連勝街道はどこまで続くのか。ゴールデンウィーク真っただ中での関東学生春季リーグ(春季リーグ)第5戦。快進撃を続ける早大の前に、昨年の関東学生秋季リーグ王者・筑波大が立ちふさがる。今季同率3位同士の戦いは序盤から一進一退の激しい展開に。それでも要所で西山尚希(社3=香川中央)や松本光也(社3=神奈川・法政二)を中心に相手の攻撃を防ぎ切り、伊舎堂博武(社2=沖縄・興南)らを起点にゴールを決めた早大が26-25で接戦をものにした。
きょうの勝利の立役者、伊舎堂
とにかく点の奪い合いだった。「強気で割りにいった」と伊舎堂の豪快なミドルシュートで早大が先制するも、開始10分間は両チーム攻め合う時間帯となる。早大がステップシュートや速攻を決めれば、ロングシュートやポストシュートで筑波大は対抗する。前半15分、点差を広げたい早大にようやく流れが来たように見えた。伊舎堂のマークについた相手DFの裏に松本が飛び込みポストシュートを叩き込む。これに伊舎堂と西山が続き、この試合初めて3点のリードをつける。しかし筑波大もただでは引き下がらない。タイムアウトで早大は勢いを止められると、4連続失点を喫し、リードを奪い返される。ここで気を吐いたのは春季リーグ絶好調の西山だ。カットインプレーとロングシュートを決め早大に再びリズムを作り出すと、三輪颯馬(スポ2=愛知)にも連続得点が飛び出し、15-12で前半を折り返す。
伊舎堂から松本へのポストパス、会場を沸かせた
後半も一進一退の戦況は変わらない。早大がゴールを決めても、すぐさま筑波大も得点を奪う。伊舎堂や西山の強力フローター陣に対して、筑波大は高い位置でぶつかるディフェンスシフトを敷いてきた。しかし、「相手ディフェンスが上に厚くなってきた分ポストが空いて、自分自身のシュートシーンも増やすことができた」(松本)、「サイドが点を取れたらディフェンスが広がってくるので、上も打てる」(三輪)という言葉通り、早大は冷静にポストやサイドからのシュートで引き離しにかかる。残り10分を切ると、またしても筑波大に流れが傾きだす。ここで明暗を分けたのは試合を通して安定していた早大のディフェンスだった。「一本ずつ一本ずつ」。岩本岳主将(スポ4=東京・早実)が振り返るように、相手にノーマークシュートをほとんど打たせず、流れを引き渡さなかった。ラスト1分半の攻撃を凌ぎ切ると試合終了のブザーが鳴り響いた。
ついに4連勝、単独3位に浮上した
絶対に落とせない一戦。早大は絶好調を維持するフローター陣の得点力と、西山と松本の3年生コンビを軸にした持ち前のディフェンス力を存分に発揮し、日本代表を擁する筑波大を打ち破った。これにより早大は連勝を『4』に伸ばし、優勝戦線に踏みとどまった。それでも「油断するとどこも食ってかかってくると思う」と永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)が語るように、関東1部リーグには強豪たちがひしめく。春季リーグの前半をいいかたちで折り返した早大は、油断することなく『優勝』という二文字を見定めながら、一戦一戦勝ち星を積み重ねるだけだ。
(記事 比留田孟徳、写真 新津利征、篠原希沙、栗村智弘)
関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | 26 | 15−12 11−13 | 25 | 筑波大 |
GK 永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰) LW 岩本岳(スポ4=東京・早実) LB 山﨑純平(社2=岩手・不来方) CB 西山尚希(社3=香川中央) PB 松本光也(社3=神奈川・法政二) RB 伊舎堂博武(社2=沖縄・興南) RW 齊藤凌(スポ4=岩手・不来方) |
コメント
LW岩本岳主将(スポ4=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
競った試合をものにできたというのが大きいと思いますし、いつも言っているように苦しいときにキーパー含めてセットディフェンスで守れたというのが良かったと思います。
――同率3位の筑波大を抜くためにも大切な試合だったと思いますが
もちろんですね。優勝戦線に残りたいという思いがあったので、きょうのゲームにしっかり勝って、優勝が見える位置で国士舘大と明治大を追えるので良かったです。
――岩本選手はスタメンでしたが自己評価は
何にもしてないので満足してないです。ミスもしてしまったので、そこを修正していかなきゃなと思います。
――チームとしてはどうでしたか
先制していい流れで入れたかなと。1試合通してみんなよく粘ってくれたので本当に良かったです。
