関東学生春季リーグ(春季リーグ)、関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)共に6位と、決して納得のいく結果ではなかった。最終目標に掲げる全日本学生選手権(インカレ)はすぐそこまで来ている。最終学年として迎える決戦への意気込みを田﨑裕晃(スポ4=神奈川・桐光学園)、田中佑星(スポ4=兵庫・神戸国際)、中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際)、福岡佑哉(スポ4=北海道・札幌月寒)の4人に伺った。
※この取材は10月18日に行われたものです。
「僕らは挑戦者だった」(田﨑)
チームのムードメーカー、田﨑
――これまでのシーズンを振り返っていかがですか
田﨑 春季リーグが6位だったということもあって、秋季リーグは取り返そうという感じだったんですけど、結果的にはまた6位というかたちで良くはなかったかなと思います。ただ、終わり方といったところでは最後の日大戦(○29-27)で勝てたので、インカレにいいかたちでつながるかなと思っています。
――春季リーグを経て、何かチーム内で話し合ったことなどはありますか
福岡 初戦の法大戦(●18-28)に負けて、「あれ?」みたいな。正直2チーム制で勝てると思っていたのですが、そこで負けて自分たちがやばいという状況を思い知りました。最初の出だしはあまり良いものではなかった気がします。
――秋はいかがでしたか
中野 競り負ける試合が多かったかなとは思います。
――印象的な試合はありましたか
中野 僕は法大戦ですかね。ラスト10何秒かで点を決められて負けたので。
田﨑 接戦が多かったかな。でも僕は筑波大戦(●28-40)で結構離された試合が印象的でしたね。
――プラス面で印象的な試合は
中野 日大戦ですかね 。
田﨑 チーム的にも一番良かったです。
――伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)選手など力のある新入生が入ってきて、4年生として考えることはありますか
田﨑 彼らがのびのびプレーできるように、僕らも押し付けるのではなく、部活・私生活共に自由にさせてはいます。
中野 保護者やな(笑)。
田﨑 保護者だよ(笑)。
田中 1年生とか下級生が上級生に対してのびのびと好き勝手言ったりできるので、その仲の良い関係はことしのチームのカラーだと思います。それがプレーにも表れているのではないかなとも思います。
――一緒に試合をされることも多かったと思います。試合中などはいかがでしたか
福岡 やっぱり1年生と4年生の関係なので、できるだけ1年生を精神面的にも引っ張っていけるように、声掛けをしたり思い切ってプレーできるように意識したりはしました。
――太田翔主将(スポ4=北海道・札幌月寒)はどんな主将でしたか
田﨑 頑張ったなと。
田中 頑張ってるね(笑)。進行形。
田﨑 すごく彼は苦労していたので、僕らがもう少しサポートできていたらという部分もあるんですけど。
田中 任せ切りなところが多かったので。
――どういったところでの苦労でしょうか
中野 やっぱり俺みたいな選手がいるとまとめるの大変でしょうね(笑)。
田中 いま察したでしょ(笑)。
田﨑 いままでのキャプテンというのは結構、プレーや実力で実業団に行くような選手たちでした。彼は別の方向からキャプテンになってみんなにアプローチしようとしていたんですけど、失敗というわけではなくそこの難しさで苦労していたと思います。
――1年間を通して、自分たちのチームはどんなチームだったと思いますか
田﨑 昨年とちょっと違うのは、僕らは「挑戦者だった」ということをあまり意識できていなかったというところですかね。きょねんまでは春季リーグ、秋季リーグ1位だったということもあって、そのイメージで臨んでしまっていた気がします。それにもう少し早く気付いて挑戦者のイメージで取り組めたらまた少し変わっていたのかなとは思いますね。
――春季リーグと秋季リーグの練習で変化はありましたか
福岡 基本的なセットディフェンスの強化といったところは変わっていないですけど、細かいところはちょいちょい変わってましたね。
――新しい取り組みはありましたか
福岡 全員体重は増えたんじゃないですかね。夏場にプラス3キロ上げたよね。
田中 このときから1人プラス3キロという感じですね。
中野 彼、1人だけ3桁いったんですよ。
田中 3桁はいってない!
