開幕戦を勝利して迎えた法大戦。目標を「全勝での優勝」(GK羽諸大雅、スポ2=千葉・市川)と掲げる早大はここで足踏みするわけにはいかない。前半は不安定な試合展開で進んだが終始リードを保ち後半へ。すると攻撃陣が爆発し、下級生の活躍も光った早大が最終的には33―18というスコアで大勝を収めた。
この日の早大は、試合開始1本目のディフェンスをしっかり守り切り、RB伊舎堂博武(社3=沖縄・興南)のロングシュートで幸先よく先制する。理想的な立ち上がりからその後もペースを握って試合を進めていくが、両チームともにミスが多く締まりのない時間が続いてしまう。その中で早大を救ったのがGK羽諸だった。「きょうは羽諸に感謝しなきゃいけないと思います」と芳村優太コーチ(平27スポ卒=愛知)が手放しで称賛する好セーブを連発し、チームに流れを引き込んだ。オフェンス陣も徐々に調子を上げ、CB西山尚希主将(社4=香川中央)、伊舎堂のロングシュートに加え、伊舎堂のパスに合わせたLB山﨑純平(社3=岩手・不来方)の豪快なロングシュートも飛び出して点差を離す。最後は羽諸が7メートルスローと速攻を立て続けにシャットアウトし、12-8と4点リードで前半を終えた。
好セーブを連発してチームを救った羽諸
後半開始早々にRB小畠夕輝(スポ3=岡山・総社)がディフェンスを一人かわしてロングシュートを決める。さらに関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)から出場しているRW清原秀介(商2=東京・早実)が待望のリーグ初得点、喜びを爆発させた。「1本目を決めてからは吹っ切れた」という清原はその後も得点を量産し、チーム2位の6得点を挙げる活躍を見せた。後半完全に主導権を握った早大は、本日9得点と大爆発の西山を中心に最大6連続得点で21得点。法大もLB松岡寛尚(2年)が気を吐いたが、流れを譲らず。終盤にはCB宮國義志(社2=沖縄・浦添)やRB前田理玖(スポ1=福井・高志)も得点を挙げ、GK齊藤孝佳(人3=城北埼玉)も好セーブをみせるなど選手層が厚くなっていることを示した。
清原のシュートはチームを大いに盛り上げた
新たに芳村コーチを迎えて秋季リーグを戦う早大。「詰めるところが詰めれていない」(芳村コーチ)と課題は山積みだが、オフェンス面では2試合連続で30得点を超えるなど確かな成長が現れている。また、下級生が多く得点を挙げるなど台頭してきており、早大ハンドボール部の未来は明るい。次週は関東学生春季リーグ上位校の日大、中大との対戦となるが、この勢いをそのままに無敗王者へ突き進む。
(記事 佐々木一款、写真 野田礼実香、新津利征)
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関東学生秋季リーグ | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 33 | 12−8 21−10 |
18 | 法大 |
GK 羽諸大雅(スポ2=千葉・市川) LW 三輪颯馬(スポ3=愛知) LB 西山尚希(社4=香川中央) CB 山﨑純平(社3=岩手・不来方) PV 松本光也(社4=神奈川・法政二) RB 伊舎堂博武(社3=沖縄・興南) RW 小畠夕輝(スポ3=岡山・総社) |
対法大 得点表 | ||||
---|---|---|---|---|
選手名 | 前半 | 後半 | 合計 | |
#2 西山尚希 | 5(1) | 4 | 9 | |
#17 清原秀介 | 0 | 6 | 6 | |
#5 小畠夕輝 | 1 | 3 | 4 | |
#7 伊舎堂博武 | 3 | 1 | 4 | |
#18 三輪颯馬 | 2 | 1 | 3 | |
#9 山﨑純平 | 1 | 1 | 2 | |
#22 宮國義志 | 0 | 2 | 2 | |
#4 松本光也 | 0 | 1 | 1 | |
#11 高橋拓也 | 0 | 1 | 1 | |
#20 前田理玖 | 0 | 1 | 1 | |
合計 | 12(1) | 21 | 33 |
※()は7メートルスローによる得点
コメント
芳村優太コーチ(平27スポ卒=愛知)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
