劣勢を立て直し、次につながる逆転勝利!

男子ハンドボール

 関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)もいよいよ終盤戦。優勝の可能性が消えてしまった早大は、今季全敗と流れに乗れていない明大との対戦だった。序盤はリズム良く点数を重ねるが、オフェンスが徐々にかみ合わなくなると逆転を許し、まさかの2点ビハインドで前半を終える。しかしすぐに立て直した早大が後半開始早々4連続得点で逆転、その後は主導権を握り続け、リーグ4勝目を挙げた。

 オフェンスで最も輝きを放ったのはRB伊舎堂博武(社3=沖縄・興南)だろう。二次速攻からカットインを決めて先制点。前半はこの1点のみだったが、後半になるとパスを回しながら果敢に攻め、5得点を挙げる。マンツーマンを付かれても左45度付近まで流れながら、ここしかないというコースにミドルシュートを決めたり、相手の高いディフェンスの間からステップシュートを決めるなど、随所でその光るオフェンスセンスを見せつけた。LW三輪颯馬(スポ3=愛知)は、得意のサイドシュートこそ決定率は高くなかったが、早い飛び出しからの速攻やリバウンドで泥臭く得点を重ね、チームの勝利に貢献した。また後半の勢いを加速させ、点差を離すきっかけとなったのはPV高橋拓也(人3=群馬・富岡)だろう。ポストでボールをもらって7メートルスローのチャンスを獲得したり、速攻で2得点を挙げるなど、後半中盤の得点を演出した。得点とはならなかったが、試合終了間際にはLW阿南遼星(スポ1=大阪・大体大浪商)とRW髙橋幸太(法2=東京・早大学院)が出場。阿南は中央に攻めて上がるなど、短時間ながら存在感を示した。結果的には勝利したが、前半の8得点というのは今季最少。芳村優太コーチ(平27スポ卒=愛知)が就任してからセットオフェンスの精度は少しずつ上がってはいるものの、試合によって完成度に差がある。残り2戦、さらに高いレベルでそれらを体現できるか、注目だ。

厚く守られても強く攻める姿勢を見せた伊舎堂

 ディフェンスは非常に安定感があり、明大オフェンス陣を今季最少の17失点に抑えた。3枚目を担ったPV松本光也副将(社4=神奈川・法政二)とCB山﨑純平(社3=岩手・不来方)、四十宮実成(政経3=徳島市立)がそれぞれ機能し、大型ポストの山田信也(明大2年)に簡単に仕事をさせなかった。前半のオフェンスに苦しんだ時間帯でも、ディフェンスで粘り切れたことが後半の大量得点につながったのは言うまでもない。また、勝負させるべきところで勝負できたことが、相手がシュートを外したり、GK羽諸大雅(スポ2=千葉・市川)が当たった要因の一つだろう。この日の羽諸は大事なところでのセーブが光り、いつも以上に高いセーブ率を残した。ワセダの自慢のディフェンスの最後のとりでであるゴールキーパーは、『堅守速攻』を体現するために最も重要な存在だ。「厳しい場面でどれだけ僕が取れるかにかかっている」と強い覚悟を持って試合に臨んでいる羽諸。インカレ(全日本学生選手権)のシード権を獲得することに目標をシフトした早大ハンドボール部を、さらなる高みへと導けるか。

後半の大量得点でチームも大いに盛り上がった

 相手が全敗中の明大だったとはいえ、ビハインド状態からの逆転勝利というのは次へとつながるものだった。残りも2試合のみとなった秋季リーグ。首位の国士舘大はここまで負けなしで勝ち進んでいる。「国士舘大の全勝優勝を阻みたい」(伊舎堂)。最終戦で国士舘大を撃破するためにも、あすの東海大には負けられない。

(記事 佐藤慎太郎、写真 斉藤俊幸、田中一光)


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関東学生秋季リーグ
早大 24 8−10
16−7
17 明大
GK 羽諸大雅(スポ2=千葉・市川)
LW 三輪颯馬(スポ3=愛知)
LB 小畠夕輝(スポ3=岡山・総社)
CB 山﨑純平(社3=岩手・不来方)
PV 松本光也(社4=神奈川・法政二)
RB 伊舎堂博武(社3=沖縄・興南)
RW 清原秀介(商2=東京・早実)
対明大 得点表
選手名 前半 後半 合計
#7 伊舎堂博武 5(1) 6(1)
#5 小畠夕輝
#18 三輪颯馬
#9 山﨑純平
#4 松本光也
#11 高橋拓也
#17 清原秀介
合計 16(1) 24

