筑波大に痛恨の敗戦、リーグ戦優勝は持ち越し

男子ハンドボール

 関東学生春季リーグ(春季リーグ)も残り2試合。この日勝てば春季リーグ優勝が決まるという大一番、対戦相手に筑波大を迎えた。ここまで全勝で勝ち進んでいる早大は勢いもあり、これまでのように力で押し切ることができるかと思われたが試合は思わぬ展開に。前半立ち上がりから一気に6点差をつけられたのだ。ベンチも必死の声掛けで盛り上げ流れを変えようと試みるも、選手たちにも焦りがあったのかフリーのシュートを決めきれない。その差を縮められないまま前半終了。後半はディフェンス体系を変えて臨んだことで序盤こそ守れるも開いた点差は大きかった。終盤に猛追を仕掛けるがあと一歩が届かず手痛い敗戦。リーグ戦優勝は次戦に持ち越しとなった。

強烈なシュートを叩き込む内海副将

 「出だしは最悪だった」(大城章コーチ、平18人卒=沖縄・那覇西)。課題の立ち上がりはこの日も悪かった。ディフェンスが全く守れず、さらにはオフェンスでも点が取れない。徐々に開いていく点差に、早大に不穏な空気が漂いはじめる。内海祐輔副将(スポ4=香川中央)がペナルティスローを決めるも、前半開始から10分で奪った点数はこの1点だけ。この後7点差をつけられたところで、早大はすかさずタイムアウトを要求。なんとかリズムをつかむため得点を奪いにいくが、相手キーパーとの1対1の勝負に勝てずシュートが入らない。桐生正崇(人3=群馬・富岡)がパスカットからの速攻を決めチームを活気づけるが、そこから続かず7-15で前半を終える。

桐生も速攻で積極的にゴールを狙う

 ディフェンス体系を0-6から3-3に変えて臨んだ後半。序盤はこれがうまく機能し相手の攻撃を高い位置で止め、そのまま自分たちのオフェンスにつなげることができた。さらには筑波大が退場者を出し、その隙に少しでも点差を縮めたい早大だったが筑波大も果敢に抗戦。東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)が積極的にゴールを狙うがなかなか得点に結びつかない。後半の中盤は両者順調に点を重ねるが、ここから序盤に取られた点差が重くのしかかる。ハーフタイムの話し合いで後半ラスト5分に追いつくと決めていた早大は、最後執念の粘りを見せ筑波大を追いかけるがやはり点差は大きく、あと3点で同点というところで試合終了。春季リーグ初黒星を喫した。

 ディフェンスで守れなければ勝利を手にすることはできないということを痛感した一戦。試合後、大城章コーチは次戦に向けて「自分たちの目標をもう一度見直すこと」が必要だと言う。目標である『三冠連覇』を果たすには、春季リーグを優勝することは絶対条件。次はその優勝が決まる最終日、対戦相手は宿敵・日体大だが玉城慶也主将(スポ4=沖縄・興南)は「どこが相手でも1勝を目指す」と慌てた様子はない。早大はここが正念場、いざ勝負の最終戦へ――。

   

(記事 佐藤凌輔、写真 藤巻晴帆)

関東学生春季リーグ
早大 23 7−15
16−11
26 筑波大
スタメン
GK 中野裕通(スポ3=神戸国際大付)
CP 玉城慶也(スポ4=沖縄・興南)
CP 内海祐輔(スポ4=香川中央)
CP 森田啓亮(スポ4=岩手・不来方)
CP 東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)
CP 福岡佑哉(スポ3=北海道・札幌月寒)
CP 川島悠太郎(スポ2=福井商)
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コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

――課題の出だしについては

見ての通り出だしは最悪でしたね。まず守れない。失点した後にどういった言葉掛け、どういった態度をとるのがチームにとってプラスになるのか、今までやってきたことが全くできていなかった。確実に上級生の自覚というか、チームに対する思いやりが欠けていた前半のスタートだったと思います。

――途中1年生を投入したのは、その時点で一番動けると判断したからですか

それよりも最初に出ていた選手の動きが悪かったから起用しました。

――ハーフタイムはどんな指示を出しましたか

後半開始からディフェンスのシステムを変えるという話と、ラスト5分で追いつこうという話をしました。

――ディフェンスのシステムを3-3に変えたのは前半守れていないと感じたからですか

全くもって選手たちの足が動いていなかったのと、やはりコミュニケーションの不足ですよね。そこからコンビネーションの欠如が前半に目立って、マークのチェンジミスによる失点が多かった。ディフェンスを高い位置にすることで、一人の守るスペースが広がるので、声掛けやフットワーク、コミュニケーションを増やすことが目的でした。

――では、後半のディフェンスは前半よりは守れていたということですか

スタートは守ってからの速攻でリズムをつかめたので功を奏したのかなと思います。けど、やはりそこからもう1点というときにミスが出ましたよね。そういったのが現状だと思います。

――次の日体大戦までにチームで修正したいところは

プレーの面では良かった場面もありました。セットのオフェンスで45のカットインやサイドの出現率といったところは、今までの試合の中で一番多かったので、最後シュートを決めきれるか。やっていることは悪くないので、あとはその精度を上げること。そして、自分たちの目標をもう一度見直して、このままで良いのかということを一人一人が考え直すこと。それによって行動が変わってくると思います。

玉城慶也主将(スポ4=沖縄・興南)