点差はついたんですけど、内容は全然良くなかったかなと思います。締めるところは締めて、やらないといけないなと思います。
――相手のディフェンスの当たりが早かったように見えましたが、攻め方についてどう見ていましたか
相手がうんぬんっていうよりも、自分たちがやるべきことができていなかったかなとは感じています。確かに相手の寄りが早いのもあるかもしれないですけど、ちゃんとスペースを攻めるとかをもっと徹底してやれば楽に点を取れたかなと思います。
――開始直後、高めのディフェンスをしていましたが意図はありますか
今まで春に3-3ディフェンスをやってきていなかったのと、おそらく相手も準備していなかったんじゃないかと。こっちとしても足を動かしたかったんですけど、立ち上がりに。まあなかなかうまくいかなったかなとは思いますね。
――前半はお互いに落ち着かないゲーム展開となりました
最初に言ったように、詰めるところが詰めれてないのが原因じゃないですかね。点は取れそうだけど取れないとか、守れそうだけどなんか点取られちゃうみたいな。緩さが出たのかなと思います。
――GK羽諸大雅選手(スポ2=千葉・市川)が当たっていましたが、ディフェンスとの連携は取れているように見えましたか
いや、完全に羽諸の個人技ですね。きょうは羽諸に感謝しなきゃいけないと思います。
――きのうに引き続き30得点を超えましたが、夏の成果は出ていますか
春見ていないので実際に比べられはしないですけど、少しは出たかなと思います。けど練習した分が出せたかっていうとまだまだですね。
――次週は日大、中大と強敵が相手です。勝つためには何が必要ですか
選手たち自身が勝ちたいと思うかどうかかな。これが第一だと思います。自分たちがやってきたことをベースに、相手の弱点もついていかないといけない。やるべきことはたくさんありますね。
CB西山尚希主将(社4=香川中央)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
前半、(点差を)離せてはいたんですけど、自分たちのオフェンスミスや小さなディフェンスミスで一気に離しきれないという展開を引きずってしまいました。結果としては良かったんですけど、細かく見ればまだまだ修正しなければいけない点は多く出たゲームでした。
――相手の寄りが早かったことについてはいかがですか
一人抜いた後とか、ボール持った時点での相手の寄りが早くて、前半はそれに少し戸惑ってフリースローを多く取られました。後半はそこを修正してパス回しを早くして、相手を崩すことを意識してできたのは良かったかなと思います。
――開始直後に高めのディフェンスを敷いていました
それは今週の練習からやっていたことなので、チームとしてやろうと言っていました。なので特に問題はなかったですね。
――前半落ち着かないゲーム展開となりました
ミスが多くて、ストレスをためる部分がなくはなかったんですけど、そこでストレスをためて余計にミスが増えたら意味がないので、そこはみんなで声を掛け合って、一本一本というかたちでやっていけて後半に行けたので、それは良かったです。
――GK羽諸選手が良く止めていましたが、ディフェンスとの連携はいかがでしたか
連携も取れていたんですけど、ディフェンスミスがあった時に、羽諸がチームを救うキーピングを見せてくれました。それとミスがあった時に、羽諸が良く声を掛けてくれて、ハーフタイムの時もいろいろな意見をしゃべってくれたので、下級生ながら頼りになる存在です。
――きのうに引き続き30得点を超えましたが、オフェンスの精度が高まっている印象はありますか
まだミスはあるんですけど、春に比べると得点は多く取れているので、速攻走ったりだとか。いい部分もあるんですけどまだミスも多いので、そこをどうにかして減らしていって、いいゲーム運びをしていけるようにしたいです。
――きょうは清原秀介選手(商2=東京・早実)が活躍しました
下級生で試合に出て得点するというのは本人もうれしいと思うんですけど、それ以上に得点を取った時にチームみんなが盛り上がりますね。本人が練習でやってきたことをこうやって出せているので、下級生の成長っていうのはチームにとってプラスですし、僕自身もとてもうれしかったです。
――次週は強敵が相手です。意気込みをお願いします