※()は7メートルスローによる得点

コメント

PV松本光也副将(社4=神奈川・法政二)

――きょうの試合を振り返って感想をお願いします

前半の一番最初はすごくいい流れできていました。ただ、順大戦のときもそうだったんですけど、3点差から4、5点と離すべきところで離せなくて、相手にやられたというよりは自分たちのリズムがつくれなかったという感じでした。後半は切り替えて勝てたので良かったと思います。

――ディフェンスはいかがでしたか

ディフェンスは前半も後半もそんなに悪くなくて、キーパーが取ってくれたっていうのもあるんですけど足を動かしてしっかり守れていました。

――最近は3年生と3枚目を組むことが多いと思いますが、その点に関してはいかがですか

ディフェンスでもオフェンスでも3年生が多く活躍しているチームなので、ディフェンスから一緒に引っ張っていけるように、試合中の声掛けっていうのは気にしてやっています。

――下級生も試合に出場するようになってきたからこそ、「引っ張らなくてはいけない」という意識があがったのでしょうか

そうですね。特にいま試合に出ている4年生が僕だけなので、プレー以外の面でも気持ちを切らさないためにも、ここ一本守りたいというときなどは率先して声を出してみんなが乗っていけるようにというのはやってます。

――出場している下級生に対してはどのような想いがありますか

失敗を恐れずに思い切ってプレーができるようにしてあげたいと思っています。その結果、彼らがミスをしてしまったときは上級生がカバーできるようなかたちをつくっていきたいです。

――全日本学生選手権(インカレ)を見据えると、下級生もとても重要な戦力になってくると思われます

そうですね、下の選手がどんどん試合に出て経験を積んでくれることは、重要だと思います。自分たちも過去の先輩たちにしてもらってきましたし。試合に出してあげることは、下の代の経験という面でもインカレを連戦勝ち抜いていくという面でも必要だと思います。残り2試合しかないですけど、どんどん新しい選手が出てきてくれるとまたチームが成長できると思います。

RB伊舎堂博武(社3=沖縄・興南)

――きょうの試合を振り返って感想をお願いします

印象のない試合だったなと思います。内容の濃いいい試合ではなかったです。

――前半中盤から停滞してしまった原因は何だと思いますか

やっぱりフォーメーションにこだわりすぎて自分の持ってる個の力をあまり出せていなかったように感じます。足が止まって崩れて前半はズルズルいってしまいました。

――ハーフタイムではどのようなことを話して修正したのですか

西山さん(尚希主将=社4・香川中央)から「コートに立っている選手はもっと気持ちを出してやれ」っていう指摘がありました。僕たちも前半を振り返ってみると、気持ちが入ったプレーをあまりできていなかったと感じたので、3年生フローター3人で集まってフォーメーションの確認とかもっと個の力を生かしながら攻めようという戦術的なことと気持ちの切り替えについてしっかり話をしました。その結果、いいスタートが切れて良かったかなと思います。

――最近、西山選手が出場していない状況が続いていますが、チームの雰囲気や意識に変化はありますか

やっぱり西山さんがいなくなったことによって、コートの中で話す人が減ったので、苦しくなったときにコート上で頼れる選手がどうしてもいないというのが現状です。光也さん(松本副将、社4=神奈川・法政二)もいるけど3年生が一番多くて、上級生でもあるので、自分たち3年生がもっと自立していかないとダメかなと思います。

――要所要所での下級生の活躍に関してはどう考えていますか

これまでずっと同じメンバーでやっていたけど、下級生が入ってくることによって新鮮さが生まれました。今までやってきたことを下級生に教えるということは、下級生のためだけでなく自分のためにもなるのでいいと思います。下からどんどん試合にでてくるようなメンバーが入ってくるのは自分たちにもいい刺激になっているので、これから上級生も常に緊張するような環境ができてくればもっと強くなれるのかなと考えています。

――いまのチームの下級生の活躍は伊舎堂選手の代が1年生だったときの活躍の仕方と似ているような気がします

上手な選手はいないし、今までハンドボールをちゃんと知らなかった選手もいるけど、それでもここ(ワセダ)に来てやっているということは、それだけ「ハンドボールをやりたい」という気持ちがあるんだと思います。なので僕たちはしっかり教えてあげないといけないと思うし、僕たちが試合を楽な展開に持っていって、もっと下級生を出してあげられるようなチームになっていくことができれば、チームの底上げになってチーム全体にとってもいいと思います。

