【連載】インカレ直前特集『To The GLORY』最終回 全日本学生選手権男子展望

男子ハンドボール

 いよいよ全日本学生選手権(インカレ)が目前に迫ってきた。『日本一』を目指す早大ハンドボール部特集も今回が最終回。去年のインカレでは、大城章元コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)が退任し、学生だけでハンドボールを行う1年目としてインカレに臨んだが、結果はまさかの2回戦敗退。徳島の地で、選手たちは苦杯をなめさせられた。それから1年、芳村優太コーチ(平27スポ卒=愛知)が就任し、チームは大きく変革を遂げて再び大舞台へと臨む。決戦の地、金沢でワセダ旋風を引き起こすことができるか。

 オフェンスのカギを握るのはフローター陣。その中心となるのはCB西山尚希主将(社4=香川中央)だ。関東学生秋季リーグは中盤でケガをして戦線離脱を余儀なくされたが、第4戦までは得点王に絡む勢いで得点を量産した。4年間の集大成として、ワセダの主砲はその豪腕をうならせ、ゴールネットを確実に揺らしてくれるだろう。また華のあるプレーで観客を沸かせるRB伊舎堂博武(社3=沖縄・興南)にも注目だ。マークが厚くなることが予想されるが、そのなかでどれだけ攻める姿勢を見せられるか、それがセットオフェンスの得点を大きく左右するだろう。LB小畠夕輝(スポ3=岡山・総社)とLB(CB)山﨑純平(社3=岩手・不来方)とタイプの違うシューターが相手GKを惑わせ、途中出場が予想されるCB宮國義志(社2=沖縄・浦添)がチームの流れを大きく変える。それぞれが与えられた役割を果たし、オフェンス改革の成果を見せられるかに注目だ。

主将としてチームを引っ張ってきた西山

 ディフェンスの要となるのは3枚目を担うPV松本光也副将(社4=神奈川・法政二)と、守護神・GK羽諸大雅(スポ2=千葉・市川)だ。ワセダの一番の強みである『堅守速攻』を体現するために最も重要な二人である。ディフェンスがうまく機能すれば、羽諸のセーブ率は確実に上昇する。松本副将が最上級生の意地を見せてワセダディフェンスを統率し、LW三輪颯馬(スポ3=愛知)の速攻につながれば、試合を早大ペースで進めることができる。芳村コーチも「良くなってきた」と期待する粘り強いディフェンスで、強敵をねじ伏せられるか。

松本副将は最上級生としての意地を見せる

 ワセダの強みはチームの雰囲気にもある。全員が口をそろえて言う「勢いに乗ったとき」の強さ。コート上の選手、ベンチ、応援席、全員が一体となって戦う姿は相手にとっても脅威だ。全員が『勝利』という同じ方向を向き、一戦必勝で戦っていくことが、悲願達成の絶対条件である。芳村コーチが就任して言い続けてきた『勝利への執念』を、コート上で表現することができるか。ワセダセブンの戦いに注目したい。

 初戦の相手は関学大。ことしの春に行われた早関定期戦では関西特有の横のスピードに苦しみ、敗北を喫した。しかし一発勝負のインカレ、同じ相手に再び負けるわけにはいかない。選手たちはリベンジに燃えている。2回戦では秋の関東王者で優勝候補の筆頭、国士舘大との対戦が濃厚だ。日本代表の玉川裕康や秋季リーグ最優秀選手の安倍竜之介だけでなく、大型選手がそろう国士舘大は間違いなく大きなカベだ。激戦パートに入った早大だが、日本一を目指すためには絶対に負けられない。強敵を次々となぎ倒し、栄冠への道を突き進んでいく。

栄光の『日本一』へ、全員で戦う

 泣いても笑っても最後の大舞台。ワセダの誇りを背負って戦い、必ず最後に笑って終わる。全員がそれを目指してきた。芳村コーチも「インカレしか狙っていない」と言い続けてきた。そして、それを成し遂げるだけの実力を選手たちは持っている。今こそワセダの意地を見せるとき――。『栄光』への最終章、全日本学生選手権が11月3日、金沢の地で開幕する。

(記事 佐藤慎太郎、写真 平松史帆、新津利征)

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