――きょうの試合を振り返って

きょうは出だしが6-0まで離されたので、やっぱり出だしですね。このチームの課題は。

――前半の序盤は相手の猛攻を受けましたが、それは課題が解消しきれていなかったということでしょうか

そうですね。ずっとやっていて競っている試合は全部出だしが悪い試合なので、余裕のときは出だしがしっかり守れて自分たちのペースでできているので、やっぱりそこが課題ですね。

――攻撃も相手のディフェンスに阻まれる場面が見受けられましたが、チーム全体の攻撃はいかがでしたか

攻撃、シュート回数はうちも筑波大と変わらないくらいあるんで、そこをどれくらい決められるかっていうことですね。

――前後半の間にはどのような話をされたのでしょうか

点差が7点差くらい開いていたんですけど、まだ30分あったので焦るのではなくて、残り5分で3点差、良くて同点までいければっていう話はしましたね。

――後半には3-3ディフェンスも見られましたがその意図は何だったのでしょうか

前半のディフェンスシステムが0-6でそれがあんまり機能していなかったので、高めで守ってみようと。高めで守ることによって前でパスカットできてそのまま速攻にいけるっていう流れだったので、その結果後半の出だしは良かったと思います。

――手ごたえはあったということですか

そうですね。練習はしていたんですけど、対策としてはあまりしていなかったです。それがはまってくれたので良かったです、後半の最初は。

――次は優勝の懸かる日体大戦ですが、次戦に向けて

僕らの目標は三冠連覇なので、優勝するためではなく1戦1戦余裕で勝たないと、ことしのチームはインカレも取れない。やっぱり三冠連覇は難しいので、優勝だから、ではなくて日体大でもどこが相手でも1勝を目指して頑張っていきたいと思います。

桐生正崇(人3=群馬・富岡)

――きょうの試合を振り返って

出だしで大きく差が開いてしまったので、出だしから悪かったなという印象が一番大きいです。

――前半20分頃からの出場となりましたが、それまでベンチから見た試合の印象は

やはりセットディフェンスで相手のエースの左利きの選手に回り込まれて打たれることが多かったので、その中周りをしっかり強く当たっていこうと思っていました。

――実際にコートでプレーしてみていかがでしたか

センターの選手とのクロスプレーで左利きの選手が打ってくることが多かったのでもう少し声掛けをすれば、もっと守れた部分も多かったのかなと思います。

――前半の攻守全体を振り返って

ディフェンスは最後の方は修正できて、オフェンスの面で最後のシュートミスが多くて、やはり点を決めても、相手のゴールキーパーのセーブにあってしまうと流れに乗れない部分があったので、もう少しオフェンス面でシュートを個人個人が決めていくことが大事だったかなと思います。

――7-15で折り返した前半でした。ハーフタイムに向けて話し合われたことは

8点差あって、後半25分までに追いつけばいいということで臨んだのですが、一時追い付きそうなところでまだ突き離されてしまったので、そこが課題かなと思います。

――後半だけのスコアを見るとワセダが上回っていましたが、きょうの試合の課題はやはり前半にあったのでしょうか

やはり立ち上がりが悪かったのかなと思っています。

――今季初の敗戦、どう受け止めたいですか

負けは負けと捉えて、あとは日体大戦が残っているので、しっかり切り替えてまた1週間練習していきたいと思います。

――日体大に勝利するためには

日体大は速攻が速いので、バックチェックをしっかりして、あとはきょうできなかった立ち上がりの部分やオフェンスでのシュート確率など、きょう挙がった課題をしっかり直していけば大丈夫だと思います。

東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)

――優勝が懸かった試合でした。きょうの試合への意気込みは

筑波大に勝てば優勝だったのですが、お互い似たようなチームでフィジカル面やスピードで差を見せつけてやろうと意気込んでいたのですが、相手の最初のチームとしての勢いに押されてしまったところがあって悔しかったですね。

――筑波大戦に向けてどのような練習をされましたか

相手のオフェンスの特徴や一人一人の特徴などをビデオで見たり、みんなで話し合ったりして対策を練っていたのですが、良かった部分もありましたがやられているときはチームの約束ができていなかったかなと思います。

――実際戦ってみて相手の印象は

筑波大はチームとしての雰囲気もすごく良くてとてもいいチームでした。逆に僕らはきょうチームとしてなっていなくて、そういったところが敗因でもあると思いますし、そこを見習っていかなければいけないなと思いました。

――前半立ち上がりから苦しい戦いを強いられていましたが、どのようなお気持ちでしたか

点数の差が開いてきた時にみんなに落ち着こうとか、まだ焦らない、という声かけをしたのですが、僕自身も少し焦っていた部分があったかなと思います。

――ディフェンスはいかがでしたか

前半のディフェンスは際の部分でやられているところがあって、後半立ち上がりにディフェンスシステムを変えたら運動量で守れている場面があったので、その運動量を前半からやっていきたかったです。

――敗因として挙げられるものは

シュートミスや、最初の出だしが重要と言われていたのですが、出だしで(勢いに)乗れなかった部分が大きかったかなと思います。

――日体大戦に向けての意気込みは

ずっと日体大にも勝っていないので勝ちたいのですが、きょうの負けをネガティブにならずにプラスに捉えて、その反省材料を練習で克服して日体大に挑んで勝って優勝決めたいと思います。