『日本一』へ、まずは着実に初戦突破

男子ハンドボール

 今シーズンの集大成となる全日本学生選手権(インカレ)がついに開幕した。昨年は2回戦で関大にまさかの敗退。関東学生春季リーグで6位、秋季リーグで5位と悔しい結果に終わっていたワセダだったが『日本一』を目指し、きょうの一回戦では関西地区の強豪、関学大と対戦した。試合は序盤から早大が持ち味の堅守から確実に得点を重ねていき前半を大量リードで終えると、後半も安定した試合運びで見事二回戦進出を決めた。

 秋季リーグ戦、故障により離脱を余儀なくされていたLB西山尚希主将(社4=香川中央)が復帰しスタメンに名を連ねて試合が開始した。先制点は奪われたものの開始2分、その西山主将の『復活弾』ともいえるミドルシュートでワセダの攻撃が始まった。課題である立ち上がりの不安定さも、きょうは「いいディフェンスをした動画を見て、自分たちはできるというイメージをつくった」(GK羽諸大雅、スポ2=千葉・市川)という自由にシュートを打たせないワセダらしい粘り強いディフェンスで流れをつかむ。前半3分の西山の得点から10分にLW三輪颯馬(スポ3=愛知)が巧みなループシュートでチーム7点目を決めるまで、6連続得点で関西学生リーグ2位の強豪相手に7-2とリードを奪った。羽諸も連携の取れたディフェンスから幾度となくピンチを乗り切るビックセーブを見せ、後方からチームを鼓舞する。GK陣の頑張りに攻撃陣も奮起しCB宮國義志(社2=沖縄・浦添)の連続得点やPV松本光也副将(社4=神奈川・法政二)のポストシュートなどが次々に決まり、前半は9点差で折り返した。

自慢のディフェンスが機能した

 前半を理想的な展開で終えた早大であったが後半も集中力を切らさない。決定的なシュートをまたしても羽諸がストップするとそこから何度も速攻が決まる。相手にも焦りが見え始めた後半17分、7メートルスローを得るとインカレ初出場となるルーキーLW前田理玖(スポ1=福井・高志)が交代出場し任される。「緊張していた」という前田が冷静にシュートを決めると、チーム期待の1年生の活躍にベンチも盛り上がった。「得点を決めてからはちょっと落ち着いた」というように前田はその後もスカイプレーを決めるなど連携の良さも見せ計4得点。前半に7メートルスローを止めたGK永田奈音(スポ3=宮崎・小林秀峰)は後半23分に与えた7メートルスローもストップするなど二人のキーパーがそれぞれ役割を果たし、終始相手に流れを渡すことなく31-22となったところで試合終了のホイッスルが鳴った。

インカレ初出場ながら4得点を挙げた前田

 接戦も予想されたインカレ、関学大との1回戦。ワセダらしい試合運びを見せ、終わってみれば圧勝で2回戦へとコマを進めた。2回戦で敗北を喫し、早々に姿を消してしまった昨年から一年。あすの2回戦の相手は関東チャンピオンの国士館大と難敵が続くが、西山尚希主将の「日本一という目標が実現できるようにひとつひとつ勝っていきます」という言葉の通りチームは4年ぶりの王座奪還へと向かっている。

(記事 斉藤俊幸、写真 中村朋子、平川茜音)


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全日本学生選手権
早大 31 15−6
16−16
22 関学大
GK 羽諸大雅(スポ2=千葉・市川)
LW 三輪颯馬(スポ3=愛知)
LB 西山尚希(社4=香川中央)
CB 山﨑純平(社3=岩手・不来方)
PV 松本光也(社4=神奈川・法政二)
RB 伊舎堂博武(社3=沖縄・興南)
RW 小畠夕輝(スポ3=岡山・総社)
対関学大 得点表
選手名 前半 後半 合計
#2 西山尚希
#7 伊舎堂博武
#9 山﨑純平
#10 宮國義志
#20 前田理玖 4(2) 4(2)
#5 小畠夕輝
#18 三輪颯馬
#4 松本光也
#17 清原秀介
合計 15 16(2) 31(2)

※()は7メートルスローによる得点

コメント

LB西山尚希主将(社4=香川中央)

