リーグ戦初勝利!チームにとっての大きな一歩に

男子ハンドボール

 「あしたに向けて気持ちは切り替えてほしい」(太田翔主将、スポ4=北海道・札幌月寒)。法大戦後に行われたミーティングでの言葉である。まさかの敗戦となった開幕戦から一夜明け、早大ハンドボール部は気持ちを新たに順大戦に挑んだ。初戦と同じく二分化したチーム体制で臨んだ早大。ディフェンスに課題を残すものの前半を19-15とリードして折り返すと、後半では攻守ともに機能。35-29で試合終了となり、価値あるリーグ戦初勝利をつかみ取った。

 早大はなんとしても負けられない。先制点こそ奪われたものの、6分には桐生正崇(人4=群馬・富岡)が起点となり、初戦に続いてスタメン出場の山﨑純平(社1=岩手・不来方)が豪快なシュート。早大は3連続得点を挙げ、流れをつかんだと思われた。しかし中盤、退場者が相次ぎ5対7という圧倒的不利な状況に。順大の勢いに押され失点を重ね、人数が戻った後もディフェンスの甘さが露呈した。16分、たまらず早大がタイムアウトを取ると、初戦と同様メンバーを総入れ替え。それからは蘇生したかのように早大が試合の主導権を握り、4点リードで前半終了のベルが鳴る。しかし、川島悠太郎(スポ3=福井商)が得たノータイムフリースローのチャンスが予想外の展開を招く。放った球が相手ディフェンスの顔面を直撃し、一発レッドカードとされてしまう。川島自身ここまで4得点と好調だっただけに、不安を残したまま19-15で前半を終えた。

太田主将が中心となってチームの雰囲気を盛り上げていく

 一人欠けた状況で迎えた後半。それでも一点一点を奪い合う、白熱した試合展開を繰り広げた。積極的に声を出し、チームの雰囲気作りにも余念がない早大。桐生、西山尚希(社2=香川中央)がそれぞれ3得点を挙げるなど、順調に点を重ねていく。GK中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)の好セーブが光るなどディフェンスも整い始めるが、順大も負けじと早大のゴールネットを揺らす。拮抗(きっこう)状態が続いたが、最後は早大が粘り勝ち。35-29でリーグ戦初白星を飾った。

貪欲にゴールを狙っていく田中佑星(スポ4=兵庫・神戸国際大付)

 「チームにとって自信になる」(大城章コーチ、平18人卒=沖縄・那覇西)。気持ちを切り替えて臨んだ今試合。悔しさを胸につかんだ初勝利は、選手たちにとって大きな収穫となっただろう。「自分たちのリードで試合を動かすことができた」(太田)と手応えも十分ながら、リスタートやサイドシュートの駆け引きなど課題は残されている。この勝利を次につなげることができるか――。いままさに、真価が問われるときだ。

(記事 寒竹咲月、写真 佐藤凌輔)

関東学生春季リーグ
早大 35 19―15
16―14
29 順大
スタメン
GK 小林佑弥(スポ2=茨城・藤代紫水)
CP 桐生正崇(人4=群馬・富岡)
CP 西東匡寛(文構4=東京・早実)
CP 福岡佑哉(スポ4=北海道・札幌月寒)
CP 西山尚希(社2=香川中央)
CP 田崎裕晃(スポ4=神奈川・桐光学園)
CP 山﨑純平(社1=岩手・不来方)

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コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

今シーズンが始まる前のミーティングでチームの底上げをしなくてはいけないという話をしました。きょねんのインカレ(全日本大学選手権)の反省として東江(東江雄斗副将、スポ4=沖縄・興南)に依存しすぎたということだったので、誰が(試合に)出てもクオリティの高いプレーをしてほしい。そこで、毎年しているのですがことしもチームを2チーム制にして取り組んでいました。ただ今シーズンはこれまで試合に出ていない選手がたくさんベンチ入りしているので、きのうは特にその子たちに焦りがあったり地に足が付いていなかったり、そういう部分でもたついたのかなと。きょうは前の試合とメンバーを変えずにやると話していましたが、選手たちの中でもきのうの負けから何かをつかんでミーティングをして、試合前選手たちから2人だけメンバーを入れ替えてくれと提案がありました。それは本人たちが決めたことなので、(入れ替えて)やっていけばいいんじゃないか、と言って送り出したんですけども、2試合通してだいぶ慣れてきましたよね。そこは大きな進歩かなと思います。

