激戦乗り越え、次なる舞台函館へ

男子ハンドボール

 8月末から行われてきた関東学生秋季リーグもついに最終日を迎えた。この日は日大相手にラスト1分まで激しい点の取り合いを演じた。試合序盤、主導権を握ったのは日大。早大は東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)と桐生正崇副将(人4=群馬・富岡)の2人を中心に、焦ることなく1点1点積み重ねていく。前半を同点で終えると、後半に入ってもお互い一歩も譲らない。拮抗(きっこう)した展開が続くなか、早大の選手たちは集中力を切らさずディフェンスで最高の連携を見せる。最後はエース東江が速攻を決め、29-27で粘り勝ち。全日本学生選手権(インカレ)に向けて大きく弾みをつける勝利となった。

 この試合、先制点を挙げたのは早大。東江のパスを受け、桐生がアウトカットインをしっかりと決める。しかし、日大の攻撃にディフェンスが崩され、逆速攻やペナルティスローも決められる嫌な立ち上がりとなった。そんな流れを変えたのは、やはり東江のミドルシュート。西山尚希(社2=香川中央)らも続き、日大をシーソーゲームに引きずり込む。チームの軸、東江と桐生はバリエーション豊富な攻撃で日大ディフェンスを翻弄(ほんろう)。2人のプレーには会場中が魅了され、相手ベンチさえも思わずうなるほどだった。1年生GK永田奈音(スポ1=宮崎・小林秀峰)の大活躍もあり、前半を15-15の同点で折り返した。

1年生GK永田も勝利に貢献した

 後半に入っても緊迫した展開は続く。西山が3連続得点を挙げたが、相手も引き下がることなく速攻で押してくる。そんななか、輝きを放ったのが戸部大悟(教3=大阪・桃山学院)。先日ケガから復帰したパワーヒッターはミスを恐れず、相手のエリアに飛び込んでいく。戸部や萩原侑(文3=東京・早実)ら途中出場の選手の活躍はチームを活気づけた。そして、きょうの勝因はなんといっても終盤に見せた「今までで1番のディフェンス」(桐生)。GK中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際)とディフェンス6人が連動し、後半の苦しい時間帯に見事な集中力を発揮した。関東随一のシュート力をもつ相手エースを完封し、一気に流れに乗ると、ラスト3分には戸部のカットインでついに逆転。そして試合終了まで残り30秒、28-27と1点リードの場面で相手の攻撃を迎える。全員が声をかけ合い、勝利への1点を死守して見せた。最後は東江が速攻をねじ込み、リーグ最終戦を白星で締めくくった。

試合終了後歓喜する選手たち

 きょうの試合は早大のチーム力が発揮された好ゲームだった。各選手が自分の役割を果たし、最後まで粘って勝利をつかんだ。春に続き秋もリーグ6位という悔しい結果に終わったが、試合の内容的には収穫も多い秋となった。大学ハンドの集大成、インカレの舞台で目指すは日本一。「1試合1試合粘り強く泥臭くやっていって、勝利を積み重ねて最終的には優勝というかたちで笑顔で終わりたい」と東江は語る。残された時間でしっかりと課題を克服し、自信を持って函館に乗り込みたい。

(記事 田中一光、写真 篠原希沙、藤巻晴帆)

関東学生秋季リーグ
早大 29 15―16
14―11
27 日大
スタメン
GK 中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)
CP 桐生正崇(人4=群馬・富岡)
CP 福岡佑哉(スポ4=北海道・札幌月寒)
CP 東江雄斗(スポ4=沖縄・興南)
CP 齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)
CP 西山尚希(社2=香川中央)
CP 三輪颯馬(スポ1=愛知)

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コメント

太田翔主将(スポ4=北海道・札幌月寒)

――きょうの試合はいかがでしたか

試合前にこの試合に勝ってインカレ(全日本学生選手権)につなげたいという話をしていたので、実際に勝ててホッとしているというのが一番です。

――きょうは追いついてはまた引き離されといった、苦しい時間が続きましたが

セットオフェンス、ディフェンス共に機能はしていたのですが、速攻のミスとかが出てしまって、それがこういう展開につながったと思います。ただディフェンスはずっと機能していたので、そこを信じられたことが勝ちにつながったと思います。

――特にラスト5分のディフェンスがよかったという印象ですが

あの時間帯に関しては、以前ここ一番での粘りと際の強さを確認していたので、それが発揮できたと思います。

――関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)全体を振り返っていかがでしょうか

リーグ戦(関東学生秋季リーグ)序盤に競り合いで勝ち切れないことが多かったので、そこがチームの弱さだということがはっきり分かりました。そこをいかに修正した上でリーグ戦後半につなげるかどうかというところでは、そこはうまく修正できたと思っています。

――キャプテンとして臨むインカレとなりますが、どういった思いがありますか

きょねんのインカレでの敗退を元に、自分が主将になってチームを再構築してきて、実際にインカレで自分がどれだけいいチームをつくり上げることができたかが試されると思います。いい結果を残して、きょねんの悔しさも払拭(ふっしょく)できればいいと思います。

――最後に太田主将ご自身のインカレに向けての意気込みをお願いします

開催地が地元なので、自分がプレーすることでチームにも貢献できればいいと思っています。自分が本当にワセダでプレーしている意味を、みんなに伝えることができればいいかなと思っています。

東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

4年生としての最後のリーグだったので、悔いのない試合をしようと思って挑みました。

――前半は相手ペースで試合が進みましたが

攻撃もディフェンスも少しもたついている部分があって、相手のペースになっていたのですが、そこを辛抱強く粘れました。後半も少し離されたところで、みんなが気持ちを切らさずに試合を運んで、終盤自分たちの流れが来たところで逆転できたのがすごく良かったなと思います。

