待ち焦がれた白星を挙げることができた。関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)は折り返しの第5節、相対したのは法大だ。1分け3敗と振るわないワセダセブンだったが、2週間前までとは一味違った。『ワセダらしく』プレーするという方針を固め直し意思統一を図った彼らはきょう、いつもなら失速する後半にもう一度自分たちの時間帯をつくることに成功。5連続得点で相手を突き放し最終スコア26-22で試合を終えた。長かったトンネルを抜けつかんだ勝利が意味するものは大きいに違いないだろう。
ここまでの4試合で漂っていた悪い流れを断ち切るべく、選手たちは互いに声掛けを欠かさなかった。スローオフ直後から、ゴールに対する選手全員の歓声が体育館に響いていく。序盤こそ1点ずつを取り合う展開だったが、良い雰囲気に押されるように、伊舎堂博武(社4=沖縄・興南)のカットインや三輪颯馬(スポ4=愛知)のポストシュートが連続で決まり、中盤以降は少しずつ点差を広げていった。「基本的なことがしっかり忠実にできた」と伊舎堂が話すように、きょうは焦りからミスを生むことなく、オフェンス陣が点数を重ねることができていたといえよう。断続的にネットを揺らし、前半終了時のスコアは15-9。秋季リーグの中でも一番の試合運びでハーフタイムを迎えた。
得点後、三輪のガッツポーズや雄叫びが印象的だった
そして課題の後半。開始10分こそ点差を詰められることはなかったが、9分すぎの宮國義志(社3=沖縄・浦添)のカットインを最後に10分もの間加点が止まった。局面を打開するべく、遠藤瞭(スポ2=神奈川・法政二)や青沼健太(社1=千葉・昭和学院)を投入するが、法大もこの隙を見逃すことなく速攻やサイドシュートで5連続得点を挙げ、たちまち1点差となってしまう。盛り上がる法大ベンチを背に、これまでの4試合と同様のシナリオが脳裏をよぎるが、2週のインターバルを経て「今回は我慢して相手を突き放すことができた」(三輪)。苦しい時間帯でもルーズボールの処理や粘り強いディフェンスが奏功し、同点、逆転のゴールは与えなかった。徐々に戻ってきた『ワセダらしさ』に呼応したのは中村祐貴(スポ2=北海道・札幌西)と高橋拓也(人4=群馬・富岡)だ。19分に中村が鮮やかなパス回しからポストシュートを決めると、直後の20分には高橋が難しい態勢からパスをもらい同じくポストからシュートを打ち込んだ。再び主導権を握ったワセダはその後も羽諸大雅(スポ3=千葉・市川)の好セーブや小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)と清原秀介(商3=東京・早実)のゴールで、25分すぎにはセーフティリードに。最後はマンマークに苦しめられたが、26-22で今季初勝利を収めた。
高橋、中村を中心に、ポストシュートによる得点が光った
きょうも後半相手に流れが傾きかけたが、それを食い止められたことこそが成果だと語る選手たち。チーム全員で試合を盛り上げる姿勢や、泥臭く戦うワンプレーへの集中力が垣間見え、本来の姿を取り戻しつつあるだろう。しかし、当然きょうの白星だけで満足するわけにはいかない。残る昨季の上位チームとの対戦では、より一層自分たちのプレーを心掛けることが不可欠だ。「もう王者ではないのでチャレンジャーとして」(山﨑純平主将、社4=岩手・不来方)戦う明日からの後半戦4試合。反撃ののろしを上げるだけでなく、白星を積み重ねていく。
(記事 小松純也、写真 宅森咲子 三好悠太)
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関東学生秋季リーグ | ||||
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早大 | 26 | 15-9 11-13 |
22 | 法大 |
GK 羽諸大雅(スポ3=千葉・市川) LW 三輪颯馬(スポ4=愛知) LB 小畠夕輝(スポ4=岡山・総社) CP 山﨑純平(社4=岩手・不来方) PV 高橋拓也(人4=群馬・富岡) RB 伊舎堂博武(社4=沖縄・興南) RW 清原秀介(商3=東京・早実) |
星取表(9月22日現在) | ||||||||||||||
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早大
|
筑波大
|
中大
|
日体大
|
国士館大
|
法大
|
日大
|
明大
|
東海大
|
立大
|
|||||
9位 | 早大 |
*
|
26○22
|
23●30
|
23△23
|
21●23 |
25●32
|
|||||||
1位 | 筑波大 |
*
|
24●29
|
35○25
|
22○19
|
33○19
|
39○22
|
|||||||
3位 | 中大 |
*
|
24○21
|
25○20
|
30○25
|
27○22
|
22●23
|
|||||||
5位 | 日体大 |
29○24
|
21●24
|
*
|
29●30
|
26○25
|
33○30
|
|||||||
2位 | 国士館大 |
30○29
|
*
|
28○24
|
33○24
|
27●31
|
30○27
|
|||||||
10位 | 法大 |
22●26
|
25●35
|
20●25
|
24●28
|
