東海大を下しリーグ優勝!!『一戦必勝』を積み重ね春の陣を制す

男子ハンドボール

 第8節を迎えた関東学生春季リーグ(春季リーグ)。ここまで強豪をなぎ倒してきた早大が、4年ぶりのリーグ優勝という一つ目の栄冠を手にするべく、東海大との一戦に臨んだ。不運な退場も絡み前半を同点で折り返すが、フットワークを持ち直したディフェンスが、後半相手の得点を10分以上根絶やしにする。この好機を逃さなかった早大がその間に7連続得点で突き放し、最終的には10点差の大勝。得失点差より直接対決の結果を優先する順位決定方法もあり、見事早大が春季リーグの覇者となることが確定した。

 優勝が懸かった大一番。CB山﨑純平(社4=岩手・不来方)がオープニングシュートを決めると、観客の拍手や声援が会場のボルテージを上げていく。しかし、ワセダセブンはあくまでいつも通り。「やることだけやって一戦必勝ということをチームで共有し」(三輪颯馬、スポ4=愛知)、日体大戦の敗戦を引きずることも、優勝を意識して気負いすぎることもしなかった。3-3ディフェンスを敷いたり横一線ディフェンスに引いてみたりを繰り返す東海大だったが、「攻めにくさは感じな」(山﨑)い。RB伊舎堂博武(社4=沖縄・興南)のノールックパスを受けたLB小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)がディスタンスシュートを放つと、普段ディフェンシブな役割の中村祐貴(スポ2=北海道・札幌西)もパスカットから速攻で得点した。

チーム最多得点の小畠。高めのディフェンスを退けシュートを突き刺した

 GK永田奈音(スポ4=宮崎・小林秀峰)が2本連続で7メートルスローをファインセーブするなど、3点差はキープしていた早大。しかし前半20分すぎ、途中出場した前田理玖(スポ2=福井・高志)と小畠が、短い時間で立て続けに退場を命じられると、東海大の追撃が始まってしまう。ディフェンスの動きが鈍っていたことに数的不利が追い打ちをかけ、点差はみるみる縮まった。早大のコートプレーヤーが5人の時間帯は伊舎堂にマンマークがつき、攻撃時の人数は実質4人。その状況から山﨑がシュートを決め反撃するシーンも見られたが、相手の得点機会が上回った。我慢の時間が続き、結果的に前半は両チーム14点ずつを取り合い同点。勝負は後半で決するかたちとなった。

 前半足が止まりかけていた早大ディフェンスだったが、後半完全に生き返る。開始10分までで相手の得点を2点に抑えると、その後は22分すぎまで1得点も与えなかった。鉄のディフェンスが復活すれば、好調のオフェンスもそれに呼応する。RW清原秀介(商3=東京・早実)による3連続のサイドシュートと三輪の速攻が決まり、ペースは一気に早大側へ傾いた。ディフェンスが相手の息の根を止めている間も、早大のシュートがゴールネットを揺らし続ける。後半21分ですでに10点差をつけ、相手を精神的にへし折った。23分すぎには、山本慶(スポ2=長野・屋代)、遠藤瞭(スポ2=神奈川・法政二)そして阿南遼星(スポ2=大阪・大体大浪商)の2年生トリオが次々にコートへ。山本と遠藤はリーグ初ゴールを挙げ、チームの層の厚さを見せつけた。そしてついに試合終了のブザーがなりスコアは31-21。後半は圧巻のゲーム運びでリーグ7勝目を挙げ、うれしい春季リーグ優勝を手にした。

左から阿南、前田、遠藤、山本。2年生が存在感を示した

 早大は次節の法大戦を残し、早くも優勝を確定させた。目の前の白星を全力で取りにいく、『一戦必勝』の積み重ねがこの結果を呼び込んだといえよう。しかし、優勝が決まっていてもいなくてもやるべきことは変わらない。春季リーグ優勝は、『三冠』の一つではあっても、『日本一奪還』という最終目標にとっては、階段のワンステップであるからだ。さらなる高みを目指し階段を上っていくならば、法大戦というステップアップの機会をおろそかすることはできないだろう。最終節でリーグ8勝目を挙げ、「文句なしの優勝」(山﨑)を――。早大の『一戦必勝』は今までもこれからも続いていく。

(記事 小松純也、写真 千葉洋介、佐藤慎太郎)

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関東学生春季リーグ展望/関東学生春季リーグ(4/10)

関東学生春季リーグ
早大 31 14−14
17−7
21 東海大
GK 羽諸大雅(スポ3=千葉・市川)
LW 三輪颯馬(スポ4=愛知)
LB 小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)
CB 山﨑純平(社4=岩手・不来方)
PⅤ 高橋拓也(人4=群馬・富岡)
RB 伊舎堂博武(社4=沖縄・興南)
RW 清原秀介(商3=東京・早実)
星取表(5月12日現在)
早大
国士館大
日大
中大
筑波大
法大
東海大
順大
日体大
明大
1位 早大

