個の力で上回り、初戦を突破

男子ハンドボール

 社会人チームや実業団チームを含め、真の日本一を決める日本選手権がいよいよ開幕。初戦はトヨタ紡織九州レッドインパルスと対戦した。スローペースな立ち上がりでその後も勢いに乗れず、流れを引き寄せきれない。しかし後半は早大らしさを取り戻すと、堅固なディフェンスはこの日も健在だった。守りでリズムをつくり速攻での得点を重ね、最終的には7点差を付けて快勝。見事初戦を突破した。

 早大というチームを語る上で欠かせない存在であった大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)が退任し、コーチ不在で今大会に臨むことを余儀なくされた。やはりその影響がないとも言えない、緩い立ち上がりとなる。シュートミスが続き、さらには守っても際の部分で精彩を欠いた。うまく試合の中で問題点を修正することもできず、自慢のセットプレーで点差を引き離せない。それでも東江雄斗(スポ4=沖縄・興南)や川島悠太郎(スポ3=福井商)の個人技で相手を圧倒。終了間際に差を付け、13-9で折り返す。

チームの得点源となった川島

 後半は三輪颯馬(スポ1=愛知)の得点を皮切りに3連続得点。そこからは足を生かした、ハイスピードな試合展開となる。鍛え上げたセットディフェンスでボールを奪い、素早く縦へつなぎ一気にゴールに迫ると速攻主体で流れを呼び込むことに成功する。さらにこれまで得点に絡めなかったサイドも息を吹き返し、途中出場の小畠夕輝(スポ1=岡山・総社)も活躍。個の力の違いを見せ付けた早大が、見事2回戦進出を決めた。

4年生から中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)と共に出場した東江

 個人技で完全に相手を上回ったこの試合。しかし言い換えれば個人技でしか上回ることができなかった。事実、得点源は絶対的エース東江や川島、伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)の3人だった。サイドやポストからも得点を奪うことができれば、攻撃に幅が広がるだろう。一戦一戦課題を修正し完成度を高めていくことで、チームの理想形がおのずと見えてくるのかもしれない。

(記事 佐藤凌輔、写真 藤巻晴帆)

日本選手権1回戦
早大 29 13−9
16−13

22 トヨタ紡織九州レッドインパルス
GK 中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)
CP 東江雄斗(スポ4=沖縄・興南)
CP 川島悠太郎(スポ3=福井商)
CP 齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)
CP 松本光也(社2=神奈川・法政二)
CP 伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)
CP 三輪颯馬(スポ1=愛知)
コメント

東江雄斗(スポ4=沖縄・興南)

――今大会どのようなモチベーションで臨まれましたか

今シーズン、ワセダハンドとしても最後の大会なので、いいかたちで締めくくれるようにしたいと思って挑みました。

――チームではどういった目標を持っていますか

一戦一戦がむしゃらにやっていくことは当たり前ですが、実業団のチームに勝利したいなという気持ちがみんなあるので、ベスト8以上にいけたらと思います。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

初戦ということで序盤にたくさんミスが出ると思っていたので、早く試合や雰囲気に慣れていかに自分たちの流れに持っていくかを第一に考えてやっていました。

――試合を終えてチームの状況をご自身から見てどのように捉えられていますか

連続ミスをした時の雰囲気やそこからうまく切り替えることがなかなかできていなかったかなという感じがしました。あした以降はそこで僕が引っ張ってうまくまとめられるようにしたいと思います。

――今大会はコーチ不在の中で臨まれていますか何か影響などはありますか

(大城)章さん(平18人卒=沖縄・那覇西)の存在というのはすごく大きかったのですが、いままで教わってきたことを自分たちでしっかり表現するだけなので、不安がないと言えば嘘になりますが、やるしかないので頑張ります。

――ご自身はセンターでプレーされていましたがどういったことを意識されていましたか

相手が変則的なディフェンスだったので、いかに早く広いスペースを作ってやろうかなと考えていました。川島(悠太郎、スポ3=福井商)や三輪(颯馬、スポ1=愛知)が速攻もたくさん出て、すごくいい働きをしてくれたので、調子のいい人たちにボールを集めて、自分でいくよりかは作ることを意識していました。

――次戦に向けての修正点は

ディフェンスであれば、勝負所まで持っていけていることが少なかったので、しっかり自分たちの約束したところで勝負していくことです。オフェンスはしっかり自分たちが練習してきたことを出して、相手がどちらになるかは分からないのですが、その相手によって合わせていきたいと思います。

川島悠太郎(スポ3=福井商)

