攻撃で『魅せ』、ベスト4入り!

男子ハンドボール

 前日、東海大(○34-24)に快勝し関東学生春季リーグ(春季リーグ)、関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)からの成長を示したワセダ。全日本学生選手権(インカレ)第3戦目は、東海リーグに属する大同大を対戦相手に迎えた。前半の立ち上がりからエース東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)が得点を挙げる。しかし徐々にペースを乱され、16-13で前半を折り返す。後半は相手のDFに苦戦するも、リードを守り切り勝利を収めた。

 前試合から好調の東江は、この日も見せた。カットインはもちろん多彩なシュートでチームに貢献。一方のディフェンスでは1対1を得意とする相手に崩され始める。20分に1点差にまで詰められると、すかさずタイムアウト。その後は伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)を中心とした泥くさいプレーで粘りを見せる。前半の終盤には東江からのパスを受けた川島悠太郎(スポ3=福井商)が見事なスカイプレーで会場を沸かせた。なんとか再び盛り返し、16-13で後半へ突入。

要所を締めた桐生

 インカレに来てさらに調子を上げ、ここまで好調を維持しているワセダの『絶対的守護神』中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)。この試合もチームの期待に応えるファインセーブで仲間に勢いを付ける。攻撃においては川島や齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)の大型サイドプレーヤーを生かし、連続得点を挙げることに成功。しかし中盤になると後半から変更された相手ディフェンスに東江、桐生正崇副将(人4=群馬・富岡)が徹底的に抑え込まれると、思うように試合運びがいかなくなる。それでも自力の差を見せ、大同大を破った。

この日9得点を挙げた川島

 結果は30-26で勝利し、ベスト4入りを果たした。試合後、東江は「きょねんと同じ舞台に立てたということがすごくうれしい」と喜びをあらわにした。春季・秋季リーグともに6位であったワセダにとってこの大舞台は雪辱を果たせる絶好の機会に違いない。「チャレンジャーとしてやるしかない」(大城章コーチ、平18人卒=沖縄・興南)の言葉を胸に王座奪還に燃える。

(記事 中澤奈々、写真 篠原希沙、尾澤琴美)

全日本学生選手権
早大 30 16−13
14−13
26 大同大
GK 中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)
CP 桐生正崇(人4=群馬・富岡)
CP 福岡佑哉(スポ4=北海道・札幌月寒)
CP 東江雄斗(スポ4=沖縄・興南)
CP 川島悠太郎(スポ3=福井商)
CP 伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)
CP 松本光也(社2=神奈川・法政二)
コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

――ベスト4進出を決めたいまのお気持ちは

選手たちの目標は日本一になることなので、ベスト4に入ることができてほっとはしています。ただ目標はここではないので、これからあしたの試合のための対策をする、ただそれだけです。選手は春(関東学生春季リーグ)も秋(関東学生秋季リーグ)も関東6位だったので、そこからベスト4まで来たということに関しては、選手たちを評価できるのかなと思います。

――試合の内容に関してはいかがですか

ディフェンスに関しては、小柄でスピードのある選手に対して非常に苦戦したと思いますが、それ以上に前半は我々の思い通りのオフェンスができたので、差を開くことができました。ただ後半高めのディフェンスを敷かれて少しリズムを崩してしまって。きょうはオフェンスがよかったはずなのに、オフェンスでリズムを崩すことになってしまったことが、反省点だと思います。

――試合前のゲームプランと試合自体を比較していかがですか

ゲームプランとしては予定通りでした。相手が高めのディフェンスを敷いてくることもわかっていました。ただ、後半15分過ぎからのあそこまでの高いディフェンスというのは想定外だったので、そこに関しては自分の反省点だと思っています。

――カードも多く出される激しいゲームとなりましたが

それはハンドボールの醍醐味でもあるので、仕方ないとは思いますが、やはりケガだけはしないように注意しなければならないと思います。ただ当然このレベルのベスト4の試合にもなれば、激しいコンタクトであったり退場に近いプレーというのはありますし、お互いに真剣にやった結果なので、気にはしていないです。

――あすの筑波大戦に向けて意気込みをお願いします

やるしかないと思っています。ただ我々は前回の対戦で大敗していますし、チャレンジャーとしてやるしかないですよね。我々に失うものはないですし、全国のベスト4まで来たという自信を持って、一生懸命いままでやってきたことをトライする。ただそれだけです。

東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)

――きょうの試合はかなり接触も多かった印象ですが、ケガなどは大丈夫ですか

痛めたんですけど、ケアしながらあしたに備えます。

――試合を振り返っていかがですか

相手もあらあらしいプレーがあって気持ちが負けそうになる部分もあったんですけど、全員で声を掛け合って僕自身も仲間に助けられて粘り勝てたっていうのが大きかったと思います。