――相手は早関定期戦(早関戦)で負けた関学大でしたが、試合にはどういう気持ちで入りましたか

関学大は早関戦で負けていたというのももちろんあったんですけど、僕のなかではそれ以上に去年のインカレが心にありました。先輩を引退させてしまったという悔しさがあったので、4年間の集大成としてその気持ちの全てをぶつけようと臨みました。

――西山選手は秋季リーグ中盤からケガで欠場していたので久々の公式戦だったと思いますが、その部分はいかがでしたか

最初は久々で張り切ってしまって、空回りしてしまいましたね(笑)。

――西山選手のシュートがワセダの最初の得点でしたが、立ち上がりを振り返っていかがですか

僕自身は固くなるというより空回りをしてしまうのですが、初戦はみんな固くなるというのはわかっていたので、ファーストシュートは枝に当たったんですけどそれ以降は得点につながりました。僕はチームを勢いに乗せるのが仕事だと思っていたので、それがうまくいったのは良かったと思います。

――きょうは関西のスピードに苦しむこともなく、ディフェンスで流れをつくれましたが、ディフェンスを振り返っていかがですか

ディフェンスは良かったと思います。芳村さん(優太コーチ、平27スポ卒=愛知)が来てくださったおかげで、ディフェンスの約束事をわかりやすく指導してくれて僕たちもそれをベースに守ればいいというのがあったので、以前より修正できていて良かったと思います。

――前半全体を振り返っていかがですか

前半は15分くらいで結構点差が離れていたと思うんですけど、残りの15分でもっと点差を離そうという話をしたので、それが体現できていました。しっかりと数値として出ていたので、有言実行というか、それができたのは良かったと思います。

――後半の入りも良かったと思いますが、その前のハーフタイムではどんな話をしましたか

9点差で前半を終わったときに、ここでペースを緩めてしまうとだらだらいってしまうので、僕は10でも20でも点差を離そうと言いました。この会場全部にワセダの試合を見せてやろう、ワセダがこんなに強いなんてと言わせてやろうと話したんですけど、ちょっとだらだらいってしまいましたね。

――きょうの試合で悪い点を挙げるなら何だと思いますか

後半だと思います。退場をしてしまうと流れが変わってしまうので、退場はしないようにと言っていたのに退場者が出てしまったことや、自分たちのリズムで試合ができなかったこと、パス回しが遅くなったこと。相手の高いディフェンスに対してボールを止まってもらったり、そういった部分の修正はしないといけないですね。やればできるんですけど、スイッチがオンになっていない選手がいくつかいました。それで歯車がうまく回っていかなかった印象です。

――あすは国士舘大との対戦ですが、勝つためのポイントは何だと思いますか

やっぱりディフェンスだと思います。僕たちはセットディフェンスがうまくいっていれば自ずと速攻ができて、セットオフェンスもイケイケでいけるイメージがあるので、颯馬(三輪、スポ3=愛知)など両1枚目が飛び出しでワンマン速攻にいってくれれば点を取れますし、僕たちフローターが速攻で押せればいいかたちで得点につなげられるので、それを生むのはディフェンスだと思います。ディフェンスをしっかりしたいと思っています。

――最後にあすへの意気込みをお願いします

みんなには勝ったんだからもっと喜べと言いました。でも喜びすぎてもいけないですし、去年のインカレで2回で負けてしまったので、二の舞にならないように、日本一という目標が実現できるように一つひとつ勝っていきます。

GK永田奈音(スポ3=宮崎・小林秀峰)

――インカレに向けてどのように気持ちの準備をしていましたか

秋季リーグからの気持ちの切り替えというよりも、去年のインカレで自分の力を発揮できずに終わってしまい悔しい気持ちが残っていたので、インカレに対する心構えはずっとしていました。とにかく自分らしく戦おうと思っていたので、きょうはそれができて良かったです。

――7メートルスローを2本止めましたが振り返ってみていかがでしたか

1本目はボールが見えていたので、「あ、止めた」と思いました。2本目は当たった感覚が正直なくて、前にボールが転がったのを見て正直ラッキーと思いました(笑)。7メートルスローを止められてうれしい気持ちはありますが、もっとドンピシャで止められたら良かったと思います。

