関東学生春季リーグ(春季リーグ)第3戦、早大は筑波大と対戦し、合計26−24で勝利を収めた。互いに2連勝で迎えた首位攻防戦。試合を通して一歩も譲らぬ一進一退の攻防が繰り広げられたが、早大が後半の連続得点で奪ったリードを守り切り、この大一番を見事ものにした。早大はこの勝利で春季リーグ唯一の開幕3連勝。単独首位に躍り出た。
スローオフから点を取られては取り返す、両者互角の試合展開となった。しかし、前半が中頃に差し掛かると、「自分たちのリズムがつくれなかった」とRB伊舎堂博武副将(社4=沖縄・興南)が語るように、チームが課題としている高い位置を取るディフェンスの対応に苦しみはじめ、早大はたびたびオフェンスのミスから速攻を許す。流れが一気に傾きかねない場面であったが、この局面を救ったのはGK羽諸大雅(スポ3=千葉・市川)だった。7メートルシュートや速攻からの1対1といった再三にわたるピンチをビックセーブで防ぎ、幾度となくチームを救う。試合を通してこの日の羽諸のセーブは冴えわたり、勝利を大きく手繰り寄せた。羽諸の奮闘に呼応するように早大はこの日10得点を挙げたLW三輪颯馬(スポ4=愛知)を中心に筑波大に食らいついていく。苦しみながらも主導権を渡さなかった早大は前半終了間際、ここも羽諸のセーブからRW清原秀介(商3=東京・早実)の速攻で勝ち越し、前半をこの上ないかたちで折り返した。
先制点を含む10得点でチームに勝利をもたらした三輪
「オフェンスのミスをハーフタイムで修正した」(CB山﨑純平主将、社4=岩手・不来方)ことで、後半に入ると流れは徐々に早大へ傾いていった。後半5分からLB小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)のノーステップシュート、RW宗海皓己(スポ4=高知・土佐)の速攻、山崎のミドルシュートで立て続けに得点を重ね、筑波大を突き放す。後半の拮抗(きっこう)した展開から起用された宗海は果敢にサイドをえぐり得点や7メートルスローをもぎ取るなどオフェンスに勢いをもたらし、その期待に応えてみせた。ディフェンスは退場者を出した場面でも動じることはなく、バックチェックやルーズボールの処理を徹底する『ワセダらしい』ハンドボールで筑波大の反撃を許さない。中盤に点差を詰められた場面でも「4年生を中心に全員がボールを回して、点が取れて、守ってというかたちで乗り越えたのがすごく印象的だった」(羽諸)。最終盤は筑波大も執念を見せ猛攻を仕掛けるが、早大ゴールには羽諸が立ちはだかり、最後まで追随を許さず。試合終了を告げるホイッスルが鳴り響くと、ワセダセブンは大きくガッツポーズをしてその勝利をかみしめた。天下分け目の大一番を制した早大はこれで春季リーグ無傷の3連勝。単独首位浮上を決めた。
羽諸はビッグセーブを決めるとガッツポーズで自分自身を鼓舞した
点差や展開としては僅差の試合であったが、内容の面では山﨑が「ワセダらしい試合展開、ワセダらしいかたちで。出ている人も出ていない人もチーム全体で戦うということが、今までの3試合の中でも一番できていた」と振り返る、会心の勝利であった。オフェンス面での課題が露呈する場面もあったが、試合のなかでその課題を修正してみせたことはチームの状態の良さ、そしてチームが成長している証左だろう。早大は今、勢いに乗っている。次なる日大戦もチーム全員で、『ワセダらしい』ハンドボールを貫き、悲願のリーグ優勝を一気に手繰り寄せたい。
(記事 林大貴、写真 小松純也)
関東学生春季リーグ | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 26 | 12−11 14−13 |
24 | 筑波大 |
GK 羽諸大雅(スポ3=千葉・市川) LW 三輪颯馬(スポ4=愛知) LB 小畠夕輝(スポ4=岡山・総社) CB 山﨑純平(社4=岩手・不来方) PV 高橋拓哉(人4=群馬・富岡) RB 伊舎堂博武(社4=沖縄・興南) RW 清原秀介(商3=東京・早実) |
コメント
CB山﨑純平主将(社4=岩手・不来方)
――開幕3連勝、感想を教えてください
ワセダらしい試合展開、ワセダらしいかたちで、しっかり3連勝してできたので良かったと思います。
――きょうの試合展開の中では、ワセダらしい部分というのはどのあたりなのでしょうか
やっぱりワセダらしさといったら、バックチェックとか、ルーズボールの執念とか、そういったところがワセダらしさだし、出ている人も出ていない人もチーム全員で戦うということが、今まで3試合の中でも一番できていたと思います。
――筑波大で警戒していた部分はありますか
相手もワセダと同じくフィジカルを鍛えているチームだったので、対策としては、やはり押し込まれないように、中でプレーさせないということをこの1週間練習してきたので、ディフェンスはすごく機能したのかなと思います。