中野 99.9キロまでいったんですよ。
田中 まぁまぁまぁ。
福岡 体重計で測れなくて困るんですよねぇ。彼は引退するまでに80キロ台に落とすと言っていて、いかなかったら焼肉おごってくれるんですよ(笑)。
それぞれの思い
――福岡選手はことし、春季リーグではディフェンス主体から、秋季リーグはオフェンスもされていました。そこで変化したことはありますか
福岡 春季リーグは主にディフェンスを中心にやらせていただいて、そこから秋季リーグになってオフェンスもやるということは、ずっと試合に出ていることになります。そういったところで春はディフェンスを集中してやっていましたが、秋は試合を通して流れも見る集中力が必要でした。試合前に、人任せではなく自分が主体的にやっていこうと考えるようになったり、相手を研究したりすることをより意識するようになりました。
――ディフェンスリーダーとして中心になる時、後輩たちに対して声掛けなど意識するところはありますか
福岡 やはりディフェンスリーダーを任されているのでチームで守るのはもちろんなのですが、そこで自分の色を出してチームを引っ張っていけるかをコーチ・監督から求められています。うまくいかないときでも決して下を向かずチームのプラスになれるように、チーム力を向上させていければなという気持ちでした。
――背中で見せるということですか
福岡 そうですね。背中で見せられれば一番手っ取り早いんですけど、正直そんなに目立った活躍を自分でもあんまりできないと思っているので。ルーズボールであったり一つ一つのプレーで、気持ちの見せられるところは前面に出していきたいとは思っています。
――試合でベンチから見て気付いたことの指摘やチームの鼓舞などはどうしていましたか
田﨑 ことしのチームの悪いところは、沈んでしまうと自分たちで上げられないというのがあります。そこをベンチ外も含めて僕らが声を出して、みんなを鼓舞しようというのは話し合っていました。
――田﨑さんはムードメーカーということですか
田﨑 そんなことないっすよ(笑)。
福岡・田中・中野 …。
田﨑 いま笑うとこだぞ。なんで急に静かになるんだよ(笑)。
――駿河大戦、試合に出て点を決めた時にはチーム全体で盛り上がりました。振り返ってみて
田﨑 すごくうれしかったです。
――ことしは主務としてコート上だけでなく、裏方としてもお仕事をすることがあったと思います。4年生としてはどのようなところに気を配りましたか
田﨑 実際ことしは仕事をするというよりは、引き継ぎとして、3年生や2年生に仕事を教えていくことの方が多かったですね。だから僕が特にやるというよりは彼らに任せることが多かったです。
――理事長賞、個人で表彰された感想は
田﨑 こういう経験は初めてだったので、うれしかったですね。主務をやってきてよかったなというのは改めて思いました。
――では田中選手にお伺いします。
中野 田中については俺が聞くわ。
田中 いや、なんでだよ(笑)。
――田中選手はパワープレーという印象なのですが、チーム内で自身の役割は
田中 関東全体を見ても、こんなに体を使っているのは僕ぐらいかなと思います。
中野 そんなことはないと思うで(笑)。
田中 そうか(笑)。でも自分の売りは体なので、それしかもうできることないと思ってます。
――福岡選手ともオフェンスに参加される中で、ポジション争いについてはどうお考えですか
田中 春季リーグはずっと(試合に)出ていたんですけど、春を終えて教育実習で1か月チームを抜けてしまいました。その後帰ってきてすぐに怪我をしてしまって、また1ヵ月以上練習できなくなりました。そこから復帰してやっていたんですけど、そのうちにすごく下手になってしまって。秋季リーグが始まって試合に出してもらっても、自分の思ったプレーが全くできませんでした。自分がダメなので福岡選手に出てもらうしかないなと思いましたね。
――そういった時の心境は
田中 秋は試合に出てもすぐに審判に反則を取られてしまいました。自分の反則で相手ボールになってしまうということが多かったので、全く自分のしたいことができなくて悔しく思いましたね。
――では最後に中野選手。いまや「守護神」とチームに欠かせない存在ですが
中野 守っているのはゴールだけです。
福岡・田﨑・田中 かっこいい~(笑)。
中野 かっこよかった?(笑)。
――実際それに救われてるのはチームだと思いますが
中野 救われてると思う?
