秋季リーグ開幕!エース復活で白星発進!

男子ハンドボール

 関東学生春季リーグ(春季リーグ)を4位で終えた早大。今季のリーグ優勝と全日本学生選手権(インカレ)優勝を目標とする彼らの夏の成果を発揮する戦いがついに始まった。初戦の相手は春季リーグで辛くも勝利した日体大だ。流れに乗り切れなかった前半を2点ビハインドで折り返すも、持ち前の堅い守備を前面に押し出し、けがから復帰した川島悠太郎副将(スポ4=福井商)や春季リーグで大ブレイクした西山尚希(社3=香川中央)の活躍で32-25の逆転劇を演じ、4季ぶりの開幕白星スタートとなった。

 「周りを引っ張っていってくれる、頼りになる存在」——そう荒木進監督(平5人卒=熊本商)が表現する男が帰ってきた。川島である。復帰一戦目となるきょうはセンターとしてコートに立つと、「始めは周りを生かすことができていた」(川島)と振り返るように率先して左右にパスを展開していった。そこから右サイドの齊藤凌副将(スポ4=岩手・不来方)が高身長を生かした打点の高いシュートを決めれば、左サイドの三輪颯馬(スポ2=愛知)は相手GKの股下を抜くテクニカルなシュートを決めていく。そして前半15分を越えた頃、ディフェンスのパスカットから川島のシュートがネットを揺らす。ここからの2分弱で川島は怒涛(どとう)の4連続ゴールを決め早大に勢いを付ける。会場を盛り上げたのは18分。相手ベンチがGKを入れ替えようとした隙に川島はハーフラインからボールを投げ込みゴールを奪う頭脳的なプレーを見せる。2点を追う後半は自らゴールを狙う姿勢を増やし、11分に自身のシュートで同点に追い付くと、再び周りのアシストに回って逆転をサポートし、華々しく復帰戦を勝利で飾った。

復活のエース川島

 また、この試合のヒーローは川島だけではない。春季リーグ、川島の不在をカバーする活躍で大成長を遂げた西山である。きょうも川島とのクロスプレーからシュートを決め早大の1点目を記録すると、力強いロングシュートや体重の乗ったステップシュート、ポストの松本光也(社3=神奈川・法政二)とのスクリーンプレーなど多彩なシュートで得点を重ねる。「悠太郎さんがセンターで司令塔をやってくれているおかげで、気持ち的にも考える時間ができましたし、プレーでもすごく助かっています」(西山)という言葉通り視野の広いプレーを展開し、チーム最多の11得点をマークする。ディフェンスでも松本と三枚目の守備位置に入ると、「集中切らすな」と声を掛け、早大の強みである粘り強い守りを体現し、攻守にわたって大いに貢献した。

要所で得点を挙げた齊藤

 待望の復帰を果たした川島、春から絶好調を維持する西山。関東屈指のフローター2人で20点を叩き出すと、ディフェンスも機能し相手の速攻を防ぎ、GKの永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)や斉藤孝佳(人2=城北埼玉)がファインセーブで応える。理想の試合運びで勝利したようにも見えるが早大には少しの油断もない。「最初のディフェンスの入り」、「組織的なプレー」を岩本岳主将(スポ4=東京・早実)は課題に挙げる。これらを全員で克服できたとき、早大はまた一つ上のレベルに上がるだろう。

(記事 比留田孟徳、写真 栗村智弘)

関東学生秋季リーグ
早大 32 13−15
19−10

25 日体大
GK 永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)
LW 三輪颯馬(スポ2=愛知)
LB 西山尚希(社3=香川中央)
CB 川島悠太郎(スポ4=福井商)
PV 松本光也(社3=神奈川・法政二)
RB 小畠夕輝(スポ2=岡山・総社)
RW 齊藤凌(スポ4=岩手・不来方)
コメント

荒木進監督(平5人卒=熊本商)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前半はリーグ戦初戦ということもあって固くなったような感じがありましたね。後半はディフェンスが頑張ってくれました。選手一人一人が各自の役割を果たしてくれて、辛抱してくれて、そこから活路を見いだしたという感じですね。

――前半終盤から後半の頭にかけてリードされる苦しい時間がありましたが、どういった指示を出されていましたか。

やっぱりセットディフェンスでは崩されてはいなくて、自分たちのミスから失点していたので、セットディフェンスに持ち込みさえすればこちらに勝機があると考えていました。自分たちのミスを減らすことと、バックチェックを早くするということを言っていました。練習からずっとやってきた基本を忠実に守ってくれたことがよかったと思います。

――川島悠太郎選手(スポ4=福井商)の復帰についてはいかがですか

大きいですね。期待通りのエースとしての活躍というか、周りを引っ張っていってくれて、頼りになる存在です。

――きょうの勝利でこの関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)も乗っていけるのではないでしょうか

そうですね、やっぱり勝つに越したことはないですね。波に乗るということもそうですし、春の二の舞いにならないように一戦必勝でやっていきたいと思います。

――あすの法大戦に向けての意気込みをお願いします。

きょうみたいな試合をしたいですね。一人一人のチームに対する貢献によってまとまって、チーム全体で勝利を目指していければと思います。

LW岩本岳主将(スポ4=東京・早実)

