力の差を見せつけ定期戦優勝

男子ハンドボール

 関東学生春季リーグ(春季リーグ)が終わってから1ヶ月が経ち、ことしも早大・慶大・明大の3校による早慶明定期戦が行われた。春先からチームの底上げに取り組んできた早大は、今季の集大成となるこの大会で下級生から上級生まで多くの選手を起用。玉城慶也主将(スポ4=沖縄・興南)や内海祐輔副将(スポ4=香川中央)を欠いて臨んだ今大会は、初戦の慶大戦こそ危なげなく勝利するが、明大戦は1点を争う緊迫した試合となった。しかしそこで慌てず落ち着いて試合を運んだ早大が7点差をつけ快勝。昨年に続き、見事2年連続優勝を果たした。

 「ワセダらしいディフェンスができるよう意識して臨んだ」(森田啓亮、スポ4=岩手・不来方)。1戦目の対戦相手は慶大。東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)が先制点を決めて試合は幕を開けた。課題の立ち上がりから早大は積極的にゴールを狙い、開始10分で5点差をつけることに成功。そこからは好ディフェンスが光る。背の高い選手に対してはしっかりと高い位置で当たって対処し、軽快なフットワークで横の動きもしっかりと対応。慶大に堅守を見せつける。途中、自分たちのパスミスから逆速攻に持ち込まれる場面もあったが、GK増田翔(スポ4=神奈川・生田)が抜群の勝負強さでこれを止め、簡単に得点を奪わせない。西東匡寛(文構3=東京・早実)も途中出場ながら確実にサイドシュートを決めさらに勢いづけると、そのまま良い流れを保ち、19-7で前半を終える。後半はGK小林佑弥(スポ1=茨城・藤代紫水)が今季初出場。止めるところをきっちり止めるセービングで、1年生ながら十分な役割を果たした。他にも萩原侑(文2=東京・早実)が堂々としたプレーを見せ、チームに大きく貢献。終盤になって攻守でばたついてしまうが、最終的には30-14と大差で勝利した。

東江も果敢に相手ゴールに迫る

 続く明大戦は出だしから激しい点の奪い合いとなった。桐生正崇(人3=群馬・富岡)や田崎裕晃(スポ3=神奈川・桐光学園)らも必死に攻めたてるが相手も引き下がらない。明大のエースである堤由貴主将を中心とした攻撃に苦戦する早大。要所でGK中野裕通(スポ3=兵庫・神戸国際大付)の好守が光るが、最後まで流れを引き寄せることができなかった。後半も終始シーソーゲームが繰り広げられる。東江が4連続得点を決めるなど攻撃面では安定感を見せるが、ディフェンスで粗さが見えた。明大に同じパターンでの連続失点を喫し、一時は同点にまで追いつかれてしまう。しかし後半23分、桐生が速攻を決めるとこれが流れを変えた。ここで早大は一度タイムアウトをとり、局面の確認をして態勢を整える。試合が再開されてすぐに田崎がサイドシュートを決め、勝利をさらに近づけると東江、森田もそれに続いて得点を奪う。チャンスを取りこぼすことなく、終盤まで攻撃の手を緩めなかった早大に軍配が挙がった。

強気なプレーでチームを支えた森田

 「チームとしてやるべきことを設定している」(東江)。春季リーグを優勝で飾り目標の『三冠連覇』に一歩近づくことができたが、選手たちに慢心はない。これまでに見えた課題をチームで共有し、関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)までに修正を図る。すでに秋を見据える早大は、これから迎える鍛錬の夏を越えさらなる飛躍を遂げるだろう。秋季リーグでも素晴らしい結果を残せるか、今後も早大の活躍から目が離せない――。

(記事 佐藤凌輔、写真 大槻竜平、寒竹咲月)

第54回早慶明定期戦(対慶大)
早大 30 19−7
11−7
14 慶大
スタメン
GK 増田翔(スポ4=神奈川・生田)
CP 森田啓亮(スポ4=岩手・不来方)
CP 東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)
CP 太田翔(スポ3=北海道・札幌月寒)
CP 桐生正崇(人3=群馬・富岡)
CP 田崎裕晃(スポ3=神奈川・桐光学園)
CP 萩原侑(文2=東京・早実)
第54回早慶明定期戦(対明大)
早大 33 16−13
17−13
26 明大
スタメン
GK 中野裕通(スポ3=兵庫・神戸国際大付)
CP 森田啓亮(スポ4=岩手・不来方)
CP 東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)
CP 太田翔(スポ3=北海道・札幌月寒)
CP 桐生正崇(人3=群馬・富岡)
CP 田崎裕晃(スポ3=神奈川・桐光学園)
CP 萩原侑(文2=東京・早実)
コメント