福岡・田﨑・田中 救われてるよ。
中野 まあ、俺も思ってた(笑)。
一同 (笑)。
――キーパーとして後ろから全体が見えていると思うのですが、そうした時にもう少しこうしたらいいなと思うことはありますか
中野 キーパーから見てと、ディフェンスから見ては違うのであんまり口は出さないですね。
――1年生のキーパーに対して、4年生としてアドバイスは
中野 永田(奈音、スポ1=宮崎・小林秀峰)は経験も積んでいるので、今後はさらにうまくなると思います。斉藤(孝佳、人1=城北埼玉)は無名校で経験が少ないですけど、能力が高いと思います。これからどれだけ練習試合に出してもらえるかが大事ですね。
伝わる仲の良さ
福岡(左)と田中(右)
――4年生の仲の良さは見ていて伝わるものもありますが、実際いかがですか
福岡 あら、伝わっちゃってます?(笑)
田﨑 あらあら、嫌だもー(笑)。
中野 うわ、これ慢心だわ!
一同(笑)。
――特に仲がいいとかありますか
田中 (福岡を見て)仲良いよね?
福岡 彼は正直なところ他の部活の人との方が仲がいいんですよ。
田﨑・中野 そうそうそう。すぐ飲みに行ってるよね。
――ことしを通して部内の面白エピソードをお願いします
中野 ことし1のエピソードはやっぱり、戸部大悟(教3=大阪・桃山学院)がハンドウォークで肩外れたことでしょ。
一同 (笑)。
田﨑 それ最高。
中野 戸部さんがハンドウォークの練習をしてたんですよね、そしたら「イタッ」と叫んでうずくまっていたんですよ。肩外れていてまたハンドボールできなくなってしまったんですよ(笑)。
田﨑 ハンドウォークはそんなに激しい動きではないので…。
福岡 体幹を鍛えるような練習ですね。
田中 あれは面白かったです。
――部内で1番笑いを取る方はどなたですか
田﨑 僕ですかね。
中野 渡邊志明(スポ2=東京・両国)ですかね。
田﨑 おい、いまの俺でよかったじゃんかよ(笑)。
福岡 渡邊さんですね、これからを担っていくのでね。
田﨑 完全に俺へのいい流れあったはずじゃん!田﨑ですよー。
――ハンドボール以外の話をするときはどんな話をされるのですか
中野 やっぱり桐生(正崇副将、人4=群馬・富岡)の目は開いているのか、開いていないのかですかね。
一同 (笑)。
――1年生で入部したての頃、特に印象的だった方はどなたですか
田﨑 中野かな。
中野 彼、僕にあいさつしてきましたからね。
田﨑 完全に先輩だと思っていました(笑)。最初に会って、大きな声であいさつしたのを覚えてます。
田中 僕はヒデ(藤井豪之、教4=東京・早実)ですかね。キンキン声でぐいぐい話しかけられたので。
中野 彼イケメンなんですけど、喋らせたらアウトなんですよ。
福岡 イケメンなのにねー。
福岡 自分の場合は高校の同期の翔(太田主将)がいて、最初に部のホームページを見ていたんですよ。スポーツ推薦の3人とヒデだけが載っていて、中野のことをヒデだと思っていたんですよ。なので、こんなごっついポストいるから翔はもう無理なのかなーって思ったのを覚えていますね。そしたら中野はGKだったので、あれーってなりましたね(笑)。
最終目標
チームの『守護神』・中野
――最終目標のインカレが迫ってきました。いまはどのようなことをしていますか
福岡 組み合わせも決まり、対戦相手も分かってきました。対策という面でもできているので、あとはどれだけ現状から伸ばしていけるかを意識して一日一日を大切に練習しています。
――チームの仕上がりは
