関東学生春季リーグ(春季リーグ)がついに開幕を迎えた。いまだかつて2大学しか成し得ていない『関東学生リーグ5連覇』。この偉業を果たすべく、早大のプライドを懸けた戦いが始まる――。初戦の相手は法大。昨年の結果からも白星発進が期待されたが、絶対的エース、東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)の欠場によりチーム力が試される試合となった。選手層の底上げを図るべくチームを二分化した体制で挑んだ今試合であったが、個の力をまとめることができず18-28で初戦を黒星で終えた。
前半開始から西山尚希(社2=香川中央)がファーストゴールを決め、先制点を奪う。その後も西山中心に攻め込み、初出場となるルーキー山﨑純平(社1=岩手・不来方)が2得点を挙げるも、初戦の硬さもあってか思うようにボールを運べない。焦る早大とは反対に法大は着実に点を重ね、勢いを付ける。気付くと点差は広がり、15分にはメンバー総入れ替えとなった。チームの悪い雰囲気を払拭(ふっしょく)しようと、声を掛け合い切り替えて臨む攻撃。齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)がポストシュートなど4点を奪いチームに貢献するも、個々のミスが響き点を追い上げることができない。相手の勢いを止められないまま9-13で前半を折り返す。
1年生で唯一の出場となった山﨑
相手に傾いた流れを変えたい後半であったが、序盤から立て続けにイエローカードをもらいペナルティースローによる2失点を許す。点差を縮めようとゴールを狙うも、相手GKの好セーブが光り苦しい状況は続く。追い打ちをかけるように法大はスピードのある攻撃で、早大ディフェンスを突破。「自分たちのやってきたディフェンスシステムができていたら守れたものが守れなかった」(太田翔主将、スポ4=北海道・札幌月寒)と言うように安定した守備力に欠け、ゴールを奪われる。結果は18-28で敗戦、選手一同悔しさをにじませた。
チーム最多の5得点を挙げた齊藤
「雄斗だけに頼ったチームではなく本当のチーム力で戦っていくことを証明しようとしたのですが、結果は負けでした」(太田)と述べるように、エースが欠けた時のチーム力の低さが浮き彫りとなった今試合。きょうの敗戦で見えた課題を修正し、早大らしさを取り戻すことができるか。次戦、その実力が試される。
(記事 中澤奈々、写真 東哲也)
関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | 18 | 9―13 9―15 |
28 | 法大 | スタメン |
GK 小林佑弥(スポ2=茨城・藤代紫水) CP 太田翔(スポ4=北海道・札幌月寒) CP 西東匡寛(文構4=東京・早実) CP 川島悠太郎(スポ3=福井商) CP 西山尚希(社2=香川中央) CP 田崎裕晃(スポ4=神奈川・桐光学園) CP 山﨑純平(社1=岩手・不来方) |
コメント
太田翔主将(スポ4=北海道・札幌月寒)
――春季リーグが開幕しました、率直な感想をお願いします
自分が主将となってチームをマネジメントし始めてから丁度3ヶ月が経ちます。自分が主将になることで、雄斗(東江雄斗副将、スポ4=沖縄・興南)だけに頼ったチームではなく本当のチーム力で戦っていくことを証明しようとしたのですが、結果がこうでした。自分が本当にマネジメントできていたのかなというのは、今後の課題になります。
――きょうの結果に責任を感じているということですか
そうですね、自分がいままでチームのことを考えてただ盛り上げるだけでなく、本当にチームを作ってこられたのかなと深く考えさせられました。
――リーグ開幕前はどのような練習をしていましたか
大前提に体重を上げること、また筋力トレーニングの向けた体作りを一番しました。当たり負けない体作りを重視しました。試合前に関しては、チームを2つに分けていたのでそこで試合を行っていました。他大学との練習試合の際も15分ごとに分け、そのチームで戦ったり、チームを二分化して試合をしたりという実戦練習をしていたのですが、それが今回うまく結びつけなかったと思います。
――練習試合ではその体制はうまくいっていましたか
雄斗がケガをする前ということもあったのですが、チームの軸というのが見えていて、それに沿ってやってきたことをちゃんと発揮することはできていました。
――二分化されたチームは混同されることはないのですか