――GK2人の連携はいかがでしたか

羽諸(大雅、スポ2=千葉・市川)とは試合中もよく喋る方ですが、きょうは羽諸が安定してくれていたのでベンチからディフェンスの方に指示を出していければいいかなと思ってそれを徹底していました。羽諸がよくシュートを止めてくれていたなと思います。あれだけいいGKがいてくれると自分も気持ちよく構えられます。

――あしたに向けての意気込みをお願いします

7メートルスローのセーブ率100パーセントが目標なので、あしたまたどれだけ止められるかは分かりませんが、セーブ率を持続してチームの勝利に少しでも貢献できるように頑張ります。

RB伊舎堂博武(社3=沖縄・興南)

――全日本学生選手権(インカレ)の初戦となりました。振り返っていかがですか

僕は、2年ぶりだったので、久々の感覚で緊張していたのかなという感じでした。初戦で、早関定期戦(早関戦)で負けている相手なので、対策も念入りにしたのですけど、自分たちのハンドボールができていたので、結構差をつけて勝てたし、下級生も、いい出だしで良かったと思います。でも少し課題が多いとミーティングで言われたので、あしたはそれを意識しながら、国士舘大に挑みたいと思います。

――対策は具体的にどのようなことをしましたか

ポストがやっぱりすばしっこいプレーヤーで、早関戦でもやられていたのもありましたし、そこで(早大の)オフェンスもバラバラで個人技だけで攻めようとして、なかなかディフェンスを崩せなくて、相手の思うように守られていたので、そこはしっかり前日、前夜でしっかりと関学大のディフェンスのバランスというのを確認して、どう攻めるかというのかを話し合いました。

――キーパーの調子も良く、流れを寄せる活躍を見せました

そうですね。羽諸(大雅、スポ2=千葉・市川)が、結構最初の方に流れを助けるようなキーピングをしているので、本当に助かりましたし、ディフェンスが勝負したいところで、羽諸が止めてくれたので、良かったかなと思います。結構頼りになりました。

――インカレ前には、「オフェンスで、自分も生きて、周りも生きるプレーがしたい」とおっしゃっていました。その点は本日いかがでしたか

きょうは、なかなかできませんでした。自分は生きてないので。たまに点が取れればいいかなと。周りが結構点を取れていたので、あまりやる気がなかったです(笑)。

――次戦の国士舘大戦でキーポイントとなる点は何でしょうか

やっぱり、相手は大きいですが、それでも春リーグ(春季リーグ戦)と秋リーグ(秋季リーグ)では、勝てそうなところまで流れを持って行けたので、きょうのようにしっかり対策を練っていきたいです。あした勝てば、絶対流れがワセダに来ると思うので、きょうの夜が大事になってくると思います。

――初戦を終えて、改めてどんなインカレにしたいですか

去年いろいろあって、心配や迷惑をかけた人がたくさんいるので、優勝はもちろんですけど、僕がこんな感じでも応援してくれる人とかもたくさんあるので、その人達への感謝の気持ちや、謙虚な心意気を持って、インカレには取り組んでいます。

CB山﨑純平(社3=岩手・不来方)

――お疲れ様でした。インカレ初戦勝利おめでとうございます

ありがとうございます。

――今の率直な気持ちをお聞かせください

まず、1つ取れてよかったかなという感じです。

――インカレ開幕に当たって、どのような気持ちで臨みましたか

このチームが始まったときから、目標はインカレ優勝だったので、4年生のためにも精一杯やるという気持ちで臨みました。

――定期戦で敗れた関学大が相手でしたが、敗戦を踏まえて特別な対策はありましたか

ポストが小さくて、動き回る選手だったので、練習のときから三輪(颯馬、スポ3=愛知)を相手チームのポストに置いたりして、関学大対策はしっかりしてきました。

――後半開始後立て続けに得点を決めて、早大のペースに持ち込みました

西山さん(尚希主将、社4=香川中央)とかがベンチに退いたので、その代わりに入ってきた選手が少しでもやりやすいように、自分が突破口を開くつもりで積極的に行きました。

――チーム全体を振り返っていかがですか

ディフェンスは試合を通して安定していたと思うんですが、後半の方はミスがあったり、バックチェックが徹底できなかったりとまだまだ詰めれるところはあるかなと。あしたの国士舘大はそういうミスをしていたら勝てないと思うので、そういうところはしっかりと詰めていきたいと思います。

