地力の差を見せつけられた初戦 敢闘及ばず東海大に敗れる

男子ハンドボール

 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、無観客で開幕した関東学生春季リーグ(春季リーグ)。初戦の相手は、4年生が主軸でありチームとしての完成度が高い東海大。強力な東海大オフェンスを前に早大の持ち味であるディフェンスからの速攻が機能せず、終始相手に主導権を握られる展開に。大事な初戦を落とすまいと奮闘するもじわじわと引き離され、悔しい敗戦となった。

 

 徐々に点差を広げられ敗北を喫した東海大戦。「1試合を通して苦しいなという印象」と青沼健太主将(社4=千葉・昭和学院)が語るように、ビハインドを背負う時間が長く厳しい初陣となった。前半開始直後、青沼の華麗なステップシュートが相手ゴールを割り、続けて7メートルスローでも確実に得点。幸先の良いスタートを切った早大に流れが来るかと思われた。しかし簡単には乗せてくれないのが東海大。少しずつ差を縮められ、前半15分には逆転を許してしまう。早大オフェンスの持ち味である速攻が得点につながらず苦しむワセダセブンだったが、ここで我慢強さを見せる。山田和直(スポ3=群馬・富岡)が見事な連携からミドルシュートを決めると、GK中村匠(スポ4=千葉・市川)はナイスセーブでチームに貢献。リードは許したものの、東海大相手に果敢に食らいつき8-10で前半を終えた。

 

スピードが乗ったシュートを放つ青沼

 

 気持ちを新たに臨んだ後半戦だったが、一向に点差は縮まらない。序盤は点の取り合いが続くも、後半10分、相手キーパーのロングシュートががら空きの早大ゴールに突き刺さると流れは東海大へ。福田友貴(スポ4=神奈川・法政二)を中心として懸命に自陣を守ろうとする早大だが、コートを広く使った相手の攻撃に翻弄(ほんろう)される。攻撃面では決定力に欠け、徐々に相手の背中が遠のいていった。終盤には青沼と福田の3連続得点や小笹紘大(法3=東京・拓大第一)の気迫あふれるサイドシュートで応戦するも、ディフェンスの間を割られて得点を許し、点差を詰めることができず。最後まで相手を追いかける状況が続き、20―25で敗戦となった。

 

 攻守ともに課題の残る試合内容となった初戦。早大の持ち味である「堅守速攻」を発揮できず、東海大に地力の差を見せつけられる結果となった。しかし、春季リーグはまだ始まったばかり。「良いプレーも悪いプレーもすべてが収穫」と山田が語るように、伸びしろは十分だ。前半には金龍洙(スポ4=兵庫・須磨学園)の鮮やかなサイドシュートや、角辻尚樹(スポ3=奈良・畝傍)の積極的なディフェンスで東海大に食らいつくなど、新戦力の活躍も見られた。「全力で楽しんで1勝をつかみ取りたい」と青沼が意気込むように、次戦では早大らしいはつらつとしたプレーが見られるか。気持ちを切り替え、今季リーグ戦初勝利に向けて全力を尽くす。

 

(記事 澤崎円佳、写真 高橋さくら)

 

関東学生春季リーグ

早大 20 8−10
12−15
25 東海大
GK 中村匠(スポ4=千葉・市川)
PV 福田友貴(スポ4=神奈川・法政二)
CB 山田和直(スポ3=群馬・富岡)
LB 青沼健太(社4=千葉・昭和学院)
RB 佐藤法俊(スポ4=長野・屋代)
LW 遠近拓海(教4=東京・早実)
RW 金龍洙(スポ4=兵庫・須磨学園)

コメント

青沼健太(社4=千葉・昭和学院)

――試合を終えての率直な感想をお聞かせください

昨年は試合を優位に進めることが多かったので、1試合を通して苦しいなという印象です。

――東海大戦に向けて何か対策をされていたことはありますか、また、その対策は試合中にどれくらい活かすことができましたか

強力なバックプレーヤー陣を相手に孤立しないよう端のディフェンスから真ん中に絞る意識を持っていたのですが、間を割られるシュートを何本も決められ、早稲田として守りたい部分が試合中に明確化できなかったです。練習でしてきたことを本番で生かす、もしくは修正するのは非常に難しいものだと感じました。