*
|
23●32
|
|||||||
4位 | 日大 |
30○23
|
25●30
|
24●33
|
32○23
|
*
|
35○31
|
|||||||
7位 | 明大 |
23△23
|
19●22
|
25●26
|
31○27
|
*
|
22△22
|
|||||||
6位 | 東海大 |
23○21
|
19●33
|
27○22
|
31●35
|
22△22
|
*
|
|||||||
8位 | 立大 |
32○25
|
22●39
|
23○22
|
30●33
|
27●30
|
*
|
コメント
山﨑純平主将(社4=岩手・不来方)
――今季1勝目、感想をお願いします
長かった1勝目でもあるし、でも買ったけどまだまだというのもあるし。何とも言えないですけど、勝てということは非常に大きいことだと思います。
――きょうは後半詰め寄られましたが、持ち直すことができたと思います
そこは自分たちの成長だと素直に思っていて。最初リードする展開も多かったと思うんですけど、その中で追いつかれたときに、自分たちがコートで話し合って修正できるかというのを4戦終わってからのテーマとしてずっと練習してきたので。まあ後半の出だし悪かったのも課題ですけど、それ以上に話し合って立て直せたのは成果として捉えていいと思います。
――ベンチの雰囲気も今までとは違ったように思います
これも4試合終わった後なんですけど、ワセダらしさということを考えたときに、チーム全員で盛り上がって、コートの中も外も全員で戦うのがやはりワセダらしさだと話し合ったので、そういう意味でコートの中もベンチも全員が盛り上がっていて、それがワセダらしさだと一人一人が考えた結果が、きょうの盛り上がりや勝ちにつながったと思います。
――ルーズボールへの処理も目立ちましたが、それもワセダらしさの一貫なのでしょうか
そうですね。やっと自分たちらしいプレーがどんどん戻ってきたので、すごく良いことだと思います。
――これからは上位チームとの対決が控えていますが、意識することはありますか
当たるチームの研究をするのがまず一つ。あと、どのチームと当たっても自分たちのやるべきことをしっかりやれば戦える力はあると思うので、自分たちで崩れないように。もう王者ではないのでチャレンジャーとして、自分たちの戦いをやれるかということを挑戦していきたいと思います。
伊舎堂博武副将(社4=沖縄・興南)
――リーグ初勝利となりました。率直なお気持ちはいかがですか
今季一勝までが遠かったので、何とか一勝できて良かったなと思います。
――この2週間でどのようなところを修正したのでしょうか
技術面や体力面は2週間では変わらないので、メンタル的な部分をチーム全体で話し合ってこれからのチーム方針を改め、こうやっていくかということを確認し合いました。そういったことがこの2週間でしっかりできたので、きょうの試合でキツくなった時も話し合ったりして意思疎通が取れていたんじゃないかなと思います。
――その話し合いがあったから雰囲気が良かったのですね
そうですね。
――試合展開は振り返っていかがですか
最初は結構取ったり取られたりという今季の同じような点の取られ方で苦しい場面があったんですけど、そこでしっかり自分たちの約束事、ディフェンスだったら勝負する所でしっかり勝負したりすることができたと思います。きょうは羽諸(大雅、スポ3=千葉・市川)がしっかり止めてくれて助かる点が結構多かったし、チーム全体でキツい時間帯などもしっかり我慢できたというのは良かったかなと思うし、成長につながるんじゃないかなと思います。
――攻撃面に関して思うことはありますか
まだ改善点はいっぱいあるんですけど、一人一人がしっかり位置取りとか(ボールを)もらう前の動きとか、フローター陣もそうですしサイドもポストもそういった基本的なことがしっかり忠実にできたと思います。キーパーのファインセーブやポストのナイスプレーもきょうは結構見られたし、そこに関しては全体で点数を取りにいったという感じはしましたね。
――あすは関東学生春季リーグで唯一敗戦した日体大が相手です。一言お願いします
日体大も筑波大に今季勝利していて仕上がってきているチームなので、そこでしっかり自分たちの実力を出し切りたいです。勝たないといけない状況なんですけど、やるべき事をしっかりやってインカレ(全日本学生選手権)につなげられるようなゲームにしていきたいと思います。
三輪颯馬副将(スポ4=愛知)
――今季初の勝利についてお願いします
春リーグから一度も勝てていなくて勝ちに飢えていたので、この悪い流れを断ち切るためにも勝つという気持ちで望んでいたので、(勝てて)素直に嬉しいです。
―今日の試合展開はいかがですか
前半は反省点が少ないですけど、後半の途中でシュートが打てない場面が続き、今回の秋でもあった負けパターンの逆速攻があったことが課題として残りました。しかし今回は我慢して相手を突き放すことができたため、成長できたのかなとおもいます。
――自身のプレーを振り返っていかがですか
春は得点できていたけれど、秋は過去4試合とれていなかったので、逃げのプレーをしないで積極的にシュートに行こうという気持ちが実ったことがよかったです。/p>
――明日以降の試合へ意気込みをお願いします
明日は(春季リーグで)唯一負けた日体大なので、速攻などの特徴をつかんで対応して勝ちにいきたいと思います。/p>