森田啓亮(スポ4=岩手・不来方)

――明大戦と慶大戦をそれぞれ振り返って

教育実習や合宿でメンバーがあまり揃ってなかったが、慶大戦では普段出ていない選手が出場して、それぞれが練習してきたことを出せたので良かったと思います。明大戦では、2番の選手にやられっぱなしでした。自分たちで試合中に修正しなければならないし、チーム全体で疲れた中あまり声も出てないところもあったので、疲れたときに自分たちでいかに頑張れるかが秋への課題になると思います。

――慶大は2部リーグに所属しているチームなので、春季リーグで対戦することがありませんでしたが、きょう戦っていかがでしたか

相手を下にみるわけではなくて、自分たちでやってきたことをしっかり出そうと。春季リーグで優勝している分、変な試合をしてはならないと思いワセダらしいディフェンスができるよう意識して挑みました。

――春季リーグを終えてから久々の試合でしたが、それについては

春季リーグが終わって頻繁に試合とかをやっているわけではないのですが、2対2などの基本的なプレーの練習をしていて、今回の試合もそれを意識しました。その成果が出せたところが良かったと思います。個人としては4年生が今回2人しか出てない中、4年生としてもう少しチームをまとめて引っ張っていけたら良かったなと思います。

――最後に、次のシーズンに向けて意気込みをお願いします

秋季リーグまでまだ時間がありますが、合宿などメンバーがそろう少ない期間で自分たちのやれることをしっかりやること。全日本学生選手権(インカレ)で優勝して、三冠連覇というのが目標なので、それを達成できるように基本の練習をしっかりやって秋に向けて準備できたらいいなと思います。

桐生正崇(人3=群馬・富岡)

――慶大戦を振り返って

慶大戦は前半からシュートを打てて、ディフェンスでしっかり守れることができました。そこから速攻で得点を決めることができたので、良い展開でできたかなと思います。

――慶大戦後、大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)からはどのような話がありましたか

明大は速攻が速いので、バックチェックと相手のキーマンである2番に対してマークするということを指示されました。

――次に明大戦を振り返って

明大は競る場面が続いて、相手のエースの人にやられていたポイントはわかっていたので後半の最後はしっかりそこを粘れました。そして終盤点差を離して勝てたのは収穫かなと思います。

――春季リーグを終えて、いまの調子は

春季リーグが終わってからずっと、平日は練習して土日は練習試合をしていたので、試合感という意味ではそこまで鈍らずに、今回の大会に持っていけたかなと思います。

――4年生が少なく主力を欠いた今大会、チームの雰囲気は

最初から4年生が抜けることは分かっていたので、残った4年生2人を中心にしっかり声を出して、ワセダらしく試合ができたと思います。

――今後の課題は

明大の2番の選手に同じパターンで得点されたので、一回の失点は仕方がないとしても、2何度も同じパターンで失点されないようにディフェンス面で修正していくことが課題かなと思いました。

東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)

――慶大戦を振り返って

相手が2部リーグに所属しているチームだったんですけど、とりあえず出だしから自分たちのハンドボールをして、圧倒的な強い力を見せようということで頑張りました。

――明大戦を振り返って

春季リーグでも戦ったんですけど、相手はスピードがあるチーム。互いに1試合目を終えてきつい中だったんですけど、いかに集中力を高く保ってプレーできるかというとこを意識しました。

――2試合を通して自身のプレーは

慶大戦はある程度調子が良いという感じでできたんですけど、明大戦ですかね。1対1で抜いたところで、最後ちょっと力尽きてシュートが決められなかった場面が3回くらいあったので、そこはちょっと課題だったかなと思います。

――秋季リーグを迎えるにあたって、この夏で改善したい課題は

今は春季リーグが終わって、チームとしての目標というかやるべきことを設定して練習していて、来週末に練習試合があるんですけど、その練習試合で出た課題をまたその翌週の練習で修正するといった感じ。そういった毎週末の練習で修正した課題を生かして、秋季リーグを迎えたられたら良いと思います。そして最終目標がインカレ優勝なので、そこで他大にワセダの力の差を見せつけられるように、頑張っていきたいです。