――4年生の大部分が引退し、3年生主体となるチームでの初の公式戦どのような意気込みで臨みましたか

4年生は引退していまいましたが、東江さん(雄斗、スポ4=沖縄・興南)と中野さん(裕通、スポ4=兵庫・神戸国際)が残ってくれました。実質自分たちが最上級生なのですが、その2人が引っ張っていってくれたおかげで雰囲気良くここまで来れました。

――今大会の目標は

社会人の方々と試合をする機会は少ないので、どこまで勝ち進めるか分かりませんが、思い切って大学生らしさを出そうという話をしています。

――ディフェンスが崩されていましたが、やりづらさはありましたか

大学生とは違って、独特なフェイントや間があると思います。自分自身も抜かれてしまったので、あすの試合ではもっと思い切ってやって勝ちたいです。

――個人プレーに頼っている印象を受けましたが

相手のディフェンスがいやらしく、パスが繋げにくい印象でした。そのため個人技に頼ってしまったのかなと思います。もう一度ミーティングなどで確認し、チーム全体としていいハンドボールができたらいいです。

――次戦への意気込みをお願いします

関学大ともFOGとも試合をしたことがあるので、こういった公式戦で当たれるのはなかなか無いことなのでしっかりと取り組みたいです。どちらが勝つか分かりませんが試合を見てみないとですが、あす勝てば実業団と試合ができるので勝ちたいと思います。

伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)

――今大会の位置づけはどういったものでしょうか

この大会には初出場なのですが、実業団も出場するということでいつもとは違う雰囲気で臨みました。1試合目ということもあって自分の動きが100%出すことができなくて、反省点が多かったかなと思います。

――コーチ不在で行われた試合でしたが変化はありましたか

リーグ戦(関東学生リーグ)やインカレ(全日本学生選手権)では、ベンチから熱いコーチ(大城章前コーチ、平18人卒=沖縄・那覇西)がいろいろ指示やアドバイスをしてくれていました。でも今回は自分の意志でどうやるか考えなきゃいけないと思いながら試合に臨みました。

――次の試合に向け改善していきたい点は

次は関学大とFOGどちらがきてもレベルの高い相手になると思います。きょうみたいな試合をしていたらチームの足を引っ張ってしまうと思うので、きょうのことは切り替えて、あしたは自分のプレーができるように、イメージトレーニングなどして試合に挑みたいと思います。

小畠夕輝(スポ1=岡山・総社)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

初戦だったので最初の方はミスが目立ったんですけど、結果的には差を付けられたので良かったと思います。

――なかなか内容的には手放しで喜べるようなものではなかったような印象もありますが

最初のミスだったり、オフェンスでも相手に合わせてしまったりしたので、そういうところは修正していかないといけないなと思います。

――途中出場でしたが連続得点も決めて、ご自身の調子はいかがでしたか

僕はもう最高です!

――これからはチームの主力を担っていくことになると思いますが、どういった選手になりたいですか

雄斗さん(東江雄斗、スポ4=沖縄・興南)くらい点が取れる選手になって、相手に恐れられるプレイヤーになりたいなと思います。

――次の試合への意気込みをお願いします

次も出るとしたら途中出場になると思いますが、出られた時には確実に点を取って結果を残したいと思います。

三輪颯馬(スポ1=愛知)

――今回の大会はどのような位置づけで臨みましたか

先輩が残してくれた大会なので、先輩から受け継いだものをしっかり出せたらいいなと思ってこの大会に臨みました。

――実際きょうの試合で出し切ることはできましたか

最初の方は硬い部分があったのですが、チームで一つになって盛り上げることはできたかなと思います。

――序盤接戦になったのはその硬さが原因だったのでしょうか

そうですね。初戦でボールをうまくつかめていませんでした。でもミスを引きずることなく、ディフェンスが機能していたので、差があまり開かなくて良かったと思います。

――一方後半は早大ペースになりました

試合前から、守って速攻で押そうとなっていました。後半はそのかたちがしっかりできていました。

――社会人相手の試合となりましたが

社会人相手ということで、経験もあって大きかったのですが、大学生の若さで圧倒できたと思います。

――ご自身のプレーは振り返っていかがですか

僕の地元開催だったので、最初は緊張しましたが、後半は自分のプレーができたかなと思います。後半はリラックスして打てました。

――地元開催ということでお友達と会われたりしますか

まだ会っていないですが、あしたから来てくれたらいいなと思います。

――あすに向けて意気込みをお願いします

4年生が2人出ていて一緒にできるのは今大会が最後なので、良いものをもらって、またあしたも勝利へつなげたいと思います。