日本一奪還へ向けて好発進

男子ハンドボール

 『日本一奪還』。ついにその舞台となる全日本学生選手権(インカレ)が開幕した。昨年の準優勝という悔しさを胸に選手たちは1年間練習してきた。そして迎えた初戦・大経大戦。序盤は少し固さが出たものの、順調に点を重ね前半を終える。後半は終始ワセダペースで試合を進めると最後には4年生全員が出場。危なげなく35-29で勝利した。

 関東学生秋季リーグから試合の立ち上がりを課題としてきた早大。インカレ独特の雰囲気による緊張からか固さが抜けない。これを打破したのは西山尚希(社3=香川中央)だった。相手のディフェンスにも固さを感じていた西山は相手の意表を突き、ロングシュートをゴールに叩き込む。この豪快なシュートで勢いづいたワセダはリズムを取り戻し、エース川島悠太郎副将(スポ4=福井商)がロングシュートを連続で決めた。その後も衰えることなく川島、西山、山﨑純平(社2=岩手・不来方)が次々とシュートを決めていく。さらにオフェンスだけでなくディフェンスも機能。キーパーの羽諸大雅(スポ1=千葉・市川)は再三にわたって好セーブを見せ、16-12で前半を終えた。

着実にシュートを決めた齊藤凌副将(スポ4=岩手・不来方)

 後半もワセダの勢いは止まらない。開始から5連続得点で相手を圧倒する。たたみかけるように川島のロングシュートが決まると、ワセダの持ち味であるディフェンスからの速攻も体現。ディフェンスでボールをカットするとそのまま三輪颯馬(スポ2=愛知)へロングパス。三輪は落ち着いてシュートを決め、ガッツポーズを輝かせた。終盤からは4年生が全員出場。戸部大悟(教4=大阪・桃山学院)、萩原侑(文4=東京・早実)は出場時間が短いながらも得点を決め実力を遺憾無く発揮。これまでチームを支えてきた4年生の意地を見せつけた。そのまま6点差で試合は終了。あすにつながる勝利となった。

素早い飛び出しで相手ゴールを陥れる三輪

 次戦の相手はまたもや関西地区の関大である。今回の試合では多少の固さはあったものの、普段通りの実力を発揮することができた。「最終目標は『優勝』だけど、先は見過ぎないように、自分たちのハンドボールをやるだけ」(岩本岳主将、スポ4=東京・早実)。優勝のための実力はすでに持っている。あとは一戦一戦勝ち抜くだけだ。3年ぶりの日本一へ向けてエンジの志士たちの熱い戦いが始まった。

(記事 平松史帆、写真 篠原希沙、田中一光)

全日本学生選手権
早大 35 16−12
19−17

29 大経大
GK 羽諸大雅(スポ1=千葉・市川)
LW 三輪颯馬(スポ2=愛知)
LB 西山尚希(社3=香川中央)
CB 川島悠太郎(スポ4=福井商)
PV 松本光也(社3=神奈川・法政二)
RB 小畠夕輝(スポ2=岡山・総社)
RW 齊藤凌(スポ4=岩手・不来方)
コメント

荒木進監督(平5人卒=熊本市立商業)

――きょうの試合を振り返って感想をお願いします

初戦ということもあって固さはありましたが、頑張ったかなと思います。やっぱりディフェンスが集中できていて、目安としている『25失点未満』を達成できるような状況で前半を折り返してくれました。セットディフェンスで本当に崩されたというのはなくて、ポストのスライドだけやられていたので、そこのところを後半の立ち上がりで修正できました。羽諸(大雅、スポ1=千葉・市川)のナイスキーパーもでかかったですね。初戦ということを考えると、及第点です。

――後半は一気に流れが良くなりました

ディフェンスが修正できたことと、途中から入った選手が強い気持ちを持ってやってくれたおかげですね。流れを切らずにやってくれて良かったです。

――やはり、インカレ(全日本学生選手権)独特の雰囲気がありますか

そうですね。まぁ、初戦を戦ったことで固さがとれてあす以降しっかりやっていけると思います。

岩本岳主将(スポ4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返って感想をお願いします

1回戦ということで序盤は固さが見られて、ポストのスライドとか課題も出たんですけど、1回戦にしてはいい出来だったと思います。

――やはり、インカレ独特の雰囲気があると感じましたか

そうですね。固さが出るというか。僕自身もコートに入ったとき少し固いなと思いましたし。

――そういった雰囲気の中、4年生が全員出場し、活躍もできたことはチームにとって良かったのではないでしょうか

もうちょっとできることがあったとは思いますし、次入ったときはもっといい影響を与えられるように頑張りたいと思います。

――あすへの意気込みをお願いします

やっぱり最終目標は『優勝』だけど、先は見過ぎないように、自分たちのハンドボールをやるだけです。

川島悠太郎副将(スポ4=福井商)

――今の率直な感想をお願いします

やっとインカレが来て、みんな気持ちが高ぶってて、最初は固さもあったんですけど後半あのような展開になって。最後メンバー変えつつ少しグダグダしてしまったところもありますが、勝ち切れたのはうれしかったです。

――勝因はなんだったと思いますか

前半、相手の選手たちに上から打たれてしまってコースも決められていたので、それをハーフタイムで話し合って切り替えていけたところですかね。後半10分で決めようって言っていて、あのような展開にできたのは良かったなと思います。

――相手の印象はいかがでしたか

練習試合でも関西のチームとやっていたりしたんですけど、関東とは違ったポストの使い方だったり、スライドをしっかりしてくるチームでそれに少し苦しめられたって感じですね。つぎも関西のチームにあたると思うので、しっかりミーティングしてあしたに備えたいなと思います。

――とうとう最後のインカレが開幕しました。どのようなインカレにしたいですか

去年も出たんですけど悔しい思いをした舞台で。ことし自分たちの代になって、負けてしまったら終わりなので、楽しんで思いきってやれば結果もついてくると信じてやりたいなと思います。

西山尚希(社3=香川中央)

――きょうの試合を振り返って感想をお願いします

立ち上がりが固くて競った状態で。でも、徐々に相手のリズムをつかんできて、自分たちの『守って速攻』というスタイルが機能したっていうのは良かったと思います。

――序盤で西山さんのロングシュートが2回決まったところでチームに勢いをもたらしたと感じました

拮抗(きっこう)した状態で、最初だったので相手のディフェンスも僕のオフェンスの様子を伺ってたので遠くから打ってやろうかなって思って入ったので、2回目も狙って入れました。

――後半立ち上がりに大量得点を挙げていましたが

いつも前半に点差を離しても後半に追い上げられて苦しい試合になるという課題を持っていたので、ハーフタイムでこのままの勢いでいって一気に離して今までと違うようにしようとコートで表現できたのはよかったと思います。

――あすに向けてお願いします

あしたも関西のチームになるんですけど、僕たちが今までインカレに向けてやってきたことや自分たちができることをしっかりやって、あしたも勝ちたいと思います。