――序盤オフェンスのミスから速攻されるシーンがいくつかありました
そうですね。そのことはしっかりハーフタイムに修正して、セットディフェンスではやられてないからオフェンスのミスを減らして、こっちの流れに持っていこうということを話したので、後半それが上手くできたのかなと思います。
――後半少し突き放せた要因としては何が挙げられますか
まあやっぱり羽諸のビックセーブが目立って、きょうは羽諸に助けられたかなという感じはありますね。
――明日の日大戦へ向けて修正できる部分はありますか
日大は高いディフェンスで守ってくる相手なので攻撃ミスから、逆速攻の展開になると相手のペースに持っていかれてしまうので、修正できる部分としては、攻撃のミスをきょう以上にもっと減らして、確実にディフェンスから速攻という形で攻めれば、負けるような相手ではないと思うので、それを意識していきたいと思います。
RB伊舎堂博武副将(社4=沖縄・興南)
――開幕3連勝となりましたが、率直なお気持ちは
勝てて嬉しいですね。
――お互い2連勝で迎えた筑波大戦でしたが、対策などはありましたか
対策も練ったんですけど、どっちも2連勝で波に乗っているチームだったので、そこで勝ったほうが流れを持っていけるっている話はずっとしていたので、技術よりも気持ちですね。気持ちで負けないように、精神的なところで負けないようにっていうのが強くて。対策という対策はなかったです。
――きょうは気持ちの部分で勝てたということでしょうか
そうですね。早大も筑波大も同じ体を鍛えている大学で、フィジカル的な要素では関東では少ないバチバチとした試合ができたと思うんですけど。僕は最初から最後まで突っ込んで果敢にプレーしたんですけど、体がボロボロで、結構こたえましたね。
――ご自身のきょうのプレーはいかがでしたか
良くもなければ悪くもなかったですね。最後の方は良いように見えたかもしれないですけど、総合的に見ると、良い結果だったとは言えないですね。
――前半はオフェンスのミスから速攻を許す場面が多かったですが振り返っていかがですか
相手の高いディフェンスに対してどうしても足が止まってしまうっていう課題がきょうも出てしまって。試合前に確認しようということは話したんですけど、相手のフィジカルとか、脚の使い方も上手だったので、簡単にはうまくいかずに自分たちのリズムがつくれなかったっていうのはありました。
――後半は一進一退の攻防の中で筑波大の追随を許しませんでした
ルーズボールとか、バックチェックとかほかの大学があまり一生懸命やらないような部分を僕たちが一生懸命やって。その結果がこの僅差のゲームで勝ったっていう結果だと思うので、そこは本当にワセダらしさだなと改めて思いました。
――きょうは首位攻防の大一番でしたが、この勝利はやはり大きいですか
そうですね。きょうは山場だったんで。あしたも山場なんですけど、やっぱり連勝している相手に勝ち切れたっていうのは自分たちにも大きな自信になりますし、またあした勝ってこの流れを止めないように。リーグ戦の終盤とかには、1年生とか、これから秋に向けての新戦力を出していけるぐらいの余裕が持てるようにやっていきたいです。
GK羽諸大雅(スポ3=千葉・市川)
――開幕3連勝、感想を教えてください
きょう勝てばもっと勢いに乗れる一戦で、全員がそれぞれの役割を果たして勝ったので、とても大きな一勝だと思います。
――やはり首位攻防の大一番での一勝という意味は大きいですか
そうですね。春リーグ優勝、秋リーグ優勝、インカレ優勝という大きな目標向けての小さな階段の一歩ですけど、チームがよりよくなっていく上では大きな一勝だと思います。
――試合展開を振り返って
前半僕がたまたま上手く当たって、相手に引き離されない展開で前半を終えたのですが、後半の途中10分くらい、チームがなかなか上にいけない展開が続いて、そこでも4年生を中心に全員がボールを回して、点が取れて、守って、という形で乗り越えたのがすごく印象的ですね。
――前半勝ち越して折り返せたのは大きかったですか
僕の中では前半勝ち越したのはラッキーだと思っていて、後半はもう一回ゼロゼロで点差がないと自分たちで暗示をかけてやっていたので、前半の結果はあまり大きな要因ではないですね。
――ファインセーブをされたときはガッツポーズを見せていましたが、気持ちは乗っていたのでしょうか
ガッツポーズをすることで、ポジティブになれるというか、いい運気も引き込めるということでガッツポーズはするようにしています。
――明日の日大戦へ向けて、心がけるところはありますか
きょう良かった人も悪かった人もきょうは一度忘れて、明日の日大に100パーセント集中して、焦点が合うように、きょうの夜イメージトレーニングするなど、自分たちの中で意識を変えていく必要があると思います。