――「粘った」とおっしゃいましたが我慢の試合でしたか
簡単に勝てる相手じゃないとは分かってたので、一本ずつ一本ずつというのをベンチからも声をかけていて。それが最終的に1点差で勝った結果だと思います。
――きょうはルーズボールへの反応が良かったように思えますが
このチームは泥臭さを大事にしているので、ルーズボールの反応だったりバックチェックだったりを全員で徹底してやっていますね。
――後半ラスト3分間は守り続ける展開でしたがキャプテンとしての声掛けなどは
別に特別なことは何もやってないです。粘って粘っていつも通りのディフェンスを全員でやろうと言っただけです。コートに出ている3年生の2人(西山、松本)が中心になって守ってくれました。
――リーグ戦前半を4勝1敗で折り返しました。後半に向けてどう準備していきますか
優勝が見える位置にいるので、もちろん優勝を狙って、また1試合1試合積み重ねていくだけだと思ってます。
――次戦の駿河台大戦に向けて一言お願いします
あしたなので、しっかり準備をして、全員で5連勝できるように頑張っていきます。
RW齊藤凌副将(スポ4=岩手・不来方)
――きょうの試合の感想をお願いします
勝ててよかったと思います(笑)。
――きょうの勝利で4連勝です
そうですね、自分たちのやってきたことが出てて本当にうれしいです。
――相手は日本代表を多数擁する筑波大でしたがどういった対策を取りましたか
ポストがうまいのでその守り方と左利きのロングシュートへの対策をやっていました。
――左利きの選手は抑えられたのではないでしょうか
そうですね、きょうはセンターやエースの選手がグイグイ来ていて。でも要所で決められちゃったのでそこはまた課題なのかなと思いました。
――オフェンスではなにを意識しましたか
いつも通り、普通にやるということですね。
――齊藤選手は終盤で重要なシュートをしっかりと決めましたが、いかがでしたか
やっと入ったなっていう感じでしたね(笑)。久しぶりにシュートを打ったので(笑)。
――今季はまだまだ物足りないという感じでしょうか
そうですね、自分からガツガツはいってないんで、もうちょっとやった方がいいのかな。今はフローターが結構強力なので、そこで点数取れてるときはいいんですけど、取れなくなったときに僕が絡んで得点に結びつけられたらいいなと思います。
――チームの雰囲気はどうですか
4連勝しているのでやっぱり試合のときも雰囲気いいですし、練習のときもみんな楽しくやっているので、このままの雰囲気で最終戦までいけたらいいなと思います。
――あすの駿河台戦への意気込みをお願いします
そうですね・・・勝ちます(笑)。
LB西山尚希(社3=香川中央)
――きょうの試合を振り返って感想をお願いします
3点リードで前半を折り返したのですが、後半にサイドからやられている部分があったので、そこがやはり課題かなと思います。
――きょうはスッテプシュートの調子が良かったと思いますがいかがでしたか
前半の出だしにシュートミスが個人的に目立ったので、決めるべきところは決めないといけないなと思いました。ステップシュートに関しては最初の何本か相手のキーパーに読まれていたので、そこは試合の途中に自分で修正できて良かったと思います。
――筑波大のディフェンスを崩すにあたってどのようなことを意識しましたか
ビデオで相手のディフェンスを見たときに5-1ディフェンスを敷いていたので、ダブルポストの攻めが僕らは崩しやすいんじゃないかと思って、ダブルポストの攻めを多めに使うことは意識しました。
――相手に日本代表の選手も多かったですが、ディフェンスはいかがでしたか
全員足が動いている時間帯はすごくいいデイフェンスができていたんですけど、キーマンの選手が来たときに1対1の強さで負けていました。どっち側に抜かすのかっていうのを徹底したかったんですけど、何本か違う方に抜かれて簡単にやられる事があったので、そこはまだ課題だなと思います。
――ラスト1点差の時の心境を教えてください
ラスト1点差のときに自分たちのミスからああいう展開になってしまったので、一本落ち着いて点を取れればいいなと思って、失点しても最後の残り何秒かで自分が決められたらいいなと(笑)。でも結果的に守りきることができたっていうのは良かったと思います。
――同率3位で並んでいた筑波大に勝ちましたがどうお考えですか
まず優勝のためには勝たなきゃいけないと試合に臨んだので、勝つという前提条件の中で1点差で勝てたのはチームにとって大きいことだと思います。
――連戦の疲れはありますか
なくはないです。疲れてます(笑)。
――最後に次の試合への意気込みをお願いします
