終盤ミスが目立つも、開幕2連勝

男子ハンドボール

 開幕戦から連日で迎えた関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)2戦目、早大は中大と対戦した。序盤から試合を優勢に運び、一度もリードを許すことなく17―13で前半を終える。後半開始直後は、互いにゴールネットをなかなか揺らすことのできない時間が続いたが、早大の7連続得点でその差は一気に10点差に。その後も守りから好機を生み出し、35-28で開幕2連勝。しかし、メンバーを交代した終盤にはミスが目立ち、連続失点を与えるなど、課題も挙げられる試合となった。

 快調なスタートだった。早大の3連続得点で幕を開けると、桐生正崇(人3=群馬・富岡)を中心とした連携プレーで得点を積み重ねていく。一時は同点に追いつかれたものの、田中佑星(スポ3=兵庫・神戸国際大付)をポストに投入するなど、試合展開に変化を入れつつ、早大のペースで優勢に試合を進める。総じて攻守ともに大きな崩れはなく、17―13の4点差で前半を折り返す。

フィジカルを生かしたパワープレーを見せる田中

 「相手は自分たちのディフェンスに対して3本に1回はミスをしているというデータが出ていた」(大城章コーチ、平18人卒=沖縄・那覇西)というように、前半のディフェンスを継続し後半に臨んだ。序盤こそ互いに決め切れない時間帯が続いたが、相手に隙を与えない堅固な守りからリズムをつかむと、7連続得点で24-14の10点まで差をつける。その後も速攻などで得点を量産し、早々と勝利を手繰り寄せた。しかし、ベンチメンバー主体で戦った終盤は、ディフェンスが機能せず、さらには自分たちのパスミスなどから容易に失点を許してしまう。点差は縮まり、35-28で試合終了。開幕戦に続いて白星を挙げたものの、ベンチメンバーにとってはAチームとの差を痛感する試合にもなった。

素早い速攻で相手を置き去りにする桐生

 試合後、「最初から出ていなかった選手が試合に出たときにどうプレーするか」と課題を挙げた玉城慶也主将(スポ4=沖縄・興南)。チームの底上げは、リーグ戦を戦っていく上で重要な課題の一つである。徐々に対戦相手のレベルも高くなっていくリーグ戦。鍛錬の夏を越え、この秋季リーグでさらなるレベルアップが見られるか、注目だ。

(記事 松田萌花 写真 中澤奈々)

関東学生秋季リーグ
早大 35 17−13
18−15
28 中大
スタメン
GK 中野裕通(スポ3=兵庫・神戸国際大付)
CP 玉城慶也(スポ4=沖縄・興南)
CP 森田啓亮(スポ4=岩手・不来方)
CP 東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)
CP 桐生正崇(人3=群馬・富岡)
CP 齋藤凌(スポ2=岩手・不来方)
CP 川島悠太郎(スポ2=福井商)
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コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか

中大がきのう筑波大を倒して、波に乗ってくることは分かっていたんですけど、前半はなかなか自分たちがリズムに乗れなかったですね。点を取れてはいるんですけどルーズボールまで拾えないとか、フリーでシュートを打っていても止められてしまうとか、ちょっと自分たちでリズムを崩しているというのはありました。それでも前半の終盤から後半の出だしでディフェンスが機能しはじめて、そこから速攻が出てきて後半の10分で試合を決められたのかなと。そこには満足しています。ただ、後半の最後に出たメンバーたちが連続失点をしたり、時間と点差の使い方がいまいちだったりと、そういったところは大きな課題かなと感じています。

――前半終わりにはベンチから「ここの終わりかたが大事だぞ」と声を掛けていましたが

常に練習から状況設定をして練習をしているので、チームとして後半につなげるために最後のディフェンスをしっかりやろう、という話はいつもしています。そういったことで、そのような発言がありました。練習からやっていることなので、全体のディフェンスがそれを表現したことで、最後リズムに乗れたのかなと思います。

――ディフェンスが後半からさらに良くなったという印象でしたが、ハーフタイムになにか指示がありましたか

ディフェンスに関しては前半の最後のほうから良かったので、そのまま継続するようにという指示だけですね。ハーフタイムの大きな指示としては、自分たちは攻撃でミスはしていない、ただ自分たちのシュートミスでリズムを崩している、ということ。そして、相手は自分たちのディフェンスに対して3本に1回はミスをしているというデータが出ていたので、ディフェンスもしっかり機能している、という指示ですね。なので、改めてディフェンスシステムを変えたってことはなかったです。

――後半の中盤は「ディフェンスからの速攻」というワセダらしい攻撃ができていたという印象ですが、この点についてはいかがですか

そうですね。守りが安定すればこういった展開になるので、これは相手が誰であろうと関係なく、自分たちのやってきたことの成果が出たのかなと思います。

――先ほども少しありましたが、メンバーを大きく代えて臨んだ後半の最後は相手の攻撃をほとんど止めることができませんでした。これはどういった点が問題だったと考えますか

簡単に言うと力不足ですよね、代わった選手の力不足。具体的に言うと、相手の得点能力が高い選手に対して、その選手がシュートを打ってくるのが分かっているにも関わらず、そこを容易に打たせていること。では、前半30分に加えて後半15分の45分で相手選手のなにを見ていたのか。ベンチの中でなにを考えて、なにを話していたのかということですよね。相手の特徴を全く理解せずにコートに立って、パフォーマンスとして出せなかった。それは当然ですよね。それと攻撃でリズムに乗れなかったことに関しては、ボールをもらってから動いてしまうという悪い癖が抜け切れていないから。練習で3-3ディフェンスを想定しての練習をチームとしてずっとやっているのですが、それをAチームは体現できた。代わった選手たちは、そこに対してのレベルが高くないというような感じを受けます。