――前後半共に良い滑り出しになったのではないでしょうか

そうですね。前後半の滑り出しでうまく(リズムに)乗れたのが良かったです。それがそのまま中盤の苦しい展開でも生きたので、前半のリードが大きかったなと思います。

――前半の立ち上がりの部分で連続得点を挙げることができて、好調に見えましたが

きのうと同様に前半から思い切りやっていこうというのがありました。それがうまく得点につながって、前半は連続して得点できたのはすごくよかったです。ただ相手が修正してきた時にちょっとオフェンスでとまどった部分があったので、もう少し早めに自分の中で考えを整理してやっていかないといけないなと思いました。

――前半ラストの川島悠太郎(スポ3=福井商)選手とのスカイプレーは打ち合わせしていたのですか

そうですね。悠太郎と困ったときはアイコンタクトしながら合わせると言っていたので、それがうまく決まって良かったです。

――後半大同大が2-4ディフェンスを敷いてきて、それに苦戦させられた印象もありますが

相手の策にはまってしまったところがあったんですけど、焦らずミスしてもディフェンスをしっかりして最後は中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)が取ってくれるのを信じて。バックチェックとかセットディフェンスで辛抱強くやりました。

――太田翔主将(スポ4=北海道・札幌月寒)がコートの外から応援していたということで、副将としてなにか意識していたことはありますか

キャプテンがいない分、僕や正崇(桐生副将、スポ4=群馬・富岡)が盛り上げていかないといけないというのがありました。チームの雰囲気が下がった時に声掛けを意識してやっていたんですけど、自分がきつい時に声が掛けられなかったので、そこは仲間に助けられたんですけどキャプテンの存在の大きさを改めて実感しました。

――次の筑波大戦はセンターコートでの試合ということで、いままでよりもワンプレーワンプレーで会場が盛り上がることが予想されますが

まずきょねんと同じ舞台に立てたというのがすごくうれしいことで、多くの観客の前でできるのも個人としてもうれしいですしモチベーションになりますね。ワクワクしています。

――最後に、ヤマ場になることが予想される筑波大戦への意気込みをお願いします

ここまで来たらあしたも勝って、最後あさってに大舞台で戦うために頑張りたいと思います。

桐生正崇副将(人4=群馬・富岡)

――きょうの勝因は

キーパーが当たってくれたということやオフェンスのミスが少なかったことですね。ディフェンスはきのうに比べるとミスは多かったんですけど合格ラインは達成しました。オフェンスもディフェンスもやることやったという点が勝因ですかね。

――前・後半とも立ち上がりに成功しました

そうですね、立ち上がりの時間帯は特に集中しようという話し合いはしていて、それがチームとして現れたので良かったと思います。

――相手ディフェンスの印象は

関東のチームとは違って、東海リーグのチームは組織でディフェンスをするという印象が強くて、実際にやってみても1人に対して2人、3人で囲みに来るという印象でした。その対策として、大きい動きをして悠太郎(川島 スポ3=福井商)と凌(齊藤、スポ3=岩手・不来方)の大型両サイドをどれだけ動かせるかということをポイントとしてやってました。

――桐生選手自身はステップシュートが効果的に決まりました

相手ディフェンスの身長が僕とあまり変わらなかったので、試合前から狙っていこうと話していました。それがたまたまいいところでボールをもらって打てたというかたちですね。

――トーナメントということで連日の疲労の蓄積などもあると思いますが

暖かい風呂と冷たい風呂に交互に入る交代浴でケアをしたり、松本さんというトレーナーさんに帯同してもらっていてその方の整骨院から超音波の治療などもしてもらっているので、環境としてはとても恵まれていると思います。

――次の相手は秋に大差で負けた筑波大です

本当に悔しい思いをしてきているので、筑波大には。しっかり明日勝って決勝に進みたいです。頑張ります、任せてください。

中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)

――ベスト4進出ということでこれまでの試合を振り返って

いい感じで進めてきたと思いますね。東海大戦が特にいい意味で壊れたので、いままでで一番よかったと思います。

――守護神を見事に体現されていますが、ご自身の調子はいかがですか

いつもより集中していると思います。最後なのでこの調子で頑張ります。

――相手の攻撃の印象

愛知県の大学なので、やっぱりセンスのある学校ですね。1対1や、タイミングがうまかった印象です。

――東海大戦(◯34-24)よりも僅差で終わりました

東海大に10点差を開いたのは調子がよすぎた話なので、競った中で勝たないと意味がないですね。

――チームの雰囲気はいかがですか

きのうの試合に勝って、いけるんじゃないかというように上がってきています。

――次戦は筑大戦です。意気込みをお願いします。

大差じゃなくてもいいのでどうにかして勝ちます。

川島悠太郎(スポ3=福井商)