29○22

27○23

33○28

26○24

31○21

28○27

22●26

5位 国士館大
22●29
23△23
30○26
27○26
24○20
28○26
17●25
20●24
7位 日大
23●27
24●29
29●34
27●34
28○22
30○22
30△30
28○26
3位 中大
28●33
23△23
29○24
38○30
18●22
31○28
30○28
29○22
2位 筑波大
24●26
26●30
34○29
30○19
29○23
32○21
31○24
28○18
6位 法大
26●27
34○27
30●38
19●30
34○20
25●30
25△25
26○24
10位 東海大
21●31
20●24
22●28
22○18
23●29
20●34
22△22
20●24
9位 順大
27●28
26●28
22●30
28●31
21●32
30○25
27●37
22○20
4位 日体大
26○22
25○17
30△30
28●30
24●31
25△25
22△22
37○27
8位 明大
23●27
24○20
26●28
22●29
18●28
24●26
24○20
20●22
コメント

山﨑純平主将(社4=岩手・不来方)

――優勝おめでとうございます。いまの感想をお願いします

とりあえず勝ててよかったです。

――優勝の懸かる試合でしたが、試合前で変化した点は何かありましたか

試合前にメンバーに優勝の懸かっている試合だけど、いつも通りまずこの一戦に集中してやっていこうと言っていたので、各々考えていることはあったと思いますが、チームとしては変わったことはなかったです。

――前節から修正した部分はありますか

前節は相手が日体大ということもあったんですけど、バックチェックが遅かったのでそこの修正と、4点差から5点差に離すとか、何点から何点までということを練習してきたんですけど、きょうも少し離せない場面があったので、そこはまだ課題かなと思います。

――後半突き放せた要因は何ですか

ハーフタイムに、ディフェンスが足動いていなかったので、まずディフェンスからやって、そしたらオフェンスもディフェンスからの速攻で押せると思っていたので、ディフェンスをしっかり固めたことが、後半につながったのだと思います。

――山﨑選手自身も多くのシュートを決められました

そうですね(笑)。優勝懸かっている試合だったので、決めにいこうというか強く前に出ようという風には考えていました。

――東海大のディフェンスはどうでしたか

自分たちも日大や順大とは3-3ディフェンスで対戦してきたので、きょうは攻めにくさは感じなかったですね。

――最後に最終節の法政戦への意気込みをお願いします

まだリーグは続くので、しっかり最後勝ち切って、直接対決の結果とか関係なしに8勝して、文句なしの優勝、というかたちにしたいということと、まだまだ課題はあるのでそこを修正して法政戦に臨んで、インカレや秋につながるような試合にしたいと思います。

伊舎堂博武副将(社4=沖縄・興南)

――優勝としましたが、いかがでしたか

実感はあんまりないんですけど。自分たちのプレーを残り一戦を残して、しっかりできたかなっていうのもあるし、去年に比べて誰一人切れることない我慢強さがこの結果に繋がったのかなと思います。

――優勝の懸かった試合でしたが、試合前の雰囲気などは

優勝が懸かっている一戦としてみんな緊張してたんですけど。下級生が一発芸でみんなの緊張をほぐしてくれて。みんな試合前には肩の力が抜けていい感じに試合に入れたので、そういうところでは早大が一丸となった結果かなと思います。

――前節で負けてしまいましたが、修正したことは

前の試合はフィニッシュまではいってるんだけど、自分たちのシュートミスとかパスミスとかで雰囲気を悪くして、相手に流れを持っていかれたっていう最悪なパターンの前の試合で。はっきりしていたんで。負けた次の週の練習からはシュートに対して意識を変えていくだとか、周りもアドバイスするとか、自分だけでなく、周りにも献身的に声を掛けるようにしました。

――今試合を振り返って

内容的には前半苦しい場面が多々あったんですけど、我慢できた場面が結構多くて。相手に逆転されたんですけど、しっかり自分たちで立て直すこともできたし、後半は前半で修正できる点を自分たちで話して改善できたのでよかったです。

――自身のプレーを振り返っていかがでしたか

このリーグを通して、僕は周りを活かす的な役割としてやってたんですけど。秋になると相手チームに読まれてくるので、そこは自分でもいけるように、自分でも選手を助けられるような選手なっていかなきゃいけないなと思います。

――優勝が決まりましたが、次戦への意気込みは

優勝は決まったんですけど、残り一戦も別に誰も見てないわけではないですし、応援してくれる人はまだまだいるので期待を裏切らないように、そして優勝の名に恥じないように残りの一戦勝ち切って、一敗でこの春リーグを終わらせようと思います。

