブンには焦りの色が見え、「落ち着いて」という声も聞かれた。前半戦終盤、村井達也(スポ4=富山・高岡向陵)や中惣健友(スポ3=石川・小松)が立て続けに相手ゴールを割りベンチを沸かせるが、勢いに乗りきれず。14-19と5点差で折り返した。
先制点を挙げた佐藤
巻き返しを狙って迎えた後半戦。開始直後に早大の強みである粘りのディフェンスが見られたが、攻撃面では決め手に欠け、引き続き苦戦を強いられる。しかし後半11分、永橋優太朗(スポ3=千葉・市川)の気迫のこもったシュートが決まると、反撃の兆しが見え始める。青沼健太(社4=千葉・昭和学院)のパスを福田友貴(スポ4=神奈川・法政二)が得点につなげ、さらに、福田が体を張ったオフェンスで7メートルスローを獲得すると、青沼がこれを決めて3点差。早大に流れが傾くかと思われた。しかし、優勢を保とうと守りを固める日体大に跳ね返され、大事な局面での一本がなかなか決まらない。終盤には神前怜(スポ3=埼玉・浦和実)が連続得点を挙げ食い下がったが、点差は縮まらず、29-33で敗戦となった。
攻守に体を張った福田
早大の持ち味を生かせず、悔しい敗戦となった今回の試合。後半のチャンスで決定力に欠け、流れを引き寄せることができなかった。しかし、前回の明大戦で見られた通り、堅い守りとスピード感のある攻撃に裏付けられたその実力は確かなものだ。「自分たちのやりたい、ディフェンスから速攻というところに立ち返って練習していきたい」と青沼が話すように、次戦では早大らしいハンドボールが見られるか。ここまで4勝1敗と好成績を残すワセダセブンは、リーグ優勝を見据え、国士館大戦での勝利を目指す。
(記事 澤崎円佳、写真 小澤慶大)
関東学生秋季リーグ | ||||
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早大 | 29 | 14ー19 15-14 |
33 | 日体大 |
GK 中村匠(スポ4=千葉・市川) CP 遠近拓海(教4=東京・早実) CP 青沼健太(社4=千葉・昭和学院) CP 福田友貴(スポ4=神奈川・法政二) CP 山田和直(スポ3=群馬・富岡) CP 佐藤法俊(スポ4=長野・屋代) CP 神前怜(スポ3=埼玉・浦和実) |
コメント
鈴木健文監督(昭52教卒)
――今回の試合を振り返っていかがですか
やっぱり体格差があるし、相手のスピードもあるので、うちもそこそこやったはずなのですが、それ以上に前半の5点差が大きかったかな。昨年も前半負けていて後半やり返したのですが、今年はできなかったですね。
――今回の試合で見えた課題はありますか
うちはロースコアでやらないと勝てないと昨日伝えました。うちがシュートミス、パスミス、キャッチミスのようなミスをしなければ相手にボールが渡らないから、相手の攻撃にならないんですよ。逆に相手に入れられてしまうと速攻を出せないんですよね。攻撃のときにミスをしていたから、その辺が反省点です。相手のプレッシャーも結構あったので、そこを全部解決できるかというとそうではないです。ただ、毎回データを取っていますが、ターンオーバーが今までで一番多かったんですよね。だからその辺が反省材料です。相手に勝つ前に自分たちのミスで自分たちに負けたということですよね。ここを反省して、次戦につなげればと思います。
田畑和典コーチ(昭58教卒)
――今回の試合を振り返っていかがですか
勝てないゲームではなかったと思います。肝心なときや追いつきたいときにミスをして、逆に相手に1点、2点と得点されて差が開き、また差をつめてもシュートミスなどで追いつけず差が離れていくという経過で、流れが悪かったと思います。全体的にボール回しがスムーズではなく、相手の牽制によって動きがつまったり、遅れたりといった形でうまいことコミュニケーションが取れていない状態で勝負していたので、ミスが多いと感じました。また、長身の日体大ディフェンスに対して高さで対抗しようとしてしまったので、シュートが相手にブロックされることが多かったですし、ルーズボールも1本良いのがありましたが、バーに跳ね返ったボールが相手の方に転がるというアンラッキーな部分もありました。全日本学生選手権(インカレ)の組み合わせがどうなるかは分からないですが、どこかで借りを返さないとだめなので、ぜひ選手にはインカレで借りを返すという気持ちでやってほしいです。
――今回の試合では、思うようにオフェンスが機能しなかった印象がありますが、ディフェンス面で課題はありましたか
ディフェンスはまずまずだと思います。点数を取られているのはオフェンスでのミスが原因なので。試合の終盤に相手の左利きのバックプレイヤーにキーパーが合っていなくて3本連続で決められてしまいましrたが、慣れてくれば止めてくると思います。セットディフェンスでやられているのは15本くらいだと思うので、ディフェンスとしては及第点だと思います。オフェンスでのミスが無かったら25点くらいでおさまっているはずで、25点でおさめれば勝ちパターンです。チームみんながわかっていることとして失点のボーダーラインが25点で、それ以上取られるとどんどん負ける確率が高くなります。25点以下だったら絶対に負けないです。26点までは取れる力があると思っています。あとは、日体大のセンタープレイヤーがポイントだと事前に対策していたので、パスフェイントに対して目をきらずにしっかり守ることができていたのは良かったと思います。ディフェンスは練習通りに出来ていたのですが、ミスは練習通りではなく、負けのパターンとしてはどの試合も同じでシュートを外したり、ミスをしたりすると負けてしまうのは当たり前だと思います。今までの勝ち試合では相手のチームよりもミスが少なかったから勝てたので、ミスを減らそうと練習していければと思います。同じミスを2度繰り返さないことが大事です。
青沼健太主将(社4=千葉・昭和学院)
――今回の試合を振り返って、感想をお願いします
終始自分たちのペースをつかみきれずに、後半の中盤は結構良かったのですが、何となく60分が過ぎてしまったという感じがします。
――日体大戦に向けて、どのような対策をしてきましたか
日体大は速攻が速いので、バックチェックを意識することと、相手23番のセンタープレーヤーがすごく良い選手なのでそこの真ん中の2:2でやられないようにと対策してきました。ですが、そこからの展開で両エースにシュートをうたれることが多くなってしまったので、次に日体大と対戦することになったら修正するポイントかなと思っています。
――早稲田のオフェンス・ディフェンスはどれくらい機能していたとお考えですか
時間帯によるのですが、全体的に見て50~60点があげてもいい方かなと。特にオフェンスに関してはもう少し低くてもいいぐらいだと思います。僕らのディフェンスと違って、日体大は選手が一人一人ボールに高く高く出てくるようなチームなのですが、今までと同じような間合いでプレーしてしまったのでうまくボールがつながらないということと、ディフェンスもいつもより遠くからうち込んでくる選手に対して、当たりきれないとかシャットをあげきれないといった展開が守りでも多く続いてしまったので、そこが自分たちのペースに持ってこられなかった原因かなと思っています。
――関東学生秋季リーグでは初めての敗戦ですが、これから1週間どのようなことを意識して練習していきたいですか
先週は割と相手の対策というところに重きを置いてしまったので、もう1回自分たちのやりたいディフェンスから速攻というところに立ち返って、試合に向けて練習していきたいです。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
次はしっかりディフェンスから速攻という持ち味を生かすことと、試合中の修正という部分をもっと図っていって試合の中で成長できるようにしていけたら良いかなと思います。頑張ります!