――きょうの試合を振り返って

ミーティングでは、相手は小さいんですけどよくハンドボールを知っていて1対1とかも来るタイプだったので最後まで気を抜かずにやろうという話をしていました。目標としては10点差で勝つという風にはなっていたんですけど、相手は強いのでそれはできなかったですが結果的に勝ち切れたというのはすごく良かったと思います。

――得点も多く決められていましたが、川島選手ご自身のプレーはいかがでしたか

決められてはいたんですけど、オフェンスでもディフェンスでもちょっとミスが目立つところがあったので明日の試合ではもっと減らしてもっと良いプレーができたらいいなと思います。

――課題として挙げていたディフェンスの精度は

きのうと似たタイプのチームではあったんですけど、きょうも少し簡単にやられているシーンが多かったのでもう一回ミーティングで話してやらなきゃいけないかなと思います。

――次節の相手、筑波大の印象と意気込みをお願いします

秋に優勝していてよく知っているチームではあるので、インカレという舞台でやるのにお互いどんな感じになるのかはわからないんですけど、相手もすごく強いチームなのできょうの夜からしっかりビデオを見てあしたも余裕で勝てたらいいなと思います。

松本光也(社2=神奈川・法政二)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

オフェンスでリズム良く点を取れて、ディフェンスはやろうとしてきたことはいまいち出せなかったですけど、キーパーの中野さんが止めてくれたので、僕自身助けられた感じですね。

――松本選手はここまですべての試合をスタメン出場していますが、試合に入る前の気持ちは

自分ができることはディフェンスで頑張りチームに貢献することなので、オフェンスよりもディフェンスを重視して臨んでいます。

――オフェンス時、ダブルポストを行う時があると思います。その時はどのようなことを意識していますか

オフェンスで、ボールの流れが詰まった時に、自分が切ったり、仲間が切っていたら抜けたりとか、自由な動きをしろと章さん(大城章コーチ、平成18人卒、沖縄・那覇西)にも言われているので、そこを意識しています。

――この3試合で実践できていますか

そうですね。相手のサイドディフェンスがボールを意識しちゃうので、その間に裏から切ったりとかは。それで結構ディフェンスが崩れて、真ん中が低くなった時に雄斗さん(東江副将、スポ4=沖縄・興南)や正さん(桐生正崇副将、スポ4=群馬・富岡)がディスタンスシュートを決めているので、そこは実践できているかなと

――また齊藤凌選手(スポ3=岩手・不来方)と交代する時もありますが、その際大城コーチとはどのような話をされるのですか

ディフェンスを求められているので、「ここ一本守ってくれ」とか「退場なし」とかを言われてます。

――きょう太田翔主将(スポ4=北海道・札幌月寒)がベンチにいませんでしたが、誰が精神的支柱に

やっぱり正さんが副キャプテンとして試合中の声かけとかは。翔さんがベンチに入っていても、試合中コート内では正さんと雄斗さんが声をかけています。僕がディフェンスの時に戻ってくれば、オフェンスに入っていない分ディフェンスに集中できるので、章さんから聞いたことを伝えています。

――明日からもより厳しい試合が予想されます。最後に意気込みを

きのう、きょうとまだまだ課題が出ているので、その試合を終えるごとに成長していって、筑波を倒して決勝に進んで優勝したいと思います。

伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)

――ベスト4です。率直な感想は

とりあえず勝ててよかったです。

――本日ご自身のプレーの調子はいかがでしたか

きのうよりはシュート数も少なくて、得点もそんなに取っていないのですけど、周りを生かすということはできたかなと。

――本日はどのような試合展開を予想されていましたか

春に1回練習試合をしたことがあって。その時は互角の差ではなくて、負けるイメージはそこまでなかったのですけど。インカレということでしっかり(相手も)力をつけていて、やはり最後だから4年生の力もすごいなと感じました。

――ルーズボールのキープなど良いディフェンスが目立ちました

本大会でディフェンスとして起用されていなくて。あまり役に立っていなかったので、ルーズボールなど際のところは自分がしっかりやろうかなと思い、やりました。

――オフェンスのほうは1対1になった時にうまく切り抜けられている印象がありましたが

勝っていて、焦る場面でもなかったのですけど、「押せる時に押せ」というアドバイスもあって。そこは強気でいきました。

――あす勝ちますと、きょねんを超える結果となります。意気込みをお願いします

筑波大とは互角の力であって、勝てない相手でもないので、明日もしっかりと自分たちのペースでとりあえずまずディフェンスから、それから攻撃へとつなげていきたいです。