一進一退の激しい攻防 奮闘するも東海大に惜敗

男子ハンドボール

 関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)の開幕を1週間後に控え、全日本学生選手権東地区シード権決定戦がトーナメント形式で行われた。早大の初戦の相手は、4年生が中心となり組織的な完成度が高い東海大。前半は先行されるも、後半は早大ペースで一時逆転。粘りの守備を見せ果敢に攻め入り、拮抗(きっこう)した展開に持ち込んだ。しかしその勢いは最後まで続かず、相手に再度逆転を許し惜しくも敗戦。11月に行われる全日本学生選手権でのシード権は逃すこととなった。

 終始激しい攻防が繰り広げられた東海大戦。「勝ちきることができず、とても悔しい」と佐藤法俊(スポ4=長野・屋代)が語るように、接戦だったが故に痛い黒星となった。前半開始直後、相手に連続して得点を挙げられるも、早大は永橋優太朗(スポ3=千葉・市川)、神前怜(スポ3=埼玉・浦和実業学園)のスピードの乗ったシュートで応戦し、上々の立ち上がりを見せる。相手の強力なオフェンスにゴールを許しながらも、積極的な守備から速攻を繰り出して要所で得点。東海大相手に懸命に食い下がり、9-12で前半を終えた。

先制点を挙げた永橋

 後半戦は、出だしから早大がペースを握る。守備陣の粘りに応えるように青沼健太(社4=千葉・昭和学院)が序盤に3得点を挙げ、村井達也(スポ4=富山・高岡向陵)が力強いシュートを決めるなど攻撃陣が奮闘。1点差に迫る。そして後半12分、引き離そうと躍起になる東海大の攻撃を気迫のこもった守備でかわし、素早く攻め上がった早大。神前の鮮やかなシュートがゴールを割り、遂に相手の背中をつかんだ。さらに、佐藤が倒れこみながらシュートを放ち得点を挙げ、菅原七海(社3=東京・早実)の豪快なシュートが決まり逆転すると盛り上がりは最高潮に。早大の堅いディフェンスと勢いに乗るオフェンスがかみ合い、一時2点差をつけた。しかし、ここから東海大が意地を見せる。勝ち急いでしまったか、繋ぎのミスや単調な攻撃が見られた早大の隙に付け込み、3連続得点。早大が握っていたはずの主導権は東海大へ。相手ベンチが沸く中、早大はなかなか追加点を挙げられず再度逆転を許し、22-23で接戦を落とすこととなった。

力強いシュートを放つ佐藤

 勝利まであと一歩及ばなかった今回の試合。しかし、「春よりも競った試合を戦えた」と青沼が語るように、半年間の練習の成果が見える試合となった。関東学生春季リーグ(春季リーグ)では同じ東海大相手に完敗した早大だったが、試合の様相は明らかに前回とは異なっていた。早大の勝利のためには何が必要か。青沼は、「1点を守る気持ちやマイボールにする気持ちなど、数字では表れない部分が重要」と話す。9月4日に開幕する秋季リーグ初戦の相手は、またしても東海大。春季リーグでの敗戦から着実に力をつけ接戦を演じてみせたワセダセブンは、今度こそ勝利をつかみとれるか。今年度3度目となる東海大戦に向け、最高の準備をして臨んでほしい。

(記事 澤崎円佳、写真 小澤慶大)

全日本学生選手権東地区シード権決定戦
早大 22 9−12
13−11
23 東海大
GK 中村匠(スポ4=千葉・市川)
CP 神前怜(スポ3=埼玉・浦和実業学園)
CP 村井達也(スポ4=富山・高岡向陵)
CP 永橋優太郎(スポ3=千葉・市川)
CP 中惣健友(スポ3=石川・小松)
CP 田井健志(スポ2=香川中央)
CP 山田和直(スポ3=群馬・富岡)
コメント

青沼健太(社4=千葉・昭和学院)

――試合を終えて、現在の心境を教えてください

シード権を取れずに悔しい気持ちと、春よりも競った試合を戦えたことでこれまでの練習への自信がついた、といった心境です。

――東海大戦に向けて、どのような対策を考えていましたか、また、その対策は試合中にどれくらい生かすことができましたか

相手の両サイドの確率が高いので、アグレッシブなディフェンスでパス回しをうまくさせないように対策しました。ディフェンスに関してはキーパー含め計算通りにプレーできました。しかし、試合で勝つにはそれ以上に1点を守る気持ちやマイボールにする気持ちなど、数字では表れない部分が重要となってくるのでリーグ(関東学生秋季リーグ)やインカレ(全日本学生選手権)ではそのメンタル的な部分の充実を図りたいです。オフェンスは得点数にも表れている通り、速攻でもセットでもうまく機能しなかったので、ここから先、確率の高いプレーを選択できるよう合わせていきたいですね。

――後半では逆転も見られましたが、チーム全体として良かった点はどこにあると思われますか

やはり、ディフェンスから速攻で得点を奪おうという気持ちが一致したと思います。ベンチメンバーも盛り上げてくれましたし、春にはなかった一体感が出てきたような気がします。

――逆に、相手に再度逆転を許してしまった原因はどこにあると思われますか

流れの良い時に自分たちのリズムではなく、ボールを持った人だけが攻める単調な攻撃になってしまったことが原因だと思います。

――来週から開幕する関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)の初戦も東海大との試合になりますが、どのような試合をしたいですか

対策の面でも話しましたが、まずは試合に勝つという気持ち、一つのプレーを大事にする気持ちから全員でもう一度見つめ直したいです。内容はディフェンスから速攻で得点を重ねられれば自分たちのペースに引き込めると思うので、速攻での得点が多い試合にしたいです。

佐藤法俊(スポ4=長野・屋代)

――試合を終えての率直な感想をお聞かせください

勝ちきることができず、とても悔しいです。

――要所で得点を挙げられていましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

気持ちが先走ってしまい、特にセットプレーでは幅を使えず詰まる展開が多かったので、もう少しディフェンスとの距離をとってミドルシュートを狙えたら良かったと感じています。

――早稲田の持ち味であるディフェンスからの速攻はどのくらい機能していたと思われますか

速攻での得点が多く、チーム全体でディフェンスから速攻への意識は高くなっていると感じています。ただ、繋ぎのミスや一人一人のボール保持の時間が長くなることで得点に繋がらないシーンも多いので、そこは改善していく必要があると感じています。

――今回の試合を経て見えた課題はありますか

セットオフェンスと速攻の精度ですかね。

――来週開幕する秋季リーグに向けて、意気込みをお願いします

チームとしても個人としても持ち味を発揮し、一戦必勝の覚悟で戦いたいと思います。