――毎年2つに分けているということですが、ことしはより明確に二分しているという印象ですが

そうですね。はっきり分けないと責任の所在が分からないというか、今回は当事者意識を持って取り組んで欲しい、というのが僕の中のテーマとしてあって。流れが良い時に良いプレーというのは誰でもできますが、苦しい時にいままで試合に出ていなかった選手がその苦しみや緊張、いろんなストレスを感じながらプレーをするというのは、インカレを見据えた上ではチームとしても個人としても大きな必要要素だと思うので15分で丸々はっきり変えました。

――イメージとしては、この先もチームを分けて臨んでいくということでしょうか

相手次第ですね。来週の試合もそうできればチームにとっては大きいですけど。ただこれからレベルの高い選手と戦うということで、そう簡単にはいかなくなると思うので週明けまたキャプテンと相談します。ずっと15分で二分するのでなくスタートの何分間は完全に分けてみるとか、全員に出場機会を与えます。

――1年生も早速出場していますが、一戦力として見ているのでしょうか

毎年そうですが、僕としてはチームの戦力になると思えば1年生から4年生まで出場機会を与えます。悪いから外そうじゃなくてより良いからベンチやコートに立たせようというのが僕の考えなので、頑張るのは当たり前な練習の中で結果を出し、チームに貢献できると判断したのが今回は山﨑(純平、社1=岩手・不来方)だったと。それだけですね。

――この2試合に限って言えば、チームに貢献していると判断した選手は

きのうきょうで考えると、齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)は当事者意識というか自分がやらなければという気持ちが非常に前に出ていて。得点だけではなくてトータルで攻守、精神面でもリーダーシップを発揮してくれたかなと。そこは満足しているというか、これからに期待できるなと思います。

――去年と比べて、試合中の盛り上げの部分でさらに強くなったという印象もありますが

キャプテンが太田(太田翔主将、スポ4=北海道・札幌月寒)になって、そういった働きかけをしているというのが大きな要因かなと思います。

――東江選手の欠場については

ポジティブに捉えれば、彼がいない中でチームがどれだけ成長するかということで、彼が入ったらより強くなりましたっていうただそれだけですよね。チームとしてはかなりの戦力ダウンっていうのは間違いないけれども、その中で彼の依存度が低くなっていけば結果的にチームに大きなプラスになるのかなと思っています。

――チーム全体を慣れさせるということは、ここ2試合の結果はある程度想定内だったのでしょうか

もちろん負けていい試合は一試合だって無いですけども、きのうの敗戦ではメンバーを一回も変えませんでした。それはインカレを見据えてのことです。いつまで続くかってことですよね。本当は最後の週まで二分でやれればいいですけど。

――きょうの試合、枝張りの甘さやマークを受け渡すときのインパクトといった点ではいかがでしたか

前半はロングシュート勝負で失点が10本中2本くらいでしたが、後半はロング勝負と言いながらもフリーの状態で打ち抜かれているケースが多くて10本中7本だったんですよね。そこに対して9mまで出ているんだけども、ただ出ているだけ。手は挙げているんだけども、キーパーからしたら邪魔な枝になっているだけ。シューターに対してのアプローチですよね。パスをさせないとかシュートを打つ瞬間少し前に出るそぶりをするとか、そういったアプローチをすることでまた解消されるのではないかと話はしました。ただいつも組んでいないメンバーとやっているというのもあるので、きのうと比べて勝ったというのはチームにとっても自信になるんじゃないでしょうか。相手がどこであろうと、いままで試合に出ていない選手が出て勝ったわけですから。