きょうはあらかじめチーム2つで最後まで行くぞとなっていました。これから相手によってどう変わるかは分かりませんが、あすも同様の体制で臨みます。
――リーグ開幕に向けてチームで話し合っていたことは
ことしのスローガンが日本一タフなチームだったのでそのための体作りを行い、どれだけ強く当たれるかというのを春リーグは実践しようと話し合いました。あとは泥臭いプレーでもいいから、周りに伝えるプレーをしようということを目標に掲げていました。そのことに関しては意識して試合に臨んだのですが、伝えることができなかったというのはありますね。
――初戦は硬さの見られる試合でしたが、その点について
まずやってきたことをやろうとしないということ、この3ヶ月間やってきたことを発揮しようとしていないという感じだったので、コートに立つ以前の問題だったと思います。また劣勢になったときに、いままでプレーしてきた人間がどう立て直せるかといったことも1試合通して出来ませんでした。この2つが今回の大きな課題ですね。
――東江選手の欠場はチームに響きましたか
正直、彼が二分化したチーム両方の支えになっていたなと思います。雄斗のいるチーム、いないチーム関係なく大きな存在だと感じました。いないときにチームが薄く感じられたというのはあります。
――東江選手の欠場を補うために、どのような話し合いをしましたか
この結果で言えることではないのですが、雄斗がいないから負けたと言われることだけは避けよう、誰が出ても勝てるというのがチームの目標でした。そのためにチームの底上げを大前提に行ってきたのですが、うまくいかなかったですね。
――東江選手からチームに掛けられた言葉は
きのうの練習後に、自分が出られない分も思い切ってやってくれという風に言ってくれて心に響いたのですが、実際この試合にその言葉や気持ちを持って戦えたかというのが心残りになります。
――相手のディフェンスに苦戦しているようでしたが、攻撃に関してはどうでしたか
自分たちの持ち味であるクロスだとか強く攻めるといったことが今回展開できなかったので、相手がリズムよく上がってきてコンタクトされてしましました。普段自分たちがやろうとしていることを、そっくりそのままやられてしまい、自分たちは勢いに乗ることができなかったと思いました。
――全体を通して決定力に欠けていたように見えましたが、その点について
自分たちの効いているプレーというのを成功した後に盛り上げたり、次のプレーにつなげていこうとできなかったことが一番の敗因だと思っています。オフェンスミスで負けたというよりは、上げられるところで上げられずにチャンスを逃していたと思います。
――チーム全体の雰囲気が悪くなる場面も見受けられましたが
コート内外関係なく自分が一番声掛けをやらなければいけないのですが、実際に伝わる声を出したのかというのと伝わることによって周りが反応していたのか、チームに響かなかったことが悔しかったです。自分がキャプテンになってやらなければいけなかったことができませんでした。
――ハーフタイムに監督から言われたこと
自分たちのミスでやられているから、一本一本作っていけと言われました。
――監督もおっしゃっていたようにミスが目立ちましたが、その点については
3ヶ月間何を努力してきたかというのを意識してプレーした人間が何人いたのかなと思いますね。ただ自分の1対1で抜こうとか、自分の力で打開しようと考えていただけでは、どんな相手でも勝てないと思います。相手に勝つためにしてきたことを発揮できなかったというのが今回のミスにつながったかなと。
――後半はスタートからファールが多発しましたが、審判などが関係していますか
審判と合わなくて腹を立てて負けるというのが一番もったいないと思っています。個人的にはディフェンスでオフェンシブに当たろうという風にディフェンスを設定したので、前に行こうという気持ちが全員にあったからスライドされてゴテゴテのディフェンスになったのかなと思います。
――雰囲気の悪いスタートの中考えたことは
自分はオフェンス専門だったので、とにかく点を取り必ず盛り上げようと考えていました。得点は少なかったのですが、それをやらないことには自分の意味はないと考えていました。
――ディフェンスに課題が残る試合のようにも見えましたが、その点について
重ね重ねになってしまいますが、自分たちのやってきたディフェンスシステムをうまく全うしてきたかというのが課題です。例えば2枚目が上がったら3枚目は下がるというジグザグのディフェンスだったのですが、それが本当にできていたら守れたものが守れなかったりしたので、結局そういったところだと思います。
