大逆転!堅守速攻で国士舘大の高き壁を撃破!!

男子ハンドボール

 関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)もいよいよ大会第8日目を迎えた。各校が白熱した順位争いを繰り広げたこの日、早大は国士舘大と対戦。両校共に4勝2敗1分けと優勝争いの三番手に付けており、「優勝するためには負けられない試合」(西山尚希、社3=香川中央)と気合いを入れて臨んだが、試合は誰もが予想しなかった展開を見せる。序盤からミスが目立ちリズムを乱すと、8-13とまさかのロースコアで前半を折り返す。後半に入っても、台風が近づくこの日の天気同様、重苦しい雰囲気で試合は進んだ。しかし、後半途中に山﨑純平(社2=岩手・不来方)が間を割って相手選手の2分間退場を誘発すると、そこから早大は怒涛(どとう)の7連続得点を挙げる。その勢いを最後まで途切れさせることなく、24-20と大逆転勝利を収めた。

 開始1分、川島悠太郎副将(スポ4=福井商)が強烈なディスタントシュートで1点目を挙げると、三輪颯馬(スポ2=愛知)も得意の速攻で続き、立ち上がりは上々に思われた。しかし、その後は平均身長187cmを誇る相手ディフェンスの壁に苦しみ、シュートミスが続く。一方、ディフェンスでは「遠めで当たってふかさせて、シュートを枠外に打たせていこう」(山﨑)という狙いがはまり、相手のミスを誘った。互いに思い通りにプレーできないまま迎えた前半20分、5-9の場面で早大はタイムアウトを要求。気持ちの切り替えを図ると、川島がロングシュート、西山が相手GKの股を抜く技ありのシュートを立て続けに決める。また、斉藤孝佳(人2=城北埼玉)が7mスローで見事なセービングを披露し、早大サイドは大いに盛り上がった。このまま一気に畳みかけたいところであったが、相手も食い下がり、8-13と早大は今季最少得点で前半30分を終えた。

勝利への強い気持ちを見せた山﨑

 後半に入ってもシュートミスに苦しみ、点差を詰められない展開は続いた。そんな中チームを救ったのがGK永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)だ。「このリーグ全体を通して、キーパーの調子が悪い時コートプレーヤーの人たちに助けてもらってきた」。攻撃陣が苦しむ一大事に今度は永田が獅子奮迅の働きを見せた。相手の決定機を何度も防ぎ、チームに流れが来るのを待つ。すると、三輪が永田のスローを片手でキャッチし速攻を決めるファインプレーを見せるなど徐々にキーパー陣の奮闘に応え始めた。そして、後半14分。山﨑が相手の2分間退場を誘い込むと、ついに早大主導の時間が訪れる。山﨑の力強いアウトカットインを皮切りに、6人全員が得点を挙げて7連続得点。川島を起点に速攻主体で次々と相手ゴールに襲い掛かった。また、セットディフェンスでは全員が集中し足を動かしたことで相手に付け入る隙を与えなかった。堅守速攻で得点を重ねていくスタイルを取り戻したことで完全に早大ペースのまま24-20で試合終了。点が取れない時間帯も逆転を信じ守り抜いた早大の粘り勝ちとなった。

チャンスをものにし、一気に流れを引き寄せた

 秋季リーグも残すところあと1試合。この日の結果により、他校の勝敗次第という条件付きではあるが優勝への望みがつながった。これまで1ヶ月、毎週白熱した試合を演じてきた中で得た収穫は大きい。最終戦の対戦相手・日大も強敵ではあるが、これまで課題としてきた立ち上がり、高めのディフェンスに対する攻撃などを克服するにはうってつけの相手だ。優勝という最高のかたちで秋季リーグを締めくくり、『日本一奪回』を目指す全日本学生選手権(インカレ)へとつなぎたい。

(記事 田中一光、写真 栗村智弘、佐々木一款)

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関東学生秋季リーグ
早大 24 8−13
16−7

20 国士舘大
GK 羽諸大雅(スポ1=千葉・市川)
LW 三輪颯馬(スポ2=愛知)
LB 西山尚希(社3=香川中央)
CB 川島悠太郎(スポ4=福井商)
PB 松本光也(社3=神奈川・法政二)
RB 小畠夕輝(スポ2=岡山・総社)
RW 齊藤凌(スポ4=岩手・不来方)
コメント

LB西山尚希(社3=香川中央)

――きょうの試合はいかがでしたか

きょうは優勝するためには負けられない試合だったので、全員が勝つっていう強い気持ちを持って臨んだんですけど、前半は5点ビハインドで折り返してしまって。やられていたのはポストのところばかりだったので、後半はもっとピストンしてディフェンスから立て直そうということを言っていて、結果としてそれが逆転につながったので良かったと思います。