三輪颯馬副将(スポ4=愛知)

――優勝決定の感想をお願いします

そうですね。前の試合、僕のせいで負けて優勝を逃したので、きょうは何とか活躍して優勝を決めたいという思いがあったので、とりあえずほっとしています。

――優勝の懸かった試合でもチームの雰囲気は変わりなかったですか雰囲気的には少し重たかった気もしますが、あまり考えず、やることだけやって一戦必勝ということをチームで共有していました。

――シュートに対する歓声もいつも以上に大きかったように思います

そうですね。すごく応援されているなと実感したので、自分もですけど、もっともっと活躍してまわりの人に恩返しできたらと思います。

――日体大戦の敗戦から改善した部分はありますか

日体大戦の敗戦は、どちらかというとメンタルというか自分たちのミスでやられていたというのが課題だったので、とりあえず今回の一戦に一回切り替えて忘れて、気持ちの面ではありますが、そういった切り替えをみんなでしました。

――きょうの自身のプレーを振り返って

相手ディフェンスが高めだったので、もう少し自分としては得点に絡みたかったというのは反省ですが、まあ自分も気持ちよく楽しくできたのでよかったかなと思います。

――後半突き放せた試合展開はいかがですか

外から見ても自分たちでやっていても、後半は間違えなくディフェンスがすごく動いていたし、今季一ぐらいのディフェンスができていたのかなと思います。やっぱりそこが勝因につながったと思います。

――次節の法政戦も変わりなく臨むかたちでしょうか

僕たちの最終目標は春季リーグ優勝ではなくインカレ優勝なので、とりあえずうれしいしんですけど、ここをプロセスだと思って、次の最後の一戦だったりこれからの試合だったりは、しっかり目標をぶらさないで取り組んでいけたらいいなと思います。

永田奈音(スポ4=宮崎・小林秀峰)

――優勝おめでとうございます。率直な感想をお願いします

いやもう、普通にうれしいです。

――優勝の懸かった試合ということで、いつもと違った意識は何かありましたか

特にはなかったですね。ただ、今まで出場したときに7メートルスローを止められていなかったので、7メートルスローがあったら止めたいなとは思っていました。

――実際に7メートルスローを二本止めました

めっちゃうれしかったです。実際吠えちゃいました(笑)。

――チームの雰囲気も特に変わりなかったですか

そうですね。一戦一戦大事にしようという話をしていたので、特に変わったことはありません。

――前節の敗戦から修正した部分はありますか

前回の負けた原因が自分たちのミスだったので、そこに関してしっかり考えて自分たちの力が出せれば勝てるだろうと思っていたので、あまり違ったことはせずに、気持ちの切り替えをしっかりしようという話をしただけですね。

――きょうの試合展開を振り返っていかがですか

前半のうちに離せるところで離し切れなかったのが、反省点というか今のワセダのダメなところですが、みんな5点、6点離せるようにやっていこうと話していたので、最終的にはいい試合だったのかなと思います。

――次節の法政戦も変わりなく臨むかたちになるでしょうか

そうですね。一戦必勝でやっていこうという話でさっきのミーティングも終わりました。

小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)

――今試合についてお願いします

勝てて嬉しいです。きょうで優勝決まるって試合だったのですごく意気込んでいて、結果ついてきて良かったです。

――前半かなり競った試合となりました

前半は相手のステップシュートとかこっちもミスをしていたけど、でも後半そこは修正出来て失点も減らせたし、オフェンスも結構いい形で点取れたので良かったです。

――相手が結構3-3の高めのディフェンスを敷いてきましたがどう対応しましたか

対東海ではあまり想定してなかったですけど、順天大、日大とかの対策で結構大きく動くクロスだったり、下でポスト置いたりとかの練習もしていたのでそれがその通りにできたかなと。

――個人としては振り返っていかがですか

後半結構乗りに乗れたので、あのパフォーマンスが継続して、毎試合要所でできればなと思います。

――良かった点は

後半失点が少なかったことですかね。相手のプレーに合わせたディェンスができたかなと思います。

――ディフェンス面は去年とほとんどメンバーが変わっていない状態ですが、そういうところはプラスになっているんですか

ずっとやっている分アイコンタクトだけで分かるところが、喋らなくても自然的に、阿吽の呼吸みたいな感じのができているのでいいかなと思います。

――今季全体振り返って優勝できた要因は

最上級生含め全体でめっちゃコミュニケーションが取れているっていうのが。全体でも去年に比べて取れているのでそこが要因かなと思います。

――去年より話し合いがたくさんできるのはなぜですか

同期の仲が良いし、縦の関係も良い意味で緩くなっていて、言いたいことが言い合えていて、そういうのでチームで勝つというのができたかなと思います。