――早大にあすまでに求められるものは
コーチもおっしゃっていたのですが、この負けを個人個人がどう捉えるかだと思います。確かに格下相手のチームに負けたと思う人もいるだろうし、結局法大にも勝てないチームと思われてしまう結果なので、これをどう受け止めて次の試合に臨めるかだと思います。イライラする人もいると思いますが、それをどう押し込めて自分であす表現するかが求められていると思います。
桐生正崇副将(人3=群馬・富岡)
――まさかの黒星スタートとなりました
負けは真摯(しんし)に受け止めて、またあしたがあるのでつなげられたらいいと思います。
――敗因は何だと思われますか
自分たちのプレーができず、劣勢のまま相手の勢いにやられてしまったところだと思います。
――相手の印象はいかがでしたか
個の力が強いので、勢いづいたら怖いなという印象はありました。早大のストロングポイントを出せずに終わってしまったという風には感じています。
――ことしの早大の強みは何だと思われますか
例年通り、セットディフェンスでしっかり守って、セットオフェンスで得点につなげるところだと思います。やはりセットディフェンスでフィジカルを活かせないときついと思います。
――個人的な課題は見つかりましたか
もう4年生でチームの中心となるので、いかにチームをまとめて勝利に導けるのかという部分では僕がやらなければいけなかったし、もっとやれたとは思っています。
――副将としてどのようなことをしていきたいですか
副将としてというより上級生として、下級生が試合に出ている時には下級生が思い切りプレー出来るような環境、雰囲気をつくって、プレー面でも精神面でも引っ張ることができるような存在になりたいです。
――ことしのチームの印象はいかがですか
太田主将は自ら声を出して引っ張っていくキャプテンなので、チームの盛り上がりは良くなっていると思いますが、それをうまく勝利につなげられたらと思います。
――リーグ戦が始まるまでどのような練習をされましたか
基礎的な部分から始まって、体作りという面でフィジカルトレーニングには重きを置いてやってきました。きょうはそこを出せずに終わってしまったというのが本音です。
――関東学生リーグ5連覇が懸かっていますが、こういった記録は意識されていますか
早大として5連覇したことが無いので狙いたいとは思っていましたが、それがプレッシャーにならないように、自然体で早大らしくできたらと思います。
――年間を通しての目標をお願いします
ことしのチームの目標は学生タイトルを取るということなので、春季リーグ、関東学生秋季リーグ、全日本学生選手権と制覇できたらと思います。
萩原侑(文3=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
きょうはチームの底上げということでチームを半分に分けていたんですけど、「やっぱりエースの東江さん(雄斗、スポ4=沖縄・興南)がいないとダメだ」と言われてしまうような結果になってしまったので、自分たちで突破していきたいです。
――きょうはリーグの開幕戦ということでしたが、硬さというのはあったのでしょうか
リーグ戦毎回初戦は競ってしまうんですけど、そこで今回はチームをまとめてうまく突破口を開くことができなかったのが課題です。
――敗因を挙げるとすればどのようなところでしょうか
攻めだと中に中に入ってしまって、もっとサイドだったり広く攻めを使えればいいなと思っていて、中に中に狭くなってしまったのが敗因ですね。
――ディフェンスではどのようなところが課題ですか
ディフェンスは結構上がり下がりを強く意識してやったんですけど、できていた面もあるんですけど際で声でのマークチェンジのミスが多くなってしまって、際で最後に声で守れなかったのが痛いですね。
――リーグ戦までどのような練習に取り組んできましたか
セットでは自信があるのであまり速攻の練習はしなかったんですけど、筋トレを頑張っていたのでディフェンスからアグレッシブに守ってから、セットで着実に1点を取ろうっていう練習をしてきました。
――あしたも試合が続きますが、どのようなところを修正していきたいですか
自分が自分がじゃなくてみんながいるので、みんなで勝ちにいきたいなと思います。
――あしたの試合に向けて意気込みをお願いします
きょうよりは相手も強くなるので、自分らしいプレーができるように頑張ります。