毎回言ってるのですが、次の試合も自分たちが練習してきたことをコートで表現することができれば、優勝に向けて一歩近づけるの
ではないかと思います。優勝目指してあしたも頑張りたいと思います。
PB松本光也(社3=神奈川・法政二)
――きょうの試合はいかがでしたか
前半からディフェンスがすごく良くて、そこから自分たちのリズムで攻めることができました。後半に入ってからは、自分たちのミスで追いつかれて、ああいう競った展開になってしまったので、特に残り10分から5分のところは、今後の課題ですね。
――チームのオフェンスに関しては
相手のディフェンスが中に密集するかたちだったので、パス回しのところでアウトを攻めたり、広く使ったりすることで、フローターはうまく攻めれたと思います。後半相手ディフェンスが上に厚くなってきた分ポストが空いて、自分自身のシュートシーンも増やすことができたので、良かったです。
――そのポストシュートの場面も含め、ご自身のプレーに関しては
今季なかなかポストが絡む機会が少なかったのですが、きょうは自分のシュートシーンも増えて、その中で確実に決められたことは良かったと思います。
――何か特別に意識していたことはありましたか
シュートのときに早打ちしてしまうことが多かったので、きょうはキーパーをよく見ることを意識しました。
――チームのディフェンスに関しては
強い当たりができましたし、それもあって相手も攻めづらそうにしていたので、そこは良かったです。ただ、後半足が止まってしまったので、そこは修正していきたいです。
――筑波大は強力なフローター陣を揃えていましたが、ディフェンス時に何か強く意識して取り組んだことはありましたか
他のチームと違って、センターが縦に突っ込んでくるタイプだったので、そこで引いてしまうと打たれますし、そこは低くならず強く当たろうと意識していましたね。
――両チームハイレベルなプレーをしていたこともあり、いつも以上に緊張感漂う試合でした
前半から高い集中力を保てていたので、どの試合でもこういうふうにやれればいいなと思いました。いつもより精神的に疲れた部分はありますが、結果的に勝てたので、これを継続していきたいです。
――これで4連勝となりましたが、チームの状態はいかがですか
戦っていく中で、どんどんチームのレベルが上がってきていることは実感していますし、このまま勝ち続けたいですね。
――あすの試合への意気込みをお願いします
筑波大に勝ったということは一旦置いておいて、気持ちを切り替えて、一戦一戦勝ちにいきたいと思います。
GK永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
ディフェンスがよく動いてくれてたっていうのが一番ですかね。自分自身の反省点も見つかったので、きょうはほんとディフェンスに助けられた部分が多かったなって思います。
――後半の20分あたりから好セーブを連発していました
自分自身、後半の20分あたりからのキーピングが一番だめだったと思っています。自分の思うようなキーピングができていなくて、正直相手が外してくれたっていうのがあったので。集中力が切れてしまってそうなったと思うので、もっと持続できるようにしなくちゃなと思いました。
――ラスト2、3分かなり緊迫した試合となりましたが、どのようなことを考えていましたか
正直、シュート来ないでって思ってたので(笑)。シュート来い来いと思えるようなキーパーになれるようにするっていうのがこれからの課題かなって思います。
――きょうまで同率3位で並んでいた筑波大に勝利しましたが、チームの雰囲気はどうですか
まだ優勝争いに食い込めるので、みんなモチベーションが高いっていうのは大きいですね。きょう勝ったことでまだ次につながるという部分ではいい試合だったと思います。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
残り4試合あるのですが、油断するとどこも食ってかかってくると思うので、しっかり一試合一試合自分の持ち味を出して頑張っていきたいと思います。
RB伊舎堂博武(社2=沖縄・興南)
――きょうは筑波大との試合でしたがどのような意識で臨みましたか
このリーグ戦で大一番になる相手だったので、今までの試合よりみんな緊張感を持っていきました。
――前半だけで5得点とチームにいい流れを呼び込めたのではないでしょうか
筑波大は自分たちと同じフィジカルの強いタイプで、一番負けたくない相手だったので今までやってきたフィジカルトレーニングの成果が通用するか試しながらのプレーもあったし、自分が引っ張らなければいけないという思いも持ちながら試合に挑みました。