日体大、法大も春には負けていたんですけど、中大と日大にも負けているので、同じ相手には負けたくないですね。そこはしっかりとこの一週間で調整して、今週みたいなゲームができるように頑張りたいと思います。
GK羽諸大雅(スポ2=千葉・市川)
――33-18での勝利となりましたが試合を振り返っていかがですか
前半はオフェンスもディフェンスもあまりうまくいかなかったのですが、後半勢いに乗ってうまく離せたかなと思います。
――きょうは再三の好セーブがありました
きのう前半が不甲斐なかったので、きょうは前半から飛ばそうと入念にアップをして。それがうまくつながったかなと思います。
――前半のセーブでチームに流れを引き寄せたように見えましたが
相手のGKも前半から予想以上に止めていたのですが、自分は自分だと。前半止めることができたことは評価したいと思います。
――きょうのDFとの連携はいかがでしたか
きょうは3-3ディフェンスをやって、狭いシュートを僕が捕るというかたちでした。それがうまくはまった場面もあったし、裏を取られて対応できなかった場面もあったかなと思います。
――18点に抑えたことは収穫と言えるでしょうか
僕と相手のシューターとの相性が良かったという理由もあると思うので、一概に収穫とは言えないのですが、勝負所できっちり止められたこともあっての18点だと思うので収穫もありました。
――チーム全体のディフェンスとしてはまだ課題が多いということですか
そうですね。相手が見逃してくれていた部分も僕から見ているとあったので。そこをしっかり僕から言って詰めていかないと、今後隙を突くのがうまい日大や筑波大に対しては厳しい試合になるのではないかと思います。
――きょうの試合で特に危なかった場面などは
例えば3枚目の駆け引きであるとか、2枚目での駆け引きであったりだとか。日大のセンターはうまいので寄ったらすぐに離されたりだとかするので、3枚目が引かないように僕から声を掛けてラインをそろえたりしていきたいです。あとは戻りのディフェンスですね。この2試合、戻りで点を取られることが多くて。真ん中をしっかり締めて外で勝負しようとしたのですが、何度か真ん中を締められず真ん中でやられたこともあったので、僕から言ってチームの共通認識にしていきたいです。
――この2試合オフェンスでは点が取れていますが、GKからはどのように見えていますか
きのうもきょうも前半は攻撃がかみ合っていないなという印象があったのですが、うまくハーフやイムのミーティングで話し合って後半点を取れるようになったことは大きいと思います。
――これから日大、中大と強い相手との対戦が控えていますが、勝つためのポイントはどういったところになるでしょうか
日大や中大は個の力が強いので、こっちが引いたらやられます。そのフォロー、フォローをしっかりやっていくことですかね。あとは僕自身どれだけ止められるか、どれだけ相手の得点を止められるかだと思います。
――最後に次戦以降の抱負をお願いします。
きょうの結果に満足せず、目標は全勝での優勝なので次からもしっかり頑張りたいなと思います。
RW清原秀介(商2=東京・早実)
――春はケガをされていましたが、秋季リーグに向けてどんな準備をされていましたか
最初は肩のリハビリを中心に、練習には参加せずにやって来ました。肩を手術して筋力も落ちてしまったので、筋トレをしてディフェンスでもしっかり当たれるように準備して来ました。
――きょうはリーグ初得点で、かつ6得点しましたが振り返っていかがですか
きのう1本打って外しているので結構朝から緊張があったんですけど、1本目決めてからは吹っ切れた感じで、結構そこから積み重ねられて良かったです。
――上級生の中でのプレーという面ではいかがですか
(プレー中は)隣が博武さん(伊舎堂、社3=沖縄・興南)とか小畠さん(夕輝、スポ3=岡山・総社)なんですけど、試合中も普通にふざけたりというかコミュニケーションできているので、やりやすいです。
――右利きで右サイドというポジションですが、難しさはないですか
一応中学2年生で右サイドをやっていたので、そんなに難しくは感じていなくて、むしろ左サイドより右サイドの方が打ちやすいです。
――来週は日大、中大と上位チームとの対戦になりますが、そこに向けての意気込みをお願いします
まず1点目を確実に決めて行って、そこから流れに乗っていけたらいいなと思います。