――最後に、リーグ戦残り2試合に向けての意気込みをお願いします

リーグ優勝はなくなったけど、とりあえず負けないこと。国士舘大が全勝優勝を目指しているので僕たちが最終戦でそれを阻みたいです。

PV高橋拓也(人3=群馬・富岡)

――前の試合の敗戦からどのように切り替えてきょうの試合を迎えられましたか

前回の敗戦で優勝は厳しくなってしまったのですが4位以内に入ればインカレのシード権を得られるので目標をそこに切り替えて、残りの試合を全勝しようということでこの試合に臨みました。

――前回の試合はディフェンスが崩れたところから悪い流れになってしまった印象でしたが、きょうの試合でそのあたりは何か意識されましたか

前回の順大戦はバックプレーヤーに気持ちよくボールを回されてしまい当たれなくなって低くなったところを上から打たれてしまうシーンが多くなった試合だったのですが、今回の明大も強力なバックプレーヤーが何人かいるのでその辺をしっかり当たってキーパーに勝負してもらうという意識をチームで持っていました。

――主に後半からの出場となりましたが、どのような思いで前半を見ていましたか

前半は悪くは無くシュートまでは行けていたのですが、気持ちよく決めきれない中で広めにマンツーでつかれたりしていたので、そこで自分が入って2対2で下で崩すように意識していました。

――ゴールパフォーマンスなどでチームを盛り上げていた印象でしたが

途中から入る選手が流れを変えるべきだと自分は思っているので、そのためにチームがひとつになって盛り上がれるようなガッツポーズなどで喜びを表現して盛り上げたいという思いはありました。

――次戦へ向けての意気込みを聞かせてください

ワセダの堅い守りからの速攻やセットプレーをしっかり決めきれれば、どの試合も勝つことができると思うので最終的には限りなく上位に行けるように頑張っていきたいと思います。

GK羽諸大雅(スポ2=千葉・市川)

――きょうの試合振り返っていかがですか

前半負けて折り返したんですけど、ここを負けたらやばいなと思ってみんなで団結して勝てたので、次につながるかなと思います。

――前半は具体的にどこが悪かったと思いますか

相手の大きい3枚目に対して、僕らが中に中にいっちゃって、うまく攻めれずに相手の展開になったと思います。ディフェンスでは、相手が利き手側が強くて、それをフリースローで切れずに守れなかったのでそれが負け越した原因の一つかなと思います。

――後半はそれが修正できたと思いますか

ハーフタイムの時に、利き手側を強く守ってと光也さん(松本副将、社4=神奈川・法政二)に言っていたので、それが良かったかなと思います。オフェンスは、ワイドに位置を取ってそこから中に攻めるという風に言っていました。速攻で点を取れたのが大きいと思います。そこは純平さん(山﨑、社3=岩手・不来方)と博武さん(伊舎堂、社3=沖縄・興南)が頑張ってくれて流れをつくれたので、そこが良かったかなと思います。

――ご自身のセーブはいかがでしたか

前半は流れが来ない展開だったので微妙だったんですけど、後半オフェンスもディフェンスも頑張ってくれたので、僕も一矢報いないといけないなと思って、必死に食らい付いていきました。サイドシュートとかはボールを見て、海老原さん(貴史、明大2年)とかは練習試合で何回もやっていたので、近めをしゃくってくるだろうなって待っていました。それが当たって良かったです。

――セーブしたボールを前に落とすなど速攻につながるキーピングでした。意識はしていましたか

明大は、普通にやっていけば力は(早大が)上なので、そんなに無理に押すことはないかなって思っていました。結果的に点差は開いたんですけど、無理に押さなくてもいいかなと思っていたので、自分では速攻にすぐいこうっていうことは気にしていなかったです。

――2年生の髙橋幸太選手(法2=東京・早大学院)や1年生の阿南遼星選手(スポ1=大阪・大体大浪商)が出場しましたが、ご覧になっていかがでしたか

阿南は度胸がないですね。先輩に意見を言う分、プレーでもっとふてぶてしく、図太さとかを僕は見たかったんですけど、ちょっとだめでしたね、残念でした。幸太に至っては、コメントがないですね(笑)。何をしていたのか…もっと存在感を出してほしかったです。

――優勝はなくなりましたが、残り試合に向けて一言お願いします

優勝はなくなったので、インカレ(全日本学生選手権)のシードを取るためにあとしっかり2勝したいですね。国士舘大はディフェンスが固いので厳しい戦いになるかと思うんですけど、僕がどれだけ厳しい場面で取れるかにかかっていると思うので、しっかり照準を合わせて研究していきたいなと思います。