太田翔主将(スポ4=北海道・札幌月寒)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

試合前に自分たちのやってきたことをしっかり出そうとチーム全体に共有して挑んだので、実際に出すことができたかなと思います。

――手ごたえを感じる試合になったということですか

悪い面もありましたが、自分たちのリードで試合を動かすことはできたと思います。

――悪い面というのは

一度したミスを修正できなかったところかなと思います。チームの約束の中で守ってはいるのですが、そこで失点した時に次どう修正するかということができなかったので、同じミスを繰り返していたというのが今回の見つけた課題ですね。

――きのうの敗戦後行われたミーティングではどのようなことを話されましたか

まず切り替えと、その切り替え方を意識して欲しいと僕は言いました。この負けをどう捉えて、実際に何ができなかったのか、自分たちが練習してきたことをどれだけ出すことができたのかなど、あしたに向けて気持ちは切り替えてほしい。でもこの負けを必ず忘れないで来てほしい、そして全力でぶつかってきてほしいと伝えました。あと、きのうの試合で各々イライラしていた部分があったので、それを言う機会にはなったし、悠太郎(川島悠太郎、スポ3=福井商)とマサ(桐生正崇副将、人4=群馬・富岡)を入れ替えたりとかはチームの流れを良くするために仲間から出た意見だったので、そういう風に本音を聴ける機会になったと思います。

――前半の印象はいかがでしたか

一番は出だしなので思い切り強く当たろう、と。オフェンスの間も強く当たってシュートに行くことができたので、そこで頑張り過ぎて退場が出て乗り切れなかった部分はありましたが、気持ちを出すという部分に関しては良かったと思います。

――数的不利になった場面もありましたが

退場はある程度仕方ないです。やはり一つのオフェンスでパスをもらった時シュートをどれだけ気持ちを込めて打てるかとか、リスタートをどれだけ戻って止めることができるかも重要でしたが、サイドディフェンスのリスタートやバックチェックに関しては課題が残りました。

――ハーフタイム大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)からはどのようなお話がありましたか

まずハーフタイムはチームで話し合って課題解決に持っていこうという風にしていたので、方向性は決まっていました。その中で、どうしてほしいかなど(コーチから)話されました。基本的にはやってきたことを出せ、と。ディフェンスも機能していたり上からロングシュートも打たせていたり、そういうことができていたので継続していくのと、足をすくわれないようにと言われました。

――次戦の相手・中央大の印象は

今回の順大のように、サイドシューターにエースプレーヤーがいるので、いかにシュートの発生回数を減らせるかと、それを1枚目がどのように守れるかというのが2つの課題です。今回も1枚目の駆け引きができなくてサイドシュートを打たれる回数が多かったので、そこで乗れないとなると、来週も苦戦すると思いますね。

――また新たにチームに共有していきたいことは

試合が終わった直後に今回の試合も良い結果で終わったわけじゃなくて、リスタートを守れなかった、サイドシュートの駆け引きができなかったという2つの課題が挙がったので、そこを修正していきたいです。あと、自分たちがやってきたことは間違いじゃないので、そこを発揮することは大前提に置いています。

齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きのう負けてしまったので、きょうは絶対に負けられない、絶対に勝とうという気持ちでやっていました。

――チームの雰囲気はいかがでしたか

アップから盛り上げてやっていきました。できていたかは分からないですけど、僕は切り替えて臨んだつもりです。

――試合中の声出しなども意識されていましたか

やられている時に何も声が無いといつも盛り下がってしまうので、声はずっと出し続けるように意識してやっていました。盛り下がったらまた一気にひっくり返されるということもあるので。

――きのうはチーム最多得点を挙げるなど、好調の要因は何だと思われますか

雄斗さん(東江雄斗副将、スポ4=沖縄・興南)がいない中で雄斗さんばかりに頼っていたら駄目だと思っているのと、みんなが崩してくれたところで僕が強くいくっていう気持ちでやっていたら良い感じでいけました。

