手に汗握る好ゲーム、結末は「残り4秒の悪夢」

男子ハンドボール

 前の試合で4試合ぶりの勝利を手にした早大。関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)連勝を目指すこの日は法大と対戦した。早大はこれまでの0-6とは異なる3-3ディフェンスで前半から積極的に主導権を握りにいく。だが、なかなかペースを手繰り寄せることができず、前半を1点ビハインドで折り返す。後半に入るとエース東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)が本領を発揮し、チーム得点の約半分を1人で叩き出す大活躍。それでも粘る法大を最後まで突き放すことができず、残り時間4秒でまさかの勝ち越しゴールを許してしまった。まさに悪夢のような敗戦。選手たちは天を仰ぎ、悔しさをあらわにするしかなかった。

 試合は両チーム前半から白熱の攻防を繰り広げる大接戦となった。早大はこれまでとは異なるディフェンスシステムを採用することで、より高い位置でのボール奪取を試み、序盤は狙い通りの速攻でポイントを重ねていく。しかし、勝負所での失点とセットオフェンスの場面で攻めあぐねてしまったことが響き、試合を支配することができない。桐生正崇副将(人4=群馬・富岡)の見事なポストパスやブラインドシュートで得点を奪うも、すぐさま追い付かれてしまう苦しい展開となった。結局前半は法大に1点のリードを許した状態で折り返す。

東海大戦から復帰している戸部大悟(教3=大阪・桃山学院)

 後半、早大の攻撃をけん引したのはエース東江だった。「後半は積極的にいけた」(東江)という言葉通り、ステップシュート、カットイン、ロングシュートと、次々に多彩なバリエーションのシュートを繰り出し、法大守備陣を翻弄(ほんろう)する。激しいせめぎ合いが続く中、早大は後半20分から相手に連続ポイントを許し、この日最大となる3点のリードを許す。しかし、東江のミドル、桐生のカットイン、そして東江のノーマークですぐさま応戦。わずか4分で再び追いつき、勝利への執念を見せる。その後1点ずつを取り合い迎えた残り1分、早大はタイムアウトを取り、この試合最大の山場となるセットオフェンスに備え、意思の疎通を図る。だが、プレー再開後に痛恨のキャッチミスを犯してしまい、ボールは相手に渡ってしまった。ここは気持ちを切り替えて、相手のラストプレーをなんとか守り切りたいところだったが、残り4秒の場面で相手のサインプレーから勝ち越しゴールを許してしまう。それでも諦めない早大は残り2秒、桐生がハーフラインからゴールめがけて超ロングシュートを放つ。これがキーパーの足元を通ってゴールネットを揺らしたが、試合終了のホイッスルが先という判定となり、無念の敗北を喫することとなってしまった。

後半大車輪の活躍を見せた東江

 あと一歩のところで敗れた早大。「こういった試合展開になると、ことしはいつもうまくいかない」(東江)。相手との実力が拮抗(きっこう)すればするほど、きょうのような試合展開が多くなることが予想されるだけに、なんとかこういったゲームをものにしていきたいところだ。秋季リーグも残すところあと2試合。そして11月には選手たちが特別に意識する全日本学生選手権が待ち受けている。残り2試合を勝利で飾り、万全を期した状態で大一番に臨んでほしい。

(記事 栗村智弘、写真 後藤あやめ)

関東学生秋季リーグ
早大 27 13―14
14―14
28 法大
スタメン
GK 中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)
CP 桐生正崇(人4=群馬・富岡)
CP 福岡佑哉(スポ4=北海道・札幌月寒)
CP 東江雄斗(スポ4=沖縄・興南)
CP 齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)
CP 三輪颯馬(スポ1=愛知)
CP 小畠夕輝(スポ1=岡山・総社)

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コメント

東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)

――きょうの試合はいかがでしたか

前半からお互い譲らず決めたり決められたりという流れでした。その中で自分たちの時間帯もあったのですが、そこでシュートを決め切れずに流れに乗れなかったことを引きずってしまい、最後相手に決められて負けるかたちになってしまったのかなと思います。

――きょうはいつもとは違う立体の守備陣形で試合に入りましたが、どういった狙いがあったのですか

とりあえず前半から積極的に足を動かすというのと、うまく試合を進められるだろうという意図もあってこの3ー3ディフェンスを仕掛けました。

――実際に試合をしてみて、その狙い通りにいきましたか

相手をシュートまでいかせるというパターンが少なくて、そこにいくまでのミスを誘って攻撃につなげられたので、3-3自体はうまくいったんじゃないかなと思います。

――チームオフェンスに関しては

前半はダブルポストにして、それでできた広いスペースを1対1で割にいったり、そこで相手が来たらパスしたりっていうかたちを狙っていたのですが、最後のシュートであったり、簡単なパスミス、キャッチミスがでてしまったことが痛かったなと思います。

――特に後半、東江選手がほぼ全てのフィニッシュに絡みましたね

前半は個人的にも乗れていなかったので、後半は気持ちを切り替えて積極的にいけました。ですが僕がいってその次にポストが絡んでの得点であったり、逆側の広いスペースを使ってノーマークをつくれればよかったのですが、きょうはそれができず、個に頼ってしまったと思います。

――シーソーゲームとなりましたが、この展開に関しては

こういった試合展開になるとことしのチームはいつもうまくいかなくて、練習でも想定してやっているのですが、それが結果につながらないということは気の緩みかあるいは違う課題が自分たちにはあるのかなという感じです。

――残り2試合となりましたが、これ以降の試合に向けての意気込みをお願いします

これ以上落としたら入れ替え戦も考えなければならなくなってしまうので、応援してくれている方々のためにも、インカレ(全日本学生選手権)のためにも、なんとしても残りの2試合勝って、どんどん上に上がっていけるように、切り替えてチーム一丸となってやっていきたいです。

三輪颯馬(スポ1=愛知)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

オフェンスが最後まで機能せずに、点を取られて負けてしまったというのが一番大きいかなと思います。

――きょうは何か作戦はありましたか

普段練習でダブルポストからのオフェンスをやっていて、今回実戦でやってみたのですが、あまりうまく点数につながりませんでした。そこはもっと練習していかなければなりません。

――1点ビハインドで終えた前半を振り返って

前半は足が動いていました。大城コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)からも「1点差はもう差がないと思え」と言われました。前半は良い出だしだったかなと思います。

――シュートを決められる場面もありましたが、ご自身のプレーの評価はいかがですか

最後の追いつく場面で自分が決めていれば、もっと流れが変わっていたと思います。際の部分のシュートをもっと練習していきたいと思います。

――後半ラスト1分でのタイムではどのようなお話がありましたか

ディフェンスの間をしっかり守り、ディフェンスから速攻というのを徹底してやっていこうという話がありました。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

もう後がないので、一試合一試合を集中してインカレに向けてつながるような試合をしていきたいです。