――ご自身から見て、早稲田の持ち味であるディフェンスからの速攻はどれくらい機能していたと思われますか

ほとんど機能していませんでしたね。ディフェンスで何とか守るのに精一杯で…。

――ご自身で何度も得点を挙げられていましたが、今日のプレーを振り返ってみていかがですか

今日は意識して得点を狙っていたのですが、止まったプレーが多くチームオフェンスの流れを止めてしまうことがあったので、来週でしっかり修正していきたいと思います。

――今回の試合で見つかったチーム全体の課題はありますか

試合中の意思統一だと思います。僕自身、プレー中に余裕がなくなってしまうことが多々あり、どこで攻めたいのかどこを守りたいのか、曖昧なまま60分がすぎてしまいました。

――次戦はどのような試合をしたいですか

まずはやれることをコートで表現し、全力で楽しんで一勝をつかみ取りたいですね(笑)。

 

福田友貴(スポ4=神奈川・法政二)

――試合を終えての心境を教えてください

悔しいです。流れに乗ることのできる場面が何度かあったのですが、乗り切れずに試合が終了してしまったので悔いの残る内容でした。

――東海大戦を迎えるにあたってどのような戦略を立てられていましたか

東海対策として相手の早いクロスに対するチェンジの意識と、密集して連動することで守る事を意識して取り組んできました。ベンチに入った選手、入れなかった選手、全員が意識して練習に取り組んでくれたので試合当日のギャップはありませんでした。

――今回の早大ディフェンスに点数をつけるとしたら何点ですか。また、その理由も教えてください

70点です。前半はよく守れたと思いますし、キーパーの中村選手(中村匠、スポ4=千葉・市川)も1試合通して安定したキーピングをしてくれたので印象としてはあまり悪くなかったです。ただ、守っても速攻につなぐことができなかった点や、後半のディフェンスの修正力など改善点も多いと思います。

――後半は、ディフェンスが乱れて東海大に引き離された印象がありましたが、原因はどこにあるとお考えですか

東海の早いパス回しに対してアグレッシブなディフェンスシステムにしましたが、フリースローを取りきれず、相手のオフェンスに落ち着いて対応されたのが大きいと思います。また、前半と比べて勝負所を絞りきれなかったのも後半の乱れにつながりました。

――ご自身で得点を挙げられていましたが、振り返っていかがですか

リーグ初得点だったので率直にうれしいです。ただ、試合を通して得点に対してもっと貪欲になるべきだと思いましたし、味方を生かすプレーも少なかったので今後も練習に励みます。

――次戦はどのような試合をしたいですか

今回の試合ではチーム全体の盛り上がりに欠けていたり、試合に出場している選手のコミュニケーションが少なかったりしたので、次戦は早稲田らしくチーム全員で一致団結して試合に臨みたいと思います。

 

山田和直(スポ3=群馬・富岡)

――試合を終えての率直な感想を教えてください

早稲田のハンドボールと東海戦のために準備してきたことを十分に発揮できなかったのが悔しいです。

――ケガから復帰しての公式戦となりましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

思い描いていたものとは程遠いものになってしまいましたが、ここまで戻って来られたのは多くの方々の支えがあってのことなので感謝を伝えたいです。

――東海大に対して、どのような攻撃展開を想定していましたか、またそれはどれくらい実行することができましたか

広いスペースを有効に使って攻撃しようと考えていましたが、シュートの決定率が低く、徐々に個人技に走ってしまったので、あまり実行できなかったと思います。自分たちが準備してきたことを信じてやりきる必要があると感じました。

――後半は早大が攻めあぐねている印象がありましたが、原因はどこにあると思われますか

速攻の数が少なく、セットオフェンスの時間が多くなってしまったことが原因だと思います。

――今回の試合を経て収穫はありましたか

今後もリーグ戦が続くことを考えると良いプレーも悪いプレーもすべてが収穫だと思うので、次につなげることを大事にしたいです。個人的には試合中の修正力が課題で、リラックスして気楽に試合を楽しみたいと思いました。

――次戦への意気込みを教えてください

試合までの1週間でしっかりと準備をして、自分たちのハンドボールをやりきって勝ちたいと思います。