――秋季リーグ白星発進となりました。今のお気持ちをお願いします

春は開幕戦を落としてたので、秋季リーグの初戦を取れたのは非常にうれしいです。

――きょうは川島選手が待望の復帰となりましたが、どんな気持ちで見送りましたか

練習や練習試合のときでも彼の存在感はでかいので、オフェンスでもディフェンスでも引っ張ってくれると思いましたし、やってくれるだろうなと思ってました。

――試合の内容はいかがでしたか

前半の最初はセットディフェンスだったりバックチェックだったりがあまり良くなかったですけど、それが修正できてからは、後半はディフェンスが安定してきて、3点差をひっくり返して点差を付けて突き放したので、ワセダのよさが出たかなと思います。

――リードされて迎えたハーフタイムはどんなお話をされましたか

内容的にそんなに悪いわけではなかったので、「悪くないからディフェンスを一本ずつしっかりやっていこう」という話と「負ける相手ではないからもっと戦う気持ちを出していこう」と気持ちの面でも鼓舞していきました。

――後半、逆転した場面では5人の選手が連続してゴールを決めました

攻撃のバランスはいいかもしれないですね。

――課題は見えましたか

最初のディフェンスの入りだったり、バックチェックもそうですけど、オフェンスで足が止まってくると、セットオフェンスのときに個人技で攻めてる時間があったので、組織的なオフェンスができればもっと良くなるんじゃないかなと思います。

――最後にあすの法大戦に向けて一言お願いします

初戦で勝てたのでこの流れを継続できるように、しっかりあしたも勝ちたいと思います!

CB川島悠太郎(スポ4=福井商)

――きょうの試合はいかがでしたか

日体大は走ってくるチームということで、ずっとその対策はしてきていて、前半少しミスがあったんですけど、ハーフタイムに話し合ったことで後半はそれを修正することができました。ディフェンスをしっかり固められたことが勝因かなと思います。

――川島選手にとって久々の公式戦となりました

始めは周りを生かすことができていたと思うんですけど、途中で自分中心のプレーをする場面もつくってしまったので、次はもっと周りを生かし続けられるようにしていきたいです。

――ポジションが今までとは違うセンターということで、そのあたりを意識されているということでしょうか

そうですね。きょうに関して言えば、西山(尚希、社3=香川中央)の調子がすごくいいというのは感じていたので、立ち上がりから彼に打たせていこうという意識はしました。

――ハーフラインからのシュートや意表を突いたボール奪取など、川島選手らしい頭脳的なプレーも見られました

ああいうプレーは自分としても得意にしているので、決まったときはうれしかったですね。

――点を決めた後のパフォーマンスも決まってましたね

あの辺のパフォーマンスは、基本的にNBAとかのをまねしてみようかなって感じでやってます(笑)。

――チームのオフェンス全体を振り返っていかがでしょうか

相手のディフェンスを見て弱いところを攻めようという話し合いはしていて、でもまだまだミスが多いと思うので、これから修正してチーム全体のレベルを上げていけるようにしたいです。

――ディフェンスはいかがでしょうか

前半はオフェンスでミスして、ディフェンスの戻りのところでやられてしまっていたのですが、後半はある程度修正してセットで守れる時間帯を増やせたので、そうなればセットディフェンスには自信がありますし、しっかり守ることができたと思います。

――あすの法大戦に向けて意気込みをお願いします

自分たちが一番得意としているセットディフェンスからしっかりと展開すれば勝てると思うので、思い切ってやりたいと思います。

LB西山尚希(社3=香川中央)

――秋季リーグが始まりましたが、チームの雰囲気はいかがですか

秋季リーグに向けてみんなでまとまっていて、いい雰囲気で臨めたと思います。

――きょうの試合はいかがでしたか

前半の出だしのときに、オフェンスもディフェンスも自分たちのリズムでできなくて、受け身の状態になっていました。ビハインドで折り返してしまったんですけど、そこから自分たちで切り替えて、自分たちの強みであるフィジカルを生かしたプレーや、ディフェンスからの速攻というかたちが出たので、最後逆転して終われたのではないかなと思います。

――切り替えの部分で、ハーフタイムには何か話されたりしましたか

ディフェンスで相手がリスタートしてくるときに受け身になってやられていたので、強くアグレッシブにいこうということと、しっかり自分たちのプレーをしていこうという話をしました。

――川島選手が復帰しましたが、何か変化はありましたか

僕自身やっていて楽になった部分はありますね(笑)。春は僕がセンターをやっていたんですけど、悠太郎さんがセンターで司令塔をやってくれているおかげで、気持ち的にも考える時間ができましたし、プレーでもすごく助かっています。

――最後に秋季リーグの意気込みをお願いします

いいスタートを切れたので、このまま流れに乗って、目標である優勝に向けチーム一丸となって進んでいきたいと思います。