――お話にもありましたが、次戦は秋季リーグ王者の国士舘大が相手です。意気込みのほどをよろしくお願いします

秋の関東王者で、前回王者でもあるので、僕らは無くすものはないので、チャレンジャーとして精一杯ぶつかっていきたいと思います。

GK羽諸大雅(スポ2=千葉・市川)

――インカレの初戦を見事勝ちました。今の率直な感想をお願いします

1年間『日本一』というのをずっと目標にやってきて、日本一になるまでに必要な5つの勝利の1つ目を勝ててほっとしています。

――定期戦で敗れた関学大との一戦でしたがどのような意気込みで臨みましたか

自分は定期戦を体調不良で出ていないんですが、そのときに負けていたので侮れないなと。しっかりイメージをしてから試合に臨みました。

――定期戦では30点以上の失点でしたが、きょうは22点にとどめました。その要因はありますか

1つとしてあるのは、前日の晩にワセダが練習試合でいいディフェンスをした動画を見て、自分たちはできるというイメージをつくって、流れにもっていきました。

――羽諸選手自身、好調のようにも見えました。手応えはどうですか

初めての体育館で目が慣れないかなとも思ったんですが、それは杞憂に終わって、最初からしっかりボールを見ることができました。キーパーはボールを見ることが仕事なので、それができてよかったです。

――先日の対談でキーマンに挙げていた小畠選手(夕輝、スポ3=岡山・総社)と宮國選手(義志、社2=沖縄・浦添)は羽諸選手から見ていかがでしたか

そうですね。うーん、小畠さんに僕が期待してるのはバックプレーヤーとしてだったんですが(笑)、きょうは逆サイドとして出ていて、やるべきことをしっかりやっていたなと思います。義志に関しては、西山さん(尚希主将、社4=香川中央)と急に代わって出て来たにも関わらず、しっかり2点取ってチームに貢献していたので評価できるなと思います。

――またペナルティースローでは羽諸選手に代わり、永田選手(奈音、スポ3=宮崎・小林秀峰)が2本の好セーブでしたが、これも勝因の1つかと思われます

そうですね。そこはしっかり僕と奈音さんで話し合って、役割分担もしているのがチームにとっても重要なことだと思います。結果的にも2本止めて流れを持ってきてくれたので、感謝しなきゃいけないなと思います。/p>

――きょうはキーパーのお二人がシャットアウトをしたゲームでしたが、あしたは強豪の国士舘大です。羽諸選手はどんなプレーをして貢献していきますか

国士舘大は大柄な選手が多くて、高い打点からシュートを打ってくると思います。そういう相手に対してこっちが引いてしまうとやられてしまうので、積極的にディフェンスに声をかけて、且つ、僕が際どいシュートを取らないと競ることも勝つこともできないので、僕が気を張って頑張ろうと思います。

――最後に意気込みをお願いします

連戦に備えて体を冷やして、2つ目をしっかり勝てるよう臨みたいです!!

LW(LB)前田理玖(スポ1=福井・高志)

――初出場のインカレに対する思いはどのようなものでしたか

僕の出身が福井で、開催地が地元の北信越だったのでインカレに懸ける思いは強くて、自分が出たら流れを変えてやるくらいの気持ちで秋季リーグからやってきていました。

――緊張はしましたか

最初緊張していたんですけど、7メートルスローで点数を決めてからはちょっと落ち着きました。

――7メートルスローから試合に出場されましたがその時の気持ちは

絶対決めてやるぞと思いました。

――きょうはどのようなプレーをしようと思っていましたか

1年生なので、先輩たちにも自分で行くプレーを増やしていけと言われていたので気持ちで負けないようにと思っていました。

――ご自身でプレーを振り返っていかがでしたか

緊張していた部分があって、自分のプレーができなかったのでそこはあす以降に修正していきたいと思います。

――定期戦のリベンジを果たしたかたちになりました

個人的に、早関戦の時は試合に出れていないので今回4点決められて成長出来ているのかなという感じはします。

――あすへの意気込みをお願いします

あしたも自分が出たら試合を決めるくらいの気持ちでやりたいと思います。