――リーグ戦の前はどのような練習をされてきましたか

ディフェンスでは隣との連携、攻めではセットオフェンスで攻め切るようにとか、速攻の練習とかもやっていました。

――きょうの試合ではその練習を活かせましたか

きょうは相手のディフェンスに合わせてやることを徹底してそれで攻め切れたと思います。

――後半大城コーチから個別に指示を出されていましたが

一度呼ばれて思い切りシュートいけと言われました。

――2試合を通して課題は見つかりましたか

ディフェンスでもっとコミュニケーションをとっていかないと、これからもっと相手が強くなってくるので簡単に真中から崩されて点取られてしまうと思うので、そこだけ修正していきたいです。チームとしては、ディフェンスかオフェンスかどちらかが崩れると全体の雰囲気が悪くなってしまうので、どっちかが駄目だったらどっちかを固めて、そこからリズムに乗れたらいいなと思います。

――次戦の相手・中央大の印象は

中央大は左サイドが得点の半分くらいを取ってくるので、そこをどう守るか、あまりパスをさせないかがポイントだと思います。

――今シーズンの目標をお願いします

春季リーグ優勝を目指して頑張っていきたいです。

西山尚希(社2=香川中央)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

最初リズムとペースが悪い時があったんですけど、とりあえずディフェンスで立て直そう、みんなで声出していこうということでディフェンスの佑哉さん(福岡佑哉、スポ4=北海道・札幌月寒)と機能してディフェンスはできたというのはありました。でも退場で人が少なくなった時は良くなかったですね。

――具体的にどのように建て直しを図ったのですか

その時はチームのディフェンスでポストのスライドがあったので、ディフェンスでシステムを全員で確認し直しました。ディフェンスからオフェンスにつなげていこうという話をして、みんなで声を出し合っていました。

――ミドルシュートなど多く決められていましたが、調子はいかがでしたか

正直言うとまだまだという感じなんですけど、前半はボールもらう前の向きが悪くて、後半は一本か二本ぐらいボールもらう前にしっかり動けてシュートできたのはよかったと思います。それをもっと練習して試合で十分にできるようにしていきたいと思います。

――きのうの敗戦はどのように受け止められましたか

きのうは個人個人で悪いところが随所で見られたので、きのうの試合後のミーティングで反省するのはここまでにしてしっかり自分のなかで切り替えて、次につなげていこうという話をしました。

――きょうのチームの雰囲気は

特に印象に残っているのが、僕の同期の長谷川(大耀、政経2=東京・早実)がシュートを決めた時にとても盛り上がったりしていたことで、チームメートがシュートを決めたときの盛り上がりなどがよくて、ディフェンスにもつながってみんな声出ていたと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

今週の一週間で、しっかりと自分の体調やモチベーションを上げていって、自分のミドルの強い部分を出してチームに貢献したいと思います。

山﨑純平(社1=岩手・不来方)

――きょうの試合を振り返って

1年生らしくガムシャラに、チームにとって自分ができることをしっかりしようと思ってプレーしました。

――きのうが大学に入学後初めての試合になったと思いますが、どのような感想を持たれましたか

大学は当たりというか、そういうフィジカル面でも技術面でも上だったので、それに慣れるまで大変かなとは思いましたが頑張っていこうと思います。

――緊張しましたか

結構しました。

――きょうのチームの雰囲気は

きのうで一戦負けているので、絶対に負けられないという雰囲気、状況でした。絶対に勝つというよりはチームの課題としていることをしっかりみんなでやろうということを話し合って良い雰囲気でやれたと思います。

――きのうの敗戦からどのように建て直しましたか

主に課題だったのがケアレスミスからの逆速攻での失点だったので、まずはバックチェックの戻りを固めてオフェンスも丁寧に攻めていこうということに気をつけました。

――見つかった新たな課題は

個人としてはもう少し得点に絡んでいきたいということと、ディフェンスをもっと強化していきたいと思いました。

――自身の選手としての強みは

ロングシュートですね。

――フェイントの調子良いという印象を受けましたが

そうですね。でもフェイントというよりは、きょうはカットインがまあまあ得意なのでやっていきました。

――次戦への意気込みをお願いします

次も試合に出るチャンスを頂いたら自分にできることをしっかりやりたいと思います。