田﨑 秋季リーグに負けてしまった日体大とも練習試合をしたんですけど、そこでもいろいろ試しながら次につながるようなかたちで終えられました。いい方向に向かっているんじゃないかなと思います。
――いまチームとして特化したい部分はありますか
田中 セットオフェンスとセットディフェンスがメインですね。
――いま底上げをするためにしていることは
田中 特別にしていることはないですね。でもきのうの練習試合を見ていて、Aチームが戦った後にBチームがやって日体大相手に全勝しました。なので、チームとしての総合力は上がっていると思いますね。
田﨑 結構知らない間に上がっていたよね。
――いまは誰が出でも大丈夫という仕上がりですか
福岡 そうですね。
田﨑 おお、言うね(笑)。いいよ。
一同 (笑)。
――チームのキーパーソンは
田﨑 それは俺でしょうよ。
中野 田﨑?うーん…。
田﨑 うそうそ(笑)。ちゃんと言って。
中野 代わりに入ってくる選手ですかね。
――交代で入ってきた選手に求めるものは
中野 思い切ってプレーすることだけですかね。
――皆さん4年生として、ラストイヤーになることに対しての意気込みお聞きしたいのですが
福岡 インカレ開催地が函館ということで、札幌じゃないのが残念なんですけど(笑)、地元開催になります。家族なり友人なり先生なりいろんな方々のために、何としても優勝を勝ち取れるように精いっぱい頑張りたいと思います。
田中 ここまで本気でスポーツをすることが多分最後になると思うので、自分にできることを精いっぱい頑張って、その結果が優勝につながるようにしたいなと思います。
中野 このチームでできる最後の大会なのでみんなで楽しく終われたらいいなと思ってます。あと海鮮丼とかを食べすぎないように注意したいですね(笑)。
田﨑 そうだよ〜(笑)。
田中 食べに行く時間あるの?
田﨑・福岡 そこは細かい(笑)。
田﨑 僕らは2年前先輩のおかげで優勝というかたちでいい思いができたので、今度は僕らが後輩たちにいい思いをさせられるようにインカレで優勝したいと思ってます。
——ありがとうございました!
(取材・編集 中澤奈々、比留田孟徳)
インカレの抱負を書いていただきました!
◆福岡佑哉(ふくおか・ゆうや)(※写真左)
1993(平5)年10月19日生まれ。185センチ。札幌月寒高出身。スポーツ科学部3年。普段のおっとりした雰囲気から試合中の目つきの変わりようは「スゴイ」の一言。地元北海道でのインカレ開催ということでぜひ故郷へ錦を飾っていただきたいです。
◆田﨑裕晃(たざき・ひろあき)(※写真右)
1993(平5)年7月9日生まれ。166センチ。桐光学園高出身。スポーツ科学部4年。小柄な体型を武器にスピードで相手を翻弄(ほんろう)し、駿河台戦では嬉しい秋季リーグ初得点も記録。チーム内ではムードメーカーであり、よく歌っているとの噂も。取材中はツッコミとボケ、どちらもこなす大車輪のはたらきでした。
◆田中佑星(たなか・ゆうせい)(※写真中央左)
1993(平5)年7月1日生まれ。183センチ。神戸国際大附高出身。スポーツ科学部4年。真面目に応じてくださった田中選手。その一方で福岡選手から「口にカレーが付いてる」と指摘され赤面する一面も。インカレでは作り上げたフィジカルで相手を圧倒すること間違いなし。
◆中野裕通(なかの・ひろみち)(※写真中央左)
1993(平5)年10月4日生まれ。183センチ。神戸国際大附高出身。スポーツ科学部4年。取材中カメラマンに「肖像権あるから」と冗談を言うお茶目な中野選手。しかし試合では一転、鬼の形相でゴールを死守。インカレでもワセダの守護神に期待です!