――いまのチームの出来、仕上がりについては

春季リーグが終わって約3ヶ月、夏場は週に1回は練習試合を組んでいました。そうして多くの試合をこなすことで、チームづくりを今シーズンはしようと思っていたのでこれまでのようにかなりの走りこみをしたわけではありません。試合を通してレギュラーメンバーと、そうでない下の部分の選手の底上げをしようと思ってやっていて、その面では少しずつですが成長している選手がいるので、それは大きいですよね。ただ、世界学生選手権やU-22東アジア選手権などに招集されて、選手全員が集まっての練習というのができていないので、その辺りのコンビネーションはこれからかなと思っています。

――最後に、今シーズンを勝ち抜くためにさらにチームに必要なものはどういったことだと考えますか

きょうの試合でも出ていましたけど、まずはしっかり守ることですよね。ディフェンスからの速攻とは言っていますが、まずは守ること、そしてセットオフェンスをしっかり攻めること、そこに重点を置いています。守って速攻なんですけど、なによりも守ること、そしてルーズボールを拾って速攻につなげること。無理であれば、ストップをしてセットオフェンスで攻めること、そしてバックチェックをすること。これらは当たり前のことなんですけど、全てをやろうと思っているので。キーはディフェンス、そこが安定しないと自分たちの良さは出ないので、これからはディフェンスの精度を上げることですね。そこを集中してトレーニングしなくてはと思っています。

玉城慶也主将(スポ4=沖縄・興南)

――今日の試合を振り返って

前半は競っていたんですけれど、後半で守って結構良かったですね。でもメンバー替えして終わり方が悪かったのでそれをもう一回練習していきたいですね。

――前半、後半で試合の流れが違っていましたが、それぞれを振り返って

前半やってみて、相手のキーマン、得点を取る選手を抑えて前半は守って、速攻でいけたのでその点はよかったですね。

――昨日の試合を振り返って今日の試合にはどんな思いで臨みましたか

あまり変わらず自分たちのやってきたことをやろうかなと。多少焦るかもしれないですけど、前半で粘って後半で離せるのであれば勝てるんじゃないのかなと思いました。

――後半、ディフェンスがよくなっていましたが

前半で相手に慣れたというのがあるんじゃないですかね。

――試合終了後、チームでどんな話し合いをしましたか

メンバーが変わった後の後半の終わり方ですね。終わり方が悪かったので。メンバーが変わったとき、最初から出ていなかった選手が試合に出たときにどうプレーするのかということが話されましたね。最初に出たメンバーは悪くなかったので。

――次の試合への意気込み

一戦一戦大事に勝っていって、目標である「三冠連覇」を目指して頑張っていきたいです。

東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)

――きょうの試合を振り返って

きのう中大が筑波大に勝ったということで勢いがあるだろうと思っていたので、チーム全員が気を引き締めて試合を盛り上げて勝つことができて良かったと思います。

――前半の自身のプレーを振り返って

ディフェンスは個人的には良かったと思うのですが、オフェンスで最後の方にシュートミスが目立ったので課題だと思いました。

――後半に一気に点差をひろげていましたが、前半と変わった点は

前半も全体的には良かったのですが、ルーズボールが相手に渡るなど際の部分で詰めが甘く流れをつかむことができなかったと思います。後半はルーズボールをしっかり取って攻撃につなげようと修正していき、上手く差を離せたのだと思います。

――後半の外から見ている時に思ったこと

代わったメンバーがスタートのメンバーと同じようにプレーできたら良かったのですが、簡単なミスが多くてチームとしての約束事が守れなかったところがありました。そういうところを厳しく指摘し合ってベンチや試合後に話し合いました。

――次節への意気込み

次は法大とスピードのあるチームだと思います。しっかりと対策を練って試合に臨みたいです。

桐生正崇(人3=群馬・富岡)

――今日の試合を振り返って

前半は少し様子を見ながらという感じだったのですが、後半の中盤でしっかり点数を離すことができたので、いい試合運びだったのではないかと思います。

――序盤から攻撃の良いかたちが見られました

前半の立ち上がりが昨日は悪かったのですが、きょうは徐々に点数を離していくことができたので悪くはなかったと思います。

――17-13で前半を終えて、後半に向けてチームでは何か話し合われましたか

後半の15分までに点数を離して勝負を決めるという内容で、10分
から15分にかけて実際に点数を離していけたので良かったです。

――後半の序盤からディフェンスがさらに機能していましたがディフェンスを振り返って

ディフェンスは上がりっぱなしにならないというのをずっと言われていて、それが徹底できたというのもあるし、あとはキーパーがいいところで守ってくれたのでそれで攻撃も噛み合って、点数を離すことができたのかなと思います。

――交代してからのゲームをベンチから見ていて、いかがでしたか

最初に出るメンバーと終盤に出るメンバーで少し差が生まれているというのは前から章さん(大城コーチ)に言われていて、それがきょうの結果でも出ているので、また練習から意識して、Aチームに食い込めるように頑張ってほしいなとは思います。

――ご自身としてはチームをどう引っ張っていきたいですか

上級生なので下級生が試合に出たときはしっかり声を出して、あとは4年生にも盛り上げるような言葉がけをプレー以外でもしていきたいなと思います。

――次の試合に向けて意気込みは

来週は法大と東海大との試合で少しレベルが上がるので、しっかりこの1週間でまた立て直して頑張りたいと思います。