――粘り勝ちできた要因は

前半からうまく気持ちを切らさずに辛抱強くディフェンスで我慢できたので、攻撃のリズムだったり、逆速攻だったりで得点できたのかなと思います。

――インカレに向けての課題等はありますか

攻撃は伊舎堂(博武、社1=沖縄・興南)も川島(悠太郎、スポ3=福井商)もいまいなくて、彼らが帰ってくれば攻撃のパターンはまたたくさん増えると思うので心配はないと思います。ワセダはディフェンスを売りにしているチームなので、そのディフェンスがいま全然噛み合っていなくて、GKとの連携だったり個人の1対1だったりができていないので、課題としてはディフェンスかなと思います。きょうの後半逆転するまでの一線のディフェンスみたいに、9(mライン)の中で激しくコンタクトができて、1対1も2人でカバーして守ったりというのができればインカレもいけると思います。なのできょうの後半のディフェンスを安定させたいなと思います。

――インカレへ向けて意気込みは

この試合を弾みにしてこれからインカレに向けてスタートします。ことしは王者ではなくチャレンジャーなので、1試合1試合粘り強く泥臭くやっていって、勝利を積み重ねて最終的には優勝というかたちで、笑顔で終わりたいと思います。

桐生正崇副将(人4=群馬・富岡)

――関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)最終戦を勝利で終えました。いまのお気持ちを聞かせてください

最後インカレ(全日本学生選手権)につなげるという面でチームとしても勝ちを求めていたので、勝ててうれしいです。

――相手の日大はどこからでもシュートを狙ってくるチームでしたが、ディフェンスにはどういった意識で臨みましたか

相手のエースは強烈なシュートを打ってくる選手なので、好きなように打たせないということを確認して臨みました。最初は少しやられてしまいましたが、後半0-6ディフェンスに切り替えてからはいままでで一番いいディフェンスができたと思います。

――きょうの試合は特に桐生選手と東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)がオフェンスをひっぱっていた印象でした

やっぱり僕と雄斗がオフェンス面では引っ張っていかなければならないということで僕らが頑張るのは当然ですが、きょうは大悟(戸部、教3=大阪・桃山学院)や萩原(侑、文3=東京・早実)とかが要所で活躍してくれたので、交代で出てきた選手の活躍はチームにとって結構プラスになったと思います。

――相手も3-3ディフェンスを得意としているチームでしたが、チームとして意識したことはどういったことでしたか

ずっと章さん(大城コーチ、平18人卒=沖縄・那覇西)から言われていたのが、個人の1対1だけでなく、サイド・45度の切りなど最低でも3人オフェンスに絡むということでした。要所要所でそういった攻撃が効いたので、練習してきたことは出せたのかなと思います。

――今後どういった練習が必要となるのでしょうか

秋季リーグで出た課題をもう一度チームで話し合って、その課題を詰めるというのはもちろん、個人としてはセットオフェンスのシュートの決定率をもう少し上げたいと思います。セットのオフェンス・ディフェンスが軸になるとは思います。

――インカレが大学生活の集大成となると思います。意気込みをお願いします。

残すところインカレだけなので、優勝に向けて悔いのないように頑張っていきたいと思います。

戸部大悟(教3=大阪・桃山学院)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

最終戦、勝ててよかったと思います。

――関東学生秋季リーグ最終戦ということでしたがどういった心境で試合に臨みましたか

4年生にとっては大学生活最後のリーグ戦なので、絶対勝ちたいと思って試合に臨みました。

――ご自身としては勝負どころでの得点が目立ちましたがいかがでしたか

緊張して覚えてない部分が多いのですが、結果的にいいところで(得点を)取れてうれしかったです。

――終盤試合の流れを引き寄せたように見えましたがその要因は何でしょうか

終盤ディフェンスがすごく良かったので、相手の得点が止まって逆転することができたと思います。

――インカレ(全日本学生選手権)に向けてどのような準備をしていきたいですか

オフェンスもディフェンスも精度を高めていきたいと思います。

――最後にインカレに向けての抱負をお願いします

優勝します。

永田奈音(スポ1=宮崎・小林秀峰)

――本日は関東学生秋季リーグを振り返っていかがでしたか

序盤チームとしての成績があまりよくなくて、僕自身好調のままリーグ戦に入れなかったのは自分の弱さだなと。中盤くらいからは自分の役割というものがはっきりとし始めてきて、それによって自分のプレーに集中できたのは大きな成果だなと思います。

――最終戦はどのような気持ちで挑みましたか

僕が出る場面が大体競っているかディフェンスの流れを変えたいときということで。逆境などそのような場面を想定しながら戦っていくということを練習から意識していたので、その成果が出たいい試合だったと思います。

――前半後半ともに声が出ていました。チームメイトにはどのような言葉をかけられましたか

1点差の場面が多かったので、ディフェンスに対して「ここは一本止めましょう」など、1年生だからこそできる声かけを努めていきました。

――特に後半の序盤は好セーブが続きました。それについてお聞かせください

先輩たちが必死にディフェンスしてくれて、僕が構えていたところまで相手をおびき寄せてくれたので僕自身いい準備ができました。その点ではいいディフェンスをしてくれた先輩たちに感謝です。

――GKから見て、そしてベンチから見て、きょうのチームの雰囲気はいかがでしたか

点差が離れてしまった時などつらい場面が多かったと思いますが、そういう場面でも一人一人が(集中を)切らさず、集中していけたのはとても大きかったと思います。これをインカレ(全日本学生選手権)につなげていけたらなと思います。

――インカレに向けてご自身の意気込みを

インカレではきょうできたことをさらに伸ばしていき、日本一のチームメイトとして、誇らしく帰ってこれるように頑張っていきたいと思います。