――前半を振り返ってご自身の良かったプレーはどんなプレーでしょうか
最初の強気で割りにいったミドルシュートが良かったと思います。
――前半得点を重ねた分、後半はマークが厳しくなりましたが
去年は自分自分になってミスをしてチームに迷惑をかけたという教訓があったので、きょうは自分に対するマークが厚くなったときに周りをどう生かせるかということを考えながらプレーした中で、ポストやサイドをしっかり使えたので良かったと思います。
――周りを生かす中で、ポストへの華麗なパスで会場を沸かせる場面もありましたが
相手が僕の方に上がってくる分、裏のスペースが広くなっているのが見えたので、そこにパスを通せるように意識はしていました。
――終盤はかなり競った展開になりましたがどういった心境で臨みましたか
そう簡単に逃げ切って勝てる相手ではないと予想していたので、ああいうゲームになるのは想定内でしたし、そういうシチュエーションも考えながら練習でゲームをしたりしていたので、みんな焦らずにしっかりと最後まで逃げ切って勝つことができたと思います。
――終了間際には筑波大がオールマンツーマンを仕掛けてくる中でうまく対応できたように見えましたが、あの場面はいかがでしたか
タイムアウトをとったときに僕に回せとベンチで言って、笛が鳴ったらすぐに攻めに行きました。チャージングになりましたが強気にいけたので良かったと思います。
――これで4連勝となりましたがチームの状態はいかがですか
一番いいと思います。連勝しているし、チーム一丸となって練習に取り組んでいて、去年も良かったのですが、ことしはさらにいいチームに仕上がってきているのではないかと思います。
――リーグ戦もきょうで折り返しとなりますが、今後の抱負をお願いします
優勝争いに加わっているのでそこはしっかり意識して次の試合に臨んで、個人的にも新人賞を狙いつつチームの役に立てるように頑張っていきたいと思います。
LB山﨑純平(社2=岩手・不来方)
――同率3位の筑波大に勝利し、4連勝となりましたが、今のお気持ちをお願いします
素直に良かったです。これで優勝争いに残れたのであしたも頑張りたいと思います。
――オフェンスの出来はいかがでしたか
前半はうまく狙えていました。しかし、後半いきなり(相手の)ディフェンス隊形が変更したのに対応しきれず、そこはまだまだだなと思いました。
――きょうのマークの相手が日本代表の徳田選手でしたが、ディフェンスの出来を振り返っていかがでしたか
フィジカル面もディフェンスの技術とかも上だったので、自分にとっていい経験になったかなと思います。
――後半、小畠選手(夕輝、スポ2=岡山・総社)と交代されましたが、何か作戦があったのでしょうか
分からないですね(笑)。でも、僕がつまずいていたというか、個別に対応できていなかったので小畠と代わったのだと思います。
――ラスト1点差のときの心境はいかがでしたか
後半立ち上がりが悪くて、前半少しリードしたんですけどいつものように追われるという展開になりました。ですが、練習はしてきているので、追われるという展開に焦りはなかったですね。練習通りという感じでした。
――連戦が続いていますが、疲れなどはありますか
あります(笑)。
――次の試合に向けて意気込みをお願いします
自分たちのできることをやれば勝てると思うので、頑張りたいと思います。
LW三輪颯馬(スポ2=愛知)
――試合前まで筑波大とは同率3位で並んでいました。どのような気持ちできょうの試合に臨みましたか
きょう負けたら優勝戦線に組み込めなくなるので、落とせない一戦ということでみんなで気合いを入れていきました。
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
最後までみんなが粘り強くディフェンスできたから勝てたんじゃないかなって思います。
――前の試合でけががありましたが、それの影響などは
本当はあまり出る予定ではなかったのですが、自分が出たからにはしっかりとしたパフォーマンスをしなければいけないので、しっかり準備はしていました。
――サイドとしてどう相手ディフェンスを崩そうと考えていましたか
サイドが広かったので思い切ってシュートにいけました。あとサイドが点を取れたらディフェンスが広がってくるので、上も打てるのかなと思いました。
――試合終了間際、競った場面での気持ちは
日体大戦では競った中で焦っていました。筑波大戦でも同じようなシチュエーションだったんですけど、今回は日体大戦よりもみんな落ち着いてプレーできたんじゃないかなって思います。
――あしたへの意気込みをお願いします
もう優勝を狙える位置にいるので、残りの試合も全力で戦っていきたいと思います。