――ディフェンス時には松本光也選手(社3=神奈川・法政二)や齊藤凌選手(スポ4=岩手・不来方)に声掛けする場面も見られましたが

そうですね。そこでアウト割りでやられることが多かったので、そこは積極的に声を掛けるようにしました。自分と光也は真ん中で守っていて、3年生でもあるので、引っ張っていかなければならない立場ですし、声は出していくようにしています。

――きょうは攻守でどういった狙いを持って試合に臨みましたか

オフェンスは、相手の背が高いということもあって、間を割りにいくとか、ブラインドシュートを狙うとかっていうのを意識していて、ロングシュートはあまり打たないようにしようと全員で話し合っていました。ディフェンスとしては、相手のポストがでかくて、シュート力のある選手もそろっていたので、ボールを持っている選手に対してしっかりコンタクトして、そこから弾いて次に渡すとか、そういう基本的なことを徹底して、思いっ切りぶつかっていこうという話はしていました。

――前半をビハインドで折り返しましたが、焦りなどはありましたか

やっている中でうまく攻めれないなという印象はあったんですけど、(きょうの)一つ前の試合で明大が日大に逆転して勝ったのを見ていたというのもあって、焦りというよりはまだいけるっていう感じで、後半はみんなで盛り上げていけたと思います。

――後半に逆転できた要因は何だと思いますか

やっぱり、ディフェンスですかね。ディフェンスが機能し始めたことによって、僕たちが得意にしているディフェンスから速攻というかたちに持ち込むことができて、セットよりは速攻で攻めていこうという話もしていた中で、そのかたちを出せたことで逆転できたと思います。

――次戦はいよいよ最終戦です。相手の日大の印象は

いやらしいチームというか、3ー3DFを敷いてしっかり当たってきますし、そういう意味では粘り負けしないこととか、際の強さが重要になってくると思います。

――その最終戦への意気込みをお願いします

日大は、春も最終戦で対戦して引き分けてしまって、それで4位に終わってしまって。今回も勝てば順位をひっくり返せる試合ですし、優勝も狙えるので、しっかり勝ち切ってインカレ(全日本学生選手権)につながるような試合にしたいです。

PV松本光也(社3=神奈川・法政二)

――きょうの試合を振り返って感想をお願いします

前半でかなりミスを連発して点差が付いたんですけど、ディフェンスでかなり粘れたんでディフェンスの粘り勝ちという感じです。でもミスの多さは課題ですね。

――やはり前半の苦しい展開は自分たちのミスが原因となったのでしょうか

そうですね、結構シュートまでいけないミスとシュートまでいっても入らないミスがあって、その分相手もミスしていたのでロースコアでいって大きく点差が付かなかったことが後半追い付けた要因だと思うんですけど前・後半通してディフェンス粘れたんでそこは良かったと思います。

――相手のスタメン選手の平均身長が187cmと背の高い相手でしたがその部分も攻めあぐねた原因だったのではないでしょうか

そうですね、前半ディスタンスシュートでこっちがミス多くて、相手のでかいディフェンスに対して全然リズムを取れなくなってて後半ディフェンスから速攻っていうかたちでオフェンスもそこからリズム取れたので、それが前半からできていたら楽な展開にはなっていたかなと思います。

――連日緊迫した試合が続きますが疲れはありますか

疲れはあります(笑)。他のチームに比べて選手交代が少ないのでそこは出てるメンバーはもちろん頑張らなくちゃいけないんですけど、秋季リーグも終わるのでインカレも連戦なのでインカレまでにはもう少し色んな選手が出れるようになっていけばいいなとは思います。

――国士舘大対策としてはどういったことがありましたか

やっぱりポストがでかいんでそこをどう守るかというのと、1対1というよりかはどんどん上から打ってくるチームなので当たって打たせて、最後の方は相手のエースが打って外してくれてああいう展開になったのでそこは練習通りで良かったと思います。

――きょうはキーパー陣が3人ともかなり頑張ってくれたのではないでしょうか

そうですね、ディフェンスと連携して止めてくれたので。前半はあと一歩ってところで入っちゃったシュートが多くて、でも後半はそれを修正してちゃんと取ってくれたので助かりました。

――次戦がいよいよ今季最終戦です

きょう勝って優勝の可能性が出たので他のチームがどうなるかという条件付きではあるんですけど、まず勝たなきゃ始まらないと思っています。この1週間、きょうの試合もすごく課題は残ったので詰めるところは詰めて、優勝できるように頑張ります!

