早大らしさを欠き、リーグ戦初の黒星

男子ハンドボール

 全勝優勝を目指す早大にとってはここからが正念場となる関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)。この日は敵地に乗り込みアウェーでの一戦、明大と対戦した。試合は、一時は逆転を許す展開となるも、徐々にリズムをつかみ3点リードで前半を折り返す。しかし後半立ち上がりに連続失点、さらにはその後もなかなか得点を奪うことができないもどかしい時間が続く。終始、明大の攻撃を封じることができないまま試合は終了。27-29で敗戦を喫し、関東学生春季リーグ(春季リーグ)に続いてまたもや全勝での優勝は逃すこととなった。

 早大の3連続得点で試合は幕を開けた。守備からの速攻を見せ、この日も好調かのように思われた。しかし、明大もエースの堤由貴選手を中心とした攻撃に早大ディフェンスはついていくことができない。一進一退の攻防が続く中前半12分、ついに逆転を許してしまう。ここから勢いに乗った明大に対してなかなか攻撃の糸口を見出せず、3点差まで離されると、試合の流れを取り戻すべくタイムアウトを要求。ディフェンスのシステムの変更が功を奏したか、相手のミスを誘うと6連続得点で巻き返しを図る。序盤こそ危うい試合運びとはなったが、17-14の3点リードで前半を折り返す。

落ち着いて正確にシュートを決めた森田啓亮(スポ4=岩手・不来方)

 しかし後半は流れが一変、立ち上がりから3連続得点を許し、試合は17-17の振り出しへ。この日チーム最多得点の10得点を決めた東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)を中心になんとか得点を重ねるも、守備が機能せず、明大が一歩優勢に試合を運ぶ。その後もシーソーゲームで試合が進み、後半22分東江が同点弾を叩き入れ25-25とすると、ここから試合はさらに緊迫としたムードに。GK中野裕通(スポ3=兵庫・神戸国際大付)が好セーブを見せたが、はじいたルーズボールを拾われ失点。ここで焦りを見せた早大は大事な勝負所での得点チャンスをものにすることができず、さらには2分間の退場者を出し、この間に追加点を奪われる。人数が不利な状況の中、試合時間残り5分。川島悠太郎(スポ2=福井商)が意地のゴールを決め、1点差まで詰め寄ったが、流れは明大に。最後の追撃もむなしく27-29と惜しくも敗戦。まさかの敗戦に選手一同悔しさを滲ませた。

持ち前の攻撃力を発揮して大量得点を挙げた東江

 「守って速攻」、早大らしさを存分に発揮することができなかった。それ以上に、「体も心も充実しているチームにチャンスはある」と、試合に臨む姿勢を指摘した大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)。次に対戦するのは、春季リーグで接戦の末勝利を挙げた日体大だ。優勝を目指すことはもちろん、残りの2戦が早大の真の強さを示す場となるに違いない。

(記事 松田萌花、写真 三井田雄一)

関東学生秋季リーグ
早大 27 17−14
10−15
29 明大
スタメン
GK 中野裕通(スポ3=兵庫・神戸国際大付)
CP 玉城慶也(スポ4=沖縄・興南)
CP 内海祐輔(スポ4=香川中央)
CP 森田啓亮(スポ4=岩手・不来方)
CP 東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)
CP 田中佑星(スポ3=兵庫・神戸国際大付)
CP 齋藤凌(スポ2=岩手・不来方)
関連記事

終了間際の反撃退け、早大に軍配/関東学生秋季リーグ(9/21)

苦しい前半を乗り越え5連勝/関東学生秋季リーグ(9/15)

東海大を下し、無傷の4連勝/関東学生秋季リーグ(9/10)

コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

――日頃から言っていた「守らなくては勝てない」ということが悪いかたちで体現されてしまったという印象ですが

その通りですね。まず守れない。相手のエースに対して最後の際の部分まで詰め切れなかったというのもリズムに乗れなかった要因かなと思います。

――オフェンスでも波に乗れなかったのはやはり守れなかったというのが原因でしょうか

そうですね、自分たちは守りが機能しないことにはオフェンスでリズムがとれません。そしてことしはセットディフェンスの練習に多くの時間をかけています。あとは4年生がなにを考えてプレーしているのか、といったところじゃないですかね。

――試合中の選手間の声掛けといった点は十分だったと考えますか

不十分だったと思います。特に4年生ですね、3人出ていたにも関わらず苦しくなった部分では東江頼みになってしまいました。そこが相手のディフェンスからしたら的が絞りやすかったんだと思います。プレー以外にも精神的なところ、きのうの日大戦もそうだったんですがきつい場面での言葉掛けですよね。出ているメンバー、特に上級生はそういったことが全くできていなかったと思います。

――接戦をものにできなかった原因は

やはりシュートを決めるべきところで決めておかないと、相手がリズムを取り戻すきっかけを与えてしまいますよね。チャンスはいくつかあったと思います。ただそのチャンスをつかみきれなかった、手繰り寄せることができなかった、その力がいまの我々にはないということですかね。

――バックチェックという点ではいかがですか

ディフェンスもオフェンスもバックチェックも、きょうはトータルとして選手が集中していませんでした。試合を臨むにあたって、彼らが本当に相手のことを研究してそれを練習でやってそれできょうの本番だったのか。どれだけ相手のことを選手たちが考えていたのか、気が抜けた場面はなかったのか。それが全て出た試合だったと思います。

――では、本来であればどういったディフェンスをするべきだったのでしょうか

向こうのポイントゲッターの選手は事前に分かっていたので、イメージとしてはそこを強く守るということですね。その練習もしっかりしてきたつもりです。最初のほうは自分たちの速攻が出たということは、良く守れていたということだと思うのでそこは良かったと思います。ディフェンスとしては、彼を厚く守って他の選手で勝負をするっていうことを約束事にしていたんですが、それがうまくいかなかったかなということですね。

――やはり相手のエースに対するチェックが甘かったということですか

そこもあると思うんですけど、それ以外にも見てのとおり試合に対する気持ちの部分。もちろん気持ちでは全て片付けられませんが、体も心も充実しているチームにチャンスはあるのかなという気はしますよね。技術的なものよりも4年生がどれだけチームに貢献できるのか、そういった部分が大きな課題として明確になった試合なのかなと思います。