GK永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

相手が春に準優勝している力のあるチームだったので、僕自身緊張もありました。きょうはスタートではなかったですけど、GKがケガしていたりでこういった起用になりました。そういった部分を踏まえて、けがをしてしまったところから反省すべきだったと今回の試合では思いました。

――相手は高さのある相手でしたが、対策などされていましたか

僕自身はキーピングの時に下がってしまうとどうしても取れなくなってしまうので、高さのある相手でも前に前にという気持ちでやっていきました。

――チームとしては苦しい時間帯も多い試合でしたが、そういった時どのような気持ちでプレーされていましたか

このリーグ全体を通して、キーパーの調子が悪い時コートプレーヤーの人たちに助けてもらっていました。なので、コートプレーヤーが波に乗れなかったら、僕が流れを持っていかれないようにと思ってずっとやっていました。

――今回羽諸大雅選手(スポ1=千葉・市川)、斉藤孝佳選手(人2=城北埼玉)も活躍されていましたが、お二人のプレーについてはいかがですか

斉藤くん(孝佳)に関しては7m専門での起用なんですけど、今季は半分近く止めていますし、信頼してゴールを渡せます。羽諸(大雅)もケガ明けで今季初出場でしたが、それでもとてもいいキーピングをしてくれていました。正直ゴールを渡すという気持ちはありませんが、信頼できる仲間が二人いるというのは精神的にも大きいですね。

――ずっとGK同士で切磋琢磨しているのですね

練習中からもいろいろ意見交換をしたりして、みんなで高め合っています。いいライバルであり、仲間でもあります。

――最終戦に向けての意気込みをお願いします

日大は首位(この日の試合結果により5位に転落)にいるいいチームなので、しっかり勝ってインカレにつなげられるように頑張りたいと思います。

LW三輪颯馬(スポ2=愛知)

――試合を終えて率直な感想をお願いします

前半負けてて苦しい展開だったんですけど、なんとか粘り勝ててホッとしています。

――逆転したシーンは三輪選手がシュートを決めましたが、そのシーンを振り返って下さい!

その前にシュートを外していたんで、チームのためにも決めないといけないなと思って、まあ入ってよかったです(笑)。

――速攻の時に普段から心掛けていることはありますか

とにかくスタートダッシュを早くして、ディフェンスが戻らないうちに先手に走ろうと考えています。

――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか

相手がすごいでかかったんですけど、ディフェンスがすごい粘り強く守れて、そこからチームの雰囲気も良くなって非常に良かったなと思います。

――前半は悪い流れがありましたが、ハーフタイムはどのようなお話をされましたか

まだ前半ということで、気持ち切り替えて後半にぶつけていこうと話しました。

――試合の中で、流れが良くなった、流れを引き寄せた瞬間があったと思いますが、どこでそう感じましたか

相手が後半の15分くらいですかね、退場してそこから立て続けにシュートを、前半は外していた場面もあったんですけど後半は皆がきっちり決められたので、そこでワセダの流れに持っていけたかなと思います。

――逆転を含む連続得点の間皆さんノリノリでプレーしているように感じましたが、どのような気分でしたか

その時は素直に楽しんでプレーしていましたし、普段よりもみんなが試合に集中していたと思います。

――最終戦の日大戦に向けて意気込みをお願いします

最終戦ということで負けられない戦いです。相手は高めのディフェンスなので、しっかり今週一週間そこをうまく攻めれるように練習していきたいです。

RB山﨑純平(社2=岩手・不来方)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

ディフェンスが一試合通して安定していた印象です。でも、ミスも目立っていた試合だったと思います。

――相手の逆45に対して、どのように崩していこうと考えていましたか

相手は大きい選手が並んでいたので、ロングシュートというより、間を割って退場を取りにいく、自分が得意なプレーを狙っていこうという風に考えていました。

――秋季リーグからポジションが変わって慣れない部分もあると思いますが、いかがですか

中学、高校時代にもあのポジションをやっていたので、慣れないというよりやりにくさはありました。でも、なんとか合わせていこうと頑張りました。

――相手のエースについては、どのように止めていこうと考えていましたか

力強いシューターなので、フリーで打たせれば絶対に入ってしまうということは、高校が同じ先輩ですし分かっていました。なので、とりあえず遠めで当たってふかさせて、シュートを枠外に打たせていこうと。相手にいいタイミングじゃないところで打たせていこうと意識していました。

――高校時代(岩手・不来方高校)の先輩ということで声を掛けられたりはしましたか

プレー中ちょくちょく話はしました(笑)。

――苦しい時間帯も続く試合でしたが、流れを変えたのはどの部分だと思いますか

やっぱりディフェンスですかね。セットになると相手も高めのディフェンスを敷いてくるので厳しいかなと思いましたが、ディフェンスで固められたことが最後いい流れに持っていけた要因じゃないかなと思います。

――最後に最終戦に向けての意気込みをお願いします

インカレにつながるような、いい試合をしたいです。あと(秋季リーグ)優勝も少しの可能性はあるので、それも狙って頑張りたいと思います。